制度の概要

(1)遺言書の保管の申請

保管の申請の対象となるのは,民法第968条の自筆証書によってした遺言(自筆証書遺言)に係る遺言書のみで(法第1条)、遺言書は,封のされていない法務省令で定める様式(別途定められる)に従って作成されたものでなければならない(法第4条第2項)。

民法第968条の自筆証書によってした遺言に係る遺言書でない場合とは、外形的に見て有効な自筆証書遺言でないことが一義的に明白である遺言書を意味するものである。そのような遺言書としては、作成日付や氏名の記載がない遺言書、本文が手書きでない遺言書、遺言書の作成時に遺言者の年齢が15歳に達していない遺言書等が挙げられる。
遺言書の保管に関する事務は,法務局のうち法務大臣の指定する法務局(遺言書保管所)において,遺言書保管官として指定された法務事務官が取り扱う(法第2条,法第3条)。
遺言書の保管の申請は,遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所の遺言書保管官に対してすることができる(法第4条第3項)。
遺言書の保管の申請は,代理申請が一切できず、遺言者が遺言書保管所に自ら出頭して行う。その際,遺言書保管官は,申請人が本人であるかどうかの確認をする(法第4条第6項,法第5条)。

遺言書の保管の申請の却下:遺言書保管官は,遺言書の保管の申請が遺言者以外の者によるものである場合等には,理由を付した決定で,当該申請を却下する(令第2条)。例えば、遺言者から遺言書を預かっている者が自己を申請名義人として法第4条第1項の申請を行った場合には、当該申請は却下されることとなる。又は、申請名義人として遺言者の氏名が記載されている場合において、遺言者から委任を受けた者が代理人として遺言書保管所に出頭して、申請を行ったときは、当該申請は却下されることとなる。

遺言者の住所等の変更の届出:遺言者は,保管の申請をした遺言書が遺言書保管所に保管されている場合において,遺言者の住所等に変更が生じたときは,速やかに,その旨を遺言書保管官に届出をする(令第3条)。

(2)遺言書保管官による遺言書の保管及び情報の管理

保管の申請がされた遺言書については,遺言書保管官が,遺言書保管所の施設内において原本を保管するとともに,その画像情報等の遺言書に係る情報を管理する(法第6条第1項,法第7条第1項)。

(3)遺言者による遺言書の閲覧,保管の申請の撤回

遺言者は,保管されている遺言書について,その閲覧を請求することができ,また,遺言書の保管の申請を撤回することができる(法第6条,法第8条)。保管の申請が撤回されると,遺言書保管官は,遺言者に遺言書を返還するとともに遺言書に係る情報を消去する(法第8条第4項)。
遺言者の生存中は,遺言者以外の方は,遺言書の閲覧等を行うことはできない。

遺言者による遺言書保管ファイルの記録の閲覧:遺言者は,遺言書保管官に対し,いつでも,保管の申請をした遺言書に係る遺言書保管ファイルに記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求をし得る(令第4条)。

遺言書の保管期間:遺言書保管法第6条第5項(法第7条第3項において準用する場合を含む。)の遺言者の生死が明らかでない場合における遺言者の死亡の日に相当する日として政令で定める日は,遺言者の出生の日から起算して120年を経過した日(令第5条第1項)。
遺言書保管法第6条第5項(法第7条第3項において準用する場合を含む。 )の相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定める期間は,遺言書については50年,遺言書に係る情報については150年(令第5条第2項)。

(4)遺言書の保管の有無の照会及び相続人等による証明書の請求等

特定の死亡している者について,自己(請求者)が相続人,受遺者等となっている遺言書(関係遺言書)が遺言書保管所に保管されているかどうかを証明した書面(遺言書保管事実証明書)の交付を請求することができる(法第10条)。
遺言者の相続人,受遺者等は,遺言者の死亡後,遺言書の画像情報等を用いた証明書(遺言書情報証明書)の交付請求及び遺言書原本の閲覧請求が可能である(法第9条)。
遺言書保管官は,遺言書情報証明書を交付し又は相続人等に遺言書の閲覧をさせたときは,速やかに,当該遺言書を保管している旨を遺言者の相続人,受遺者及び遺言執行者に通知する(法第9条第5項)。

遺言書情報証明書の送付請求:遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付請求については、郵送による送付を求めることも可能であるので、遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付を請求する場合において,その送付を求めるときは,当該送付に要する費用を納付する必要がある(第6条)。

遺言書の保管申請書等の閲覧:遺言者は,特別の事由があるときは,遺言書保管官に対し,遺言書の保管の申請に係る申請書又はその添付書類等の閲覧の請求をすることができる(第10条第1項,第2項)。特別の事由としては、偽造された添付書類等が用いられるなどの不正な手段によって申請等又は撤回がされたおそれがある場合等が挙げられる。
遺言者の相続人等は,当該遺言者が死亡している場合において,特別の事由があるときは,遺言書保管官に対し,遺言書の保管の申請に係る申請書又はその添付書類等の閲覧の請求をすることができる(第10条第3項,第4項)。

(5)遺言書の検認の適用除外

遺言書保管所に保管されている遺言書については, 遺言書の検認(民法第1004条第1項)の規定は,適用されない(法第11条)。

(6)手数料

遺言書の保管の申請,遺言書の閲覧請求,遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付の請求をするには,後記の手数料を納める必要がある(法第12条)。

