はじめに:第6章の全体像

建設業法第6章は、建設業行政における重要な諮問機関である中央建設業審議会および都道府県建設業審議会について規定している。これらの審議会は、単なる諮問機関ではなく、建設業界全体のルールを形成する実質的な権限を持つ重要な機関である。

本章は全7条(第33条から第39条の3まで)から構成され、中央建設業審議会の設置根拠、権限、組織構成、運営方法などを詳細に定めている。


第33条【削除】

条文の沿革

本条は削除されており、現在は欠番となっている。かつては建設業中央審議会に関する規定が置かれていたが、昭和46年の建設業法改正により削除された。この削除は、建設業中央審議会を中央建設業審議会に改組する際の法改正に伴うものである。

実務上の留意点

削除された条文であるため、実務上の影響はない。ただし、建設業法の条文番号を参照する際には、第33条が欠番であることに留意する必要がある。


第34条【中央建設業審議会の設置等】

条文の構造

第34条は3項から構成され、中央建設業審議会の設置根拠とその主要な権限を規定している。

第1項:設置根拠 「国土交通省に、中央建設業審議会を置く。」

この簡潔な規定により、中央建設業審議会が法律上の機関として国土交通省に設置されることが明確にされている。

第2項:主要権限 中央建設業審議会の主要な権限として、以下の事項が規定されている。

  1. 第27条の23第3項の規定により権限に属させられた事項の処理
  2. 建設工事の標準請負契約約款の作成と実施勧告
  3. 建設工事の工期及び労務費に関する基準の作成と実施勧告
  4. 入札の参加者の資格に関する基準の作成と実施勧告
  5. 予定価格を構成する材料費及び役務費以外の諸経費に関する基準の作成と実施勧告

第3項:他法令による権限 公共工事の前払金保証事業に関する法律および入札契約適正化法の規定により権限に属させられた事項を処理する。

中央建設業審議会の法的性格

中央建設業審議会は、国家行政組織法第8条に基づく審議会等として設置されている。この審議会は、国土交通大臣の諮問に応じて建設業に関する重要事項を調査審議するだけでなく、自ら基準を作成し、その実施を勧告できる強力な権限を有している。

国土交通省の組織上、中央建設業審議会は土地・建設産業局に置かれ、事務局が設けられている。

標準請負契約約款の作成権限

中央建設業審議会の最も重要な権限の一つが、建設工事の標準請負契約約款の作成である。

標準請負契約約款の法的効果 標準請負契約約款は、法的拘束力を持つものではないが、建設業法第19条第1項により、建設工事の請負契約において定めるべき事項の指針として極めて重要な役割を果たしている。

主要な標準請負契約約款 中央建設業審議会が作成した主な標準請負契約約款には以下のものがある。

  • 民間建設工事標準請負契約約款(甲)
  • 民間建設工事標準請負契約約款(乙)
  • 民間建設工事標準下請契約約款
  • 建設工事標準下請契約約款

これらの約款は、国土交通省のウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000080.html)で公開されており、建設業者や発注者が自由に利用できる。

実務への影響 実務上、多くの建設工事請負契約がこれらの標準約款を基礎として締結されている。裁判所も、契約書に明記されていない事項について、標準約款の規定を参考にして判断することが多い。

工期及び労務費に関する基準

中央建設業審議会は、建設工事の工期及び労務費に関する基準を作成する権限を有している。

工期基準の重要性 近年、建設業における働き方改革の推進に伴い、適正な工期設定が重要な課題となっている。中央建設業審議会は、「工期に関する基準」を作成し、適正な工期設定のための指針を示している。

この基準は、令和2年(2020年)7月に中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会の合同会議において作成・勧告され、同年10月1日から施行されている。

基準の内容 工期に関する基準では、以下の事項が定められている。

  • 工期設定において考慮すべき事項
  • 工期の変更が必要となる場合の考え方
  • 著しく短い工期の禁止
  • 適正な工期設定のための取組

労務費基準 労務費に関する基準も、適正な賃金水準の確保と建設業の健全な発展のために重要である。公共工事設計労務単価の設定などにも影響を与えている。

入札参加資格基準

中央建設業審議会は、入札の参加者の資格に関する基準を作成する権限を持つ。これは、主に公共工事の入札参加資格審査に関する基準として機能している。

経営事項審査との関係 この基準は、建設業法第27条の23以下に規定される経営事項審査制度と密接に関連している。経営事項審査の結果は、公共工事の入札参加資格審査において重要な判断材料となる。

