はじめに

建設業法第39条の4から第44条の3までは、建設業の適正な運営を確保するための手続規定および監督規定を定めている。電子申請の特例、標識の掲示義務、帳簿の備付け義務といった建設業者の基本的義務から、国土交通大臣や都道府県知事による監督権限、さらには公正取引委員会や中小企業庁長官との連携に至るまで、建設業の適正化のための総合的な枠組みが規定されている。

本稿では、これらの条文について、国土交通省の運用実態や具体的事例を踏まえながら、実務上の留意点を含めて詳細に解説する。


第39条の4(電子計算機による処理に係る手続の特例等)

条文の趣旨

本条は、建設業法に基づく各種手続について、電子申請を可能とする規定である。行政手続のデジタル化推進の一環として、許可申請書をはじめとする各種書類の提出を、磁気ディスク等の電子媒体により行うことを認めている。

第1項:電子申請の可能化

第1項は、国土交通省令で定める手続(特定手続)について、磁気ディスクの提出により行うことができると規定する。ここでいう「磁気ディスク」には、CD-ROM、DVD等の物理的媒体のほか、オンラインによる電子データの送信も含まれる。

国土交通省では、建設業許可申請等を電子申請できる「建設業許可申請等電子化システム」(通称:JCIP)を運用している。令和5年1月からは、新規許可申請や更新申請、業種追加、般・特新規申請など、主要な手続がオンラインで可能となっている。

第2項:書面提出とのみなし規定

第2項は、電子申請により行われた手続を、書面の提出により行われたものとみなす規定である。これにより、罰則を含む建設業法の全ての規定が、電子申請にも適用される。また、「磁気ディスクへの記録をもって書面への記載とみなす」との規定により、記載義務違反等の判断も、電子データに基づいて行われることになる。

実務上の留意点

国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」によれば、電子申請を行う場合でも、申請内容の正確性確保や本人確認の観点から、電子署名の付与が求められる場合がある。また、添付書類についても電子化が必要であり、原本の保管義務は別途存続する点に注意が必要である。


第40条(標識の掲示)

条文の趣旨

本条は、建設業者に対し、店舗および建設工事の現場ごとに、許可内容等を記載した標識を掲示する義務を課している。これは、発注者や一般公衆に対して、当該建設業者が適法に許可を受けていることを明示し、建設業の適正化と信頼性の向上を図るものである。

標識掲示の対象

標識の掲示が必要なのは、以下の場所である。

店舗:建設業者の営業所を指す。建設業法第3条の許可申請の際に記載した営業所全てが対象となる。

建設工事の現場:ただし、「発注者から直接請け負ったもの」に限定される。下請として施工する現場については、標識掲示義務は課されていない。

標識の記載事項

国土交通省令(建設業法施行規則第25条)により、標識には以下の事項を記載することが義務付けられている。

  1. 許可を受けた建設業の名称(別表第一の下欄による29業種の名称)
  2. 一般建設業または特定建設業の別
  3. 許可年月日および許可番号
  4. 商号または名称
  5. 代表者の氏名
  6. 主任技術者または監理技術者の氏名(現場の場合)

標識の様式と掲示方法

建設業法施行規則第25条は、標識の様式を別記様式第9号および第10号として定めている。実務上は、これらの様式に従った標識を作成し、「公衆の見やすい場所」に掲示する必要がある。

国土交通省の解釈では、「公衆の見やすい場所」とは、営業所の場合は入口付近、工事現場の場合は道路から見える位置または現場事務所の入口付近等を指すとされている。

違反の効果

標識の掲示義務違反は、建設業法第50条により、10万円以下の過料に処せられる。また、監督処分(指示処分)の対象ともなり得る。

実際に、標識の不掲示や記載事項の不備により、都道府県から指示処分を受けた事例は多数存在する。平成30年には、ある建設業者が複数の工事現場で標識を掲示していなかったとして、営業停止処分を受けた事例もある。


第40条の2(表示の制限)

条文の趣旨

本条は、建設業の許可を受けていない者が、あたかも許可を受けているかのような表示を行うことを禁止している。無許可業者による違法営業を防止し、発注者の保護を図ることが目的である。

