1.不祥事が発覚するときはどんな時か

(1)組織内部から

・本人の告白

・公益通報(内部通報・内部告発)

・業務上の察知(上司、同僚等)

・内部検査(内部監査)

公益通報者保護法の制定以来はヘルプラインの規程を作る組織が増えているが、そのルートではなく、むしろ行政やマスコミへの内部告発(外部告発)が増加している。

(2)組織の外部から

・第三者からの告発や通報

⇒取引業者、金融機関、警察、マスコミ等

・外部監査(行政等の検査)

⇒監査法人、中央官庁、都道府県、官公庁等

2.不祥事件の発生・発覚時の具体的対応の仕方

(1)事実確認

まず事実の確認をしなければならない。

本人、関係人(上司・同僚・外部等)からの情報収集を早急に行う。

プラス情報、マイナス情報はもちろん、変だなと思う情報も集めることが肝心である。

事実は小説より奇なり。

(2)コンプライアンス統括部署・責任者・担当者の対応

・当該事案の緊急度・重要度・影響度に応じた臨機応変な対応を心掛ける

・外部からの告発、第三者に被害が及ぶ事案については、外部への影響を最小限に食い止めるよう配慮する

・把握した事実については、いたずらに隠ペいしようとせず、誠意をもって対応する

・事件を起こした本人・関係人(上司等)に対しては、責任の所在を明確にする

・公益通報(内部告発)による場合は、同時に通報者(告発者)の保護も行う

・事件についての資料、報告書その他の文書の決裁・保管・送付・回収については、個人情報やプライバシーに特に注意を払う

3.不祥事件対応の管理・運営体制

 コンプライアンス統括責任者は「コンプライアンス委員会」等の開催を命じて、原因調査、対応策、再発予防策等についての検討を指示し、その審議結果等を参考にして、次に定める事項について必要な指示を行う。

・事件関係者からの聴取等による情報収集及び調査、解明

・都道府県、中央官庁、官公庁への報告・届出の指示

・事件の当事者である部署その他関係部署に対する指示・指導・助言

・弁護士・公認会計士等の専門家・識者からのヒアリング

・訴訟の提起等を含む対応策の検討

・事件の再発防止策の検討・作成

・関係者及び職員への「個別ステートメント」作成

・マスコミへの対応は、プレスリリースだけか、記者会見も行うか決定

・第三者委員会の設置の有無と具体的な弁護士等の人選方法

・企業等で監督官庁があるときはそことの折衝及び対応

4.不祥事防止策とその実行

(1)役員・職員等のコンプライアンス研修の実施

研修をやったとの言い訳にするような研修は絶対に止める。ほとんどの研修会社がやっているような、みんなの前でテキストを読むだけの講師が非常に多い。コンプライアンスの実績のある専門家を呼んで真剣な研修を実施しないと再発必至である。

(2)不祥事の責任と再発防止の責任体制の明確化

マスコミは、不祥事に対する責任の所在を聞いて来る。しっかりと答えられる様にする。

また、再発しないように業務改善等、再発防止策の着実な実行を図るとともに、再発防止の責任体制も明確にする。

(3)業務の複数チェックと人事ローテーション実施

不祥事は業務遂行上、一人の職員に責任や権限を集中させて発生することが多く、複数のチェック体制を確立するとともに、特定の職員を長期間にわたり同一部署の同一業務に従事させないように、適切な人事ローテーションを実施する。

(4)モニタリングの充実

マネジメントのPDCAサイクルアクション、内部統制のCOSOのモニタリング、上司のチェックなどを充実させて、再発防止策の実行と今後の事件の発生を未然に防ぐことに力を入れる。

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