諸経費基準

予定価格を構成する材料費及び役務費以外の諸経費に関する基準の作成も、中央建設業審議会の重要な権限である。

この基準は、公共工事の予定価格の積算において、一般管理費等の諸経費をどのように算定するかについての指針を提供している。

勧告権限の意義

中央建設業審議会は、作成した基準について「実施を勧告することができる」とされている。この勧告は法的拘束力を持たないが、実務上は極めて強い影響力を持つ。

特に公共工事においては、中央建設業審議会の勧告に従うことが事実上義務化されており、民間工事においても広く参考にされている。

第27条の23第3項との関係

第34条第2項冒頭で言及されている「第二十七条の二十三第三項の規定によりその権限に属させられた事項」とは、経営事項審査に関する事項を指している。

中央建設業審議会は、経営事項審査の審査基準や評価方法について定める権限を持ち、これらの基準を作成・変更する際の重要な役割を果たしている。


第35条【中央建設業審議会の組織】

委員定数

第1項は「中央建設業審議会は、委員二十人以内をもつて組織する」と規定している。委員数の上限を20人としているが、必ずしも20人全員を任命する必要はなく、実際の委員数は時期により変動する。

委員の任命要件

第2項は、委員の任命要件を定めている。

「中央建設業審議会の委員は、学識経験のある者、建設工事の需要者及び建設業者のうちから、国土交通大臣が任命する。」

三者構成の原理 この規定により、中央建設業審議会の委員は以下の3つのカテゴリーから任命される。

  1. 学識経験のある者
  2. 建設工事の需要者
  3. 建設業者

任命権者 委員の任命権者は国土交通大臣である。これにより、国の建設業行政の責任者である国土交通大臣が、審議会の構成について最終的な責任を負うことが明確にされている。

委員構成のバランス規定

第3項は、委員構成のバランスについて重要な規定を置いている。

「建設工事の需要者及び建設業者のうちから任命する委員の数は同数とし、これらの委員の数は、委員の総数の三分の二以上であることができない。」

需要者と建設業者の同数原則 建設工事の需要者から任命される委員と建設業者から任命される委員は、必ず同数でなければならない。これは、発注者側と受注者側の利害のバランスを図るための重要な規定である。

学識経験者の一定割合確保 需要者と建設業者の委員の合計数は、委員総数の3分の2以上であってはならない。つまり、学識経験者の委員が少なくとも委員総数の3分の1超を占めることが保証されている。

具体例 委員総数が18人の場合、需要者と建設業者の委員の合計は12人以下でなければならない。したがって、学識経験者は最低6人以上必要となる。需要者と建設業者が同数であるため、例えば需要者5人、建設業者5人、学識経験者8人という構成が考えられる。

委員構成規定の趣旨

このような委員構成規定が設けられている趣旨は、以下の点にある。

利害関係者間のバランス 建設業に関する基準や約款の作成においては、発注者側と受注者側の利害が対立することが多い。同数原則により、どちらか一方に偏った決定がなされることを防止している。

専門的・中立的視点の確保 学識経験者を一定割合以上確保することにより、利害関係を離れた専門的・中立的な視点からの審議を確保している。

社会的信頼の獲得 このようなバランスの取れた委員構成により、中央建設業審議会の決定が社会的に公正なものとして受け入れられやすくなる。

実際の委員構成

国土交通省のウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001.html)では、現在の中央建設業審議会の委員名簿が公開されている。

実際の委員構成を見ると、学識経験者として大学教授や弁護士、需要者として公共工事発注機関の代表者、建設業者として建設業団体の代表者などが任命されている。


第36条【準用規定】

条文の内容

第36条は「第二十五条の三第一項、第二項及び第四項並びに第二十五条の四の規定は、中央建設業審議会の委員について準用する」と規定している。

これにより、建設業法第25条の3および第25条の4に規定される特定建設業者を構成員とする団体に関する規定が、中央建設業審議会の委員についても準用される。

準用される規定の内容

第25条の3第1項(任期) 委員の任期に関する規定が準用される。具体的な任期は、政令(建設業法施行令)で定められる。

第25条の3第2項(再任) 委員の再任に関する規定が準用される。同一人物が複数回委員に任命されることが可能である。

第25条の3第4項(解任) 委員が職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められる場合の解任に関する規定が準用される。