規制の内容

「許可を受けた建設業者であると明らかに誤認されるおそれのある表示」とは、具体的には以下のような表示を指す。

  1. 「国土交通大臣許可」「知事許可」等の文言を用いる表示
  2. 許可番号を表示する行為(実際には取得していない場合)
  3. 建設業許可標識に類似した標識の掲示

国土交通省の見解では、単に「建設業」という表示や、業種名の表示のみであれば、直ちに本条違反とはならないとされている。ただし、広告やホームページ上で「建設業許可取得」等と表示しながら、実際には許可を受けていない場合は、本条違反となる。

違反の効果

本条違反については、建設業法第47条により、6月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる。また、許可の欠格事由(第8条第7号)にも該当し得るため、将来の許可取得に支障を来す可能性がある。


第40条の3(帳簿の備付け等)

条文の趣旨

本条は、建設業者に対し、営業所ごとに帳簿を備え付け、一定期間保存する義務を課している。これにより、建設業者の営業実態を明確にし、監督行政の実効性を確保するとともに、紛争発生時の証拠資料としても機能する。

帳簿の備付け義務

建設業法施行規則第26条は、帳簿の記載事項として以下を定めている。

  1. 注文者の商号または名称
  2. 注文者の住所
  3. 契約年月日
  4. 工事名称
  5. 工事現場の所在地
  6. 請負代金額
  7. 前払金の額
  8. 工期
  9. 工事の実施状況(着手年月日、完成年月日等)

帳簿は、営業所ごとに備え付けることが義務付けられており、本店で一括管理する方式は原則として認められない。ただし、電子帳簿の場合は、各営業所からアクセス可能であれば、サーバーを本店に設置することも可能である。

図書の保存義務

建設業法施行規則第26条は、帳簿のほか、以下の図書の保存も義務付けている。

  1. 請負契約書
  2. 注文書および請書
  3. 設計図書
  4. 完成図
  5. 打合せ記録

これらの図書は、当該工事の完成後一定期間(原則として5年間)保存しなければならない。

電子帳簿・電子図書

令和3年の建設業法施行規則改正により、帳簿および図書の電子保存が明確に認められた。ただし、電子保存を行う場合は、電子帳簿保存法の要件(真実性の確保、可視性の確保等)を満たす必要がある。

違反の効果

帳簿の備付けおよび保存義務違反は、建設業法第50条により、10万円以下の過料に処せられる。また、監督処分の対象ともなり、悪質な場合は営業停止処分に至ることもある。


第40条の4(国土交通大臣による調査等)

条文の趣旨

本条は、国土交通大臣に対し、請負契約の適正化および建設工事従事者の適正な処遇確保のため、建設業者に対する調査権限を付与している。調査結果は公表されるとともに、中央建設業審議会に報告され、標準契約約款等の基準作成に活用される。

第1項:調査権限と公表

第1項は、国土交通大臣が建設業者に対して以下の事項について調査を行い、結果を公表すると規定している。

  1. 建設工事の請負契約の締結の状況
  2. 第20条の2第2項から第4項までの規定による通知または協議の状況(著しく短い工期の禁止に関する通知等)
  3. 第25条の27第2項に規定する措置の実施の状況(建設キャリアアップシステムの活用等)
  4. その他国土交通省令で定める事項

国土交通省は、毎年「建設工事受注動態統計調査」や「建設労働需給調査」等を実施しており、これらが本条に基づく調査の一環である。また、特定のテーマについて、実態調査を行うこともある。

例えば、令和3年度には「著しく短い工期による請負契約の締結の禁止に関する調査」が実施され、元請・下請間における工期設定の実態が明らかにされた。

第2項:中央建設業審議会への報告

第2項は、国土交通大臣が調査結果を中央建設業審議会に報告する義務を規定している。中央建設業審議会は、この報告を受けて、第34条第2項に規定する標準契約約款等の基準の作成・改定を行う。

実際に、令和元年の建設業法改正により著しく短い工期の禁止が規定された後、国土交通省は実態調査を行い、その結果を中央建設業審議会に報告し、「工期に関する基準」の作成につなげている。