※法務局において自筆証書遺言に係る遺言書を保管する制度の具体的手数料

遺言書保管政令は、法の委任に基づき制定されたものであるが、同政令の規定には、法の個別の委任規定に基づくものと、包括的な委任規定に基づくものがあり、前者は第5条(遺言書保管官による本人確認)等である。

なお、手数料については、法第12条第1項の規定に基づき、下記のように別の政令で定められた。遺言書の撤回及び変更の届出については手数料はかからない。

※法務省の関連サイト(最も詳しい)⇒ http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

法務局における遺言書の保管等に関する法律

平成三十年法律第七十三号

(趣旨)
第一条 この法律は、法務局(法務局の支局及び出張所、法務局の支局の出張所並びに地方法務局及びその支局並びにこれらの出張所を含む。次条第一項において同じ。)における遺言書(民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百六十八条の自筆証書によってした遺言に係る遺言書をいう。以下同じ。)の保管及び情報の管理に関し必要な事項を定めるとともに、その遺言書の取扱いに関し特別の定めをするものとする。
(遺言書保管所)
第二条 遺言書の保管に関する事務は、法務大臣の指定する法務局が、遺言書保管所としてつかさどる。
2 前項の指定は、告示してしなければならない。
(遺言書保管官)
第三条 遺言書保管所における事務は、遺言書保管官(遺言書保管所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が取り扱う。
(遺言書の保管の申請)
第四条 遺言者は、遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請をすることができる。
2 前項の遺言書は、法務省令で定める様式に従って作成した無封のものでなければならない。
3 第一項の申請は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されている場合にあっては、当該他の遺言書が保管されている遺言書保管所)の遺言書保管官に対してしなければならない。
4 第一項の申請をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、遺言書に添えて、次に掲げる事項を記載した申請書を遺言書保管官に提出しなければならない。
一 遺言書に記載されている作成の年月日
二 遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
三 遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所
イ 受遺者
ロ 民法第千六条第一項の規定により指定された遺言執行者
四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
5 前項の申請書には、同項第二号に掲げる事項を証明する書類その他法務省令で定める書類を添付しなければならない。
6 遺言者が第一項の申請をするときは、遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。
(遺言書保管官による本人確認)
第五条 遺言書保管官は、前条第一項の申請があった場合において、申請人に対し、法務省令で定めるところにより、当該申請人が本人であるかどうかの確認をするため、当該申請人を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す書類の提示若しくは提出又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。
(遺言書の保管等)
第六条 遺言書の保管は、遺言書保管官が遺言書保管所の施設内において行う。
2 遺言者は、その申請に係る遺言書が保管されている遺言書保管所(第四項及び第八条において「特定遺言書保管所」という。)の遺言書保管官に対し、いつでも当該遺言書の閲覧を請求することができる。
3 前項の請求をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。
4 遺言者が第二項の請求をするときは、特定遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。この場合においては、前条の規定を準用する。
5 遺言書保管官は、第一項の規定による遺言書の保管をする場合において、遺言者の死亡の日(遺言者の生死が明らかでない場合にあっては、これに相当する日として政令で定める日)から相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定める期間が経過した後は、これを廃棄することができる。
(遺言書に係る情報の管理)
第七条 遺言書保管官は、前条第一項の規定により保管する遺言書について、次項に定めるところにより、当該遺言書に係る情報の管理をしなければならない。
2 遺言書に係る情報の管理は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)をもって調製する遺言書保管ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。
一 遺言書の画像情報
二 第四条第四項第一号から第三号までに掲げる事項
三 遺言書の保管を開始した年月日
四 遺言書が保管されている遺言書保管所の名称及び保管番号
3 前条第五項の規定は、前項の規定による遺言書に係る情報の管理について準用する。この場合において、同条第五項中「廃棄する」とあるのは、「消去する」と読み替えるものとする。
(遺言書の保管の申請の撤回)
第八条 遺言者は、特定遺言書保管所の遺言書保管官に対し、いつでも、第四条第一項の申請を撤回することができる。
2 前項の撤回をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した撤回書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。
3 遺言者が第一項の撤回をするときは、特定遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。この場合においては、第五条の規定を準用する。
4 遺言書保管官は、遺言者が第一項の撤回をしたときは、遅滞なく、当該遺言者に第六条第一項の規定により保管している遺言書を返還するとともに、前条第二項の規定により管理している当該遺言書に係る情報を消去しなければならない。
(遺言書情報証明書の交付等)
第九条 次に掲げる者(以下この条において「関係相続人等」という。)は、遺言書保管官に対し、遺言書保管所に保管されている遺言書(その遺言者が死亡している場合に限る。)について、遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面(第五項及び第十二条第一項第三号において「遺言書情報証明書」という。)の交付を請求することができる。
一 当該遺言書の保管を申請した遺言者の相続人(民法第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者及び相続の放棄をした者を含む。以下この条において同じ。)
二 前号に掲げる者のほか、当該遺言書に記載された次に掲げる者又はその相続人(ロに規定する母の相続人の場合にあっては、ロに規定する胎内に在る子に限る。)
イ 第四条第四項第三号イに掲げる者
ロ 民法第七百八十一条第二項の規定により認知するものとされた子(胎内に在る子にあっては、その母)
ハ 民法第八百九十三条の規定により廃除する意思を表示された推定相続人(同法第八百九十二条に規定する推定相続人をいう。以下このハにおいて同じ。)又は同法第八百九十四条第二項において準用する同法第八百九十三条の規定により廃除を取り消す意思を表示された推定相続人
ニ 民法第八百九十七条第一項ただし書の規定により指定された祖先の祭祀しを主宰すべき者
