建設業法で定められた29の業種について、「工事内容」、「具体的な例」、および「他の業種との区分」の考え方を詳しく解説。
 建設業の許可は29種類の工事業種に区分されており、それぞれの定義や施工範囲が法律で定められている。これらの業種を正しく理解しなければ、誤った許可で工事を行うリスクが生じ、場合によってはコンプライアンス違反となる。
◆別表第一(第二条、第三条、第四十条関係)
土木一式工事  建築一式工事  大工工事  左官工事  とび・土工・コンクリート工事  石工事  屋根工事  電気工事  管工事  
タイル・れんが・ブロツク工事  鋼構造物工事  鉄筋工事  舗装工事  しゆんせつ工事  板金工事  ガラス工事  塗装工事
防水工事  内装仕上工事  機械器具設置工事  熱絶縁工事  電気通信工事  造園工事  さく井工事  建具工事  水道施設工事
消防施設工事  清掃施設工事  解体工事


 
1. 土木一式工事

どのような工事か

総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事です(補修、改造、解体を含む)

区分の考え方や注意点

  • 橋梁など、プレストレストコンクリート構造物を総合的に建設する工事は「土木一式工事」に該当します 。
  • 上下水道に関する工事の区分
    • 土木一式工事: 公道下の水道管の配管工事や、下水処理場自体の敷地造成工事。
    • 管工事: 宅地内の配管工事や、上水道の配水小管を設置する工事。
    • 水道施設工事: 上水道の取水・浄水・配水施設や、下水処理場内の処理設備を設置する工事。
  • 農業用水道やかんがい用配水施設の建設は、「水道施設工事」ではなく「土木一式工事」に分類されます 。

2. 建築一式工事

どのような工事か

総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事です

区分の考え方や注意点

  • ビルの外壁に固定された避難階段を設置する工事は、「消防施設工事」ではなく、建物の躯体の一部とみなされ、「建築一式工事」または「鋼構造物工事」に該当します 。

3. 大工工事

どのような工事か

木材の加工または取付けにより工作物を築造したり、工作物に木製の設備を取り付けたりする工事です

具体的な工事例

  • 大工工事
  • 型枠工事
  • 造作工事

4. 左官工事

どのような工事か

工作物の壁などに、壁土、モルタル、漆喰(しっくい)、プラスター、繊維などをコテで塗りつけたり、吹き付けたり、貼り付けたりする工事です

具体的な工事例

  • 左官工事
  • モルタル工事
  • モルタル防水工事
  • 吹付け工事
  • とぎ出し工事
  • 洗い出し工事

区分の考え方や注意点

  • モルタルを用いた防水工事は、「左官工事」と「防水工事」のどちらの許可でも施工可能です 。
  • 建築物へのモルタル等の吹付けは「左官工事」ですが、法面処理のためのモルタルや種子の吹付けは「とび・土工・コンクリート工事」に分類されます 。

5. とび・土工・コンクリート工事

どのような工事か

以下のイからホに分類される、基礎的または準備的な工事です

  • : 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立てなどを行う工事 。
  • : くい打ち、くい抜き、場所打ちぐいを行う工事 。
  • : 土砂等の掘削、盛上げ、締固めなどを行う工事 。
  • : コンクリートで工作物を築造する工事 。
  • : その他、基礎的・準備的な工事 。

具体的な工事例

  • とび工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事
  • くい工事、場所打ぐい工事
  • 土工事、掘削工事、根切り工事、盛土工事
  • コンクリート工事、コンクリート打設工事
  • 地すべり防止工事、地盤改良工事、法面保護工事、道路付属物設置工事(ガードレールなど)、外構工事、はつり工事、潜水工事など

区分の考え方や注意点

  • 鉄骨工事の区分: 既に加工された鉄骨を現場で組立てるだけの場合は「とび・土工・コンクリート工事」ですが、鉄骨の製作・加工から組立てまでを一貫して請け負う場合は「鋼構造物工事」となります 。
  • コンクリートブロック工事の区分: 根固めブロックや消波ブロックの据付けなど、土木工事における規模の大きいコンクリートブロックの設置は「とび・土工・コンクリート工事」に該当します 。
  • 防水工事の区分: トンネルの防水工事など、土木系の防水工事は「とび・土工・コンクリート工事」に含まれます。建築系の防水工事は「防水工事」です 。
  • 屋外広告物設置工事の区分: 現場で広告物の製作・加工から設置までを一貫して行う場合は「鋼構造物工事」ですが、それ以外の設置工事は「とび・土工・コンクリート工事」となります 。

