1.B.C.P. 業務継続計画(business continuity plan)

(1)新潟県での災害による企業等倒産被害

新潟での連続災害等から、政府は企業や自治体において、業務継続計画(BCP) を作成することを強く勧めている。

※新潟県の連続地震

1964年6月16日の新潟県下越沖を震源とする最大震度6相当の地震、2004年10月23日の新潟県中越地方を震源とする最大震度7の「新潟県中越地震」、2007年7月16日の新潟県上中越沖を震源とする最大震度6強の「新潟県中越沖地震」。

(2)BCPとは

業務継続計画(BCP) とは、企業等がビジネスコンティニュイティに取り組むうえで基本となる計画のことである。

つまり、災害や事故などの予期せぬ出来事の発生により、限られた経営資源で最低限の事業活動を継続、ないし目標復旧時間以内に再開できるようにするために、事前に策定される行動計画である。

(3)BCPの策定

BCPの策定では、まずビジネスインパクト分析を行って自社の業務プロセスが抱えるリスクと影響(損害)を洗い出す。リスクマネジメントの手法である。

そのうえで優先的に復旧すべき業務とそれに必要な設備やシステムを明らかにし、目標復旧時間の設定や復旧手順を計画していく。

(4)BCM

より包括的な事業継続管理(BCM)においては、BCPは定期的に見直される。

2.業務継続計画(BCP)の必要性

(1)内閣府のBCPのすすめ

内閣府の事業継続ガイドラインにおいては、事業継続計画は

「緊急時の経営や意思決定、管理などのマネジメント手法の1つに位置付けられ、指揮命令系統の維持、情報の発信・共有、災害時の経営判断の重要性など、危機管理や緊急時対応の要素を含んでいる」

とされる。

(2)災害への備え

災害時の企業活動の維持または早期の機能回復は、都市機能回復に重要な役割を果たす一方、企業は災害による被害を最小化し、自ら存続を図っていかなければならない。

防災基本計画においても、「企業防災の促進」の中で、「経済活動の維持」が企業の重要な役割とされている。

しかし、従来の「企業防災」が、工場・事業所単位での対応を想定していたのに対し、近年は、同じ製品を複数の工場(海外工場も含む)で生産する、在庫を分散させるなど、各企業が生産システム等を多様化させている。

部品納入等のサプライチェーンも多様化しており、東海水害でも一部の取引先工場が被災した際に、同様の部品を生産している協力工場(同業他社)に生産委託を行い生産の継続を行った事例がある。

「経済活動の維持」を図るうえで、自然災害以外の危機も念頭におき、かつ、全社あるいは関連企業を含む企業活動全般を対象として、危機発生時において、企業活動上不可欠な機能を速やかに維持・回復させることを目指した「リスクマネジメント」の考え方が一般となりつつある。

(3)BCP企業調査

これまでの調査では、BCPを策定(計画中を含む)している企業は米国の96%に対し、日本では21%であった。

しかし、内閣府の普及推進政策も含めた作成のすすめもあって、平成27年には、大企業では 60.4%が「策定済み」と回答しており、中堅企業では、29.9%が「策定済み」と回答している(平成 27 年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査)

3.自治体の業務継続

(1)地方自治体ICT部門の取組のあるべき姿

大地震が発生した場合、過去の大地震の事例や公表されている被害予測データ等から、以下のような状況に陥ることが予想される。

1)庁舎が使用できない
2)情報通信の設備、機器が損壊
3)必要な職員が参集できない
4)電力供給が停止
5)空調設備が損壊
6)必要な外部事業者と連絡が取れない、対応準備がとられていない

(2)業務継続計画の必要性

1)地方公共団体の責任
2)危機管理に対する意識の高まり
3)業務継続計画と地域防災計画との関係  「災害対策基本法」
4)業務継続に関わるガイドライン策定
5)リスクの発生懸念の増加

(3)地方自治体ICT部門の取組のあるべき姿

1)最低限のバックアップの実施
2)ICT部門としての緊急時対応体制の検討
3)災害時の行動を指揮できる管理者の育成
4)外部事業者との連携・協力関係の構築
5)情報通信機器の固定措置の実施
6)地方公共団体間の協力関係の構築
7)既存のマネジメントとの整合
8)遠隔地で運用しているサービスの利用

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