はじめに

建設業法における登録講習実施機関制度は、技術検定の実務経験を得るための講習を適正に実施させることを目的とした重要な制度である。本稿で解説する第26条の14から第23条は、登録を受けた講習実施機関に対する運営上の義務や、国土交通大臣による監督権限、さらには国による講習の代行制度など、制度の実効性を担保するための規定群である。

これらの規定は、講習の質を確保し、受講者である建設業者の利益を保護するとともに、公正な競争環境を維持する役割を果たしている。

第26条の14:財務諸表等の備付け及び閲覧等

条文の趣旨

本条は、登録講習実施機関に対し財務諸表等の作成・備付義務を課すとともに、建設業者等の利害関係人に閲覧請求権を付与する規定である。登録講習実施機関の財務状況を透明化することで、講習業務の継続性や健全性を確保し、受講者が安心して講習を受けられる環境を整備することを目的としている。

財務諸表等の作成・備付義務(第1項)

登録講習実施機関は、毎事業年度経過後3か月以内に、以下の書類を作成し、5年間事務所に備え置かなければならない。

対象書類

  • 財産目録
  • 貸借対照表
  • 損益計算書または収支計算書
  • 事業報告書

これらの書類は、書面による作成のほか、電磁的記録による作成も認められている。電磁的記録とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識できない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものを指す。

実務上の留意点

作成期限は事業年度終了後3か月以内であり、例えば3月決算の法人であれば6月末までに作成しなければならない。保存期間は5年間であり、古い年度の書類であっても期間内は廃棄できない。

会社法上の株式会社である場合、会社法の規定に基づく計算書類の作成義務も別途存在するため、両方の要請を満たす形で書類を整備する必要がある。

利害関係人の閲覧請求権(第2項)

建設業者その他の利害関係人は、登録講習実施機関の業務時間内であれば、いつでも以下の請求ができる。

書面で作成されている場合

  1. 財務諸表等の閲覧または謄写(無料)
  2. 謄本または抄本の交付(有料)

電磁的記録で作成されている場合 3. 国土交通省令で定める方法により表示したものの閲覧または謄写(無料) 4. 電子情報処理組織を使用する方法等による提供、または書面交付の請求(有料)

「利害関係人」には、講習の受講を検討している建設業者、既に講習を受けた者、講習実施機関と取引関係にある事業者など、広く該当すると解される。

実務上の留意点

閲覧請求を正当な理由なく拒否すれば、第26条の17第3号により登録取消しや業務停止の対象となる。したがって、閲覧請求への対応体制を整備しておくことが重要である。

有料請求については、登録講習実施機関が合理的な範囲で費用を定めることができるが、過度に高額な設定は請求権を実質的に制限することになるため、実費相当額にとどめるべきである。

第26条の15:適合命令

条文の趣旨

本条は、講習の内容が登録基準に適合しなくなった場合に、国土交通大臣が登録講習実施機関に対して是正を命じる権限を定めた規定である。講習の質を維持し、受講者の利益を保護することを目的としている。

適合命令の要件

国土交通大臣は、講習が第26条の8第1項の規定(登録基準)に適合しなくなったと認めるときに、適合命令を発することができる。

第26条の8第1項の登録基準には、以下の事項が含まれる。

  • 講習が国土交通省令で定める基準に適合すること
  • 講習を実施するために必要な施設及び設備を有すること
  • 講習の実施に関する業務を適正かつ確実に実施できる知識及び能力を有する講師を有すること
  • 講習の実施に関する業務を適正かつ確実に実施するために必要な経理的基礎を有すること

具体的な適合命令の事例

  1. 講師の資格要件を満たさない者が講習を実施していた場合
  2. 施設・設備が基準を下回った場合(老朽化、災害による損壊等)
  3. 財務状況の悪化により講習の継続実施が困難となった場合

命令違反の効果

適合命令に違反した場合、第26条の17第4号により登録取消しや講習の停止命令の対象となる。

実務上の留意点

適合命令は行政処分であり、発令前には聴聞の機会が与えられる。登録講習実施機関としては、登録基準への適合性を常時自己点検し、問題が生じた場合には速やかに是正措置を講じることが重要である。

