はじめに

 2026年を迎えた今、振り返ると2025年は企業不祥事が相次いだ一年であった。本稿では、2025年に発生した主要な企業不祥事を9つのカテゴリーに分類し、それぞれの事案が組織のガバナンスとコンプライアンスに与える示唆を考察する。ここに挙げる事例が全てではないが、これらの不祥事から導き出される教訓は、あらゆる組織にとって普遍的な価値を持つものである。

 企業経営者、知事、市町村長をはじめとする組織のリーダーには、この一年間でどのような不正が起き、なぜそれが防げなかったのかを理解していただきたい。不祥事は突然発生するのではない。それは組織の土壌に長年蓄積された構造的問題が、ある時点で表面化したものに過ぎない。

2025年主要企業不祥事の分析

1. ニデック(旧・日本電産)の会計不正事案

事案の概要

 京都に本社を置くニデック株式会社(旧・日本電産)は、2025年9月3日、経営陣が関与した可能性のある不適切な会計処理が発覚したと発表し、第三者委員会を設置した。発端は7月22日、子会社ニデックテクノモータの中国法人において約2億円の不適切な会計処理の疑いが監査等委員会に報告されたことである。

 調査の過程で、ニデック本体及びグループ会社においても、経営陣が関与または認識した上で、資産性にリスクのある資産について評価減の時期を恣意的に検討していたと解釈しうる資料が複数発見された。この問題を受け、金融庁は10月27日、ニデックを特別注意銘柄に指定した。会計監査を担当するPwCジャパンは2025年3月期の有価証券報告書に対して「意見不表明」とし、ニデックは新規顧客への融資業務停止など、内部管理体制の改善を求められる事態となった。

構造的問題の分析

 永守重信氏のカリスマ的リーダーシップの下、M&Aによる急速な成長を遂げてきたニデックであるが、グローバルな企業集団として規模が拡大する中で、組織全体のコンプライアンス態勢の整備が追いついていなかったと言わざるを得ない。トップダウンの強力な意思決定が成長の原動力となる一方で、現場レベルでの健全な牽制機能が働きにくい組織風土が形成されていた可能性がある。

 会計不正は組織に対する信頼を著しく損なう。市場経済は相互の信頼で成り立っているにもかかわらず、虚偽の情報を開示することは経済社会の崩壊を招く源となり得る。特に上場企業においては、投資家をはじめとするステークホルダーに対する説明責任が極めて重い。どれほど優れた経営者であっても、一人の力では巨大な組織の隅々まで目を配ることは不可能である。だからこそ、組織全体でコンプライアンスを徹底する仕組みが不可欠なのである。

2. フジテレビのハラスメント問題と組織統治の欠陥

事案の概要

 フジテレビジョン及びフジ・メディア・ホールディングスは、2024年12月の週刊誌報道をきっかけに、元タレント中居正広氏と元女性アナウンサーとの間で発生したトラブルに関する対応の不備が明るみに出た。2025年1月の記者会見では、港浩一前社長らがプライバシー保護を理由に回答を控える場面が相次ぎ、説明責任を果たさない姿勢が激しい批判を招いた。

 1月23日に設置された第三者委員会は3月31日に調査報告書を公表し、中居氏による性暴力を認定するとともに、「フジテレビの業務の延長線上にあった人権侵害」と結論づけた。さらに報告書は、フジテレビ全社的に「ハラスメントがまん延していた」と評価し、経営陣の人権意識の低さ、取締役会のガバナンス機能の脆弱性、被害者よりも加害者側を優先する組織対応など、深刻な企業風土の問題を指摘した。第三者委員会委員長は会見で「フジテレビの人権意識は低く、それがステークホルダーの離反や人権意識とのギャップを生んだ」と厳しく批判した。

