自治体の放置自転車の撤去は強制措置でありながら、私人に委託も可能か

1.放置自転車に対する強制措置の根拠

(1)自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律

第六条 市町村長は、駅前広場等の良好な環境を確保し、その機能の低下を防止するため必要があると認める場合において条例で定めるところにより放置自転車等を撤去したときは、条例で定めるところにより、その撤去した自転車等を保管しなければならない。
2 市町村長は、前項の規定により自転車等を保管したときは、条例で定めるところによりその旨を公示しなければならない。この場合において、市町村長は、当該自転車等を利用者に返還するため必要な措置を講ずるように努めるものとする。
3 市町村長は、第一項の規定により保管した自転車等につき、前項前段の規定による公示の日から相当の期間を経過してもなお当該自転車等を返還することができない場合においてその保管に不相当な費用を要するときは、条例で定めるところにより、当該自転車等を売却し、その売却した代金を保管することができる。この場合において、当該自転車等につき、買受人がないとき又は売却することができないと認められるときは、市町村長は、当該自転車等につき廃棄等の処分をすることができる。‥‥

(2)地方公共団体の条例

例えば、京都市
 京都市自転車放置防止条例(その関連規定として京都市自転車総合計画や京都市自転車安心安全条例もある)
放置されている自転車等の撤去及び保管
第5条 市長は、撤去強化区域内に自転車等が放置されているときは、これを撤去し、保管することができる。
2 市長は、撤去強化区域外の公共の場所において、自転車等が放置されていることにより、当該公共の場所の機能に障害が生じているときは、当該自転車等を撤去し、保管することができる。
3 市長は、公共の場所に自転車等が放置されているときは、当該自転車等を直ちに当該公共の場所から移動するよう警告するための標章(以下「警告符」という。)を当該自転車等の見やすい箇所に取り付けることができる。
4 市長は、前項の規定により警告符を取り付けた日から起算して7日を経過したにもかかわらず、なお自転車等が放置されているときは、当該自転車等を撤去し、保管することができる。
5 市長は、第1項、第2項又は前項の規定により自転車等を撤去するために必要な限度において、当該自転車等と電柱、柵その他の工作物とをつなぐ鎖の切断その他必要な措置を講じることができる。
6 前項の措置により自転車等の所有者又は利用者が受けた損害については、本市は、賠償の責めを負わない。‥‥

2.放置自転車の撤去は、行政上の即時強制である

 ※即時強制とは、目前急迫の必要があって義務を命じる暇がない場合に、 行政機関が相手方の義務の不履行を前提とすることなく、 直接いきなり国民の身体や財産に実力を加え、行政上必要な状態を作り出す行為のことである。義務の存在を前提とする、行政代執行などと対比される。

 これは、公権力の行使に当たる事実行為で、法的な根拠規範が必要とされている(宇賀)。それが上記の法律と条令である。 よって、地方公共団体は 自治事務についての法律の一般的規定と条例で定めをもてば、放置自転車の撤去、 保管、処分等を行うことができ、さらに、内部の規定によれば、私人へ契約で委託もできるが地方自治法の財務契約の定めに従わなければならない。京都市に問い合わせすると担当者はここが抜けていた・

実際上は、会計年度任用職員や再任用を使っているところも多いであろうが、京都市のように私人への委託もあろう。また、65歳定年改正の後は、定年前再任用短時間勤務職員の任用もあろう。

3.コンプライアンスの観点

 ステークホルダーである住民などの信頼を得るためには、このような公権力による実力行使には、何らかの形で公務員自身が行っているのと同じ状況を打ち出す必要があろう。
 特に、京都市のように私人に委託する場合は、市の職員が権力行為を行うわけではなく、私人が不適正な公権力の行使を行わないよう、監督、管理と同等の委託契約書等での担保が不可欠であろう。

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