国土交通省の実務においては、直ちに適合命令を発するのではなく、まず行政指導により自主的な改善を促すことが一般的である。

第26条の16:改善命令

条文の趣旨

本条は、登録講習実施機関が講習業務の実施方法に関する義務に違反している場合に、国土交通大臣が改善を命じる権限を定めた規定である。適合命令が講習の「内容」に関する命令であるのに対し、改善命令は講習の「方法」に関する命令である点に特徴がある。

改善命令の要件と内容

国土交通大臣は、登録講習実施機関が第26条の10の規定に違反していると認めるときに、以下を命じることができる。

  • 同条の規定による講習を行うべきこと
  • 講習の方法その他の業務の方法の改善に関し必要な措置をとるべきこと

第26条の10は、登録講習実施機関の講習業務実施義務を定めた規定であり、具体的には以下の義務が含まれる。

  • 国土交通省令で定める基準に適合する方法により講習を実施すること
  • 講習の業務を特定の者に対して不当に差別的な取扱いをしてはならないこと
  • 講習の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこと

具体的な改善命令の事例

  1. 講習時間を省略するなど、定められた方法によらない講習を実施していた場合
  2. 特定の建設業者にのみ有利な条件で講習を実施するなど、差別的取扱いを行った場合
  3. 講習カリキュラムの一部を実施していなかった場合
  4. 受講者の個人情報を不適切に取り扱った場合

命令違反の効果

改善命令に違反した場合、第26条の17第4号により登録取消しや講習の停止命令の対象となる。

実務上の留意点

改善命令は適合命令と異なり、講習の実施方法の改善を求めるものである。登録講習実施機関は、講習の質を確保するため、定められた基準に従った運営を徹底する必要がある。

実際に、無人航空機の登録講習機関に対しては、国土交通省から厳重注意がなされた事例も存在する Impress。建設業法の登録講習実施機関においても、同様の監督が行われる可能性がある。

第26条の17:登録の取消し等

条文の趣旨

本条は、登録講習実施機関が一定の事由に該当する場合に、国土交通大臣が登録を取り消し、または講習の全部もしくは一部の停止を命じる権限を定めた規定である。講習制度の信頼性を維持し、不適切な運営を行う機関を排除することを目的としている。

登録取消し等の事由

国土交通大臣は、登録講習実施機関が以下のいずれかに該当するときに、登録取消しまたは期間を定めた講習の停止を命じることができる。

1. 欠格事由への該当(第1号)

第26条の7第1号(心身の故障により講習の業務を適正に実施できない者)または第3号(講習の業務に関し不正な行為をした者で、その後2年を経過しないもの)に該当するに至ったとき。

2. 各種義務規定違反(第2号)

以下の規定に違反したとき。

  • 第26条の11(登録事項の変更届出義務)
  • 第26条の12(役員変更の届出義務)
  • 第26条の13(業務の休廃止届出義務)
  • 第26条の14第1項(財務諸表等の備付義務)
  • 第26条の18(帳簿記載義務)

3. 閲覧請求の拒否(第3号)

正当な理由なく第26条の14第2項各号の請求(財務諸表等の閲覧請求等)を拒んだとき。

4. 適合命令・改善命令違反(第4号)

第26条の15(適合命令)または第26条の16(改善命令)の規定による命令に違反したとき。

5. 不正登録(第5号)

不正の手段により第26条第5項の登録を受けたとき。

処分の選択

本条は「取り消し、又は期間を定めて講習の全部若しくは一部の停止を命ずることができる」と規定しており、国土交通大臣に裁量が認められている。

違反の程度や悪質性、受講者への影響等を考慮して、登録取消しか業務停止かが判断される。一般に、是正の見込みがない場合や重大な違反の場合には登録取消し、改善の余地がある場合には業務停止が選択されると考えられる。

実務上の留意点

登録取消しや業務停止命令は、登録講習実施機関の事業継続に重大な影響を与える処分である。登録講習実施機関は、法令遵守体制を整備し、定期的な内部監査等により違反の未然防止に努める必要がある。

処分を受けた場合、第26条の23第4号により官報に公示されるため、社会的信用の失墜も避けられない。

第26条の18:帳簿の記載

条文の趣旨

本条は、登録講習実施機関に対し、講習業務に関する帳簿の備付け・記載・保存義務を課す規定である。講習業務の実施状況を記録として残すことで、適正な業務運営を確保するとともに、国土交通大臣による監督を実効的なものとすることを目的としている。