内部統制の機能不全

内部統制(インターナルコントロール)の仕組みは1980年代から40年近く議論されてきた経営の基本である。にもかかわらず、大手放送局であるフジテレビにおいて、現代社会で必要とされる組織のあり方が十分に整備されていなかったことは驚きである。コンプライアンスとは、単に規程を作成することではない。トップが明確な方針を決め、実効性のある規定を整備し、責任者を配置して実行し、その要である「倫理」と「リスク管理」を組織の隅々まで浸透させることである。

 フジテレビの事案で特に問題だったのは、被害女性が上司に相談していたにもかかわらず、組織として適切な対応が取られなかった点である。相談窓口が形骸化しており、被害者が声を上げても適切な対応がなされない状況が常態化していた。むしろ経営幹部が中居氏の利益を優先する行動を取り、被害者を二次的に傷つける結果となった。このような対応は、組織としての安全配慮義務違反であり、重大な人権侵害である。

 この事案は、日本の企業社会全体に蔓延する「結果が全て」という価値観の危険性を浮き彫りにした。視聴率や収益を最優先し、そのためには多少の人権侵害には目をつぶるという姿勢が、長年にわたって組織に根付いていたのである。しかし現代において、プロセスを無視して結果のみを追求する経営は、短期的には成功することがあっても、持続可能な経営ではない。人権尊重は経営の大前提であり、これを軽視する組織は必ず崩壊する。

3. いわき信用組合の反社会的勢力への不正融資

事案の概要

 福島県のいわき信用組合では、2025年10月31日、特別調査委員会の報告により、1990年代から反社会的勢力への資金提供が断続的に行われていたことが判明した。金融庁は同日、銀行法に基づき、11月17日から12月16日まで新規顧客への融資業務の停止を含む業務改善命令を発出した。

 調査によれば、2004年3月期から2025年3月期までに実施された279億8400万円の不正融資のうち、約10億円が反社会的勢力に流れていた。発端は1990年代、右翼団体等による街宣活動を鎮めるため、反社会的勢力の仲介者に「解決金」として3億円超を支払ったことに遡る。その後、この関係を背景に2018年まで断続的に資金提供が続けられた。不正融資は、顧客の名義を無断で借用する「無断借名融資」、融資先を経由させる「迂回融資」、融資額を水増しして差額を還流させる「水増し融資」という3つの手法で実行された。

金融機関のガバナンス崩壊

 かつてみずほ銀行でも反社会的勢力への融資問題が発覚し、金融庁から厳しい処分を受けた。金融庁は金融機関に対し、反社会的勢力との関係遮断を最重要課題として指導している。それにもかかわらず、いわき信用組合では再びこのような事態が発生した。

 特に深刻なのは、組織ぐるみでの隠蔽工作が行われていた点である。2024年11月に財務省東北財務局から報告徴求命令を受けた際、組合は事実と異なる答弁を繰り返した。無断借名融資リストを保管したパソコンについて、当初は「ハンマーで壊した」と説明していたが、後に「役員に返して廃棄された」と説明を変えるなど、虚偽の報告を重ねていた。金融庁は、反社会的勢力との関係が明るみに出ることを恐れた旧経営陣による隠蔽の悪質性を厳しく指摘している。

 金融機関において反社会的勢力との関係遮断ができないことは、ガバナンスの根本的な欠陥を示している。筆者はこのような形だけのコンプライアンスを、環境問題における「グリーンウォッシュ」になぞらえて「コンプラウォッシュ」と呼んでいる。表面的には立派な規程や体制を整えていても、実際には機能していない。リスク管理に加え、職業倫理を高める人間教育を徹底しなければ、このような問題は根絶できない。

 地域金融機関特有の課題も浮き彫りになった。トップに権限が集中しやすい統治構造、地域社会の人的関係網による牽制機能の弱体化、経済縮小による不良債権問題の先送りなど、構造的な脆弱性が指摘されている。これらの課題は、いわき信用組合だけの問題ではなく、多くの地域金融機関が直面している共通の課題である。

