はじめに:建設業法における罰則規定の位置づけ
建設業法第50条から第52条は、建設業法における罰則規定の中核をなす条文である。これらの条文は、建設業の健全な発達と公正な取引秩序の維持という建設業法の目的を実現するため、法違反行為に対して刑事罰を科すことを定めている。
建設業法の罰則は、違反行為の悪質性や社会的影響の大きさに応じて段階的に設定されており、第50条では最も重い「6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」、第51条では「50万円以下の罰金」、第52条では「100万円以下の罰金」と、それぞれ異なる刑罰が規定されている。これらの罰則規定を正確に理解することは、建設業者のコンプライアンス体制構築において極めて重要である。
第50条第1項:虚偽記載等に対する罰則
本条の趣旨と構造
第50条第1項は、建設業の許可制度や経営事項審査制度の根幹を支える書類について、虚偽の記載をして提出した場合や、必要な書類を提出しなかった場合に刑事罰を科すことを定めている。本条が「6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」という比較的重い刑罰を規定しているのは、これらの違反行為が建設業の許可制度や経営事項審査制度の信頼性を根底から揺るがすものだからである。
第1号:許可申請書等の虚偽記載
第1号は、第5条の規定による許可申請書または第6条第1項の規定による書類に虚偽の記載をして提出した場合を処罰対象としている。第5条は一般建設業の許可申請について、第17条で準用される場合は特定建設業の許可申請について規定しており、これらの申請書に虚偽の記載をすることは、許可制度そのものを形骸化させる行為である。
第6条第1項の書類とは、許可申請書に添付すべき書類を指す。具体的には、経営業務の管理責任者の略歴書、専任技術者の資格を証する書面、誓約書、財務諸表などが含まれる。これらの書類は、建設業者が許可要件を満たしているかどうかを判断するための重要な資料であり、虚偽の記載があれば行政庁は適切な審査を行うことができなくなる。
実務上、特に注意が必要なのは、経営業務の管理責任者や専任技術者の経験年数を水増しして記載するケースである。「実態としては4年しか経験がないのに5年と記載する」「他社での経験を証明する書類を偽造する」といった行為は、明確な虚偽記載に該当する。
第2号:変更届出等の不提出・虚偽記載
第2号は、第11条第1項から第4項までに規定される各種の届出書類を提出しない場合、または虚偽の記載をして提出した場合を処罰対象としている。第11条第1項から第4項は、許可を受けた事項に変更があった場合の変更届や、毎事業年度終了後の事業年度終了届(決算変更届)などの提出義務を定めている。
これらの届出は、許可行政庁が建設業者の実態を継続的に把握し、許可要件の維持を確認するために不可欠なものである。特に事業年度終了届は、財務状況や工事実績などを報告するものであり、経営事項審査の基礎資料ともなる重要な書類である。
実務上問題となるのは、「うっかり提出を忘れた」というケースと「意図的に虚偽の内容を記載した」というケースの区別である。本条の罰則は刑事罰であるため、故意が必要とされる。単なる過失による提出忘れは本条の処罰対象とはならないが、督促を受けても提出しない場合には故意が認定される可能性がある。
第3号:許可の取消し等に関する届出義務違反
第3号は、第11条第5項の規定による届出をしなかった場合を処罰対象としている。第11条第5項は、経営業務の管理責任者や専任技術者が欠けた場合などの重要事項について、2週間以内に届け出ることを義務づけている。
この届出義務は、許可要件の欠如という重大な事態が発生したことを速やかに行政庁に知らせるためのものである。経営業務の管理責任者や専任技術者が欠けた状態が続くことは、建設業者が許可要件を満たさない状態で営業を続けることを意味し、建設業法の許可制度の根幹を揺るがす事態である。
実務上、この違反が問題となるのは、「専任技術者が退職したが、後任者の手配に時間がかかるため届出を先延ばしにした」「経営業務の管理責任者が病気で退任したが、すぐに後任を選任するつもりだったので届け出なかった」といったケースである。しかし、法律は2週間以内の届出を義務づけており、後任者の選任予定の有無にかかわらず届出が必要である。