帳簿記載義務の内容

登録講習実施機関は、国土交通省令で定めるところにより、以下を実施しなければならない。

  • 帳簿を備えること
  • 講習に関し国土交通省令で定める事項を記載すること
  • これを保存すること

具体的な記載事項や保存期間は国土交通省令で定められることになるが、一般的には以下のような事項が想定される。

  • 受講者の氏名、受講日時
  • 講習内容、使用教材
  • 講師名
  • 修了証の交付状況
  • 講習料金の収受状況

帳簿記載義務違反の効果

本条の規定に違反した場合、第26条の17第2号により登録取消しや講習の停止命令の対象となる。

実務上の留意点

帳簿は講習業務の実施状況を証明する重要な資料である。国土交通大臣による報告徴収や立入検査の際には、帳簿の提示・確認が行われることが想定される。

電子帳簿による管理も認められると考えられるが、その場合でも改ざん防止措置や バックアップ体制の整備が求められる。

帳簿の記載は形式的な義務ではなく、講習業務の透明性・適正性を確保するための実質的な義務である。正確かつ詳細な記載を心がける必要がある。

第26条の19:国土交通大臣による講習の実施

条文の趣旨

本条は、一定の場合に国土交通大臣が自ら講習を実施できることを定めた規定である。民間の登録講習実施機関による講習が実施できない事態が生じた場合でも、受講機会を確保し、制度の安定的運用を図ることを目的としている。

国による講習実施の要件(第1項)

国土交通大臣は、以下のいずれかに該当するときに、講習の全部または一部を自ら行うことができる。

1. 講習を行う者がいないとき

すべての登録講習実施機関が業務を廃止するなどして、講習を実施する機関が存在しなくなった場合が該当する。

2. 講習の休廃止届出があったとき

第26条の13の規定により登録講習実施機関から講習の全部または一部の休止・廃止の届出があったとき。

3. 登録取消し・業務停止命令があったとき

第26条の17の規定により登録を取り消し、または講習の全部もしくは一部の停止を命じたとき。

4. 天災等により講習実施が困難となったとき

登録講習実施機関が天災その他の事由により講習の全部または一部を実施することが困難となったとき。地震、水害等の自然災害のほか、感染症の流行等も該当し得る。

5. その他必要があると認めるとき

上記以外でも、国土交通大臣が必要と認める場合には講習を実施できる。これは補充的な規定であり、個別具体的な事情に応じた柔軟な対応を可能にするものである。

講習の引継ぎ等(第2項)

国土交通大臣が自ら講習を行う場合における講習の引継ぎその他の必要な事項は、国土交通省令で定められる。

具体的には、既に受講中の者の扱い、受講料の取扱い、修了証の交付方法などが省令で規定されることになる。

実務上の留意点

本条は、民間の登録講習実施機関による講習が原則であることを前提としつつ、万一の場合のセーフティネットとして国による直接実施を認めるものである。

実際に国が講習を実施する事態は例外的であると考えられるが、登録講習実施機関が少ない地域や、特定の講習について実施機関が限られている場合には、現実的な意義を持つ規定である。

国土交通大臣が講習を自ら行うこととするとき、または自ら行っていた講習を行わないこととするときは、第26条の23第5号により官報に公示される。

第26条の20:手数料

条文の趣旨

本条は、国土交通大臣が自ら実施する講習を受講しようとする者に対し、手数料の納付義務を課す規定である。講習実施に要する費用を受講者に負担させることで、国の財政負担を軽減することを目的としている。

手数料の額と納付

前条第1項の規定により国土交通大臣が行う講習を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納めなければならない。

手数料の額は「実費を勘案して」定められるため、講習の実施に実際に要する費用(講師の人件費、会場費、教材費等)を基準として算定される。

手数料は「政令で定める額」とされており、具体的な金額は建設業法施行令において規定される。

実務上の留意点

民間の登録講習実施機関が実施する講習の受講料は、各機関が自由に設定できる。これに対し、国が実施する講習の手数料は政令で一律に定められることになる。

手数料の納付方法(納付書による納付、電子納付等)は、国土交通省令で定められると考えられる。

国が講習を実施する場合であっても、講習の内容や修了証の効力は、登録講習実施機関が実施する場合と同一である。

第26条の21:報告の徴収

条文の趣旨

本条は、国土交通大臣が登録講習実施機関に対し、業務または経理の状況に関する報告を求める権限を定めた規定である。講習業務の適正な実施を確保するため、必要に応じて情報収集を行うことを目的としている。

