水道局の不祥事が指定都市でも多いが、不祥事防止のコンプライアンス態勢はどうすればいいのか

1.水道局の不祥事防止【地方公共団体の水道局等の不祥事】コンプライアンス態勢構築

(1)水道局の重要性と不祥事の多さ

◆水道局は地方自治体にとって欠かせない部局であり、生活インフラの最たるものである。

しかし、その水道局でなぜこのように不祥事が多いのであろうか。

殊に、最近の不祥事では

・京都市水道局の職員2人が勤務時間中にパチンコ(2008年)

・大阪市水道局の職員の痴漢行為での逮捕(2011年)

・横浜市水道局職員の自転車窃盗(2009年)

・川崎市水道局職場内のいじめ(パワーハラスメント)による若手職員の自殺(高裁判決2003年)

とすさまじい勢いである。

■平成末から令和になっても、

・都営水道談合 職員7人懲戒処分 背景に順法意識の低さ(令和元年11月)

・名古屋市上下水道局 で漏水修理などに関して不適切な事務処理で約580万円過払い(令和4年7月)

等が多数あって、枚挙にいとまがない。

(2)横浜市水道局の不祥事

横浜市水道局では、「水道局職員による自転車の窃盗」について水道局長のコメントがHPに載っている。

水道局職員(男性・50歳代)が、職場から帰宅中に歩道の施錠されていない自転車を盗み、自宅まで乗っていき使用し続けていたところ、たまたま警察官による職務質問を受け、自転車が盗難車であることが発覚した。

S水道局長のコメントでは、「…市民の皆様の信頼を裏切る事態となり大変申し訳なく…不祥事撲滅のため、全力をあげて取り組…。」とのことである。

(3)大阪市水道局の不祥事

大阪市水道局で、職員が、平成23年3月15日(火)午前8時頃、京阪電車内で痴漢行為を行ったことにより、大阪府迷惑防止条例違反容疑で大阪府寝屋川警察署に逮捕された。

すでに、大阪市水道局は「不祥事根絶プログラム」を作成しその取組を進めて服務規律の確保やコンプライアンス意識の徹底を図っていたが、市民等の信頼を裏切った。

この職員は年齢が56歳である。

警察官の不祥事データでも紹介したが、50代の不祥事の多さよ!

先がすっかり見えてきたときに、緊張感がふと切れてしまうのであろうか。

2.水道局不祥事根絶プログラムの内容(大阪市HP等参照)

(1)職員服務ハンドブック等を作成

部下職員服務指導監督要領(水道局版)の策定、

水道局服務関係規定の厳罰化、

停職期間の延長、

期末・勤勉手当の減額規定の整備、

退職手当の支給制限及び返納制度の構築並びに退職手当の減額規定の整備、

懲戒処分に関する指針(水道局版)の改定、

水道局服務規律確保推進委員会等の設置、

コンプライアンス実態調査の実施、

コンプライアンス研修、

服務研修の見直し・充実、

コンプライアンス意識啓発ビデオ鑑賞会、

e-ラーニングを活用し、刑法等基本法令や服務上留意すべき点を学ぶ、

階層別研修等の充実、

分限処分等に関する指針(水道局版)の改定、

職員への情報発信、

被処分者に対する再発防止策の実施、

かいぜんWater で局長表彰された職員の人事考課への反映、

水道のプロフェッショナルとしての職責の認識及び使命感と誇りの共有化を推進するための職場ミーティング等の実施、

契約方式等業務執行体制の見直しで、随意契約から公募型指名比較見積に変更し、出来高均等順番制により実施するとともに、段階的に一般競争入札への移行を進める。

公印請求簿の様式を改正するとともに、公印の適正管理のためのマニュアルを作成しする。

多額・多重債務のある職員への指導の徹底、

公的債権滞納者(給与差押者)への指導徹底

等である。

 (2)コンプライアンス研修の工夫

コンプライアンス研修では、これらの不祥事や水道局の不祥事の実例を多数踏まえて効果的な研修を行うべきであろう。

やっつけ研修、テキスト読み上げ研修、研修業者への一括丸投げ研修は止めよう。

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