SNS等のネット上での誹謗中傷の削除及び発信者の情報公開を求める方法

1.インタ-ネットを利用した匿名性の高い誹謗中傷への対応

(1)IPアドレス・DNSサーバー情報

 インターネット上に投稿された情報発信源を2019年現在では一般個人が自分で突き止めることは困難である。手掛かりは、IPアドレスでどこのISP (Inter Service Provider)を利用しているか、そのサーバー大まかにどの地方にあるかであろう。時として、DNS (Domain Name System)サーバ-情報から接続元の企業名や学校の名前などが判明することもあり得るがまれであろう。

(2)レピュテーション被害の増大への対応の必要性

 仮に書込み者が利用しているISPなどにたどり着いたとしても、すぐに個人情報の公開は認められず、警察や裁判所の強制処分がないと如何ともしがたい状況にあった。そこで、平成14年5月27日より「プロバイダ-責任制限法」が施行された。

2.プロバイダ-責任制限法による対応

(1)プロバイダ-責任制限法の内容

 この法によれば、インターネット上で誹謗中傷を受けたり個人情報を公開されて個人の権利が侵害された事案が発生した際に、ISP業者や掲示板の管理者などに対して削除および発信者の情報公開を求めることができる.法文の名前から想像できるように ISP業者および掲示板の管理等は削除要請に応じて、これらを削除したとしても権利者から責任を免れる。権利者はこれにより相手に刑事の名誉棄損ばかりでなく損害賠償を行うことも可能になる。

(2)開示請求できる情報

①発信者その他侵害情報の送信に係る者の氏名又は名称

②2発信者その他侵害情報の送信に係る者の住所

③発信者の電子メールアドレス

④侵害情報に係るIPアドレス

⑤前号のIPアドレスを割り当てられた電気通信設備から開示関係役務提供者の用いる特定電気通信設備に侵害情報が送信された年月日及び時刻

(3)法的な手続き

社団法人テレコムサービス協会のホームページに書式やガイドラインがある。弁護士や行政書士に代理人として依頼することも可能である。次のその一部引用する。https://www.telesa.or.jp/ftp-content/consortium/provider/pdf/provider_mguideline_20180330.pdf

3.プロバイダー責任制限法

:「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」が正式名称 条文は以下の通り

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 平成十三年法律第百三十七号
(趣旨)
第一条 この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。
二 特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。)をいう。
三 特定電気通信役務提供者 特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。
四 発信者 特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。
(損害賠償責任の制限)
第三条 特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。
一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。
2 特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
一 当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
二 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、当該権利を侵害したとする情報(以下この号及び第四条において「侵害情報」という。)、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
(公職の候補者等に係る特例)
第三条の二 前条第二項の場合のほか、特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報(選挙運動の期間中に頒布された文書図画に係る情報に限る。以下この条において同じ。)の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
一 特定電気通信による情報であって、選挙運動のために使用し、又は当選を得させないための活動に使用する文書図画(以下「特定文書図画」という。)に係るものの流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等(公職の候補者又は候補者届出政党(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第八十六条第一項又は第八項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは衆議院名簿届出政党等(同法第八十六条の二第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは参議院名簿届出政党等(同法第八十六条の三第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)をいう。以下同じ。)から、当該名誉を侵害したとする情報(以下「名誉侵害情報」という。)、名誉が侵害された旨、名誉が侵害されたとする理由及び当該名誉侵害情報が特定文書図画に係るものである旨(以下「名誉侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報の送信を防止する措置(以下「名誉侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該名誉侵害情報の発信者に対し当該名誉侵害情報等を示して当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
二 特定電気通信による情報であって、特定文書図画に係るものの流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等から、名誉侵害情報等及び名誉侵害情報の発信者の電子メールアドレス等(公職選挙法第百四十二条の三第三項に規定する電子メールアドレス等をいう。以下同じ。)が同項又は同法第百四十二条の五第一項の規定に違反して表示されていない旨を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があった場合であって、当該情報の発信者の電子メールアドレス等が当該情報に係る特定電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に正しく表示されていないとき。
(発信者情報の開示請求等)
第四条 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。
一 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
2 開示関係役務提供者は、前項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示するかどうかについて当該発信者の意見を聴かなければならない。
3 第一項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。
4 開示関係役務提供者は、第一項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。
附 則


特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令  平成十四年総務省令第五十七号 ⇒開示情報を定める
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第四条第一項の規定に基づき、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令を次のように定める。
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項に規定する侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものは、次のとおりとする。
一 発信者その他侵害情報の送信に係る者の氏名又は名称
二 発信者その他侵害情報の送信に係る者の住所
三 発信者の電子メールアドレス(電子メールの利用者を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。)
四 侵害情報に係るアイ・ピー・アドレス(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第百六十四条第二項第三号に規定するアイ・ピー・アドレスをいう。)及び当該アイ・ピー・アドレスと組み合わされたポート番号(インターネットに接続された電気通信設備(同法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)において通信に使用されるプログラムを識別するために割り当てられる番号をいう。)
五 侵害情報に係る携帯電話端末又はPHS端末(以下「携帯電話端末等」という。)からのインターネット接続サービス利用者識別符号(携帯電話端末等からのインターネット接続サービス(利用者の電気通信設備と接続される一端が無線により構成される端末系伝送路設備(端末設備(電気通信事業法第五十二条第一項に規定する端末設備をいう。)又は自営電気通信設備(同法第七十条第一項に規定する自営電気通信設備をいう。)と接続される伝送路設備をいう。)のうちその一端がブラウザを搭載した携帯電話端末等と接続されるもの及び当該ブラウザを用いてインターネットへの接続を可能とする電気通信役務(同法第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。)をいう。以下同じ。)の利用者をインターネットにおいて識別するために、当該サービスを提供する電気通信事業者(同法第二条第五号に規定する電気通信事業者をいう。以下同じ。)により割り当てられる文字、番号、記号その他の符号であって、電気通信(同法第二条第一号に規定する電気通信をいう。)により送信されるものをいう。以下同じ。)
六 侵害情報に係るSIMカード識別番号(携帯電話端末等からのインターネット接続サービスを提供する電気通信事業者との間で当該サービスの提供を内容とする契約を締結している者を特定するための情報を記録した電磁的記録媒体(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に係る記録媒体をいい、携帯電話端末等に取り付けて用いるものに限る。)を識別するために割り当てられる番号をいう。以下同じ。)のうち、当該サービスにより送信されたもの
七 第四号のアイ・ピー・アドレスを割り当てられた電気通信設備、第五号の携帯電話端末等からのインターネット接続サービス利用者識別符号に係る携帯電話端末等又は前号のSIMカード識別番号(携帯電話端末等からのインターネット接続サービスにより送信されたものに限る。)に係る携帯電話端末等から開示関係役務提供者の用いる特定電気通信設備に侵害情報が送信された年月日及び時刻
附 則

4.総務省及びプロバイダー責任制限法について詳しい解説サイト

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/ihoyugai.html

http://www.isplaw.jp/

コンプライアンスの中川総合法務オフィスの最新情報をお届けします

YouTubeの中川総合法務オフィス公式チャンネルで無料動画公開中

※中川総合法務オフィスのYouTube公式チャンネルには、コンプライアンス等をポイント解説したビジネス等にお役に立つ無料動画をたくさんアップロードしております。

コンサルティングのご依頼や講演等の参考にもお使いください。