報告徴収権限の内容

国土交通大臣は、講習の業務の適正な実施を確保するために必要な限度において、登録講習実施機関に対し、その業務または経理の状況に関し報告をさせることができる。

「必要な限度」の意味

報告徴収は、講習業務の適正性を確保するために必要な範囲に限定される。登録講習実施機関の業務全般について無制限に報告を求められるわけではなく、講習業務に関連する事項に限られる。

報告事項の例

  • 講習の実施状況(実施回数、受講者数等)
  • 講師の配置状況
  • 施設・設備の維持管理状況
  • 講習料金の収支状況
  • 受講者からの苦情・トラブルの発生状況

報告徴収と他の監督手段との関係

報告徴収は、適合命令や改善命令を発する前段階として、事実関係を把握するために活用されることが多い。また、定期的な報告を求めることで、問題の早期発見・早期対応を図ることも可能である。

実務上の留意点

報告徴収に対して虚偽の報告をした場合や報告を怠った場合、罰則の対象となる可能性がある。登録講習実施機関は、正確かつ速やかに報告を行う体制を整備する必要がある。

報告徴収は行政指導ではなく行政調査であり、登録講習実施機関には報告義務が生じる。ただし、報告徴収はあくまで「必要な限度」に限られるため、過度に詳細な報告や、講習業務と無関係な事項についての報告を求められた場合には、その必要性について説明を求めることも可能である。

第26条の22:立入検査

条文の趣旨

本条は、国土交通大臣がその職員に登録講習実施機関の事務所への立入検査を行わせる権限を定めた規定である。報告徴収だけでは十分な情報が得られない場合や、書類等の現物確認が必要な場合に、実地での調査を可能とすることを目的としている。

立入検査権限の内容(第1項)

国土交通大臣は、講習の業務の適正な実施を確保するために必要な限度において、その職員に以下を行わせることができる。

  • 登録講習実施機関の事務所に立ち入ること
  • 業務の状況を検査すること
  • 帳簿、書類その他の物件を検査すること

「必要な限度」の意味

立入検査も報告徴収と同様、講習業務の適正性を確保するために必要な範囲に限定される。プライバシーや営業の自由への配慮から、必要最小限の範囲で実施されるべきである。

検査対象の例

  • 講習実施場所の施設・設備
  • 講習用教材・機材
  • 受講者名簿、講師名簿
  • 財務諸表、会計帳簿
  • 受講申込書、修了証交付台帳

身分証明書の携帯・提示義務(第2項)

立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

これは、立入検査が登録講習実施機関の権利を制約する行為であることから、検査権限の正当性を担保し、権限の濫用を防止するための規定である。

犯罪捜査との峻別(第3項)

第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

立入検査はあくまで行政目的(講習業務の適正化)のための権限であり、刑事事件の証拠収集を目的とする犯罪捜査とは明確に区別される。

実務上の留意点

立入検査は事前通告なしに実施される場合もあるため、登録講習実施機関は常に法令遵守の状態を維持しておく必要がある。

立入検査を拒否したり、妨害したり、忌避したりした場合には、罰則の対象となる可能性がある。検査には誠実に対応し、求められた書類等は速やかに提示すべきである。

検査の結果、違反事実が判明した場合には、適合命令や改善命令、さらには登録取消し等の処分につながる可能性がある。

第26条の23:公示

条文の趣旨

本条は、登録講習実施機関に関する重要な事項について、国土交通大臣が官報に公示する義務を定めた規定である。講習制度に関する情報を広く国民に周知し、制度の透明性を確保することを目的としている。

公示事項

国土交通大臣は、以下の場合に官報に公示しなければならない。

1. 登録時(第1号)

第26条第5項の登録をしたとき。

新たに登録講習実施機関が誕生したことを広く周知することで、受講希望者が講習機関を選択する際の情報提供となる。

2. 登録事項の変更届出時(第2号)

第26条の11の規定による届出があったとき。

登録講習実施機関の名称、住所、代表者等の変更があった場合に公示される。受講者が最新の情報に基づいて講習機関に連絡できるようにするための措置である。

3. 業務の休廃止届出時(第3号)

