■地方税(地方自治法223条)は地方公共団体の収入の柱であろう。
この固定資産税の徴収誤りが非常に多くみられるようになっている。
例えば、小松市で、「有料老人ホームと高齢者グループホームを所有する17の法人や個人に対する固定資産税と都市計画税で、過去19年間に住宅用地の特例を適用せず計1809万円を過大徴収していた。特例の適用可否は施設の設立時に判断されるが、当時の職員が手続きを誤った。還付加算金347万円を加えた計2156万円を返還する。」2021年10月判明
また、つい最近も沖縄市で、「昭和45年から平成26年までに建築された一部の複合構造家屋について、固定資産税を過大または過少に課税していた。家屋の評価額を算定するにあたり減価償却を反映するための家屋の構造に応じて適用される経年減点補正率に関して、複合構造家屋については、面積の大きい部分の構造の経年減点補正率を適用するべきところ、誤って面積が小さい部分の構造の経年減点補正率を適用していた。還付合計額 4,020万円
追加徴収合計額 254万円」2022年3月判明
■収入のリスク管理、内部統制団体では内部統制の整備不足の問題が大きいであろう。総務省のレポートによると、
(1)事務フロー「賦課事務」、想定されるリスク「事前調査の未実施 過大入力 過少入力 過大徴収 過少徴収」の問題であり、
これまでの不正事案(リスク顕在化事例)として、
「【課税客体に対する調査不足】
・台帳と航空写真を照合したところ地番と実際の家屋の立地状況に誤りがあったため、約1700件の土地について固定資産税の課税標準の軽減措置の適用に過誤が生じた。
・市営駐輪場として賃借している土地について、路線価の基準となる土地と接する道路の変更があったにもかかわらず、評価額への反映を怠っていたため、過大に徴収した固定資産税と都市計画税につき、107人と2法人に総額約3億3500万円を還付した。」事例がある。
(2)想定される各課の対応策(内部統制)としては、
【適時の客体状況、評価額変更状況の確認等】として、
・固定資産の賦課期日における課税客体の状況を、地区ごとの計画的な実地調査の実施や航空写真の活用等により確認する。
・固定資産の評価額に変更を生じる事情が生じた場合に、評価額が正しく変更されていることを確認する。
・人事異動時や税制改正時には、担当職員への研修を徹底する。
等がある。
(3)また最後に、監査手続(監査を受ける部局に提出を求めるものとして)
・課税客体の状況確認や変更内容等についてダブルチェックの徹底やチェックリスト等による点検を実施する。
●固定資産税の賦課期日における課税客体の状況の確認方法についてサンプル調査を実施する。
●固定資産税の評価に係る主な変更事由(路線価の変更等)の有無、評価額変更のサンプル調査を実施する。
●全国的に固定資産税の評価の不備が指摘されたものについての適用状況を確認する
等を監査実務で実施要領に取り入れるべきであろう。