ホ 国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第十七条の五第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者又は地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第三十七条第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者
ヘ 信託法(平成十八年法律第百八号)第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合においてその受益者となるべき者として指定された者若しくは残余財産の帰属すべき者となるべき者として指定された者又は同法第八十九条第二項の規定による受益者指定権等の行使により受益者となるべき者
ト 保険法(平成二十年法律第五十六号)第四十四条第一項又は第七十三条第一項の規定による保険金受取人の変更により保険金受取人となるべき者
チ イからトまでに掲げる者のほか、これらに類するものとして政令で定める者
三 前二号に掲げる者のほか、当該遺言書に記載された次に掲げる者
イ 第四条第四項第三号ロに掲げる者
ロ 民法第八百三十条第一項の財産について指定された管理者
ハ 民法第八百三十九条第一項の規定により指定された未成年後見人又は同法第八百四十八条の規定により指定された未成年後見監督人
ニ 民法第九百二条第一項の規定により共同相続人の相続分を定めることを委託された第三者、同法第九百八条の規定により遺産の分割の方法を定めることを委託された第三者又は同法第千六条第一項の規定により遺言執行者の指定を委託された第三者
ホ 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第七十五条第二項の規定により同条第一項の登録について指定を受けた者又は同法第百十六条第三項の規定により同条第一項の請求について指定を受けた者
ヘ 信託法第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合においてその受託者となるべき者、信託管理人となるべき者、信託監督人となるべき者又は受益者代理人となるべき者として指定された者
ト イからヘまでに掲げる者のほか、これらに類するものとして政令で定める者
2 前項の請求は、自己が関係相続人等に該当する遺言書(以下この条及び次条第一項において「関係遺言書」という。)を現に保管する遺言書保管所以外の遺言書保管所の遺言書保管官に対してもすることができる。
3 関係相続人等は、関係遺言書を保管する遺言書保管所の遺言書保管官に対し、当該関係遺言書の閲覧を請求することができる。
4 第一項又は前項の請求をしようとする者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。
5 遺言書保管官は、第一項の請求により遺言書情報証明書を交付し又は第三項の請求により関係遺言書の閲覧をさせたときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該関係遺言書を保管している旨を遺言者の相続人並びに当該関係遺言書に係る第四条第四項第三号イ及びロに掲げる者に通知するものとする。ただし、それらの者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
(遺言書保管事実証明書の交付)
第十条 何人も、遺言書保管官に対し、遺言書保管所における関係遺言書の保管の有無並びに当該関係遺言書が保管されている場合には遺言書保管ファイルに記録されている第七条第二項第二号(第四条第四項第一号に係る部分に限る。)及び第四号に掲げる事項を証明した書面(第十二条第一項第三号において「遺言書保管事実証明書」という。)の交付を請求することができる。
2 前条第二項及び第四項の規定は、前項の請求について準用する。
(遺言書の検認の適用除外)
第十一条 民法第千四条第一項の規定は、遺言書保管所に保管されている遺言書については、適用しない。
(手数料)
第十二条 次の各号に掲げる者は、物価の状況のほか、当該各号に定める事務に要する実費を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
一 遺言書の保管の申請をする者 遺言書の保管及び遺言書に係る情報の管理に関する事務
二 遺言書の閲覧を請求する者 遺言書の閲覧及びそのための体制の整備に関する事務
三 遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付を請求する者 遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付及びそのための体制の整備に関する事務
2 前項の手数料の納付は、収入印紙をもってしなければならない。
(行政手続法の適用除外)
第十三条 遺言書保管官の処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章の規定は、適用しない。
(行政機関の保有する情報の公開に関する法律の適用除外)
第十四条 遺言書保管所に保管されている遺言書及び遺言書保管ファイルについては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。
(個人情報の保護に関する法律の適用除外)
第十五条 遺言書保管所に保管されている遺言書及び遺言書保管ファイルに記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない。
(審査請求)
第十六条 遺言書保管官の処分に不服がある者又は遺言書保管官の不作為に係る処分を申請した者は、監督法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる。
2 審査請求をするには、遺言書保管官に審査請求書を提出しなければならない。
3 遺言書保管官は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、相当の処分をしなければならない。
4 遺言書保管官は、前項に規定する場合を除き、三日以内に、意見を付して事件を監督法務局又は地方法務局の長に送付しなければならない。この場合において、監督法務局又は地方法務局の長は、当該意見を行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十一条第二項に規定する審理員に送付するものとする。
5 法務局又は地方法務局の長は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、遺言書保管官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか利害関係人に通知しなければならない。
6 法務局又は地方法務局の長は、審査請求に係る不作為に係る処分についての申請を却下すべきものと認めるときは、遺言書保管官に当該申請を却下する処分を命じなければならない。
7 第一項の審査請求に関する行政不服審査法の規定の適用については、同法第二十九条第五項中「処分庁等」とあるのは「審査庁」と、「弁明書の提出」とあるのは「法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成三十年法律第七十三号)第十六条第四項に規定する意見の送付」と、同法第三十条第一項中「弁明書」とあるのは「法務局における遺言書の保管等に関する法律第十六条第四項の意見」とする。
(行政不服審査法の適用除外)
第十七条 行政不服審査法第十三条、第十五条第六項、第十八条、第二十一条、第二十五条第二項から第七項まで、第二十九条第一項から第四項まで、第三十一条、第三十七条、第四十五条第三項、第四十六条、第四十七条、第四十九条第三項(審査請求に係る不作為が違法又は不当である旨の宣言に係る部分を除く。)から第五項まで及び第五十二条の規定は、前条第一項の審査請求については、適用しない。
(政令への委任)
第十八条 この法律に定めるもののほか、遺言書保管所における遺言書の保管及び情報の管理に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