第26条の13の規定による届出があったとき。

講習業務の全部または一部が休止・廃止される場合に公示される。受講を予定していた者が他の講習機関を探す必要があるため、速やかな周知が重要である。

4. 登録取消し・業務停止命令時(第4号)

第26条の17の規定により第26条第5項の登録を取り消し、または講習の停止を命じたとき。

不適切な運営を行った講習機関に関する情報を公開することで、受講者の保護を図るとともに、他の講習機関に対する牽制効果も期待される。

5. 国による講習実施の開始・終了時(第5号)

第26条の19の規定により講習の全部もしくは一部を自ら行うこととするとき、または自ら行っていた講習の全部もしくは一部を行わないこととするとき。

国が講習を実施する場合には、受講希望者がその情報を把握できるよう公示される。

公示の方法

公示は「官報」により行われる。官報は国の機関紙であり、法令の公布や政府の重要な告示等が掲載される。現在では、インターネット版官報も提供されており、容易にアクセスできる。

実務上の留意点

公示された情報は公知の事実となり、誰でも確認できる。特に登録取消しや業務停止命令が公示された場合、当該機関の社会的信用は大きく損なわれることになる。

受講希望者は、官報の公示情報を確認することで、信頼できる講習機関を選択することができる。また、国土交通省のウェブサイトでも登録講習実施機関の一覧が公開されている Ministry of Land, Infrastructure, Transport and TourismMinistry of Land, Infrastructure, Transport and Tourismため、併せて参照することが有用である。

登録講習実施機関としては、官報に公示される事態(特に不利益な処分)を避けるため、法令遵守を徹底した運営を行うことが重要である。

制度全体の意義と課題

登録講習実施機関制度の意義

本稿で解説した第26条の14から第23条までの規定は、登録講習実施機関に対する包括的な監督体系を構築している。

財務諸表の備付・閲覧制度により、講習機関の財務的健全性が担保される。適合命令・改善命令により、講習の質が維持される。登録取消し・業務停止命令により、不適切な運営を行う機関が排除される。帳簿記載義務、報告徴収、立入検査により、実効的な監督が可能となる。国による講習の代行制度により、受講機会が確保される。官報公示により、制度の透明性が担保される。

これらの規定は相互に関連し、講習制度全体の信頼性を支えている。

実務上の課題

登録講習実施機関の運営においては、以下のような課題が存在する。

法令遵守体制の構築

多数の義務規定が存在するため、これらすべてを確実に遵守する体制を構築

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続ける

することは容易ではない。特に小規模な講習機関においては、コンプライアンス担当者の配置や内部監査体制の整備が課題となる。

財務的基盤の維持

講習業務は、受講者数の変動により収入が不安定になりやすい。経理的基礎を維持し続けることは、継続的な経営努力を要する。

講師の確保

適格な講師を安定的に確保することも重要な課題である。講師の高齢化や、専門的知識を有する人材の不足が問題となる場合がある。

受講者ニーズへの対応

受講者の利便性を高めるため、オンライン講習の導入等が求められているが、講習の質を維持しながら新しい実施方法を導入することには慎重な検討が必要である。

今後の展望

建設業を取り巻く環境は急速に変化している。技術の高度化、働き方改革、デジタル化の進展など、様々な要因が建設業に影響を与えている。

登録講習実施機関制度も、こうした変化に対応していく必要がある。講習内容の定期的な見直し、新しい講習方法の検討、監督手法の効率化など、制度の不断の改善が求められる。

同時に、登録講習実施機関自身も、単に法令を遵守するだけでなく、受講者により質の高い講習を提供するという本来の使命を常に意識し、自主的な改善努力を続けることが期待される。

おわりに

本稿では、建設業法第26条の14から第23条までの規定について、条文の趣旨、具体的内容、実務上の留意点を解説した。

これらの規定は、登録講習実施機関の適正な運営を確保するための重要な法的枠組みである。建設業に携わる者、特に講習の受講を検討している建設業者や、登録講習実施機関の運営に関わる者にとって、これらの規定を正確に理解することは不可欠である。

法令の解釈や運用については、常に最新の情報を確認するとともに、必要に応じて専門家の助言を求めることが望ましい。


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