6. 石工事

どのような工事か

石材(類似のコンクリートブロックや擬石を含む)を加工したり、積んだりして工作物を築造したり、工作物に石材を取り付けたりする工事です

具体的な工事例

  • 石積み(張り)工事
  • コンクリートブロック積み(張り)工事

区分の考え方や注意点

  • 建築物の内外装として擬石を貼り付けたり、擁壁としてコンクリートブロックを積んだりする工事が「石工事」に該当します 。これは、土木工事における大規模なブロック据付けを行う「とび・土工・コンクリート工事」とは区別されます 。

7. 屋根工事

どのような工事か

瓦、スレート、金属薄板などの材料で屋根をふく工事です

具体的な工事例

  • 屋根ふき工事

区分の考え方や注意点

  • 材料の種類にかかわらず、屋根をふく工事全般が対象です。したがって、金属の屋根をふく「板金屋根工事」も「板金工事」ではなく「屋根工事」に分類されます 。
  • 屋根と一体になった太陽光パネルの設置工事は「屋根工事」ですが、一般的な太陽光発電設備の設置工事は「電気工事」となります 。

8. 電気工事

どのような工事か

発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備などを設置する工事です

具体的な工事例

  • 発電設備工事
  • 送配電線工事
  • 変電設備工事
  • 照明設備工事
  • 信号設備工事
  • ネオン装置工事

区分の考え方や注意点

  • 太陽光発電設備の設置工事は「電気工事」に該当します 。
  • 機械器具の設置に関する工事で、電気工事と重複する内容がある場合、原則として専門工事である「電気工事」に区分されます 。

9. 管工事

どのような工事か

冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生などのための設備を設置したり、金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気などを送配するための設備を設置したりする工事です

具体的な工事例

  • 冷暖房設備工事
  • 空気調和設備工事
  • 給排水・給湯設備工事
  • 衛生設備工事(浄化槽、水洗便所など)
  • ガス管配管工事
  • ダクト工事

区分の考え方や注意点

  • 建築物内に設置される通常の空調機器の設置は「管工事」ですが、トンネルや地下道などの給排気用に設置される機械器具の工事は「機械器具設置工事」となります 。
  • し尿処理施設のうち、浄化槽(合併処理槽を含む)を設置する工事は、規模の大小を問わず「管工事」です 。
  • 公害防止施設を単体で設置する場合、例えば排水処理設備であれば「管工事」に区分されます 。

10. タイル・れんが・ブロック工事

どのような工事か

れんが、コンクリートブロック、タイルなどを使い、工作物を築造したり、工作物に取り付けたり、貼り付けたりする工事です

具体的な工事例

  • コンクリートブロック積み(張り)工事
  • レンガ積み(張り)工事
  • タイル張り工事
  • 築炉工事
  • サイディング工事

区分の考え方や注意点

  • コンクリートブロックで建築物を建設する工事(エクステリア工事を含む)が、この「タイル・れんが・ブロック工事」に該当します 。
  • 外壁にスレートを貼る工事は「スレート張り工事」として、この業種に含まれます。ただし、スレートで屋根をふく場合は「屋根工事」です 。

11. 鋼構造物工事

どのような工事か

形鋼、鋼板などの鋼材を加工または組立て、工作物を築造する工事です

具体的な工事例

  • 鉄骨工事
  • 橋梁工事
  • 鉄塔工事
  • 石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事
  • 屋外広告工事
  • 水門、閘門(こうもん)などの門扉設置工事

区分の考え方や注意点

  • 鉄骨工事の区分: 鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負うのが「鋼構造物工事」です。既に加工された鉄骨を現場で組立てるだけの場合は「とび・土工・コンクリート工事」に分類されます 。
  • 屋外広告工事の区分: 現場で屋外広告物の製作、加工から設置までを一貫して請け負う場合が「鋼構造物工事」です。それ以外の工事は「とび・土工・コンクリート工事」となります 。
  • ビルの外壁に固定された避難階段の設置は、「建築一式工事」またはこの「鋼構造物工事」に該当します 。