4. オルツ(AIベンチャー)の循環取引による粉飾決算

事案の概要

 AI議事録サービス「AI GIJIROKU」を提供する株式会社オルツは、2024年10月に東証グロース市場に上場したが、わずか10ヶ月後の2025年8月31日に上場廃止となった。2025年4月、証券取引等監視委員会の調査により、売上高の急増や利益率の異常な推移が指摘され、不適切会計の疑いが浮上した。

 7月28日に公表された第三者委員会の調査報告書により、2021年12月期から2024年12月期までの売上高の大半が循環取引による過大計上であったことが判明した。具体的には、広告代理店に対して広告宣伝費の名目で、研究開発業者に対して研究開発費の名目で資金を支出し、これらの資金が販売パートナー(SP)を経由して、最終的にオルツへの売上代金として回収される仕組みが構築されていた。過大計上額は3年間で累計約119億円に達し、2024年12月期の売上高60億円のうち82%(49億円)、2023年12月期の41億円のうち91%(37億円)が架空であった。

 7月30日、オルツは東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、8月6日に開始決定を受けた。負債総額は約24億円である。さらに2025年10月には、創業者の元社長ら元役員4名が金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載)の容疑で逮捕・起訴され、両罰規定により法人としてのオルツも起訴された。

監査制度の限界と課題

 オルツの事案で注目すべきは、監査法人の交代が行われていた点である。当初の監査法人は2022年、「販売代理店と広告代理店が同一の企業グループであり循環取引のおそれがある」と問題点を指摘し、十分な監査手続きが実施できないとして監査契約を解約した。しかし、後任の監査法人シドーは、前任から循環取引の疑義の指摘を受けながらも、オルツから提出された虚偽の資料に基づいて無限定適正意見を表明してしまった。

 さらに深刻なのは、上場審査の過程でも不正が見抜けなかった点である。主幹事証券の大和証券がバーター取引の疑いを指摘した際、オルツは業務委託契約書を改ざんして提出していた。日本取引所自主規制法人の上場審査担当者は「最初から故意でやられると、見抜けない可能性も高い」と述べているが、これは監査制度や上場審査制度の根幹を揺るがす問題である。

 ChatGPTを生んだOpenAIをはじめ、AI関連企業は数多く出現している。技術革新が急速に進む分野では、市場参加者が実態を正確に把握することが困難である。だからこそ、経営者の誠実性が問われる。オルツの事案は、「成長神話」に踊らされることなく、企業の実態をしっかりと見極める必要性を示している。

5. 日本郵便の不適切点呼とJALの飲酒問題

事案の概要

 日本郵便では、車両運転前のアルコールチェック(点呼)が不適切に行われていたことが判明した。また、日本航空(JAL)などでは、パイロットが二日酔いの状態で操縦しようとするなど、信じられないような事態も発生している。

飲酒問題の背景

 地方公共団体における懲戒処分の事例を調査すると、飲酒関係の事案が増加している。また、パワーハラスメントによる免職も出てきている。かつては「厳しく指導して勝てばいい」「結果が全て」という風潮が日本のスポーツ界や企業社会に根強く存在した。しかし、その過程で人権侵害が発生し、自殺に追い込まれる人が出てしまっている。このような考え方は、現代社会では決して通用しない。

 飲酒に関する問題は、個人のモラルの問題として片付けられがちだが、実は組織の安全管理体制の問題である。適切なアルコールチェック体制の構築、職員の健康管理、メンタルヘルスケアなど、組織として取り組むべき課題は多い。

6. 日本生命の情報不正取得

事案の概要

 日本生命では、銀行へ出向していた職員が、出向先で得た顧客情報を、日本生命に戻った際の営業活動に不正に利用していたことが判明した。

構造的問題

 他社への出向は、職員の視野を広げ、スキルを向上させる良い機会である。しかし、その過程で得た情報を自社の利益のために不正に利用することは、信頼関係を根底から覆す行為である。これもまた「結果が全て」という価値観が生んだ不正と言える。

