建設業法の解説、今回は第10条(登録免許税及び許可手数料)を取り上げる。この条文は、国土交通大臣の建設業許可を受ける際に必要となる費用、具体的には登録免許税または許可手数料の支払いについて定めている。許可申請の実務において、費用の区分を正しく理解することは必須である。


第10条の条文とその趣旨

まず、条文を確認する。

(登録免許税及び許可手数料) 第十条 国土交通大臣の許可を受けようとする者は、次に掲げる区分により、登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)で定める登録免許税又は政令で定める許可手数料を納めなければならない。 一 許可を受けようとする者であつて、次号に掲げる者以外のものについては、登録免許税 二 第三条第三項の許可の更新を受けようとする者及び既に他の建設業について国土交通大臣の許可を受けている者については、許可手数料

この条文の趣旨は、建設業許可の申請者が、その申請の態様に応じて、国に納めるべき費用(税または手数料)を明確に定めることにある。許可行政の財源を確保しつつ、申請者がどの費用を負担すべきかを定めている。


費用負担の区分:登録免許税と許可手数料

第10条は、許可申請の区分に応じて、納めるべき費用を二つに分けて規定している。

1. 登録免許税を納める者(第10条第1号)

第10条第1号は、「次号に掲げる者以外のもの」が国土交通大臣の許可を受けようとする場合に、登録免許税を納めることを定めている。

これは、具体的には新規に大臣許可を取得しようとする申請者を指す。例えば、これまで知事許可のみを受けていた業者が、新たに二つ以上の都道府県に営業所を設けて大臣許可に切り替える場合や、まったく建設業許可を持っていなかった者が大臣許可を新規申請する場合などである。

登録免許税の額は、登録免許税法によって定められており、建設業許可の場合、新規許可は15万円(令和4年時点)である。これは税金であるため、許可が下りない場合でも原則として還付されない。

2. 許可手数料を納める者(第10条第2号)

第10条第2号は、以下の二種類の申請者について、許可手数料を納めることを定めている。

  • 第三条第三項の許可の更新を受けようとする者: これは、5年ごとの許可の有効期間が満了し、その更新を申請する者である。許可の更新は、新規許可ほどの審査負担を伴わないため、登録免許税ではなく、より低い金額の許可手数料が適用される。
  • 既に他の建設業について国土交通大臣の許可を受けている者: これは、業種追加(現在持っている大臣許可に加え、別の業種の許可を新たに追加申請する)を行う者である。既に大臣許可を保有している者に対する追加許可であるため、これも新規許可とは区別され、許可手数料が適用される。

許可手数料の額は、**政令(建設業法施行令)**で定められており、更新や業種追加の際の手数料は、登録免許税よりも低い金額が設定されている。具体的な金額は、許可の区分によって異なり、審査事務にかかる実費を勘案して定められている。


許可行政庁による費用の違い

なお、本条は国土交通大臣の許可について規定しているが、都道府県知事の許可の場合、費用負担の根拠法が異なる。

  • 国土交通大臣許可登録免許税法に基づく登録免許税または政令に基づく許可手数料
  • 都道府県知事許可都道府県の条例に基づく手数料

知事許可の場合は、新規、更新、業種追加のいずれも「手数料」を納めることになり、その金額は各都道府県の条例によって定められている。



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