12. 鉄筋工事

どのような工事か

棒鋼などの鋼材を加工し、接合し、または組立てる工事です

具体的な工事例

  • 鉄筋加工組立て工事
  • 鉄筋継手工事

区分の考え方や注意点

  • 鉄筋の配筋と組立てを行う「鉄筋加工組立て工事」と、配筋された鉄筋をガス圧接や溶接などで接合する「鉄筋継手工事」からなります 。

13. 舗装工事

どのような工事か

道路などの地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石などにより舗装する工事です

具体的な工事例

  • アスファルト舗装工事
  • コンクリート舗装工事
  • ブロック舗装工事
  • 路盤築造工事

区分の考え方や注意点

  • 舗装と併せて行われることが多いガードレールの設置工事は、「舗装工事」ではなく「とび・土工・コンクリート工事」に該当します 。
  • コンクリートなどで舗装した地盤面に人工芝を張り付ける工事は「舗装工事」に含まれます 。

14. しゅんせつ工事

どのような工事か

河川、港湾などの水底を、しゅんせつ(掘削)する工事です

具体的な工事例

  • しゅんせつ工事

15. 板金工事

どのような工事か

金属薄板などを加工して工作物に取り付けたり、工作物に金属製などの付属物を取り付けたりする工事です

具体的な工事例

  • 板金加工取付け工事
  • 建築板金工事

区分の考え方や注意点

  • 「建築板金工事」とは、建築物の外壁にカラー鉄板を張ったり、厨房の天井にステンレス板を張ったりする工事を指します 。
  • 金属薄板で屋根をふく工事(板金屋根工事)は、「板金工事」ではなく「屋根工事」に分類されます 。

16. ガラス工事

どのような工事か

工作物にガラスを加工して取り付ける工事です

具体的な工事例

  • ガラス加工取付け工事
  • ガラスフィルム工事

17. 塗装工事

どのような工事か

塗料、塗材などを工作物に吹付け、塗付け、または、はり付ける工事です

具体的な工事例

  • 塗装工事
  • 溶射工事
  • ライニング工事
  • 布張り仕上工事
  • 鋼構造物塗装工事
  • 路面標示工事

区分の考え方や注意点

  • 塗装を行う際の準備作業である下地調整やブラスト工事は、当然に「塗装工事」に含まれます 。

18. 防水工事

どのような工事か

アスファルト、モルタル、シーリング材などによって防水を行う工事です

具体的な工事例

  • アスファルト防水工事
  • モルタル防水工事
  • シーリング工事
  • 塗膜防水工事
  • シート防水工事
  • 注入防水工事

区分の考え方や注意点

  • 「防水工事」に含まれるのは、いわゆる建築系の防水工事のみです。トンネル防水工事などの土木系の防水工事は、「とび・土工・コンクリート工事」に該当します 。
  • 防水モルタルを用いた防水工事は、「防水工事」と「左官工事」のどちらの業種の許可でも施工可能です 。

19. 内装仕上工事

どのような工事か

木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすまなどを用いて、建築物の内装仕上げを行う工事です

具体的な工事例

  • インテリア工事
  • 天井仕上工事
  • 壁張り工事
  • 内装間仕切り工事
  • 床仕上工事
  • たたみ工事
  • ふすま工事
  • 家具工事
  • 防音工事

区分の考え方や注意点

  • 家具工事: 建築物に家具を据え付けたり、現場で材料を加工・組み立てて据え付けたりする工事です 。
  • 防音工事: 建築物における通常の防音工事を指します。ホールなど、構造的に音響効果を目的とするような専門的な工事は含みません 。
  • たたみ工事: 採寸から、たたみの製造・加工、敷きこみまでを一貫して請け負う工事を指します 。

20. 機械器具設置工事

どのような工事か

機械器具の組立てなどにより工作物を建設したり、工作物に機械器具を取り付けたりする工事です

具体的な工事例

  • プラント設備工事
  • 運搬機器設置工事(昇降機設置工事も含む)
  • 集塵機器設置工事
  • 給排気機器設置工事
  • 揚排水機器設置工事
  • 遊技施設設置工事
  • 立体駐車設備工事

区分の考え方や注意点

  • 他の専門工事(電気工事、管工事、電気通信工事、消防施設工事)に該当する機械器具の設置は、それぞれの専門工事に区分されます。これらいずれにも該当しない、複合的な機械器具の設置が「機械器具設置工事」となります 。
  • 給排気機器設置工事: トンネルや地下道などの給排気用に設置される機械器具の工事です。建築物内の通常の空調機器の設置は「管工事」に該当します 。
  • 公害防止施設を単体で設置する場合、例えば集塵設備であれば「機械器具設置工事」に区分されます 。

21. 熱絶縁工事

どのような工事か

工作物または工作物の設備を熱絶縁する工事です

具体的な工事例

  • 冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備などの熱絶縁工事
  • ウレタン吹付け断熱工事

