改正行政不服審査法の運用実務 平成30年3月現在1641件裁決・1250件答申

1.改正行政不服審査法の運用実務2018 審査庁実務・審理員・不服審査会等

令和5年4月1日現在では、裁決が8,746件、答申が7,062件 となっている。下記のサイトを参照されたい。https://fufukudb.search.soumu.go.jp/koukai/Main

(1)地方公共団体への審査請求の急増

地方公共団体から提出のあったもののみであるが、総務省のデータベースに新法下の審査請求の審査庁裁決や審査会答申の事例が掲載されており、平成30年3月15日現在で1641件の裁決と1250件の答申がある。

地方税関係の割合増加、認容裁決の増加の傾向があろう。

審理期間は、まだらであるが、約8割が6か月未満である。

ビデオで詳しく述べたような次の問題点が発生している。

(2)審査会は「事実審」か「審査審」か

裁決に当たって諮問された審査会が、処分庁の原処分に遡って審査するか、それとも、審査請求人と審査庁との間に立っていずれの主張が妥当かを判断するかという審査会の構造の問題がある。

(3)情報公開関係の審査請求におけるインカメラ審理と請求人の権利保障

多くの地方公共団体は情報関係案件について審理員手続を適用除外としているが(法9条1項、例えば、益田市行政情報公開条例第16条の2)、審理手続においては処分庁に対する弁明書の提出の求めと審査請求人等に対する弁明書の送付(法29条2項・5項)、口頭意見陳述の実施(法31条)等との調整が問題になっている。

(4)請求後の審査庁における適法性審査の難しさ

客観的要件、主観的要件の法的な判断が判例や学説の知識が乏しくて困難であれば、ざっくりと「審査請求が不適法であって補正することができないことが明らかなとき」(法24条2項)と見捨てずに、むしろ適法性審査も含めて、審理員による審理手続で判断すべきである。

(5)弁明書の充実が新制度の要か

審理員は必ずしも処分庁の行政処分に明るくなく、特に弁護士が審理員の中心をなしている現状が多いので、弁明書の充実がその根拠条文や内部通達、さらには過去の処分事例も含めて証拠類十分に添付したうえで、弁明書が作成されるのが望ましい。

2.ある自治体であった保育所入所のドタバタ劇

是非とも参考にしてほしい中川総合法務オフィスの近隣の地方公共団体であった事例。

京都府久御山町 審査請求 不服申立日 2016/11/22 諮問日2017/03/28 処分根拠法令 児童福祉法 答申日2017/05/24 裁決日 認容 2017/06/09 保育所への入所を不許可にした処分

他にも、認容例はいくらもあるが、この例のように、現場対応に非常に問題のあるケースと首長の認容裁決が出ても決して住民が救われないケースがあろう。

■上記の最新審査請求案件の資料を読み解くことは当職のような地方公共団体への研修講師を750超やっている者には興味深い。別途検討をこのサイトで加える。

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