第4号:経営事項審査関係書類の虚偽記載
第4号は、第27条の24第2項もしくは第27条の26第2項の申請書、または第27条の24第3項もしくは第27条の26第3項の書類に虚偽の記載をして提出した場合を処罰対象としている。これらは経営事項審査に関する申請書類である。
経営事項審査は、公共工事の入札参加資格を得るために必要な審査であり、建設業者の経営規模、経営状況、技術力などを客観的に評価するものである。審査結果は点数化され、公共工事の発注者が競争入札参加者を選定する際の重要な判断材料となる。
経営事項審査に関する書類の虚偽記載は、公正な競争環境を歪め、公共工事の発注制度の信頼性を損なう行為である。過去には、工事実績を水増しして記載したり、技術職員の数を実際より多く申告したりする事例が発覚し、刑事罰が科されたケースもある。
第50条第2項:拘禁刑と罰金の併科
第50条第2項は、第1項の罪を犯した者に対して、情状により拘禁刑と罰金を併科できることを定めている。これは、違反行為が特に悪質である場合に、より重い処罰を可能にするための規定である。
「情状により」とは、犯罪の動機、方法、結果、犯人の年齢、境遇、犯罪後の態度など、諸般の事情を考慮して判断することを意味する。実務上、虚偽記載の内容が極めて悪質で、しかも金銭的利益を得ているような場合には、併科が選択される可能性が高くなる。
例えば、「許可要件を満たしていないにもかかわらず、書類を組織的に偽造して許可を取得し、その結果大規模な工事を受注して多額の利益を得た」というような事案では、6月の拘禁刑と100万円の罰金を併科することで、行為の反社会性に見合った処罰が可能となる。
第51条:登録講習実施機関等の役職員に対する罰則
本条の趣旨
第51条は、登録講習実施機関や登録経営状況分析機関、指定試験機関、指定資格者証交付機関などの役職員が、法令に違反した場合の罰則を定めている。これらの機関は、建設業法上の重要な業務を担っており、その適正な運営を確保するため、役職員個人に対する罰則が設けられている。
罰則の対象が「その違反行為をした登録講習実施機関等の役職員」とされているのは、これらの機関が公益的な業務を担っており、その役職員には高度な倫理観と責任感が求められるためである。罰金の上限は50万円と、第50条よりは軽いが、それでも決して軽視できない刑事罰である。
第1号:業務廃止に関する届出義務違反等
第1号は、講習や経営状況分析の業務を廃止する際の届出をしない場合、または試験事務や資格者証交付事務を廃止する際の許可を受けない場合を処罰対象としている。
第26条の13(講習・経営状況分析の業務廃止の届出)や第27条の13第1項(試験事務・交付等事務の業務廃止の許可)は、これらの公益的業務が突然中断されることを防ぎ、利用者の利益を保護するための手続を定めている。届出や許可を経ることで、行政庁は業務の引継ぎや代替措置を講じることができる。
実務上、この違反が問題となるのは、経営難などで突然業務を停止してしまうケースである。「利用者が少なく採算が取れないので、ある日突然業務を停止した」というような場合、本条違反となる可能性がある。
第2号:帳簿の備付け・記載・保存義務違反
第2号は、法令で定められた帳簿を備えない、記載しない、虚偽の記載をする、または保存しないという違反行為を処罰対象としている。
第26条の18や第27条の10は、登録講習実施機関等に対して、業務に関する帳簿の備付け、記載、保存を義務づけている。これらの帳簿は、業務の適正な実施を担保し、行政庁による監督を可能にするための重要な記録である。
帳簿には、講習の実施状況、受講者名簿、試験の実施状況、合格者名簿、経営状況分析の依頼者情報などが記載される。これらの記録が適切に保存されていなければ、後日トラブルが生じた際に事実関係を確認することができず、また行政庁による検査も実効性を失う。
実務上の注意点として、保存期間の遵守が挙げられる。法令で定められた保存期間を経過する前に帳簿を廃棄してしまうと、本条違反となる。また、電子データで保存する場合も、改ざん防止措置を講じるなど、適切な管理が求められる。
第3号:報告義務違反・検査拒否等
