【事案の概要】
【第1段階】税務課職員M氏(35歳)が、滞納整理業務のストレスでうつ病を発症し休職した。上司のN課長は「甘えている」と公言し、職場復帰を認めようとしない。
【第2段階】M氏が労働基準監督署に相談したところ、職場のパワハラが原因である可能性が指摘された。さらに調査が進むと、同課では過去3年間で5人が精神的不調で休職していることが判明した。
【第3段階】労災認定を受けたM氏が、市とN課長を相手取り損害賠償請求訴訟を提起。報道により他の職員からも同様の被害申告が相次ぎ、組織的な問題として表面化した。
【設問(段階別)】
第1段階
(1)メンタルヘルス不調職員への適切な対応は何か
(2)職場復帰支援の具体的プログラムを設計せよ
第2段階
(3)職場環境調査の実施方法と改善策を検討せよ
(4)管理職の意識改革をどう進めるか
第3段階
(5)訴訟対応と並行した組織改革をどう進めるか
(6)職員の心理的安全性確保のための総合対策を策定せよ
※ご自分でまず考えてから下記の専門家解説を見てください。
【講師解説例】
第1段階
- 適切な対応
- 産業医との連携による専門的判断
- 本人の状況に応じた配慮措置
- プライバシー保護と職場の理解促進
- 段階的復帰プログラムの準備
- 職場復帰支援
- 主治医との連携による復帰時期判断
- 試し出勤制度の活用
- 業務量・内容の段階的調整
- 定期的なフォローアップ
第2段階
3. 職場環境調査
- 全職員アンケート(匿名性確保)
- 管理職への聞き取り調査
- 業務量・労働時間の客観的分析
- 外部専門家による職場環境診断
- 管理職意識改革
- メンタルヘルス研修の必修化
- 部下指導方法の具体的指導
- 管理職評価制度への反映
- 成功事例の共有と表彰
第3段階
5. 訴訟対応と組織改革
- 法務部門と連携した適切な応訴
- 和解可能性の検討
- 改革への真摯な取り組み姿勢の表明
- 被害者救済と再発防止の両立
- 心理的安全性確保対策
- ハラスメント防止規程の整備
- 相談窓口の充実(外部機関含む)
- 職場風土改革プログラムの実施
- 定期的な職場環境モニタリング
コンプライアンス・リスク管理のポイント
- メンタルヘルス問題は個人と組織の両面アプローチが必要
- 予防重視の組織づくりが最も重要
- 管理職の意識と行動変革が成功の鍵