法務局における遺言書の保管等に関する省令

令和二年法務省令第三十三号

法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成三十年法律第七十三号)第四条第二項、第四項及び第五項、第五条(同法第六条第四項及び第八条第三項並びに法務局における遺言書の保管等に関する政令(令和元年政令第百七十八号)第四条第四項及び第十条第六項において準用する場合を含む。)、第六条第三項、第八条第二項並びに第九条第四項(同法第十条第二項において準用する場合を含む。)及び第五項並びに同令第三条第三項、第四条第一項及び第三項、第六条、第七条第八号、第九条第一項、第三項及び第四項、第十条第五項並びに第十六条の規定に基づき、法務局における遺言書の保管等に関する省令を次のように定める。
目次
第一章 総則(第一条―第八条)
第二章 遺言書の保管の申請手続等(第九条―第二十条)
第三章 遺言者による遺言書の閲覧の請求手続等(第二十一条―第三十二条)
第四章 関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求手続等(第三十三条―第五十一条)
第五章 補則(第五十二条)
附則
第一章 総則
(遺言書等の持出禁止)
第一条 法務局における遺言書の保管等に関する法律(以下「法」という。)第四条第一項の申請に係る遺言書、申請書等(法務局における遺言書の保管等に関する政令(以下「令」という。)第十条第一項に規定する申請書等をいう。以下同じ。)、撤回書等(同条第二項に規定する撤回書等をいう。以下同じ。)及び遺言書保管ファイルは、事変を避けるためにする場合を除き、遺言書保管所外に持ち出してはならない。ただし、遺言書、申請書等及び撤回書等については、裁判所の命令又は嘱託があったときは、この限りでない。
(裁判所への遺言書等の送付)
第二条 裁判所から法第四条第一項の申請に係る遺言書、申請書等又は撤回書等を送付すべき命令又は嘱託があったときは、遺言書保管官は、その関係がある部分に限り、送付しなければならない。
(遺言書保管ファイルの調製方法)
第二条の二 遺言書保管ファイルは、その記録に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。)をもって調製するものとする。
(帳簿)
第三条 遺言書保管所には、次に掲げる帳簿を備えるものとする。
一 遺言書保管申請書等つづり込み帳
二 請求書類つづり込み帳
三 決定原本つづり込み帳
四 審査請求書類等つづり込み帳
五 遺言書保管関係帳簿保存簿
2 次の各号に掲げる帳簿には、当該各号に定める書類をつづり込むものとする。
一 遺言書保管申請書等つづり込み帳 申請書等及び撤回書等
二 請求書類つづり込み帳 法第六条第二項、第九条第一項及び第三項並びに第十条第一項並びに令第四条第一項、第九条第一項及び第十条第一項から第四項までの請求(第七条第一項及び第八条第一項において「閲覧請求等」という。)に係る書類
三 決定原本つづり込み帳 法第四条第一項の申請を却下した決定に係る決定書の原本
四 審査請求書類等つづり込み帳 審査請求書その他の審査請求事件に関する書類
3 遺言書保管関係帳簿保存簿には、遺言書保管ファイルを除く一切の遺言書保管関係帳簿の保存状況を記載するものとする。
(保存期間)
第四条 次の各号に掲げる帳簿の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。
一 遺言書保管申請書等つづり込み帳 受付の日から十年間
二 請求書類つづり込み帳 受付の日から五年間
三 決定原本つづり込み帳 これにつづり込まれた決定書に係る決定の翌年度から五年間
四 審査請求書類等つづり込み帳 これにつづり込まれた審査請求書の受付の年度の翌年度から五年間
五 遺言書保管関係帳簿保存簿 作成の時から三十年間
(遺言書等の廃棄等)
第五条 遺言書保管所において法第六条第五項(法第七条第三項において準用する場合を含む。)の規定により遺言書を廃棄し若しくは遺言書に係る情報を消去し又は帳簿を廃棄するときは、法務局又は地方法務局の長の認可を受けなければならない。
(記載の文字)
第六条 法第四条第四項の申請書、法第六条第三項の請求書その他の遺言書の保管に関する書面に記載する文字は、字画を明確にしなければならない。
(添付書類の省略)
第七条 同一の遺言書保管所の遺言書保管官に対し、同時に数個の申請等(令第十条第一項に規定する申請等をいう。次条第一項において同じ。)、法第八条第一項の撤回又は閲覧請求等をする場合において、各申請書、各届出書、各撤回書又は各請求書に添付すべき書類に内容が同一であるものがあるときは、一個の申請書、届出書、撤回書又は請求書のみに一通を添付すれば足りる。
2 前項の場合には、他の各申請書、各届出書、各撤回書又は各請求書にその旨を記載しなければならない。
(添付書類の原本還付)
第八条 申請等、法第八条第一項の撤回又は閲覧請求等をした者は、申請書、届出書、撤回書又は請求書の添付書類の原本の還付を請求することができる。
2 前項の規定により原本の還付を請求する者は、原本と相違ない旨を記載した謄本を提出しなければならない。
3 遺言書保管官は、書類を還付したときは、その謄本に原本還付の旨を記載し、これに押印しなければならない。
第二章 遺言書の保管の申請手続等
(遺言書の様式)
第九条 法第四条第二項の法務省令で定める様式は、別記第一号様式によるものとする。
(遺言書の保管の申請書の様式)
第十条 法第四条第四項の申請書は、別記第二号様式によるものとする。
(遺言書の保管の申請書の記載事項)
第十一条 法第四条第四項第四号の法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 遺言者の戸籍の筆頭に記載された者の氏名
二 遺言者の電話番号その他の連絡先
三 申請をする遺言書保管官の所属する遺言書保管所が遺言者の住所地及び本籍地を管轄しないとき(次号の場合を除く。)は、遺言者が所有する不動産の所在地(当該遺言書保管所が管轄するものに限る。)