第3号は、行政庁から報告を求められたのに報告しない、虚偽の報告をする、または検査を拒否・妨害・忌避する行為を処罰対象としている。
第26条の21や第27条の12第1項は、行政庁が登録講習実施機関等に対して報告を求めたり、検査を実施したりする権限を定めている。これらの権限は、これらの機関の業務が適正に実施されているかを監督するために不可欠なものである。
実務上、「検査を忌避した」と認定されるのは、正当な理由なく検査を延期させたり、検査に必要な資料の提出を拒んだりする場合である。「担当者が不在だから」「資料の整理が終わっていないから」といった理由で検査を延期させることが繰り返されれば、検査の忌避と認定される可能性がある。
第52条:その他の重要な違反行為に対する罰則
本条の趣旨
第52条は、建設業者による重要な義務違反に対して100万円以下の罰金を科すことを定めている。第50条が許可制度の根幹に関わる書類の虚偽記載等を対象としているのに対し、第52条は施工現場における技術者の配置義務違反、報告義務違反、検査拒否などを対象としている。
罰金額は100万円以下と、第50条と同額である。これは、これらの違反行為も建設業法の目的達成にとって極めて重要であり、厳正な対処が必要であることを示している。
第1号:主任技術者・監理技術者の未配置
第1号は、第26条第1項から第3項または第26条の3第7項の規定による主任技術者または監理技術者を置かなかった場合を処罰対象としている。
主任技術者・監理技術者の配置は、建設工事の適正な施工を確保するための最も基本的な要件である。第26条は、建設業者が請け負った建設工事を施工する際には、必ず主任技術者(一定規模以上の工事の場合は監理技術者)を置かなければならないと定めている。
実務上、この違反が問題となるケースは多岐にわたる。「技術者が突然退職してしまい、後任者の手配が間に合わなかった」「一人の技術者を複数の現場に兼任させていたが、実際には専任が必要な現場だった」「名義だけ借りて、実際にはその技術者は現場に関与していなかった」などである。
特に悪質なのは、いわゆる「名義貸し」のケースである。技術者が実際には現場に常駐せず、書類上だけ配置されていることになっている場合、本条違反に加えて、第26条の3第2項違反(専任義務違反)として別途処罰される可能性もある。
第2号:監理技術者等の専任義務違反
第2号は、第26条の2の規定に違反した場合を処罰対象としている。第26条の2は、監理技術者等が工事現場ごとに専任でなければならないことを定めている。
専任とは、他の工事現場の監理技術者等と兼ねることができないことを意味する。一定規模以上の工事では、監理技術者等は工事期間中、原則としてその工事現場に常駐し、工事の施工管理を行わなければならない。
実務上、この違反が発覚するのは、行政庁の立入検査や、元請業者から下請業者への監査などの機会である。「技術者が他の現場にいて、この現場にはいなかった」「複数の現場を掛け持ちしていた」といった事実が判明すれば、本条違反となる。
近年、国土交通省は建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者等の専任配置の徹底を求めており、違反事案に対しては厳格な対応を取る方針を示している。
第3号:施工体制台帳等の提出義務違反
第3号は、第29条の3第1項後段の規定による通知をしなかった場合を処罰対象としている。これは、いわゆる施工体制台帳に関する義務違反である。
第29条の3第1項後段は、特定建設業者が発注者から直接建設工事を請け負った場合で、下請契約の総額が一定額以上となる場合、作成した施工体制台帳の写しを発注者に提出することを義務づけている。
施工体制台帳は、元請業者から一次下請、二次下請と続く施工体制を明らかにし、工事の適正な施工を確保するための重要な書類である。発注者がこれを把握することで、不適格な業者の排除や、重層下請構造の是正などが可能となる。
実務上、「施工体制台帳は作成したが、発注者への提出を失念した」というケースも本条違反となる。単なる失念であっても、故意が認定されれば処罰の対象となり得る。
第4号:経営事項審査における報告義務違反等