第41条(建設業を営む者及び建設業者団体に対する指導、助言及び勧告)

条文の趣旨

本条は、国土交通大臣および都道府県知事による建設業者等に対する指導、助言および勧告の権限を規定している。監督処分(第28条)のような強制的措置ではなく、任意の協力を求める形で建設業の適正化を図る手段である。

第1項:一般的指導・助言・勧告

第1項は、建設業を営む者(許可業者・無許可業者を問わない)および建設業者団体に対する一般的な指導、助言、勧告の権限を規定している。

「指導」とは、特定の行為を行うよう促す行為を指し、「助言」とは情報提供や意見表明を指す。「勧告」は、指導や助言よりも強い行政指導であり、従わない場合には公表等の措置が取られることもある。

国土交通省や都道府県では、以下のような場合に本項に基づく指導等を行っている。

  1. 社会保険未加入業者に対する加入指導
  2. 建設キャリアアップシステムへの登録勧奨
  3. 適正な契約締結に関する助言
  4. 安全管理体制の強化に関する指導

第2項:賃金不払いに関する勧告

第2項は、特定建設業者が発注者から直接請け負った工事において、下請業者が労働者への賃金支払を遅滞した場合、特定建設業者に対して立替払等の措置を勧告できると規定している。

これは、特定建設業者の指導監督責任(第24条の6)を実効化するための規定である。実際の適用例は多くないが、大規模工事において下請業者の経営破綻により賃金不払いが発生した場合等に、本項に基づく勧告が検討される。

第3項:損害賠償に関する勧告

第3項は、特定建設業者が発注者から直接請け負った工事において、下請業者が第三者に損害を与えた場合、特定建設業者に対して損害の立替払等の措置を勧告できると規定している。

本項も、特定建設業者の指導監督責任を実効化するための規定である。工事現場での事故により近隣住民等に損害が発生したものの、下請業者に賠償能力がない場合等に適用が検討される。

実務上の留意点

本条に基づく指導、助言、勧告は、行政手続法上の行政指導に該当する。したがって、行政手続法第32条により、建設業者は指導等に従う法的義務を負わない。ただし、勧告に従わない場合、監督処分の前提事実として考慮されたり、公表措置が取られたりすることがある。


第41条の2(建設資材製造業者等に対する勧告及び命令等)

条文の趣旨

本条は、建設工事の適正施工を阻害する建設資材に起因する問題に対処するため、建設業者の監督のみならず、建設資材の製造・加工・輸入を業とする者(建設資材製造業者等)に対する勧告・命令・立入検査の権限を規定している。

第1項:建設資材製造業者等への勧告

第1項は、以下の要件を全て満たす場合に、建設資材製造業者等に対して勧告できると規定している。

  1. 建設業者または無許可業者が、第28条の指示処分を受ける場合であること
  2. 当該違反行為が建設資材に起因すること
  3. 建設業者等への指示のみでは再発防止が困難であること

具体的には、欠陥建材や不適合建材の使用により、工事の瑕疵や安全性の問題が生じた場合等が想定される。

実例としては、平成17年の構造計算書偽装問題において、国土交通省が建材メーカーに対して製品の品質管理強化を勧告した事例がある。

第2項:勧告不遵守の公表

第2項は、勧告を受けた建設資材製造業者等が勧告に従わない場合、その旨を公表できると規定している。公表により、社会的な圧力を通じて勧告の実効性を確保することが狙いである。

第3項:命令

第3項は、勧告を受けた建設資材製造業者等が正当な理由なく勧告に従わず、かつ、同一または類似の建設資材の使用により建設工事の適正施工が著しく阻害されるおそれがある場合、命令を発することができると規定している。

命令は、勧告と異なり、法的拘束力を有する処分である。命令違反には罰則(第49条の2により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金)が適用される。

第4項および第5項:報告徴収・立入検査

第4項は、建設資材製造業者等に対する報告徴収および立入検査の権限を規定している。第5項は、第26条の22第2項・第3項を準用し、立入検査における証票の携帯・提示義務および検査拒否等に対する罰則を定めている。


