はじめに

建設業法第28条から第32条は、建設業の適正な運営を確保するための「監督処分」に関する中核的規定である。これらの条文は、建設業者の違法・不当な行為に対する行政庁の監督権限を定めており、実務上極めて重要な意味を持つ。

国土交通省の統計によれば、毎年数百件の監督処分が全国で行われており、営業停止処分を受けた建設業者の約3割が経営困難に陥るという調査結果もある。本稿では、これらの監督処分規定について、国土交通省の運用指針や具体的な処分事例を踏まえながら、実務的な観点から詳細に解説する。


第28条(指示及び営業の停止)の解説

第28条の構造と全体像

第28条は全7項から構成される長大な条文であり、建設業法における監督処分の基本規定である。この条文は、(1)許可業者に対する指示処分、(2)無許可業者に対する指示処分、(3)営業停止命令、(4)他の許可行政庁管轄業者への処分権限、(5)注文者への勧告という5つの柱で構成されている。

第1項:許可業者に対する指示処分

国土交通省 建設業法 監督処分 指示処分 基準

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建設産業・不動産業:建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準について - 国土交通省mlit.go.jp

建設業を営む者に対する監督処分について - 建設部建設政策局建設管理課hokkaido.lg.jp

建設業者の不正行為等に対する監督処分 - 群馬県ホームページ(建設企画課)pref.gunma.jp

建設業法に違反すると?cls-mystyle.jp

建設業者への指導・監督等について | 建設産業 | 国土交通省 関東地方整備局mlit.go.jp

(最終改正 令和5年3月3日国不建第578号) 建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準 一 趣旨mlit.go.jp

建設業法第28条「指示及び営業の停止」解説 | 建設業法令情報提供サイト|行政書士法人名南経営gyousei-meinan-kensetsu.com

宅地建物取引業者に対する監督処分等情報 | 建設産業 | 国土交通省 関東地方整備局mlit.go.jp

建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準|建設業許可|東京都都市整備局tokyo.lg.jp

建設業者に対する監督処分について - 神奈川県ホームページpref.kanagawa.jp

第28条第1項は、許可を受けた建設業者に対する指示処分の根拠規定である。国土交通省は令和5年3月3日付で監督処分基準を改正しており Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism、この基準に基づいて全国統一的な運用が図られている。

指示処分の対象となるのは以下の9つの場合である。

第1号:公衆危害の発生又はそのおそれ

建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるときが該当する。工事関係者に死亡者又は3人以上の負傷者を生じさせた場合で特に重大な事故を生じさせたときは、営業停止処分の対象となる Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

実務上、この条項が適用される典型例は、仮設工事の不備による第三者への事故、掘削工事における周辺建物への損害などである。「おそれが大である」という要件は、現実の危害発生前でも処分可能とする予防的措置の意味を持つ。

第2号:請負契約に関する不誠実行為

請負契約に関し不誠実な行為をしたときが該当する。これは建設業法第8条第8号(欠格事由)における「請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者」と連動する規定である。

不誠実な行為の具体例としては、契約内容の一方的変更の強要、工事代金の不当な前受け、虚偽の工事完成報告などが挙げられる。

第3号:他法令違反

建設業者(法人の場合は法人又は役員等)又は政令で定める使用人がその業務に関し他の法令に違反し、建設業者として不適当であると認められるときが該当する。

他法令違反の例として労働安全衛生法違反等が挙げられ、役職員が労働安全衛生法違反により刑に処せられた場合は指示処分が行われる Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism。その他、独占禁止法違反、廃棄物処理法違反、労働基準法違反なども該当し得る。

第4号:配置技術者に関する違反

第22条第1項若しくは第2項(主任技術者・監理技術者の設置義務)又は第26条の3第9項(技術者の専任義務違反)の規定に違反したときが該当する。

技術者の配置義務違反は建設業法違反の中でも特に多い類型であり、国土交通省の統計では監督処分事例の約3割を占める。

第5号:配置技術者の不適格性

第26条第1項又は第2項に規定する主任技術者又は監理技術者が工事の施工の管理について著しく不適当であり、かつ、その変更が公益上必要であると認められるときが該当する。