 情報管理の重要性がこれほど叫ばれている時代に、大手生命保険会社でこのような事案が発生したことは、組織のコンプライアンス意識の低さを示している。出向者に対する情報管理教育の徹底、帰任後の行動監視、内部通報制度の整備など、組織として講じるべき対策は明確である。

7. アサヒグループホールディングスへのサイバー攻撃

事案の概要

 アサヒグループホールディングスがサイバー攻撃を受け、製品供給などに影響が出た。サイバー攻撃は依然として多発しており、最近では長野県上田市役所のような公的機関も標的となっている。

情報セキュリティ対策の重要性

 サイバー攻撃への対策は、もはや「やったほうがよい」レベルの課題ではなく、組織の存続に直結する必須の取り組みである。技術的対策だけでなく、職員の意識向上、インシデント対応体制の整備、事業継続計画(BCP)の策定など、総合的な取り組みが求められる。情報セキュリティの強化は毎日の課題である。

8. サントリーホールディングスのレピュテーションリスク

事案の概要

 サントリーホールディングスの会長が、サプリメントの原料に関する違法成分の疑いで警察の強制捜査を受け、会長職を辞任した。

レピュテーションリスクの深刻性

 サプリメントを製造・販売している企業のトップが、違法成分の入手に関わったと疑われることは、企業にとって極めて大きなレピュテーションリスク(評判を損なうリスク)である。たとえ個人の行為であっても、組織全体の信頼性が損なわれる。経営者の私的な行動であっても、それが企業価値に影響を与えることを、あらゆる経営者が認識する必要がある。

9. その他の不祥事

 関西電力による油の流出事故など、環境問題に関わる不祥事も発生した。環境への影響は、一企業の問題にとどまらず、地域社会全体に深刻な影響を及ぼす。環境リスク管理の重要性は、今後ますます高まっていくであろう。

不祥事から見えてくる共通課題

リスク管理と職業倫理の両輪

 これらの事例を分析すると、組織のガバナンスとコンプライアンスにおいて重要なのは「リスク管理」と「職業倫理」の両輪であることが明らかである。リスク管理だけでは不十分であり、職員一人ひとりが高い職業倫理を持つことが不可欠である。逆に、職業倫理だけに頼っていても、具体的なリスク管理の仕組みがなければ、不正は防げない。

内部通報制度の実効性

 内部通報体制を整備し、通報者が不利益を受けない仕組みを構築することは、現代の組織にとって必須である。公益通報者保護法が強化され、内部通報制度の整備が義務化されているが、形式的な窓口を設置するだけでは意味がない。通報を受けた際の対応手順、調査体制、通報者保護の具体的措置など、実効性のある制度設計が求められる。

「見える化」から「言える化」へ

 組織を強くするためには、これまでの「見える化」に加え、不自然なことをおかしいと言える「言える化」が重要になる。心理的安全性が高い組織であれば、内部通報に至る前の段階で、職員同士が問題を指摘し合い、正すことができる。上司に意見を言えない、同僚の不正を指摘できない、おかしいと思っても黙っている――このような組織風土こそが、不祥事を生む温床となる。

 「言える化」を実現するためには、経営トップ自らが、批判や異論を歓迎する姿勢を示すことが不可欠である。部下からの指摘を「生意気だ」と感じるのではなく、「組織のために勇気を持って発言してくれた」と評価する文化を醸成しなければならない。これは口で言うほど簡単ではない。多くの経営者は、自分では「開かれた組織」を作っているつもりでも、実際には部下が萎縮していることに気づいていない。

形式主義からの脱却

 多くの組織で、コンプライアンス研修は年に一度のビデオ視聴と簡単なテストで終わっている。ハラスメント防止規程は立派に整備されているが、実際に被害を訴えても適切に対応されない。内部通報窓口は設置されているが、通報しても何も変わらない――このような「コンプラウォッシュ」状態にある組織は、決して少なくない。