第42条(公正取引委員会への措置請求等)

条文の趣旨

本条は、建設業における独占禁止法違反行為について、国土交通大臣または都道府県知事が公正取引委員会に対して措置を求める権限を規定している。建設業の監督官庁と競争政策の執行機関との連携により、建設市場の公正性を確保することが目的である。

第1項:公正取引委員会への措置請求

第1項は、建設業者が以下の規定に違反し、かつ、それが独占禁止法第19条(不公正な取引方法の禁止)に違反すると認める場合、公正取引委員会に対して措置を求めることができると規定している。

対象となる建設業法の規定:

  1. 第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)
  2. 第19条の4(やり直し工事の不当負担の禁止)
  3. 第24条の3第1項(下請代金の支払)
  4. 第24条の4(検査及び引渡し)
  5. 第24条の5(特定建設業者の下請代金の支払期日等)
  6. 第24条の6第3項・第4項(特定建設業者の禁止行為)

これらの規定は、いずれも下請保護を目的としており、違反行為は同時に独占禁止法上の「優越的地位の濫用」や「不当な取引制限」に該当する可能性が高い。

実際の措置請求事例

公正取引委員会の「建設業における下請取引等に関する実態調査」(令和3年)によれば、近年、国土交通省や都道府県から公正取引委員会への情報提供・措置請求が増加している。

具体的な事例としては、以下のようなものがある。

  • 大手ゼネコンが下請業者に対して、一方的に工期を短縮させた事例(令和2年、公正取引委員会が勧告)
  • 元請業者が下請代金の支払いを不当に遅延した事例(令和元年、公正取引委員会が勧告)

第2項:中小企業庁長官への通知

第2項は、中小企業者である下請業者との関係で措置請求を行った場合、中小企業庁長官に通知する義務を規定している。これは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の執行を所管する中小企業庁との連携を図るためである。


第42条の2(中小企業庁長官による措置)

条文の趣旨

本条は、中小企業者である下請業者の保護のため、中小企業庁長官に報告徴収・立入検査の権限および公正取引委員会への措置請求権限を付与している。建設業法の執行において、下請法を所管する中小企業庁が独自に調査・措置を行えるようにすることで、中小下請業者の保護を強化することが目的である。

第1項:報告徴収・立入検査

第1項は、中小企業庁長官が、中小企業者である下請業者の利益保護のため特に必要があると認める場合、元請業者または下請業者に対して報告を求め、または立入検査を行うことができると規定している。

この権限は、建設業法に基づく権限であるが、下請法の執行と密接に関連する。中小企業庁は、下請法違反の疑いがある場合に、本項の権限を活用して調査を行うことがある。

第2項:準用規定

第2項は、第26条の22第2項・第3項を準用し、立入検査における証票の携帯・提示義務および検査拒否等に対する罰則を定めている。

第3項:公正取引委員会への措置請求

第3項は、中小企業庁長官が、調査の結果、元請業者による建設業法違反行為が独占禁止法第19条に違反すると認める場合、公正取引委員会に対して措置を求めることができると規定している。

対象となる建設業法の規定は、第42条第1項と同様である。

第4項:国土交通大臣等への通知

第4項は、中小企業庁長官が公正取引委員会への措置請求を行った場合、当該元請業者の許可権者(国土交通大臣または都道府県知事)に通知する義務を規定している。これにより、建設業法上の監督処分との連携が図られる。

実務上の意義

本条により、中小下請業者の保護について、国土交通省、都道府県、中小企業庁、公正取引委員会の四者が連携する体制が構築されている。実際に、令和2年以降、中小企業庁と国土交通省の合同調査が実施され、建設業における下請取引の適正化が進められている。


第43条(都道府県の費用負担)

条文の趣旨

本条は、都道府県知事が建設業法を施行するために必要な経費は、当該都道府県が負担すると規定している。国の法定受託事務であっても、その執行費用は都道府県が負担するという原則を確認する規定である。

