研修・講演講師のご依頼について

理論、実務及び人生経験の3拍子揃ったレクチャー

(1)理論

 コンプライアンスの理論、ガバナンスの理論、内部統制の理論、そしてリスクマネジメントの理論も、この10年ほどで本当に進化した。平成10年頃に会社法の改正案が出たころと今では随分と様相が違ってきている。1992年COSOレポートが日本社会に浸透し始めて、大蔵省(2001年1月7日からは財務省と金融庁)が銀行への行政指導にコンプライアンスを使い始めた当時と隔世の感がある。

 また、COSOそのものも進化した。ERMに至っては、もうCUBEでなくてDNA類似モデルになっている(2017年バージョン)。リスクマネジメントに関するISO31000も2018年バージョンの時代だ。

 このような進化した理論を、組織に実装しない企業はもうはや国際競争では後塵を拝することになっている。金融庁は2023年度からはコーポレートガバナンスも実質化の時代に入ると言っている。

 コーポレートガバナンス・コードも欧米に追い付け追い越せとばかりに、社外取締役は当たり前のこと、多種のステークホルダーとの会話を求め、特に所謂「物言う株主」と向かい合って対話せよと言っている。かっての総会屋時代と全く逆のことを言い始めているのだ。

 その社会情勢の変化にインスパイアされて焦り始めていた総務省が、何度も会社法等の改正後に地方公共団体に内部統制・コンプライアンス・リスクマネジメントを導入しようとして平成合併後の課題として、地方制度調査会、審議会等で東大のトップ行政法の学者(碓井 光明、小早川光郎等)にリードさせて、地方公共団体内部統制レポートが出た。碓井教授のものがもっとも総合的で優れている。『内部統制による地方公共団体の組織マネジメント改革~信頼される地方公共団体を目指して~平成21 年3月 地方公共団体における内部統制のあり方に関する研究会』である。そこから、一部の先進的地方公共団体(例えば兵庫県播磨地区)の内部統制導入が始まった。

 COSO理論を踏まえて、大蔵省の審議会で「日本版COSO」も公表され、そこへCOSOの中核であるリスクマネジメントに関するISO31000理論が加わって、一気に地方公共団体における内部統制、その目的であるコンプライアンス、その実質化であるリスクマネジメント、その根底である公務員倫理と理論が出来上がり、そこへさらに現代コンプライアンス理論が登場して、所謂リスク系理論が深まったのであり、代表はそれらを母校大学院で深くこもって研究して、かみ砕いて研修や講演で話すようになったのである。最近は、NTTドコモ本社役員研修でも都道府県管理職研修でも、他の地方公共団体等研修でも感想は「新鮮である」が多数である。最前線の理論だから。

(2)実務

なるほど、上場企業では組織のガバナンスについてはコーポレートガバナンス・コード対象企業が3,868社(2023年2月1日現在)で、会社全体のわずか0.1%弱である。金融商品取引法の対象は上場企業であるから、それらはその規定の内部統制の適用がある。しかし、株式会社であれば、会社法の適用があるわけで、会社法にはガバナンスの仕組み、内部統制の仕組み、コンプライアンスの遵守、リスクマネジメント等の規定がある。

そうすると、如何なる会社の規模であっても、上記の理論をどのように組織に当てはめていくかの議論は必要になろう。実際、最近の企業からの依頼は小さくも前向きな企業からコンプライアンス研修の依頼が増えてきている。

これは、上記の地方公共団体の法改正の動きと連動している。ついに、自治体実務でも地方自治法150条で、二段階制内部統制が導入されたのだ。小早川案である。47都道府県と20指定都市は義務的、その他の約1700地方公共団体は努力義務として、内部統制を第9章財務優先でやることになった。

しかし、肝要なのは、名古屋市や静岡市での内部統制導入効果を見ればわかる通り、ミスや不祥事がどれだか減ってきたかの実証的立場であろう。減っているのか。監査委員の指摘はどうなのか。議会の質疑応答ではどうなのかであろう。何よりも、住民が助かっているかである、内部統制導入で。