四 遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されているときは、その旨
五 遺言書に法第九条第一項第二号(イを除く。)及び第三号(イを除く。)に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所
六 遺言書の総ページ数
七 手数料の額
八 申請の年月日
九 遺言書保管所の表示
(遺言書の保管の申請書の添付書類)
第十二条 法第四条第五項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。
一 前条第一号に掲げる事項を証明する書類
二 遺言書が外国語により記載されているときは、日本語による翻訳文
(遺言書保管官による本人確認の方法)
第十三条 法第五条(法第六条第四項及び第八条第三項、令第四条第四項及び第十条第六項並びに第十九条第三項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の規定による提示若しくは提出又は説明は、次のいずれかの方法によるものとする。
一 個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。)、運転免許証(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第九十二条第一項に規定する運転免許証をいう。)、運転経歴証明書(同法第百五条の二第一項に規定する運転経歴証明書をいう。)、旅券等(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に規定する旅券及び同条第六号に規定する乗員手帳をいう。ただし、書類の提示を行う者の氏名及び出生の年月日の記載があるものに限る。)、在留カード(同法第十九条の三に規定する在留カードをいう。)又は特別永住者証明書(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)第七条に規定する特別永住者証明書をいう。)を提示する方法
二 前号に掲げるもののほか、官公署から発行され、又は発給された書類その他これに類する書類(氏名及び出生の年月日又は住所の記載があり、本人の写真が貼付されたものに限る。)であって、当該書類の提示を行う者が本人であることを確認することができるものとして遺言書保管官が適当と認めるものを提示する方法
(申請人を特定するために必要な事項)
第十四条 法第五条の法務省令で定める事項は、氏名及び出生の年月日又は住所とする。
(保管証)
第十五条 遺言書保管官は、法第四条第一項の申請に基づいて遺言書の保管を開始したときは、遺言者に対し、保管証を交付しなければならない。
2 前項の保管証は、別記第三号様式により、次に掲げる事項を記録して作成するものとする。
一 遺言者の氏名及び出生の年月日
二 遺言書が保管されている遺言書保管所の名称及び保管番号
(保管証の送付の請求)
第十六条 遺言者は、送付に要する費用を納付して、前条第一項の保管証の送付を請求することができる。
2 前項の場合における保管証の送付は、遺言者の住所に宛てて、郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)によってするものとする。
(保管証の交付を要しない場合)
第十七条 遺言書保管官は、遺言者が、法第四条第一項の申請に基づいて遺言書の保管を開始した時から三月を経過しても保管証を受領しないときは、第十五条第一項の規定にかかわらず、遺言者に対し、保管証を交付することを要しない。この場合においては、同条第二項の規定により作成した保管証を廃棄することができる。
(遺言書の保管の申請の却下の方式)
第十八条 遺言書保管官は、法第四条第一項の申請を却下するときは、決定書を作成して、これを申請人に交付するものとする。
2 前項の交付は、当該決定書を送付する方法によりすることができる。
3 遺言書保管官は、法第四条第一項の申請を却下したときは、遺言書及び添付書類を還付するものとする。ただし、偽造された添付書類その他の不正な申請のために用いられた疑いがある添付書類については、この限りでない。
(遺言書の保管の申請の取下げ)
第十九条 法第四条第一項の申請の取下げをしようとする申請人は、その旨を記載した取下書を遺言書保管官に提出しなければならない。
2 前項の取下げは、法第四条第一項の申請に基づいて遺言書の保管が開始された後は、することができない。
3 申請人が第一項の取下げをするときは、法第四条第一項の申請をした遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。この場合においては、法第五条の規定を準用する。
4 遺言書保管官は、第一項の取下げがされたときは、遺言書並びに申請書及びその添付書類を還付するものとする。前条第三項ただし書の規定は、この場合について準用する。
(遺言書に係る情報の管理の方法)
第二十条 遺言書保管官は、遺言書に係る情報の管理をするには、第十一条第一号及び第五号に掲げる事項をも遺言書保管ファイルに記録しなければならない。
第三章 遺言者による遺言書の閲覧の請求手続等
(遺言者による遺言書の閲覧の請求の方式)
第二十一条 法第六条第三項の請求書は、別記第四号様式によるものとする。
2 前項の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 法第四条第四項第二号に掲げる事項及び第十一条第二号に掲げる事項
二 手数料の額
三 請求の年月日
四 遺言書保管所の表示
(遺言者による遺言書の閲覧の方法)
第二十二条 法第六条第二項の規定による遺言書の閲覧は、遺言書保管官又はその指定する職員の面前でさせるものとする。
(遺言者による遺言書保管ファイルの記録の閲覧の請求の方式)