これは技術者個人の能力や適性に問題がある場合の規定であり、単なる配置義務違反(第4号)とは区別される。

第6号:無許可業者との下請契約

建設業者が、第3条第1項の規定に違反して同項の許可を受けないで建設業を営む者と下請契約を締結したときが該当する。

建設業の適正な秩序維持の観点から、許可業者が無許可業者を下請に使うことは厳に禁じられている。

第7号:一般建設業者との不適格下請契約

建設業者が、特定建設業者以外の建設業を営む者と下請代金の額が第3条第1項第2号の政令で定める金額(現行4,500万円、建築一式工事は7,000万円)以上となる下請契約を締結したときが該当する。

特定建設業制度の実効性を担保するための規定である。

第8号:営業停止・禁止業者との下請契約

建設業者が、情を知って、第3項の規定により営業の停止を命ぜられている者又は第29条の4第1項の規定により営業を禁止されている者と当該停止され、又は禁止されている営業の範囲に係る下請契約を締結したときが該当する。

「情を知って」という主観的要件が必要であり、過失による場合は対象外となる。

第9号:履行確保法違反

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(履行確保法)の各規定に違反したときが該当する。

第2項:無許可業者に対する指示処分

第2項は、都道府県知事が、その管轄区域内で建設工事を施工している無許可業者に対して指示をすることができる旨を定める。対象となるのは、(1)公衆危害の発生又はそのおそれ、(2)請負契約に関する著しく不誠実な行為の2つである。

無許可業者に対しては第1項より限定的な処分権限しかないが、それでも一定の行政指導が可能である点が重要である。

第3項:営業停止命令

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建設業者に対する営業停止処分について - 神奈川県ホームページpref.kanagawa.jp

第28条第3項は、営業停止命令に関する規定である。営業停止処分の期間は最長1年とされており、違反の態様や再犯歴によって30日、60日などの短期処分もある VbestNexillpartners

営業停止命令が発動される場合は以下の3つである。

  1. 許可業者が第1項各号のいずれかに該当するとき
  2. 許可業者が第1項又は第4項の指示に従わないとき
  3. 無許可業者が第2項各号のいずれかに該当するとき、又は第2項の指示に従わないとき

実例として、リニア談合事件では国土交通省関東地方整備局が大林組と清水建設に対して120日間(2月2日から6月1日まで)の営業停止処分を科した Manegy。独占禁止法違反により有罪判決を受けたことが処分の決定要因となった事例である。

営業停止処分期間中は、新規の建設工事請負契約の締結、入札参加、見積提出などが禁止される。ただし、処分を受ける前に締結した請負契約に基づく建設工事については、そのまま施工することができる Gyousei-meinan-kensetsu。これは、工事の中断が発注者や関係者に多大な損害を与えることを防ぐための配慮である。

国土交通省の監督処分基準では、監督処分は原則として地域を限定せずに行うが、不正行為等が地域的に限定され当該地域の担当部門のみで処理されたことが明らかな場合は、必要に応じ地域を限って処分を行うとされている Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

第4項:他の許可行政庁管轄業者への指示権限

第4項は、都道府県知事が、国土交通大臣又は他の都道府県知事の許可を受けた建設業者で当該都道府県の区域内において営業を行うものに対して、指示をすることができる旨を定める。

これは、建設業者の営業実態が許可行政庁の管轄区域を越えて広がっている実態に対応するための規定である。例えば、国土交通大臣許可業者が都道府県内で違法行為を行った場合、当該都道府県知事が直接指示処分を行うことができる。

第5項:他の許可行政庁管轄業者への営業停止命令

第5項は、第4項に対応する営業停止命令の規定である。都道府県知事は、第4項の対象業者が指示に従わない場合などに、営業停止を命ずることができる。

第6項:処分の報告・通知義務

第6項は、都道府県知事が第4項・第5項の処分をしたときの報告・通知義務を定める。許可行政庁間の情報共有により、建設業者の監督を実効的なものとする趣旨である。

第7項:注文者への勧告

第7項は、国土交通大臣又は都道府県知事が、第1項第1号(公衆危害)又は第3号(他法令違反)に該当する建設業者等に対して指示をする場合において、特に必要があると認めるときは、注文者に対しても適当な措置をとるべきことを勧告できる旨を定める。