費用負担の範囲

都道府県が負担する経費には、以下のようなものが含まれる。

  1. 許可事務に要する人件費・事務費
  2. 監督処分に要する調査費用・手続費用
  3. 立入検査に要する費用
  4. 建設業者への指導・助言に要する費用

これらの費用は、原則として一般財源により賄われる。ただし、許可申請手数料等の収入により、一部が賄われることもある。

国庫負担の例外

建設業法上、国庫負担が規定されている費用もある。例えば、第44条に規定する参考人の費用は、政令で定めるところにより国が負担する。


第44条(参考人の費用請求権)

条文の趣旨

本条は、第32条の規定により意見を求められて出頭した参考人が、旅費、日当その他の費用を請求できると規定している。公益のために出頭する参考人の経済的負担を軽減し、聴聞手続の適正な運営を確保することが目的である。

参考人の範囲

本条の「参考人」とは、第32条に基づく聴聞手続において、意見を求められた者を指す。具体的には、監督処分(許可の取消し、営業停止等)の相手方以外の第三者で、当該処分に関連する事実を知る者が該当する。

費用の内容

「旅費、日当その他の費用」の具体的内容および金額は、政令(建設業法施行令第7条)で定められている。実務上は、国家公務員等の旅費に関する法律の規定に準じた額が支給される。


第44条の2(経過措置)

条文の趣旨

本条は、建設業法に基づく命令(国土交通省令等)の制定・改廃に際して、必要な経過措置を命令で定めることができると規定している。法改正に伴う混乱を防止し、円滑な移行を図ることが目的である。

経過措置の内容

「所要の経過措置」には、以下のようなものが含まれる。

  1. 新制度への移行期間の設定
  2. 旧制度に基づく許可等の効力の存続
  3. 新制度に基づく手続の特例
  4. 罰則に関する経過措置

実際に、建設業法の改正ごとに、建設業法施行規則等において詳細な経過措置が定められている。例えば、令和元年改正建設業法の施行に際しては、建設業法施行規則附則において、旧様式による申請の経過措置、主任技術者・監理技術者の新制度への移行措置等が規定された。


第44条の3(権限の委任)

条文の趣旨

本条は、建設業法に規定する国土交通大臣の権限の一部を、地方整備局長または北海道開発局長に委任できると規定している。国土交通省の地方支分部局に権限を委任することで、事務の効率化と迅速な対応を図ることが目的である。

委任の範囲

国土交通省令(建設業法施行規則第28条)により、以下の権限が地方整備局長等に委任されている。

  1. 建設業の許可に関する権限(申請受理、審査、許可証交付等)
  2. 変更届出の受理
  3. 廃業届出の受理
  4. 報告徴収・立入検査
  5. 指導・助言・勧告
  6. 監督処分(指示処分、営業停止処分、許可取消処分)

ただし、重要な政策判断を要する事項や、全国的な統一性を確保すべき事項については、国土交通大臣が自ら行使することとされている。

実務上の意義

本条による権限委任により、建設業者は、本店所在地を管轄する地方整備局等に対して、許可申請等の手続を行うことになる。これにより、東京の国土交通省本省に出向く必要がなくなり、事務の効率化が図られている。


まとめ

建設業法第39条の4から第44条の3までは、建設業の適正な運営を確保するための手続規定および監督規定の総仕上げとして、重要な役割を果たしている。

電子申請の推進、標識掲示による透明性の確保、帳簿保存による記録の保全、国による実態調査、指導・助言・勧告による任意の改善促進、建設資材製造業者への対応、公正取引委員会・中小企業庁との連携、そして権限の適切な配分と経過措置による円滑な制度運用。これらは、いずれも建設業の健全な発達と建設工事の適正な施工を実現するための、不可欠な仕組みである。

建設業者は、これらの規定を正確に理解し、日常の業務において確実に遵守することが求められる。特に、標識の掲示や帳簿の保存といった基本的義務を怠ることなく、また、行政からの指導や調査には誠実に対応することが、長期的な信頼構築につながる。

監督官庁との良好な関係を保ちながら、法令遵守を徹底することが、建設業者の持続的発展の基盤となるのである。


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