第4号は、第27条の24第4項または第27条の26第4項の規定による報告をしない、資料を提出しない、または虚偽の報告や虚偽の資料を提出した場合を処罰対象としている。
これらは、経営事項審査を実施する際に、審査機関が建設業者に対して報告や資料提出を求める権限に関する規定である。審査機関が適切な審査を行うためには、建設業者からの正確な情報提供が不可欠である。
実務上、虚偽の報告や資料提出が問題となるのは、「自社の評価点を上げるために、工事実績を水増しして報告した」「技術職員の数を実際より多く申告した」「財務諸表の数字を改ざんした」といったケースである。
これらの違反行為は、経営事項審査の信頼性を根底から損なうものであり、公共工事の適正な発注を妨げる。そのため、厳格な処罰が規定されている。
第5号:各種報告義務違反
第5号は、第31条第1項、第41条の2第4項または第42条の2第1項の規定による報告をしない、または虚偽の報告をした場合を処罰対象としている。
第31条第1項は、許可行政庁が建設業者に対して報告を求める一般的な権限を定めている。第41条の2第4項は、中央建設業審議会が建設業者に対して報告を求める権限を、第42条の2第1項は、都道府県の紛争審査会が当事者に対して報告を求める権限を、それぞれ定めている。
これらの報告は、建設業法の適正な執行のために必要な情報を収集するためのものである。報告をしない、または虚偽の報告をすることは、行政庁や審議会の業務を妨害する行為であり、厳正な対処が必要とされる。
実務上、「報告期限までに報告しなかった」「報告内容に誤りがあった」という場合でも、故意が認定されれば本条違反となり得る。特に、督促を受けたにもかかわらず報告しない場合や、意図的に虚偽の内容を報告した場合には、悪質性が高いと判断される。
第6号:検査拒否等
第6号は、第31条第1項、第41条の2第4項または第42条の2第1項の規定による検査を拒否、妨害、または忌避した場合を処罰対象としている。
これらの検査は、行政庁や審議会が建設業法の適正な執行のために実施するものである。検査には、事務所への立入検査、帳簿書類の検査、関係者への質問などが含まれる。
「検査を拒む」とは、明示的に検査を拒絶することを意味する。「検査を妨げる」とは、検査の実施を困難にするような行為をすることを意味する。「検査を忌避する」とは、検査を避けるような行為をすることを意味する。
実務上、問題となるのは「検査当日に担当者が不在で、資料も準備されていなかった」「検査官の質問に対して虚偽の回答をした」「帳簿の一部を隠匿した」といったケースである。これらは検査の妨害または忌避と認定される可能性がある。
第7号:営業停止命令違反
第7号は、第41条の2第3項の規定による命令に違反した場合を処罰対象としている。第41条の2第3項は、中央建設業審議会が建設業者に対して営業停止等の勧告をし、建設業者がこれに従わない場合に、国土交通大臣がその旨を公表できることを定めている。
この規定は、建設業法の実効性を確保するための最終的な手段として位置づけられている。中央建設業審議会の勧告は、建設業界全体の健全な発達を図るための重要な役割を果たしており、これに従わないことは業界秩序を乱す行為である。
実務上、この違反が問題となるケースは多くないが、勧告を受けたにもかかわらずこれを無視し続けた場合には、本条違反として刑事罰が科される可能性がある。
罰則規定の実務上の留意点
法人処罰との関係
建設業法第55条は、いわゆる両罰規定を定めており、法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関して第50条、第51条または第52条の違反行為をした場合、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても罰金刑を科すことができる。
これは、建設業法違反が組織的に行われることが多いことを踏まえ、法人に対しても制裁を加えることで、違反行為の抑止を図るものである。実務上、従業員が虚偽の書類を作成・提出した場合、その従業員個人だけでなく、会社自体も処罰される可能性がある。
行政処分との関係
建設業法の罰則規定による刑事処罰と、営業停止や許可取消などの行政処分は、別個独立した制度である。つまり、刑事罰を受けたからといって行政処分を免れるわけではなく、逆に行政処分を受けたからといって刑事罰を免れるわけでもない。