 真のコンプライアンス態勢とは、規程の数でも研修の回数でもない。実際に問題が発生した時に、組織として適切に対応できるかどうかである。そのためには、日頃から風通しの良い組織文化を醸成し、問題を早期に発見し、迅速に対応する体制を整備しておく必要がある。

哲学的・人文学的考察―なぜ人は組織の中で不正を犯すのか

 企業不祥事を法律や経営の観点から分析するだけでは不十分である。なぜ善良な人々が、組織の中で不正に手を染めてしまうのか。この問いに答えるためには、哲学や心理学、社会学といった人文科学の知見が必要となる。

社会心理学が示す「悪の凡庸さ」

 ハンナ・アーレントが指摘した「悪の凡庸さ(banality of evil)」は、企業不祥事を理解する上で重要な概念である。ナチスの大量虐殺に関与した官僚アイヒマンは、特別に邪悪な人間ではなく、上司の命令に忠実に従っただけの「普通の人」であった。同様に、企業の不正に関与する多くの人々も、決して生まれながらの悪人ではない。組織の論理に従い、上司の指示に応じているうちに、自分が何をしているのか分からなくなってしまうのである。

 ミルグラムの服従実験やスタンフォード監獄実験が示すように、人間は権威や役割に従って、本来の道徳感覚とは異なる行動を取ってしまう。組織における「空気」や「同調圧力」は、個人の倫理観を容易に歪めてしまう強い力を持っている。

システムとしての悪―構造的腐敗

 個人の倫理観だけでは、組織の不正は防げない。なぜなら、不正は往々にして組織のシステムそのものに組み込まれているからである。いわき信用組合の事案がまさにそうであった。反社会的勢力への資金提供は、特定の個人の判断ではなく、組織として長年継続されてきた「業務」であった。新しく組織に入った人間は、それが当然のこととして受け入れ、疑問を持たなくなる。

 このような構造的腐敗に対抗するためには、外部の視点が不可欠である。内部にいる人間には、何がおかしいのか見えなくなっている。第三者委員会の設置、外部監査の強化、社外取締役の実質的な機能発揮など、組織の外から健全性をチェックする仕組みが必要なのである。

目的と手段の転倒―目的合理性の暴走

 マックス・ウェーバーが警告した「目的合理性の暴走」も、企業不祥事を理解する上で重要である。本来、企業活動の目的は、社会に価値を提供し、ステークホルダーの幸福に貢献することである。しかし、売上や利益といった「手段」が「目的」化してしまうと、本来の目的が見失われる。オルツの事案がまさにそうであった。上場し、高い株価を維持することが目的化し、本来提供すべき価値の創造が忘れ去られた。

 この問題を防ぐためには、組織の存在意義(パーパス)を常に問い直す必要がある。我々は何のために存在するのか。誰のために仕事をしているのか。この根本的な問いを忘れた組織は、必ず道を誤る。

再発防止に向けた具体的提言

1. 経営トップのコミットメント

コンプライアンス態勢の整備は、経営トップの明確なコミットメントから始まる。「うちの会社では不正は許さない」という強いメッセージを、言葉だけでなく行動で示す必要がある。トップ自らが率先して倫理的な行動を取り、不正を発見した際には厳正に対処する姿勢を示すことが、組織文化を変える第一歩である。

2. 実効性のある内部通報制度

形式的な通報窓口ではなく、実際に機能する内部通報制度を構築する。通報者の匿名性を保証し、不利益取扱いを徹底的に禁止する。通報を受けた際の調査手順を明確化し、迅速かつ公正な対応を行う。そして、通報の結果、実際に組織が改善されたという実績を積み重ねることで、制度への信頼を醸成する。

3. 心理的安全性の醸成

職員が安心して意見を述べることができる環境を作る。失敗を許容し、そこから学ぶ文化を作る。異論や批判を歓迎し、建設的な議論を奨励する。このような組織文化の醸成は、一朝一夕にはできないが、地道な取り組みの積み重ねによって実現できる。

