大阪市では不祥事防止アクションプランがあるのになぜ官製談合で実刑判決が出たか。

1.大阪市の入札契約事務コンプライアンス・アクションプラン

大阪市は2015年度から入札契約事務に関わる職員のコンプライアンス意識の向上や徹底を図るための、「入札契約事務コンプライアンス・アクションプラン」を策定しており、PDCAサイクルでプランの実施状況等を毎年検証し、その結果を踏まえて次年度のアクションプランを策定する仕組みだ。

例えば、平成31年度(令和元年)は、次のような取り組みである。

https://www.city.osaka.lg.jp/keiyakukanzai/cmsfiles/contents/0000456/456547/31actionplan.pdf

2.初回2015年度のアクションプラン内容

2014年になって不祥事が相次ぎ、病院局職員の収賄容疑による逮捕、内規に反した業者との癒着、公募審査の不自然な採点等があって、急いで作成されたものである。

(1)コンプライアンス確保のための体制整備
①入札情報の管理徹底
「入札契約情報管理ガイドライン」の遵守、「公正契約職務執行マニュアル」の遵守・改正など
②不正行為や不当圧力の排除
必要に応じた録音録画装置の設置、「要望等記録制度」の遵守など
③入札契約事務コンプライアンス研修の実施
実務者、所属長、区役所課長級及び係長級、課長級など階層別に実施
(2)不正の端緒の早期把握と迅速な対応
「談合情報等対応マニュアル」に基づく不自然な入札の調査分析、監視委での審議など
(3)不正が起きにくい入札制度の構築
入札契約制度やコンプライアンスに関する監視委への意見具申、電子入札における無作為係数の導入など(4)(4)その他
大阪市における不正・不適正事案の再検証、政令市・国・大阪府などの先進的取組み事例の研究、定期的な人事異動の実施など

3.大阪市官製談合・贈収賄、元職員に実刑判決(2020年2月21日)

このような、「入札契約事務コンプライアンス・アクションプラン」の実施中に、少なくとも2014年から2018年にこのプラン作成の重要メンバー部局である建設局で職員が入札情報を漏らししかもその見返りに現金を数百万円受け取っていたことが裁判で明らかにされた。

「大阪市発注の公共工事の入札をめぐる官製談合・贈収賄事件で、加重収賄罪などに問われた元市建設局職員の判決公判が大阪地裁で開かれ、裁判長は懲役2年6月、追徴金約500万円、自動車1台の没収(求刑懲役4年など)を言い渡した。約4年間にわたり入札情報を業者に漏らし、現金などの見返りを受け取って公務の公正や社会の信頼を大きく損なったとした。40代の大阪市職員は平成26年12月~30年9月に開札された市発注工事で、電気工事会社に工事費などの情報を提供して謝礼として飲食接待のほか、現金計435万円や自動車(販売価格約400万円相当)を受け取るなどした。」(産経新聞等より一部引用)

4.大阪市のコンプライアンスはどうなっているのか。

(1)なぜ不祥事が発覚しなかったのか。

見てみないふりをしないこと。本当に誰も気が付かなかったのか。ハインリッヒ法則はどうか。ホットラインは機能していたのか。

(2)コンプライアンス研修はどうやっていたのか

私が嘗て阿倍野研修センターでやったときもそうであるが、「寝ている」課長がまだいるのか。残念な大阪市は厳しい講師を敬遠する。「寝ている」ときは必ず指摘する講師を呼ばなくなる。

(私は自らも全日本高校選抜選手で、そのあとはコーチで徹底的にスポーツをやっていたからよくわかるのだが、「欠点を指摘して素直に聞かない」チームは絶対に勝てない。選手も成長しない。)

(3)リスクマネジメントの実践はあったのか

4年間も分からなかったということが本当とすれば、リスクマネジメントは全く機能していないと考えられる。内部統制の先進的な自治体で管理職Mさんは総務省の会議に参加しているのでないか。

(4)公務員倫理はどうなっているのか

公務員倫理の基本を繰り返しやることができていなかったのでないか。

また、国家公務員倫理法・国家公務員倫理規程のような業者との接触ルールは実践されていたのか。

さらに、定期的な人事異動の実施もプランにあったようだが、外部の利害関係者と接点を持ちやすい職場で、長期在籍職員の積極的な異動が本当にできていたのか。八尾市のように、議会への報告は嘘偽りなくなされていたのか。

以上要するに、細かいルールを作っても基本が最も大事で、地方公務員法32条の条文だけでもしっかりと身に着けさせること。あれこれプランを作っても無意味だ。

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