22. 電気通信工事

どのような工事か

有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備などの電気通信設備を設置する工事です

具体的な工事例

  • 有線電気通信設備工事
  • 無線電気通信設備工事
  • データ通信設備工事
  • 情報処理設備工事
  • 放送機械設備工事
  • TV電波障害防除設備工事

区分の考え方や注意点

  • 既に設置された電気通信設備の改修、修繕、補修も「電気通信工事」に該当します。ただし、点検、整備、修理といった保守業務は含まれません 。

23. 造園工事

どのような工事か

整地、樹木の植栽、景石のすえ付けなどにより庭園、公園、緑地などを築造したり、道路や建築物の屋上などを緑化したり、植生を復元したりする工事です

具体的な工事例

  • 植栽工事
  • 景石工事
  • 公園設備工事(花壇、噴水、休憩所、遊具など)
  • 広場工事(芝生広場、運動広場など)
  • 園路工事(遊歩道、緑道など)
  • 屋上等緑化工事
  • 緑地育成工事

区分の考え方や注意点

  • 「植栽工事」には、植生を復元する建設工事も含まれます 。
  • 「緑地育成工事」とは、樹木、芝生、草花などを育成する工事で、土壌改良や支柱の設置などを伴うものを指します 。

24. さく井工事

どのような工事か

さく井機械などを用いて、さく孔(穴をあける)、さく井(井戸を掘る)を行う工事、またはこれらの工事に伴う揚水設備設置などを行う工事です

具体的な工事例

  • さく井工事
  • 観測井工事
  • 温泉掘削工事
  • 石油掘削工事
  • 天然ガス掘削工事
  • 揚水設備工事

25. 建具工事

どのような工事か

工作物に木製または金属製の建具などを取り付ける工事です

具体的な工事例

  • 金属製建具取付け工事
  • サッシ取付け工事
  • 金属製カーテンウォール取付け工事
  • シャッター取付け工事
  • 自動ドアー取付け工事
  • 木製建具取付け工事
  • ふすま工事

26. 水道施設工事

どのような工事か

上水道、工業用水道などのための取水、浄水、配水などの施設を築造する工事、または公共下水道・流域下水道の処理設備を設置する工事です

具体的な工事例

  • 取水施設工事
  • 浄水施設工事
  • 配水施設工事
  • 下水処理設備工事

区分の考え方や注意点

  • 上水道の取水・浄水・配水施設や、下水処理場内の処理設備の設置が「水道施設工事」です。公道下の配管は「土木一式工事」、宅地内の配管は「管工事」と区別されます 。
  • 農業用水道やかんがい用配水施設の建設は、「土木一式工事」に該当します 。
  • 公共団体が設置する下水道で収集された汚水を処理する施設の建設が「水道施設工事」です。汲み取り方式で収集されたし尿を処理する施設は「清掃施設工事」、浄化槽の設置は「管工事」となります 。

27. 消防施設工事

どのような工事か

火災警報設備、消火設備、避難設備、または消火活動に必要な設備を設置し、または工作物に取り付ける工事です

具体的な工事例

  • 屋内消火栓設置工事
  • スプリンクラー設置工事
  • 水噴霧、泡、ガスなどによる消火設備工事
  • 火災報知設備工事
  • 非常警報設備工事
  • 金属製避難はしご、救助袋、緩降機、排煙設備の設置工事

区分の考え方や注意点

  • ここでいう「金属製避難はしご」とは、火災時などにのみ使用する組立式のはしごを指します。ビルの外壁に固定された避難階段は、建物の躯体の一部とみなされ、「建築一式工事」または「鋼構造物工事」に該当します 。

28. 清掃施設工事

どのような工事か

し尿処理施設またはごみ処理施設を設置する工事です

具体的な工事例

  • ごみ処理施設工事
  • し尿処理施設工事

区分の考え方や注意点

  • 公共団体が設置する施設で、汲み取り方式により収集されたし尿を処理する施設の建設が「清掃施設工事」です 。
  • 公害防止施設を単体で設置する工事は「清掃施設工事」ではなく、例えば排水処理設備なら「管工事」、集塵設備なら「機械器具設置工事」のように、それぞれの専門工事に区分されます 。

29. 解体工事

どのような工事か

工作物の解体を行う工事です

具体的な工事例

  • 工作物解体工事

区分の考え方や注意点

  • それぞれの専門工事で建設される工作物について、それだけを解体する場合は、各専門工事に該当します 。
  • 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ「土木一式工事」や「建築一式工事」に該当する場合があります 。

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