4. 継続的な教育と意識向上

年に一度のビデオ視聴ではなく、日常的にコンプライアンスを意識する仕組みを作る。具体的な事例を用いたケーススタディ、ロールプレイング、グループディスカッションなど、参加型の研修を実施する。管理職に対しては、部下の不正の兆候を早期に発見するための訓練を行う。

5. 外部専門家の活用

内部だけでは限界がある。弁護士、公認会計士、コンプライアンスの専門家など、外部の視点を積極的に取り入れる。定期的な外部監査を実施し、組織の健全性をチェックする。問題が発生した際には、速やかに第三者委員会を設置し、客観的な調査を行う。

おわりに―法の明かりで社会を照らす

2025年の企業不祥事を振り返ると、多くの共通点が見えてくる。それは、形式的なコンプライアンス態勢の整備だけでは不十分であり、組織文化の根本的な変革が必要だということである。「見える化」だけでなく「言える化」を実現し、心理的安全性の高い組織を作ることが、不祥事を防ぐ最も確実な方法である。

不祥事は、組織にとって危機であると同時に、変革の機会でもある。痛みを伴う経験から学び、より強く、より健全な組織に生まれ変わることができる。そのためには、表面的な対症療法ではなく、組織の深層にある問題に真正面から向き合う勇気が必要である。

中川総合法務オフィスは、「法の明かりで社会を照らす」を理念に、組織のコンプライアンス態勢の構築と改善を支援している。単なる規程の作成や研修の実施にとどまらず、組織文化の変革まで踏み込んだ支援を行っている。自分の組織を真に健全なものにしたいとお考えの経営者の方々には、ぜひご相談いただきたい。

コンプライアンス研修・コンサルティングのご案内

中川総合法務オフィス代表の中川恒信は、企業・自治体・団体等において850回を超えるコンプライアンス研修を実施してきた実績を持つ、この分野における第一人者です。単なる法律知識の伝達にとどまらず、哲学・思想・人文科学・自然科学にも深い知見を有し、組織の本質的な課題に切り込む独自のアプローチで高い評価を得ています。

主な実績・強み

  • 豊富な研修実績:850回超のコンプライアンス研修を担当。企業、自治体、医療機関、教育機関など、あらゆる業種・規模の組織に対応可能
  • 不祥事組織の再建支援:実際に不祥事が発生した組織のコンプライアンス態勢再構築を支援した経験を豊富に持つ
  • 内部通報外部窓口:複数の組織の内部通報外部窓口を現に担当しており、実務に即したアドバイスが可能
  • メディア対応:企業不祥事に関する再発防止策について、新聞・テレビ等のマスコミからしばしば意見を求められる専門家
  • 学際的アプローチ:法律のみならず、経営学、心理学、哲学、倫理学など多角的な視点から組織の問題を分析

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万が一不祥事が発生した場合、迅速かつ適切な対応と再発防止策の策定を支援します。第三者委員会の設置支援、調査の実施、報告書の作成、再発防止策の実行まで、トータルでサポートします。

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研修・コンサルティング費用

基本料金:1回30万円(税別)

※研修時間、内容、参加人数等により変動する場合があります。詳細はお問い合わせください。
※継続的なコンサルティング契約の場合は、別途お見積もりいたします。
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執筆者プロフィール

中川恒信(なかがわ こうしん)
中川総合法務オフィス 代表
コンプライアンス・企業統治の専門家として、企業・自治体等における850回超の研修実績を持つ。法律のみならず、哲学・思想・経営学・心理学など幅広い学際的知見を活かし、組織の本質的課題に切り込む独自のアプローチで高い評価を得ている。不祥事組織の再建支援、内部通報外部窓口の運営など、実務経験も豊富。マスコミからの取材も多く、企業不祥事に関する再発防止策について意見を求められる第一人者。

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