この規定は、建設業者だけでなく注文者側にも一定の責任を求めることで、建設工事の適正化を図るものである。例えば、極端に低い工事代金での発注が施工不良の原因となっている場合などに、発注者への勧告が行われる。


第29条(許可の取消し)の解説

第29条の構造

第29条は、建設業許可の取消事由を定める極めて重要な条文である。第1項は必要的取消事由(取り消さなければならない場合)を、第2項は裁量的取消事由(取り消すことができる場合)を規定する。

第1項:必要的取消事由

第29条第1項は8つの必要的取消事由を列挙している。これらに該当する場合、行政庁は許可を取り消さなければならず、裁量の余地はない。

第1号:許可基準の欠如

一般建設業の場合は第7条第1号(経営業務の管理責任者)又は第2号(専任技術者等)、特定建設業の場合は第7条第1号又は第15条第2号(財産的基礎等)の基準を満たさなくなった場合が該当する。

許可を維持するための最低限の要件を欠くに至った場合の規定である。

第2号:欠格事由該当

第8条第1号又は第7号から第14号(第17条で準用する場合を含む)のいずれかに該当するに至った場合が対象となる。

例えば、役員が建設業法違反で刑に処せられた場合(第8条第7号)などが該当する。

第3号:一般・特定の区分違反

第9条第1項各号に該当する場合において一般建設業又は特定建設業の許可を受けないときが該当する。ただし、事業承継による場合は除外される。

第4号:営業の不開始・休止

許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合が該当する。

実体のない許可を排除するための規定である。

第5号:不正手段による許可等の取得

不正の手段により建設業許可又は各種認可を受けた場合が該当する。

許可制度の根幹を揺るがす行為であり、必要的取消事由とされている。

第6号:重大な法令違反

第28条第1項各号のいずれかに該当し情状特に重い場合、又は営業停止処分に違反した場合が該当する。

営業停止処分にすら従わない悪質な業者を排除するための規定である。

第2項:裁量的取消事由

第2項は、建設業者が第3条の2第1項の規定により付された条件に違反したときの取消しを定める。この場合、行政庁は取り消すことが「できる」とされており、個別事情を勘案した裁量判断が可能である。


第29条の2(所在不明による許可取消し)の解説

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建設業法第29条の3「許可の取消し等の場合における建設工事の措置」解説 | 建設業法令情報提供サイト|行政書士法人名南経営gyousei-meinan-kensetsu.com

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第29条の2は、所在不明による許可取消しの特例規定である。建設業者の実態把握が困難な場合の簡易な取消手続を定めている。

第1項は、営業所の所在地を確知できないとき、又は建設業者の所在(法人の場合は役員、個人の場合は本人及び支配人)を確知できないときは、官報又は都道府県公報で公告し、公告から30日経過しても申出がない場合に許可を取り消すことができる旨を定める。

実例として、静岡県では営業所の所在地を確知できないため公報で公告したが30日経過しても申出がなかったとして許可取消処分が行われている Office-alignStart-up22

第2項は、第1項の処分については行政手続法第3章(不利益処分)の規定を適用しない旨を定める。所在不明の相手方に対して聴聞等の手続を行うことが不可能であるための例外規定である。


第29条の3(許可の取消し等の場合における建設工事の措置)の解説

第29条の3は、許可取消し等があった場合の工事継続に関する規定である。

第1項:工事継続の原則と通知義務

第1項は、許可の効力喪失、営業停止命令、許可取消しがあった場合でも、処分前に締結された請負契約に係る建設工事に限り施工できる旨を定める。ただし、処分後2週間以内に注文者への通知義務がある。

これは、工事の中断が注文者や関係者に多大な損害を与えることを防ぐための規定である。

第2項:特定建設業規定の不適用

第2項は、第1項の工事継続の場合、第16条(下請契約の締結制限)の規定を適用しない旨を定める。許可を失った後も、既存契約の完成のために必要な範囲で特定建設業者としての義務が継続することを意味する。

第3項:工事施工の差止め

第3項は、公益上必要があると認めるときは、建設工事の施工の差止めを命ずることができる旨を定める。第1項の工事継続の例外規定である。

第4項:建設業者とみなす規定

第4項は、第1項により工事を施工する者を、当該工事を完成する目的の範囲内において建設業者とみなす旨を定める。建設業法上の各種義務(技術者配置等)を継続させるための規定である。

