行政への反社会的勢力と自治体コンプライアンス

1.警察庁の自治体「行政対象暴力に関するアンケート調査」の衝撃的な結果

(1)行政への反社会的勢力の不当要求の多さ

長崎県の大村市や雲仙市での講演で紹介した数字を皆さんは信じられるであろうか。

★警察庁などが全国の地方自治体を対象に実施した「行政対象暴力に関するアンケート調査」(平成27年度版)で、

33.0%が暴力団などの反社会的勢力に不当要求を受けたと回答し、

10.6%が不当要求に応じていたことが分かった。

不当要求の中身は、不当要求等の内容をたずねると、

「機関紙(誌)の購読」が16.0%(15件)と最も多く、以下「公共事業等の受注業者に対する行政指導等」14.9%、「許認可等の決定」11.7%と続く。

 

従来から「機関紙の購読」が多く、次いで「物品購入」、さらには「生活保護などの公的給付の支給」「公共工事での受注等への便宜」といった行政特有の要求も多かった。

また、これまでこうした要求に応じた理由として、「トラブル拡大を恐れた」が多かったが、「以前から応じており断るのが困難」とする反社会勢力との関係がなかなか切れていない実情もあろうか。

不当要求した反社会的勢力は、「政治活動標榜」、「社会運動標榜」が多く、暴力団や暴力団関係企業を上回っている。

これは、全国47都道府県で成立した暴力団排除条例の成果でもあるが、外見を変えただけのこともあり、またより先鋭化した組織が残ったと言えなくもない。

 

(2)東日本大震災復興事業等への反社会的勢力の不当要求

震災関連で、暴力団等反社会的勢力から不当要求を受けた自治体は7自治体があった。

不当要求の内容は、

「公共工事への参入要求」と「融資等の支給要求」が各2件、

「物品、資材等を自社又は特定の業者から納入することの要求」と「各種補償金の交付要求」が各1件である。

「高放射線量を放置したことへの謝罪と優先的被ばく検査の要求」、

「公共事業等の受注業者に対する情報提供及び行政指導等の要求」、

「災害廃棄物の粉塵による私有車の損傷で修理費を要求」も1件ずつあった。

 

2.自治体は税金を暴力団に渡していいのか

信じられない数字ではないか。

税金を暴力団に払っている。

住民はそんなことをいいと思っているわけがない。

最大のステークホルダーである住民の信頼を完全に裏切っている。

⇒しかし、これに関連して北陸地方の町でもっと衝撃的な不祥事が発生している。実名は、ちょっと講演会等でしか申し上げられないが。

とりあえずは、一般の行政の方は、次のことをしっかり守ってほしい。

 

3.反社会的勢力への対応の「基本」確認

(1) 毅然とした態度

恐れず侮らず勇気を持って、公務の自覚のもとで,厳正な姿勢で対応する。

(2) 信念と気迫を持つ

暴力には屈しない、粗暴な言動による脅しに負けない、弱みを見せない。

(3) 冷静沈着な応対をする

必ず挑発してくるから、失言に気をつける。

言葉尻を捉えて揚げ足をとるのが常套手段である。

彼らは、口が最大の商売道具です。

無理難題をのませようとするので、相手のペースに乗らないように。

(4) 受付応対方法

受付は,来訪者の氏名,人数,用件等をしっかり確認

応対場所は、周りから見通せるカウンターや部屋で、ドアは開放しておく。

お茶は不要、花瓶や灰皿も小道具で使ってくる。

投げる、机をたたく、手で弄ぶ。

小道具扱いに長けている。役者の演じる小道具、場の持たせ方と同じ。

(5)「暴力追放ポスター」,「不当要求行為防止責任者講習受講修了書」等を張っておく。

(6)複数で応対する

常に相手より多い人数で応対し、3人は必要である。

応対係,記録係,緊急時の警察などへの通報係等の役割分担を確認しておく。

(7)所属長に絶対に応対させない

部長,課長などの決定権を持つ者が応対すると,即答を迫られるから。

名刺は渡さないようにする(ネームプレートで示す)。

応対係は自分が対応すると言い切る。

 ※そのほか、このサイトにある「クレーム対応」の内容も十分熟読して、行政暴力に対応してほしい。

なお、警察庁は「暴力団排除等のための部外への情報提供について」(警察庁丙組企分発第4 2 号、丙組暴発第1 9 号平成2 3 年1 2 月2 2 日)で要件を満たせば、暴力団情報を提供することに方針を大変換した。

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