(3)人生経験

組織はいくらAI等のツールが進歩しても人が動かすことには変わりない。人と人との関係は倫理である。如何なる秩序で組織を作っていくかは如何なる人間関係で作っていくかと同義である。ピラミッド式であろうとフラットな組織であろうと関係がない。上に立つ、下で使われる、支配する、支配される、協働する、連携する、対立する等。それらの人生経験がコンプライアンス等のような人間に深くかかわる場面ではとても大切である。それが指導するものにあるかどうかが決定的である。公式ページ等で経歴を参照されたい。

事例を豊富に取り入れた考える実践的研修

理論を出来るだけわかりやすくしかも短い言葉で伝え地方公共団体不祥事の事例を研修対象組織にフィットした内容で取り上げて研修する。これまでの、数多くの研修ではこれが最も効果的である。ただ研修を高満足度にするためにゲーム理論や演出に拘ることはない。低俗な満足ではなく、高い実践的に役だった満足をこれまでもこれからも当職は目指している。

 下記は、拙著である『公務員の教科書「道徳編」』(ぎょうせい)は出版戦略から名前はシリーズものになっているが、地方公共団体のコンプライアンスの基本的著書である。実際に大きな不祥事が発生した団体等でコンプライアンス委員会の指定図書や推薦図書になっているので参照されたい。

主な研修・講演内容

地方公共団体コンプライアンス研修

コンプライアンスが現代社会において、組織体の基本であることはどんなに新しい理論が出てきても変わらないであろう。地方公共団体の運営において、いかなる場合もルールを守る。公務員倫理に基づいて行動する。さらに法令遵守、公務員倫理を守るだけではなく、地方公共団体の活動がいかなる影響を社会に与えるかを考えて行動する。今日では、これをコンダクト・リスク管理と言う。公務員は職業倫理の基礎にあるintegrityの涵養に努める。他の地方公共団体不祥事を他山の石として学ぶ事等が最重要である。 ⇒詳しくはこちら

リスクマネジメント研修

災害リスクマネジメントと不祥事やミス防止リスクマネジメントに今日では分かれる。災害リスクは、4つの大きなプレート上で環太平洋造山帯にある日本列島に、地球規模の気候変動時期に入り、災害リスクが地方公共団体の運営に大きな影響を与えており重要性が高まっている。新型インフルエンザへの対応もこれに含まれる。また、少子高齢化の中での行政需要はこれまでにない変化と多様性や複雑性が出てきており、地方公共団体活動にミスや不祥事の防止ため仕組みづくりのリスクマネジメントが強く求められている。総務省の内部統制に関するガイドラインもこの種のリスクマネジメントが中心となっている。諸外国の地方公共団体、例えば、ブリティッシュコロンビア州で全面採用したISO31000(2018年バージョン)の各地方公共団体への適応も重要性が高まっている。この両者の地方公共団体リスクマネジメントのいずれも研修経験が豊富で熱心に取り組んできた実績がある中川総合法務オフィスは稀有であろう。

公務員倫理研修

コンプライアンス目標達成のためには、リスク管理と並んで「職業倫理」の何たるかを知って、個々人の職業倫理が地方公務員法や各自治体内規等で定められた公務員倫理と完全に一致していることが不可欠である。言っていることとやっていることが違うことは何時か表面化する。正しい心がそのままに地方公務員の職務執行に現れる人間作りを地方公共団体はする必要がある。自治体組織におけるHR(human resource)形成が求められている。個々の職員が公務員倫理そのものを担当職務において何の躊躇いもなく実行できる人間形成である。ステークホルダーに強い信頼を得ることが必要であるコンプライアンス経営のもとでは組織の信頼は勿論、個々の職員が信頼される高い職業倫理は、格段と重要性が高まってきていると言っていいであろう。倫理とは何か、道徳とは何かを個々人が日々自分の心に問う事、正しい公務員倫理がどうすれば現に担当している「職」の執行場面で徹底されるかを日々考える事などが不可欠である。