第5項:注文者の契約解除権

第5項は、注文者が通知を受けた日又は許可喪失等を知った日から30日以内に限り、請負契約を解除できる旨を定める G-Reiki。注文者保護のための特別解除権の規定である。


第29条の4(営業の禁止)の解説

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建設業法第29条の4(営業の禁止) | 建設業法 | 建設業許可「行政書士いだ事務所」 大阪いだofficeida.com

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建設業法第29条の4「営業の禁止」解説 | 建設業法令情報提供サイト|行政書士法人名南経営gyousei-meinan-kensetsu.com

建設業法第29条 - Wikibookswikibooks.org

第29条の4は、営業禁止処分に関する規定である。この条文は、監督処分の実効性を確保するため、処分を受けた建設業者の役員等が別の会社で建設業を営むことを防止する趣旨の規定である。

第1項:営業停止処分に伴う営業禁止

第1項は、建設業者が営業停止処分を受けた場合、その役員等及び処分の原因について相当の責任を有する使用人に対して、営業停止処分と同一の期間、新たに営業を開始することを禁止する Vbest旨を定める。

対象者は、(1)法人の場合:役員等及び責任ある使用人、(2)個人の場合:本人及び責任ある使用人である。「当該処分の日前60日以内においてその役員等又はその政令で定める使用人であった者を含む」との規定により、処分逃れのための直前の辞任も無効とされる。

第2項:許可取消しに伴う営業禁止

第2項は、第29条第1項第7号(不正手段による許可取得)又は第8号(重大違反)により許可を取り消される場合、その役員等及び責任ある使用人に対して5年間、新たに営業を開始することを禁止する Vbest旨を定める。

営業停止処分が最長1年であるのに対し、悪質な許可取消事由の場合は5年間という長期の営業禁止が課される点が特徴である。


第29条の5(監督処分の公告等)の解説

建設業 監督処分 公告 監督処分簿 閲覧 5年間

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建設業者に対する監督処分について - 神奈川県ホームページpref.kanagawa.jp

建設産業・不動産業:建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準について - 国土交通省mlit.go.jp

建設業者の監督処分について/長野県nagano.lg.jp

建設工事(公共事業を含む) 建設業者 - 国土交通省 ネガティブ情報等検索サイトmlit.go.jp

宅建業法(第70条)監督処分の公告と通知をわかりやすく解説takken-fudosan.com

監督処分/奈良県公式ホームページpref.nara.jp

建設業監督処分一覧・監督処分基準 - 岡山県ホームページ(監理課)pref.okayama.jp

「監督処分」の重要ポイントと解説takken-success.info

建設業者の不正行為等に対する監督処分 - 群馬県ホームページ(建設企画課)pref.gunma.jp

監督処分のポイント - 分かりやすい宅建試験対策サイトocean-stage.net

第29条の5は、監督処分の公告及び監督処分簿に関する規定である。

第1項:監督処分の公告義務

第1項は、国土交通大臣又は都道府県知事が、第28条第3項若しくは第5項(営業停止命令)、第29条(許可取消し)又は第29条の2第1項(所在不明による許可取消し)の処分をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない旨を定める。

公告は、国土交通大臣の場合は官報、都道府県知事の場合は都道府県公報で行われる。公告には、処分を受けた建設業者の商号・名称、代表者氏名、処分内容、処分理由などが記載される。

第2項:建設業者監督処分簿の設置

第2項は、国土交通省及び都道府県に、それぞれ建設業者監督処分簿を備える旨を定める。

第3項:監督処分簿への登載義務

第3項は、国土交通大臣又は都道府県知事が、その許可を受けた建設業者が指示又は営業停止の処分を受けたときは、監督処分簿に処分の年月日及び内容その他国土交通省令で定める事項を登載しなければならない旨を定める。

第4項:監督処分簿の閲覧

第4項は、建設業者監督処分簿を公衆の閲覧に供しなければならない旨を定める。建設業法では、指示処分・営業停止処分を受けた業者については、処分を行った日から5年間、監督処分簿に登載される Kanagawa PrefectureGunma Prefecture

国土交通省はネガティブ情報等検索サイトを設置しており、建設業者に対する監督処分情報が概ね1ヶ月に1度更新されている Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism。このシステムにより、取引先や発注者が建設業者の過去の処分歴を容易に確認できるようになっている。