第二十三条 第二十一条の規定は、令第四条第三項の請求書について準用する。
(遺言者による遺言書保管ファイルの記録の閲覧の方法)
第二十四条 令第四条第一項の法務省令で定める方法は、遺言書保管ファイルに記録されている次に掲げる事項を出力装置の映像面に表示する方法とする。
一 法第七条第二項各号に掲げる事項
二 第十一条第一号及び第五号に掲げる事項
2 第二十二条の規定は、令第四条第一項の規定による遺言書保管ファイルの記録の閲覧について準用する。
(遺言書の保管の申請の撤回の方式)
第二十五条 法第八条第二項の撤回書は、別記第五号様式によるものとする。
2 前項の撤回書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 法第四条第四項第二号に掲げる事項及び第十一条第二号に掲げる事項
二 撤回の年月日
三 遺言書保管所の表示
(遺言書の保管の申請の撤回書の添付書類)
第二十六条 法第四条第四項第二号に掲げる事項に変更がある場合(令第三条第一項の規定により当該変更に係る届出がされている場合を除く。)における法第八条第二項の法務省令で定める書類は、当該変更を証明する書類とする。
(遺言書等の返還の手続)
第二十七条 遺言書保管官は、法第八条第四項の規定により遺言書を遺言者に返還するときは、当該遺言書を受領した旨を記載した受領書と引換えに返還するものとする。
2 遺言書保管官は、第十二条第二号の翻訳文を保存している場合において、法第八条第四項の規定により遺言書を遺言者に返還するときは、当該翻訳文についても当該遺言者に返還するものとする。この場合においては、前項の規定を準用する。
(遺言者の住所等の変更の届出の方式)
第二十八条 令第三条第三項(第三十条第二項において準用する場合を含む。)の届出書は、別記第六号様式によるものとする。
2 前項の届出書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 法第四条第四項第二号に掲げる事項
二 法定代理人によって届出をするときは、当該法定代理人の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人が法人であるときはその代表者の氏名
三 届出人又は法定代理人の電話番号その他の連絡先
四 令第三条第一項の変更が生じた事項
五 届出の年月日
六 遺言書保管所の表示
(遺言者の住所等の変更の届出書の添付書類)
第二十九条 令第三条第三項(次条第二項において準用する場合を含む。)の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。
一 変更が生じた法第四条第四項第二号に掲げる事項(次条第二項において準用する場合にあっては、変更が生じた第十一条第一号に掲げる事項)を証明する書類
二 届出人の氏名及び出生の年月日又は住所と同一の氏名及び出生の年月日又は住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該届出人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)
三 法定代理人によって届出をするときは、戸籍謄本その他その資格を証明する書類で作成後三月以内のもの
(その他の変更の届出)
第三十条 遺言者は、法第四条第一項の申請に係る遺言書が遺言書保管所に保管されている場合において、第十一条第一号又は第五号に掲げる事項に変更が生じたときは、その旨を遺言書保管官に届け出るものとする。
2 令第三条第二項及び第三項の規定は、前項の届出について準用する。
(遺言者による申請書等の閲覧の請求の方式)
第三十一条 令第十条第一項及び第二項の請求に係る同条第五項の請求書は、別記第七号様式によるものとする。
2 前項の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 法第四条第四項第二号に掲げる事項及び第十一条第二号に掲げる事項
二 閲覧を請求する申請書等又は撤回書等
三 特別の事由
四 手数料の額
五 請求の年月日
六 遺言書保管所の表示
(遺言者による申請書等の閲覧の方法)
第三十二条 第二十二条の規定は、令第十条第一項及び第二項の規定による申請書等及び撤回書等の閲覧について準用する。
第四章 関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求手続等
(関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求の方式)
第三十三条 法第九条第一項の請求に係る同条第四項の請求書は、別記第八号様式によるものとする。
2 前項の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 請求人の資格、氏名又は名称、出生の年月日又は会社法人等番号(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)及び住所並びに請求人が法人であるとき又は法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定めのあるものであるときはその代表者又は管理人の氏名
二 法定代理人によって請求するときは、当該法定代理人の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人が法人であるときはその代表者の氏名
三 請求人又は法定代理人の電話番号その他の連絡先
四 遺言者の氏名、出生の年月日、最後の住所、本籍(外国人にあっては、国籍。以下同じ。)及び死亡の年月日
五 法第九条第一項第一号に規定する相続人(当該相続人の地位を相続により承継した者を除く。次項第三号並びに次条第一項第一号及び第二号において「相続人」という。)の氏名、出生の年月日及び住所
六 請求に係る証明書の通数
七 手数料の額
八 請求の年月日
九 遺言書保管所の表示