第25条の4(服務規定) 委員の服務に関する規定が準用される。これには守秘義務や利益相反の回避などが含まれる。

準用の趣旨

これらの規定を準用することにより、中央建設業審議会の委員に対して、公正な職務執行を確保するための規律が適用される。

特に、委員が建設業者や需要者の代表として任命される場合でも、審議会の委員としては公共の利益を第一に考えて行動することが求められる。


第37条【専門委員】

専門委員制度の趣旨

第37条は、中央建設業審議会に専門委員を置くことができる旨を規定している。

建設業に関する事項は極めて専門的かつ多岐にわたるため、特定の専門事項について深い知識を持つ専門家の参加が必要となる場合がある。専門委員制度は、このような必要に応じて、特定の事項についてのみ審議に参加する専門家を委嘱できるようにするものである。

専門委員の設置

第1項は「建設業に関する専門の事項を調査審議させるために、中央建設業審議会に専門委員を置くことができる」と規定している。

任意設置 専門委員の設置は「置くことができる」という任意規定であり、必要に応じて設置される。

目的 専門委員は、特定の専門事項を調査審議するために設置される。一般的な審議には正規の委員が当たり、特に高度な専門知識を要する事項について専門委員が関与する。

専門委員の任期

第2項は「専門委員は、当該専門の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする」と規定している。

臨時的性格 専門委員は、特定の専門事項の調査審議のためにのみ委嘱されるため、その調査審議が終了すれば自動的に解任される。これにより、専門委員の任期は実質的に当該事項の調査審議の期間に限定される。

機動的運用 このような仕組みにより、中央建設業審議会は、必要に応じて機動的に専門家の知見を活用することができる。

準用規定

第3項は「第二十五条の三第四項、第二十五条の四及び第三十五条第二項の規定は、専門委員について準用する」と規定している。

準用される規定

  • 第25条の3第4項:解任に関する規定
  • 第25条の4:服務に関する規定
  • 第35条第2項:任命権者(国土交通大臣)に関する規定

準用の趣旨 専門委員についても、正規の委員と同様に、公正な職務執行を確保するための規律が適用される。

実務上の運用

実際の運用において、専門委員は、例えば以下のような場合に委嘱される。

  • 新しい技術基準や評価方法を検討する際の技術専門家
  • 労務費基準を検討する際の労働経済の専門家
  • 契約約款を検討する際の契約法の専門家

専門委員は、審議会の下に設置される部会や小委員会に所属し、特定のテーマについて集中的に審議を行うことが多い。


第38条【中央建設業審議会の会長】

会長の設置

第1項は「中央建設業審議会に会長を置く。会長は、学識経験のある者である委員のうちから、委員が互選する」と規定している。

会長の地位 中央建設業審議会には必ず会長を置かなければならない。会長は審議会を代表し、その運営の中心的役割を果たす。

会長の選出方法 会長は国土交通大臣が任命するのではなく、委員の互選により選出される。これにより、審議会の自主性・独立性が確保される。

会長の資格要件 会長は「学識経験のある者である委員」から選出されなければならない。需要者や建設業者の代表である委員は会長になることができない。これは、会長が中立的な立場から審議会を運営することを確保するための規定である。

会長の職務

第2項は「会長は、会務を総理する」と規定している。

会務総理の意味 会長は、審議会の会議を主宰し、審議の進行を管理し、審議会の意思決定を統括する。また、審議会を代表して対外的な関係においても行動する。

具体的職務 会長の具体的な職務には、以下のようなものが含まれる。

  • 審議会の会議の招集
  • 会議の議長としての議事進行
  • 審議結果の取りまとめ
  • 国土交通大臣への答申や勧告の代表者としての提出
  • 審議会の事務の統括

会長代理

第3項は「会長に事故があるときは、学識経験のある者である委員のうちからあらかじめ互選された者が、その職務を代理する」と規定している。

会長代理の必要性 会長が病気、出張、その他の理由により職務を執行できない場合に備えて、あらかじめ会長代理を選出しておく。

会長代理の資格 会長代理も、会長と同様に「学識経験のある者である委員」から互選される。中立的立場の確保という観点から、需要者や建設業者の代表は会長代理にもなれない。