監督処分簿の閲覧制度は、建設業者の選定における透明性を高め、不良・不適格業者の排除に資する重要な仕組みである。


第30条(不正事実の申告)の解説

第30条は、建設業者の不正行為に関する申告制度を定める規定である。

第1項:許可業者の不正事実の申告

第1項は、建設業者に第28条第1項各号の一に該当する事実があるときは、その利害関係人が、当該建設業者が許可を受けた国土交通大臣若しくは都道府県知事又は営業として建設工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に対し、その事実を申告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる旨を定める。

「利害関係人」には、注文者、下請業者、近隣住民、同業者などが含まれる。不正行為の早期発見と是正を図るための住民参加型の監督システムである。

第2項:無許可業者の不正事実の申告

第2項は、無許可業者に第28条第2項各号の一に該当する事実があるときは、その利害関係人が、当該建設業を営む者が建設工事を施工している地を管轄する都道府県知事に対し、その事実を申告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる旨を定める。

この申告制度は、行政の監督能力の限界を補完し、建設業の健全な発達を図るための重要な制度である。申告を受けた行政庁は、調査を行い、必要に応じて監督処分を行う義務を負う。


第31条(報告徴収及び立入検査)の解説

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建設業法違反による行政処分を受けないためのポイント | 千葉の企業法務に強い弁護士【よつば総合法律事務所】yotsubasougou.jp

第31条は、報告徴収及び立入検査に関する規定である。

第1項:報告徴収権と立入検査権

第1項は、国土交通大臣は建設業を営む全ての者に対して、都道府県知事は当該都道府県の区域内で建設業を営む者に対して、この法律の施行に必要な限度において、その業務、財産若しくは工事施工の状況に関し必要な報告を求め、又は当該職員に、営業所その他営業に関係のある場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる旨を定める。

国土交通省が公表している立ち入り検査の結果では、文書指導388件、勧告68件、指示9件、営業停止13件、許可取消1件となっている VS Group

立入検査の目的は、建設業法の適正な執行を確保することにある。行政庁が立入検査できる場所や物件は必要な営業所や帳簿等に限定されており、検査の目的と関係ない書類を検査したり、営業には関係ない建設業者の住居等に立ち入ったりすることはできない Tomoni-office

実務上、立入検査では以下のような事項が確認される。

  1. 建設業許可の許可要件の継続的充足状況
  2. 専任技術者の常勤実態
  3. 主任技術者・監理技術者の適正配置
  4. 請負契約書の記載内容
  5. 施工体制台帳の作成・保存状況
  6. 下請代金の支払状況
  7. 各種法定帳簿の作成・保存状況

第2項:身分証明書の携帯等

第2項は、第26条の22第2項及び第3項(登録経営状況分析機関等の立入検査に関する規定)を準用し、立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない旨、及び立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない旨を定める。

立入検査はあくまで行政調査であり、刑事訴訟法上の強制捜査とは異なる。したがって、令状なしに強制的に立ち入ることはできず、相手方の任意の協力を前提とする。

ただし、正当な理由なく報告を拒否し、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒否し、妨害し、若しくは忌避した者は、建設業法第55条により、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。


第32条(参考人の意見聴取)の解説

第32条は、聴聞及び弁明の機会の付与における参考人の意見聴取に関する規定である。

第1項:許可取消しの聴聞における参考人意見聴取

第1項は、第29条の規定による許可の取消しに係る聴聞の主宰者は、必要があると認めるときは、参考人の意見を聴かなければならない旨を定める。

許可取消処分は建設業者にとって極めて重大な不利益処分であるため、慎重な手続が求められる。参考人の意見聴取により、事実認定の正確性を高め、適正な処分を担保する趣旨である。

参考人としては、注文者、下請業者、工事関係者、同業者などが想定される。

第2項:その他処分の弁明における参考人意見聴取

第2項は、第1項の規定を、国土交通大臣又は都道府県知事が第28条第1項から第5項まで(指示処分・営業停止命令)又は第29条の4第1項若しくは第2項(営業禁止)の規定による処分に係る弁明の機会の付与を行う場合について準用する旨を定める。