ハラスメント・個人情報保護法・クレーム対応等の研修

1.ハラスメント
 ハラスメントは、従来はセクシュアルハラスメント(男女雇用機会均等法)が主で、その他のハラスメントもあるといった社会的認識であったが、今日では優越的言動問題として所謂「パワーハラスメント」が立法化(労働施策総合推進法)され、さらには、育児介護法等で、マタハラ等としてハラスメントが取り上げられるようになり、ひどいいじめ嫌がらせ暴力と言った労災認定の用語も個々のハラスメントの集合体としてあげられる。パワハラもマタハラも地方公務員法29条第1項第2号違反から同第1号違反、つまり一般的な公務員倫理違反の時代からより明確な法令違反に時代に入ったことが明らかで、各種統計もそれを反映していることは周知のとおりである。

2.個人情報保護法
 平成15年の個人情報保護法の制定から約20年経過し、平成27年のかなり大きな改正を経て、令和2年・令和3年改正で、国の行政機関や地方公共団体も含めたデジタル対応の一本化がなされた。しかし、様々な個人情報を管理する主体組織もまた当然ながら様々である。個人情報保護委員会がそのすべてを監視できるわけがない。引き続き、個人情報の管理には地方公共団体での組織的な取り組み等、コンプライアンスやリスクマネジメントの実践が不可欠である。現場の原課においては、公開対象になっている「個人情報ファイル簿」の作成管理が重要で条例要配慮個人情報も個人情報保護法施行条例で定めれば、記載が求められ、個々の職員においてもこれまで以上に個人情報に関する深い理解が不可欠になってきている。

3.クレーム対応
 小売店を中心に国に立法化を促す動き活発になるなど、商品やサービスにクレーム(難くせ等)を言う者が増えてきた。反社会的勢力によるものは脅迫罪や恐喝罪等の刑法犯になるがそこまでいかないレベルで、コンプライアンス経営でどうするべきかが問われる時代である。地方公共団体でも就活の場面でこの住民等へのクレーム対応が都道府県よりも市町村が厳しいから敬遠する向きも少なからずあると仄聞する。実際、地方公共団体での特に市町村での激しいクレームは当職も原戸籍取得などで時間がかかって窓口滞在が長くなると現場で視認する。何といっても、現場でのクレームが多いから会計年度任用職員等も最初の対応に当たることが多く、ハードクレーマーも含めて組織的に対応すべきである。クレーム対応は初期対応が最も重要だから。
 

内部統制の管理職・監査委員研修

令和2年4月1日に内部統制が地方公共団体に導入されてすでに3巡目、4巡目に入っている。評価報告書も、2件目が完成し公表され、また議会提出の上で住民にも公表される。
47都道府県と20指定都市は、地方自治法150条で義務的だが、堺市の監査委員の評価報告書への意見にもあるように、対象は財務のみのところから網羅的な地方公共団体事務迄様々であるが、財務のみでは物足りなさを感じることが多い。「財務」が対象、「財務と情報管理」が対象等と言っても、殆どの住民は全体としてかなりのコストをかけてやっていて、何のミスが減っているのか、何の不祥事が減っているのか、何の法令違反がなくなっているのかという効果を感じているのかどうか。コンプライアンスの本質は、究極的には住民目線にある。現場でのリスク管理ができていることをハッキリ示すメリハリの利いたコストベネフィットが明瞭な報告書が最も今期待される。そのためには、3つのデフェンスライン等の最新のリスクマネジメントセオリーと心理的安全性のある職場の構築などが不可欠で、分かり易い内部統制・コンプライアンス態勢を地方公共団体は構築する必要があろう。この仕組みの最大の狙いは、現場のリスクオーナーのリーダーシップ力量向上であることは、大阪の現場改善例を見れば明らかで、中核市等の先進例も含めそこに集中する必要がある。なお、ガバナンスにも触れるが、主として立法論になる。

その他の地方公共団体研修・講演受任

 例えば、いずれも実績のある地方自治法研修、地方公務員法研修、行政不服審査法研修、業務改善研修等(「実績紹介」参照)

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