3 次の各号に掲げる場合は、当該各号に掲げる事項の記載を要しない。
一 請求人が遺言書保管事実証明書の写しを添付した場合 前項第四号に掲げる事項のうち遺言者の最後の住所、本籍及び死亡の年月日
二 法第九条第一項の請求に係る遺言書について、既に遺言書情報証明書が交付され又は関係相続人等による閲覧がされている場合 前号に掲げる事項及び前項第五号に掲げる事項
三 請求人が不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)第二百四十七条第五項の規定により交付を受けた同条第一項に規定する法定相続情報一覧図の写し(次条第一項第一号において「法定相続情報一覧図の写し」という。)(相続人の住所の記載があるものに限る。)を添付した場合(廃除された者がある場合を除く。) 前項第五号に掲げる事項
(関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求書の添付書類)
第三十四条 法第九条第一項の請求に係る同条第四項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。
一 遺言者を被相続人とする法定相続情報一覧図の写し(廃除された者がある場合には、法定相続情報一覧図の写し及びその者の戸籍の謄本、抄本又は記載事項証明書)又は遺言者(当該遺言者につき代襲相続がある場合には、被代襲者を含む。)の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本若しくは全部事項証明書並びに相続人の戸籍の謄本、抄本又は記載事項証明書(遺言者又は相続人が外国人である場合には、これらに準ずるもの)
二 相続人の住所を証明する書類
三 請求人の氏名又は名称及び住所と同一の氏名又は名称及び住所が記載されている市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した証明書(公務員が職務上作成した書類がない場合にあっては、これに代わるべき書類をいい、当該請求人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)
四 請求人が法第九条第一項第一号に規定する相続人に該当することを理由として請求する場合は、当該相続人に該当することを証明する書類
五 請求人が法第九条第一項第二号に規定する相続人に該当することを理由として請求する場合は、当該相続人に該当することを証明する書類
六 請求人が法人であるときは、登記事項証明書(商業登記法第十条第一項(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する登記事項証明書をいう。第四十四条第一項第五号において同じ。)その他の代表者の資格を証明する書類で作成後三月以内のもの
七 法定代理人によって請求するときは、戸籍謄本その他その資格を証明する書類で作成後三月以内のもの
八 請求人が法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものであるときは、当該社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管理人の資格を証明する書類
2 前項の請求に係る遺言書について、既に遺言書情報証明書の交付がされ又は関係相続人等による閲覧がされている場合には、同項第一号及び第二号に掲げる書類の添付を要しない。
(遺言書情報証明書の作成方法)
第三十五条 遺言書情報証明書を作成するには、遺言書保管官は、次に掲げる事項を記載した書面の末尾に認証文を付した上で、作成の年月日及び職氏名を記載し、職印を押さなければならない。
一 法第七条第二項各号に掲げる事項
二 遺言書に記載された法第九条第一項第二号(イを除く。)及び第三号(イを除く。)に掲げる者の氏名又は名称及び住所
(遺言書情報証明書の交付の方法)
第三十六条 遺言書保管官は、次に掲げる方法によって遺言書情報証明書を交付しなければならない。
一 第十三条各号に掲げる方法により請求人、その法定代理人又は請求人が法人又は法人でない社団若しくは財団であるときはその代表者又は管理人が本人であることを確認して交付する方法
二 請求人又はその法定代理人の住所に宛てて郵便又は信書便により送付して交付する方法
(関係相続人等による遺言書の閲覧の請求の方式)
第三十七条 法第九条第三項の請求に係る同条第四項の請求書は、別記第九号様式によるものとする。
2 第三十三条第二項(第六号を除く。)及び第三項の規定は、前項の請求書について準用する。
(関係相続人等による遺言書の閲覧の請求書の添付書類)
第三十八条 第三十四条の規定は、法第九条第三項の請求に係る同条第四項の法務省令で定める書類について準用する。
(関係相続人等による遺言書の閲覧の方法)
第三十九条 遺言書保管官は、第十三条各号に掲げる方法により請求人、その法定代理人又は請求人が法人又は法人でない社団若しくは財団であるときはその代表者又は管理人が本人であることを確認して、法第九条第三項の規定による閲覧をさせなければならない。
2 第二十二条の規定は、法第九条第三項の規定による遺言書の閲覧について準用する。
(関係相続人等による遺言書保管ファイルの記録の閲覧の請求の方式)
第四十条 第三十七条の規定は、令第九条第三項の請求書について準用する。
(関係相続人等による遺言書保管ファイルの記録の閲覧の請求書の添付書類)
第四十一条 第三十四条の規定は、令第九条第三項の法務省令で定める書類について準用する。
(関係相続人等による遺言書保管ファイルの記録の閲覧の方法)
第四十二条 第二十四条及び第三十九条第一項の規定は、令第九条第一項の規定による遺言書保管ファイルの記録の閲覧について準用する。
(遺言書保管事実証明書の交付の請求の方式)
第四十三条 法第十条第二項において準用する法第九条第四項の請求書は、別記第十号様式によるものとする。