行政手続法上、不利益処分には聴聞又は弁明の機会の付与が必要とされる。建設業法では、許可取消しには聴聞が、その他の処分には弁明の機会の付与が行われるが、いずれの場合も参考人の意見聴取が可能である。


監督処分制度の実務的意義と今後の課題

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建設工事(公共事業を含む) 建設業者 - 国土交通省 ネガティブ情報等検索サイトmlit.go.jp

公共事業に関する統計 | リサーチ・ナビ | 国立国会図書館ndl.go.jp

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(最終改正 令和5年3月3日国不建第578号) 建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準 一 趣旨mlit.go.jp

建設業法第28条から第32条までの監督処分制度は、建設業の適正化を図るための行政監督の中核をなす制度である。

国土交通省の統計では、大臣許可業者を対象とした立入検査の実施件数は2023年度で806件、2022年度で884件、2021年度で858件であった VS Group。毎年800件を超える立入検査が実施されており、建設業法の履行確保に向けた行政の取組みが活発化している。

監督処分制度の実務的意義は以下の点にある。

第一に、建設業の適正化という予防的機能である。監督処分の存在自体が建設業者に対する抑止力として機能し、法令遵守のインセンティブを提供する。

第二に、不良・不適格業者の排除機能である。悪質な業者を建設業界から排除することにより、健全な競争環境を維持し、優良業者の経営基盤を守る。

第三に、発注者保護機能である。監督処分情報は処分の日から5年間監督処分簿に登載され、公衆の閲覧に供される Kanagawa PrefectureGunma Prefectureことにより、発注者が建設業者を選定する際の判断材料となる。

第四に、透明性の確保機能である。国土交通省のネガティブ情報等検索サイトにより、全国の監督処分情報が一元的に検索可能となっており、情報の非対称性が緩和されている。

今後の課題としては、(1)迅速な処分手続の実現、(2)中小建設業者に対する法令遵守支援の強化、(3)再発防止に向けた教育的アプローチの充実、(4)デジタル化に対応した監督手法の確立などが挙げられる。特に、建設業のDX化が進展する中で、電子契約や遠隔監理などの新しい業務形態に対応した監督体制の構築が求められている。


まとめ

建設業法第28条から第32条は、建設業の適正な運営を確保するための監督処分制度の根幹を定める重要な規定である。指示処分・営業停止処分・許可取消処分という段階的な処分体系により、建設業者の違法・不当な行為に対して適切に対処し、建設業の健全な発展を図ることが可能となっている。

建設業者にとって、これらの監督処分は事業存続に直結する重大なリスクであり、日頃からの法令遵守体制の構築が不可欠である。特に、経営業務管理責任者や専任技術者の適正配置、請負契約の適正化、下請業者との公正な取引、施工体制台帳の適正な作成など、基本的な法令遵守事項を徹底することが重要である。

また、万が一監督処分を受けるおそれが生じた場合には、速やかに専門家に相談し、適切な対応を図ることが求められる。


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建設業法違反は、企業の存続に関わる重大リスクです。

本記事で解説した監督処分制度は、建設業者にとって極めて深刻な影響をもたらします。営業停止処分を受ければ新規契約が締結できず、許可取消処分となれば5年間は再許可を受けることができません。取引先からの信用失墜、金融機関からの融資停止、公共工事からの排除など、その影響は計り知れません。

では、どうすれば監督処分のリスクを回避できるのでしょうか?

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中川総合法務オフィスは、建設業界のコンプライアンス支援に特化した専門家集団です。

代表の中川恒信は、850回を超えるコンプライアンス研修を担当してきた実績を持ち、建設業法をはじめとする各種法令に精通しています。単なる法令解説にとどまらず、実際に不祥事を起こした組織のコンプライアンス態勢再構築を支援してきた経験から、真に実効性のある対策をご提案いたします。

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さらに、マスコミから不祥事企業の再発防止策について意見を求められるなど、業界内外から高い評価を得ています。この信頼は、単なる理論ではなく、現場で機能する実践的なコンプライアンス体制を構築してきた実績の証です。

当オフィスが提供するサービス

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  • 建設業法の重要ポイントと実務対応
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研修・コンサルティング費用:1回30万円(+消費税)を原則としています。 ※内容・規模に応じてご相談に応じます。

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