生食肉による食中毒を防ぐ食品産業のコンプライアンス遵守

1.生食用食肉と新法令規制による法令遵守

(1)衝撃的な調査結果

「焼肉酒家えびす」事件(平成23年ユッケ集団食中毒事件)で5名の死者がでた不祥事をまた繰り返すのかと思わざるを得ない、調査結果で、生食用牛肉規格基準9割以上が法令違反であった。

◆厚生労働省の発表した「生食用食肉を取り扱う施設に対する監視結果」について

厚生労働省医薬食品局食品安全部発表

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000219fy.html

この結果は、かなりの驚きでなかろうか。

率直に言って、こんなに食を扱うものがルールを守らずにいて不祥事はまた発生しないのか。

そして、ここまで国や県の指導がゆるくていいのか。

「焼肉酒家えびす」事件では、何人の命が失われたのか。これでは死んだ者はうかばれない。

(2)コンプライアンス遵守をもっと国(及び都道府県)も真面目に指導を

事業者だけでなく、行政もマスコミが追求しないと、また大きな食品事故が起きるまでナアナアでやるのか。

殊に、生食用食肉(牛肉)を取り扱っている施設は、445施設あり、規格基準に適合している施設は、たったの27施設(6.1%)であり、飲食店や食肉販売業が悪い。

消費者の口に近いところの事業者は、比較的零細な方々が多く、新基準ではコストがかかりすぎで、専用の設備や加熱処理の手間によって採算取れないということのようであろうか。

しかし、もう一度、「焼肉酒家えびす」事件で6歳の子供2人を含めた5人が亡くなったことを考えてほしい。

コンプライアンスの要請で、コストがこれまで以上にかかるといってもこれは時代の要請であろう。

地元の京都市でも不適合の事業者に中止命令を出している。

命の尊さを考えれ当たり前でなかろうか。

(3)国の都道府県等に対する要請

事業者の方への一層の周知活動が大事で、その気になるような講習会などの提供も求めている。

そして、食は「表示」と切っても切れない関係にある。

それを信頼して消費者は買っているのであるから。

不適正な表示と今回の生肉の不衛生からは、幼い子たちがやられやすいことを肝に銘ずべきでなかろうか。

2.牛の生食による悲劇を繰り返さないためにコンプライアンス徹底を

(1)飲食店等で提供・販売する場合は、次のような注意喚起を

①「一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがある旨」

②「子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い者は食肉の生食を控えるべき旨」

③また、容器包装に入れて販売する場合は、これに加えて生食用である旨を明記し、解体や加工が行われた都道府県名とと畜場や加工施設の名称を表示する。

(2)法的観点から見た今回の改定

消費者庁による食品衛生法第19条第1項の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令(平成23年内閣府令第45号)改正は、告示の形である。

法的には「告示」は、権利義務にかかわる「法規」の性質をもつものとそうでないもがあるが、当然ここでは前者である。

ここで決められた基準は、食品衛生法の内容をなすのであるから、違反すれば同法違反になる。

(3)食品衛生法の参照条文

【食品衛生法】
第十八条 厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供し、若しくは営業上使用する器具若しくは容器包装若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができる。
○2 前項の規定により規格又は基準が定められたときは、その規格に合わない器具若しくは容器包装を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、若しくは営業上使用し、その規格に合わない原材料を使用し、又はその基準に合わない方法により器具若しくは容器包装を製造してはならない。

第十九条 内閣総理大臣は、一般消費者に対する器具又は容器包装に関する公衆衛生上必要な情報の正確な伝達の見地から、消費者委員会の意見を聴いて、前条第一項の規定により規格又は基準が定められた器具又は容器包装に関する表示につき、必要な基準を定めることができる。
○2 前項の規定により表示につき基準が定められた器具又は容器包装は、その基準に合う表示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。
○3 販売の用に供する食品及び添加物に関する表示の基準については、食品表示法(平成二十五年法律第七十号)で定めるところによる。

第七十二条 第十一条第二項(第六十二条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三項、第十六条(第六十二条第一項及び第三項において準用する場合を含む。)、第十九条第二項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)、第二十条(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)又は第五十二条第一項(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
○2 前項の罪を犯した者には、情状により懲役及び罰金を併科することができる。

⇒2年以下の懲役は重い。

悪質であれば、逮捕され、実刑になろう。過去に、食品衛生法違反で逮捕されたものがある。

3.生食用食肉の取扱いマニュアル(第2版)を厚生労働省が公開

生食用食肉の取扱いマニュアル(第2版)

生食用食肉の規格基準、表示基準が定められたこと等を受けて、生食用食肉を取扱う外食産業、食肉流通業等における衛生管理上の確認事項、手順及びチェック方法等を分かりやすく解説した「生食用食肉の取扱いマニュアル(第2版)」を作成しました。

加工・調理の現場で積極的にご活用いただき、食中毒の予防に努めていただくようお願いいたします。

http://www.maff.go.jp/j/study/gaisyoku/nama_syoku/01.html

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