身寄りのない方の相続と、不備のある遺言への対応も相続おもいやり相談室では受任
身寄りの少ない方が亡くなられたあと、残されたのはノートに書かれた数行の遺言だけ。相続人がいるのかどうかも分からない。世話をしてきた親族や知人が、どう動けばよいか分からないまま時間だけが過ぎていく。
こうしたご相談は、弁護士に持ち込んでも「まだ争いになっていない」として扱われず、銀行では「相続人全員の署名がなければ応じられない」と言われて行き止まりになります。当相談室では、この段階からのご相談をお受けしています。
1 まず確認すること ― 相続人は本当にいないのか
「身寄りがない」とご家族が思っておられても、法律上の相続人が存在することは少なくありません。配偶者や子がいなくても、ご両親、ご兄弟姉妹、さらに甥姪へと相続権は移ります。何十年も交流のない異母兄弟や、幼い頃に養子に出た方が相続人として現れることもあります。短期間の結婚生活後の離婚や認知案件もありました。
被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべてたどることが出発点です。古い戸籍は手書きで判読が難しく、転籍を繰り返していると10通を超えることもあります。この調査で相続人がいると分かれば、以後は通常の相続手続きに進みます。誰もいないと確定した場合に、次の段階へ進みます。
また、民法1050条の改正法の「特別寄与者」の請求権がある場合もあります。
2 相続人がいない場合の手続き
相続人のいない遺産は、法律上「相続財産法人」となり、家庭裁判所が選任する相続財産清算人が管理と清算にあたります(民法952条)。利害関係人または検察官の請求によって選任されます。
この制度は近年改正されています。令和3年の民法改正(令和5年4月1日施行)により、従来の「相続財産管理人」という名称が「相続財産清算人」に改められました。あわせて公告の手続きが整理され、改正前は選任の公告、債権者への請求申出の公告、相続人捜索の公告を順に行うため権利関係の確定まで10か月以上を要していたものが、おおむね6か月程度に短縮されています。インターネット上には改正前の「相続財産管理人」のまま書かれた記事が多く残っていますので、ご注意ください。
内縁の配偶者、療養看護に努めた方、事実上の養子といった、被相続人と特別の縁故があった方は、相続人捜索の公告期間が満了してから3か月以内に、家庭裁判所へ特別縁故者としての財産分与を申し立てることができます(民法958条の2)。この期間を過ぎると申立てはできません。亡くなられてから動き出すまでに時間が経っているご相談では、まずこの期限の確認が必要です。
誰にも分与されなかった財産は、最終的に国庫に帰属します。
3 簡単な自筆の遺言しかない場合
まず検認を受ける
自筆で書かれた遺言書が見つかったら、開封せずに家庭裁判所の検認を受けてください(法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた遺言と、公正証書遺言は検認が不要です)。検認は遺言の内容を確定して保存する手続きであり、遺言が有効かどうかを判断するものではありません。ここを誤解されている方が多くいらっしゃいます。
揉めやすい遺言の形
簡単に書かれた遺言ほど、次のような問題を抱えています。
全文・日付・氏名の自書と押印という形式の要件を欠いている。日付が「令和七年七月吉日」のように特定できない。財産の書き方が「預金は全部」のように曖昧で、どの口座を指すのか分からない。「世話になった人にあげる」と書かれているが、誰を指すのかが特定できない。不動産が記載から漏れている。遺言執行者が指定されていないため、誰が手続きを進めるのかが決まらない。遺留分を持つ相続人の取り分が考慮されていない。
これらは、そのままでは金融機関も法務局も手続きに応じてくれません。結果として、相続人の間で解釈をめぐる対立が生まれます。
どう対応するか
遺言の記載を精査し、そのまま使える部分と使えない部分を切り分けます。そのうえで、相続人全員の同意が得られるのであれば、遺言の趣旨を踏まえた遺産分割協議書を作成して進める方法があります。同意が得られない見込みであれば、早い段階で弁護士へ引き継ぐ判断が必要です。遺言の有効性そのものが争われる場合、それは紛争案件であり、行政書士が扱える範囲を越えます。この見極めを初回のご相談で行います。
4 ご自身が「身寄りがない」立場の方へ
ご自身の死後を心配しておられる方からのご相談も増えています。備えの方法は主に3つあり、組み合わせて用意するのが確実です。
公正証書による遺言書を作り、遺言執行者を指定しておくこと。これにより、死後に誰が手続きを進めるのかが決まります。死後事務委任契約を結び、葬儀、納骨、施設や病院の精算、公共料金やサービスの解約を託しておくこと。判断能力が落ちたときに備える任意後見契約を結んでおくこと。
国も、令和6年6月に関係省庁が「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を定め、身元保証や死後事務のサービスについて契約の適正化を求めています。民間事業者との契約でのトラブルも報じられていますので、どなたに託すかは慎重にお選びください。
5 当相談室でお引き受けできること

出生から死亡までの戸籍の収集と相続人の調査、相続関係説明図の作成、遺言書の内容の精査、遺産分割協議書の作成、預貯金や証券の手続き、公正証書遺言の作成支援、遺言執行者としての執行、死後事務委任契約や任意後見契約の作成支援をお引き受けします。
相続財産清算人や特別縁故者の申立てといった家庭裁判所の手続きは、書類の準備についてご案内し、代理を要する部分は提携の専門家または弁護士へお引き継ぎします。不動産の登記は提携の司法書士、相続税の申告は提携の税理士が担当します。
ご相談は、ご依頼いただくまで何回でも無料です。ご事情を一から話し直していただく必要はありません。書面やメールで経緯をお送りいただければ、それを拝見したうえでお受けします。
相続おもいやり相談室(中川総合法務オフィス) 行政書士 中川 恒信 京都府長岡京市長法寺川原谷13-6 TEL 075-955-0307(受付 9:00〜18:00 土日もお電話をお受けします)