代理の範囲 会長代理は、会長に事故がある場合に限り、会長の職務を代理する。会長が職務を執行できる状態にあるときは、会長代理は特別な権限を持たない。


第39条【政令への委任】

条文の趣旨

第39条は「この章に規定するもののほか、中央建設業審議会の所掌事務その他中央建設業審議会について必要な事項は、政令で定める」と規定している。

建設業法第6章において規定された事項以外の、中央建設業審議会の運営に関する詳細な事項については、法律ではなく政令(建設業法施行令)で定めることを委任している。

政令で定められる事項

建設業法施行令において、以下のような事項が定められている。

委員の任期 委員の任期は2年とされている(ただし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間)。

会議の定足数・議決要件 審議会の会議の開催に必要な定足数や、議決に必要な賛成数などが定められている。

部会の設置 審議会の効率的な運営のため、特定の事項を専門的に審議する部会を設置できる旨が定められている。

事務局 中央建設業審議会の事務を処理するため、国土交通省土地・建設産業局に事務局が置かれることが定められている。

政令委任の意義

法律ではなく政令で定めることにより、社会情勢の変化や運用上の必要に応じて、国会の議決を経ることなく柔軟に規定を改正できる。

ただし、審議会の基本的な性格や主要な権限については法律で規定されているため、政令による過度な変更は許されない。


第39条の2【都道府県建設業審議会】

都道府県建設業審議会の設置

第1項は「都道府県知事の諮問に応じ建設業の改善に関する重要事項を調査審議させるため、都道府県は、条例で、都道府県建設業審議会を設置することができる」と規定している。

任意設置 都道府県建設業審議会の設置は義務ではなく、各都道府県の判断に委ねられている。「設置することができる」という任意規定である。

設置根拠 都道府県建設業審議会を設置する場合は、条例によらなければならない。これは地方自治法の原則に従ったものである。

所掌事務 都道府県建設業審議会は、都道府県知事の諮問に応じて、建設業の改善に関する重要事項を調査審議する。

中央建設業審議会との相違

都道府県建設業審議会と中央建設業審議会の主な相違点は以下のとおりである。

設置の任意性 中央建設業審議会は必置機関であるのに対し、都道府県建設業審議会は任意設置である。

権限の範囲 中央建設業審議会は標準約款や各種基準を作成し勧告する権限を持つが、都道府県建設業審議会は原則として知事の諮問に応じて意見を述べるにとどまる。

設置根拠 中央建設業審議会は法律により設置されるが、都道府県建設業審議会は各都道府県の条例により設置される。

実際の設置状況

実際には、ほとんどの都道府県において都道府県建設業審議会が設置されている。各都道府県における建設業の実情に応じた政策を推進するため、審議会の意見を聴くことが有益であるためである。

各都道府県の建設業審議会に関する条例や委員名簿は、各都道府県のウェブサイトで公開されていることが多い。

都道府県審議会の役割

都道府県建設業審議会は、例えば以下のような事項について調査審議する。

  • 都道府県における建設業振興策
  • 地域の建設業者の育成策
  • 公共工事の発注方法の改善
  • 建設業者に対する指導監督のあり方

都道府県知事は、これらの事項について政策を決定する際、審議会の意見を参考にすることができる。

条例への委任

第2項は「都道府県建設業審議会に関し必要な事項は、条例で定める」と規定している。

都道府県建設業審議会を設置する場合、その組織、運営、委員の構成などの詳細は、各都道府県が条例で自由に定めることができる。

ただし、多くの都道府県では、中央建設業審議会の規定を参考にして、同様の委員構成(学識経験者、需要者、建設業者の三者構成)を採用している。


第39条の3【社会資本整備審議会の調査審議等】

社会資本整備審議会の役割

第39条の3は、社会資本整備審議会の建設業に関する権限を規定している。

第1項:調査審議 「社会資本整備審議会は、国土交通大臣の諮問に応じ、建設業の改善に関する重要事項を調査審議する。」

社会資本整備審議会は、国土交通省設置法に基づき国土交通省に設置される審議会であり、社会資本整備に関する広範な事項を所掌している。その中で、建設業の改善に関する重要事項についても調査審議する権限が、建設業法により明確にされている。

第2項:意見具申 「社会資本整備審議会は、建設業に関する事項について関係各庁に意見を述べることができる。」

社会資本整備審議会は、国土交通大臣の諮問を待つことなく、自発的に建設業に関する事項について関係省庁に意見を述べることができる。これは、審議会の能動的な役割を認めるものである。

中央建設業審議会との関係

中央建設業審議会と社会資本整備審議会は、建設業に関して重複する権限を持つように見えるが、両者の役割は以下のように区分されている。

中央建設業審議会

  • 標準約款、工期基準、労務費基準など、建設業法に基づく具体的な基準の作成と勧告
  • 建設業法の運用に関する技術的・実務的事項の審議
  • 建設業者と需要者の利害調整

社会資本整備審議会

  • 建設業政策の大きな方向性に関する審議
  • 建設業と他の政策領域(都市政策、住宅政策など)との関係についての総合的審議
  • より広い視点からの建設業の改善策の検討

合同会議の開催

実務上は、中央建設業審議会と社会資本整備審議会の関連部会が合同で会議を開催することもある。

例えば、前述の「工期に関する基準」は、令和2年に中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会の合同会議において作成・勧告されている。