2 第三十三条第二項(第五号を除く。)の規定は、前項の請求書について準用する。
(遺言書保管事実証明書の交付の請求書の添付書類)
第四十四条 法第十条第二項において準用する法第九条第四項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。
一 遺言者が死亡したことを証明する書類
二 請求人の氏名又は名称及び住所と同一の氏名又は名称及び住所が記載されている市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した証明書(公務員が職務上作成した書類がない場合にあっては、これに代わるべき書類をいい、当該請求人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)
三 請求人が法第九条第一項第一号に規定する相続人に該当することを理由として請求する場合は、当該相続人に該当することを証明する書類
四 請求人が法第九条第一項第二号に規定する相続人に該当することを理由として請求する場合は、当該相続人に該当することを証明する書類
五 請求人が法人であるときは、登記事項証明書その他の代表者の資格を証明する書類で作成後三月以内のもの
六 法定代理人によって請求するときは、戸籍謄本その他その資格を証明する書類で作成後三月以内のもの
七 請求人が法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものであるときは、当該社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管理人の資格を証明する書類
2 請求人が第四十八条第二項の書面の写しを添付したときは、前条第二項において準用する第三十三条第二項第四号に掲げる事項のうち遺言者の最後の住所、本籍及び死亡の年月日の記載を要せず、かつ、前項第一号に掲げる書類の添付を要しない。
(遺言書保管事実証明書の作成方法)
第四十五条 遺言書保管事実証明書を作成するには、遺言書保管官は、次に掲げる事項を記載した書面の末尾に認証文を付した上で、作成の年月日及び職氏名を記載し、職印を押さなければならない。
一 関係遺言書の保管の有無
二 関係遺言書が保管されている場合にあっては、法第四条第四項第一号及び第七条第二項第四号に掲げる事項
三 請求人の資格、氏名又は名称及び住所
四 遺言者の氏名及び出生の年月日
(遺言書保管事実証明書の交付の方法)
第四十六条 第三十六条の規定は、法第十条第一項の規定による遺言書保管事実証明書の交付について準用する。
(令第七条第八号の法務省令で定める者)
第四十七条 令第七条第八号の法務省令で定める者は、次に掲げる者とする。
一 労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第四十三条第二項の規定により遺族補償を受けることができる遺族のうち特に指定された者
二 船員法施行規則(昭和二十二年運輸省令第二十三号)第六十三条第二項の規定により遺族手当を受けることができる遺族のうち特に指定された者
三 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律施行規則(平成二十一年厚生労働省令第七十五号)第九条第二項第八号の規定により指定された特定配偶者等支援金を受けることができる遺族のうち特に指定された者
(関係遺言書保管通知)
第四十八条 遺言書保管官は、法第九条第五項本文の場合又は令第九条第四項本文の場合には、速やかに、関係遺言書を保管している旨を当該関係遺言書に記載された法第九条第一項第二号(イを除く。)及び第三号(イを除く。)に掲げる者にも通知するものとする。ただし、それらの者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
2 法第九条第五項、令第九条第四項及び前項の通知は、関係遺言書を現に保管する遺言書保管所の遺言書保管官が、郵便又は信書便により書面を送付する方法により行うものとする。
3 前項の遺言書保管所以外の遺言書保管所の遺言書保管官は、法第九条第一項の請求により遺言書情報証明書を交付し又は令第九条第一項の請求により遺言書保管ファイルに記録された事項を表示したものの閲覧をさせたときは、遅滞なく、その旨を前項の遺言書保管所に通知しなければならない。
(関係相続人等による申請書等の閲覧の請求の方式)
第四十九条 令第十条第三項及び第四項の請求に係る同条第五項の請求書は、別記第十一号様式によるものとする。
2 前項の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 第三十三条第二項各号(第五号及び第六号を除く。)に掲げる事項
二 閲覧を請求する申請書等又は撤回書等
三 特別の事由
(関係相続人等による申請書等の閲覧の請求書の添付書類)
第五十条 第四十四条の規定は、令第十条第三項又は第四項の請求に係る同条第五項の法務省令で定める書類について準用する。
(関係相続人等による申請書等の閲覧の方法)
第五十一条 第三十九条の規定は、令第十条第三項及び第四項の規定による申請書等及び撤回書等の閲覧について準用する。
第五章 補則
(手数料等の納付の方法)
第五十二条 法第十二条第二項(令第四条第五項、第九条第五項及び第十条第七項において準用する場合を含む。)の手数料の納付は、別記第十二号様式による手数料納付用紙に、当該手数料の額に相当する収入印紙を貼ってしなければならない。
2 令第六条及び第十六条第一項の送付に要する費用は、郵便切手又は信書便の役務に関する料金の支払のために使用することができる証票であって法務大臣の指定するもので納付しなければならない。
3 前項の指定は、告示してしなければならない。
附 則
(施行期日)
第一条 この省令は、法の施行の日(令和二年七月十日)から施行する。

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