実務上、悪質な違反行為に対しては、刑事告発と行政処分の両方が行われることが多い。例えば、許可申請書に虚偽の記載をして提出した場合、刑事罰(第50条)を受けるとともに、許可の取消し(第29条)も受ける可能性がある。
時効
刑事罰については、刑事訴訟法の規定により公訴時効が適用される。第50条から第52条の罪は、いずれも罰金刑のみまたは罰金刑と拘禁刑が規定されている犯罪であるため、公訴時効期間は、罰金刑のみの場合は3年、拘禁刑が規定されている場合は5年である(刑事訴訟法第250条)。
ただし、違反行為が発覚した時点で既に時効が完成している場合でも、行政処分は別途行われる可能性がある。行政処分の時効は、違反行為があった日から3年または5年とされている(建設業法第29条の5)。
故意の立証
刑事罰を科すためには、原則として故意が必要である。つまり、「違反行為であることを知りながら行った」ことの立証が求められる。実務上、「知らなかった」「うっかりしていた」という弁解がなされることがあるが、建設業者として当然知っているべき義務について知らなかったという主張は、通常認められない。
特に、許可申請書や経営事項審査の申請書など、重要な書類については、建設業者は専門家として高度な注意義務を負っており、故意が推定されやすい。また、督促や是正指導を受けたにもかかわらず違反状態を継続した場合には、故意の認定が容易となる。
コンプライアンス体制構築の重要性
予防法務の観点
建設業法の罰則規定に該当する違反行為を防止するためには、事後的な対処ではなく、事前の予防が極めて重要である。コンプライアンス体制を構築し、役職員に対する教育研修を徹底することで、違反行為の発生を未然に防ぐことができる。
具体的には、許可申請や変更届出、経営事項審査などの手続について、社内でチェック体制を整備し、虚偽記載や提出漏れがないようにすることが重要である。また、主任技術者・監理技術者の配置状況を定期的に確認し、専任義務違反が生じないようにすることも必要である。
内部通報制度の整備
建設業法違反が発生した場合、早期に発見し是正することが、被害の拡大を防ぎ、刑事責任や行政処分のリスクを軽減することにつながる。そのため、内部通報制度を整備し、役職員が違反行為を発見した場合に躊躇なく通報できる環境を整えることが重要である。
内部通報制度は、公益通報者保護法の趣旨に沿って、通報者の秘密を守り、通報したことによる不利益取扱いを禁止する仕組みとして構築する必要がある。また、外部の弁護士や専門家を通報窓口とすることで、通報者の心理的ハードルを下げることも有効である。
定期的な研修の実施
建設業法は頻繁に改正されており、また行政庁の運用方針も変化する。そのため、役職員に対する定期的な研修を実施し、最新の法令知識を共有することが不可欠である。特に、許可申請や経営事項審査を担当する部署、現場で技術者の配置を管理する部署などに対しては、重点的な研修が必要である。
研修では、単に法令の条文を説明するだけでなく、実際の違反事例を紹介し、「どのような行為が違反となるのか」「違反した場合にどのような処罰を受けるのか」を具体的に理解させることが重要である。
まとめ
建設業法第50条から第52条の罰則規定は、建設業の許可制度や経営事項審査制度の信頼性を確保し、建設工事の適正な施工を実現するための重要な規定である。これらの罰則は、拘禁刑や罰金という刑事罰を科すものであり、建設業者にとって極めて重大な影響をもたらす。
許可申請書の虚偽記載、変更届出の不提出、経営事項審査における虚偽報告、主任技術者・監理技術者の未配置、報告義務違反、検査拒否など、罰則の対象となる行為は多岐にわたる。これらの違反行為を防止するためには、建設業法の正確な理解と、実効性のあるコンプライアンス体制の構築が不可欠である。
建設業者は、これらの罰則規定を十分に理解し、日常的な業務の中で法令遵守を徹底することが求められる。そして、万が一違反行為が発生した場合には、速やかに是正し、再発防止策を講じることが、企業の信頼性を守り、持続的な発展を実現するために極めて重要である。
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