このような合同会議の開催により、実務的な基準作成の権限(中央建設業審議会)と政策的方向性の検討(社会資本整備審議会)が有機的に結びつけられている。

国土交通省の審議会体制

国土交通省における建設業関連の審議会体制は、以下のように整理できる。

中央建設業審議会 建設業法に基づく各種基準の作成など、建設業法の運用に直接関わる事項を処理する専門的審議会。

社会資本整備審議会

国土交通行政全般について幅広く調査審議する総合的審議会。その中で建設業に関する重要政策も扱う。

都道府県建設業審議会 各都道府県における建設業政策について、都道府県知事に助言する地方レベルの審議会。

この三層構造により、国レベルでの専門的・技術的審議と総合的・政策的審議、そして地方レベルでの地域に即した審議が、それぞれ適切に行われる体制が整備されている。


第6章全体のまとめ

審議会制度の意義

建設業法第6章が規定する審議会制度は、建設業行政において極めて重要な役割を果たしている。

専門的知見の活用 建設業に関する事項は高度に専門的であるため、行政機関だけではなく、学識経験者や業界関係者の知見を活用することが不可欠である。

利害調整機能 建設業においては、発注者と受注者、元請と下請など、様々な立場の関係者が存在する。審議会における三者構成(学識経験者、需要者、建設業者)は、これらの利害を調整する場として機能している。

透明性と民主性の確保 重要な基準や約款を行政機関が一方的に定めるのではなく、審議会での公開の審議を経ることにより、政策決定の透明性と民主性が確保される。

中央建設業審議会の実績

中央建設業審議会は、これまでに多くの重要な基準や約款を作成してきた。

標準請負契約約款 民間工事・公共工事を問わず、建設工事請負契約の基本的な枠組みを提供している。

工期に関する基準 働き方改革に対応した適正な工期設定のための指針を示している。

経営事項審査の審査基準 公共工事の入札参加資格審査の基礎となる経営事項審査の具体的な方法を定めている。

これらの基準や約款は、建設業界全体の取引の公正化と健全な発展に大きく貢献している。

今後の課題

建設業を取り巻く環境は大きく変化しており、審議会に求められる役割も変化している。

働き方改革への対応 時間外労働の上限規制が建設業にも適用される中、適正な工期設定と労務費の確保がますます重要になっている。

技術革新への対応 ICT技術の活用、BIM/CIMの普及など、建設業における技術革新が進む中、これらに対応した新たな基準作りが求められている。

持続可能性への配慮 環境負荷の低減、地域社会への貢献など、持続可能な建設業のあり方についても、審議会での議論が期待される。

担い手の確保 建設業の担い手不足が深刻化する中、若年者や女性が働きやすい環境整備に向けた基準作りも重要な課題である。

中央建設業審議会をはじめとする審議会制度が、これらの課題に適切に対応し、建設業の健全な発展に貢献していくことが期待される。


建設業コンプライアンス研修のご案内

建設業法第6章で規定される審議会制度は、建設業界全体のルール形成において中心的な役割を果たしています。中央建設業審議会が作成する標準約款や工期基準などは、すべての建設業者が理解し、遵守すべき重要な規範です。

しかし、これらの基準や約款の内容を正確に理解し、日々の業務に適切に反映させることは容易ではありません。特に、近年の働き方改革や入札契約制度の変更に伴い、建設業者に求められるコンプライアンスのレベルは年々高まっています。

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提供可能な研修・コンサルティング

中川総合法務オフィスでは、建設業関係企業に対して以下のような研修・コンサルティングを提供しています。

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リスクマネジメント研修 建設業特有のリスク(工期遅延、品質問題、安全管理、下請取引の適正化など)について、具体的な管理手法を提示します。

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研修費用

研修費用は、1回30万円(消費税別)を原則としています。

ただし、研修の内容、時間、参加人数、実施場所などにより、柔軟に対応いたします。まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせ方法

建設業コンプライアンス研修やリスクマネジメント・コンサルティングに関するお問い合わせは、以下の方法で受け付けています。

電話でのお問い合わせ TEL: 075-955-0307 (受付時間:平日9:00~17:00)

ウェブサイトからのお問い合わせ 相談フォーム: https://compliance21.com/contact/

お問い合わせの際は、貴社の業種、従業員規模、研修の目的、ご希望の日程などをお知らせください。貴社のニーズに最適な研修プログラムをご提案いたします。

建設業界のコンプライアンスレベル向上のため、中川総合法務オフィスが全力でサポートいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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