1.地方公務員における「任用」とは何か。…地方公務員法の重要論点の解説
(1)任用とは
任用とは、任命権者が特定の人を特定の職につけることをいう。
(2)採用の法的性質
任用行為のうちの「採用」の法的性質については、
「公法上の契約説」、「一方的行政行為説」もあるが、
通説は、行政庁の優越的地位に基づく行政行為の一種であるが、一般の行政行為と異なり、その性質上、相手方の同意を要する行為であるとする「相手方の同意を要する行政行為説」である。
(3)任用と厳格な成績主義
地方公務員法は任用について、成績主義をとっており、一般職のすべての職員について、例外なく適用される。
臨時的に任用された職員も成績主義の適用が除外されておらず、緩和された形であるがその適用を受ける。
また、成績主義の規定は、訓示的なものではなく、これに違反して任用した者は、61条以下の罰則を受ける。
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(任用の根本基準)
第十五条 職員の任用は、この法律の定めるところにより、受験成績、勤務成績その他の能力の実証に基いて行わなければならない。
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■任用における成績主義について定める。成績主義はメリット・システムともいわれ、人事は能力の実証、つまり現実の成績に基づいてなされる原則である。
反対概念が猟官主義でスポイルズ・システムと呼ばれ、成績とは関係なく、ある党派に属するかどうか、情実の有無、さらには縁戚関係によって人事が行われる制度である。
(examples United States President Trump?)
2.地方公務員法の改正
(1)人事評価と退職規制-5年2年-が主
公布日 平成26年5月14日
地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律(平成26年法律第34号)
(成立日): 平成26年4月25日
(施行日): 公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日
⇒平成28年4月1日より施行(政令:平成27年9月2日)
(2)任用の定義規定が改正法で入る
(定義)
第十五条の二 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 採用 職員以外の者を職員の職に任命すること(臨時的任用を除く。)をいう。
二 昇任 職員をその職員が現に任命されている職より上位の職制上の段階に属する職員の職に任命することをいう。
三 降任 職員をその職員が現に任命されている職より下位の職制上の段階に属する職員の職に任命することをいう。
四 転任 職員をその職員が現に任命されている職以外の職員の職に任命することであつて前二号に定めるものに該当しないものをいう。
(3)国家公務員法の関連規定(参考)
(定義)
第三十四条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 採用 職員以外の者を官職に任命すること(臨時的任用を除く。)をいう。
二 昇任 職員をその職員が現に任命されている官職より上位の職制上の段階に属する官職に任命することをいう。
三 降任 職員をその職員が現に任命されている官職より下位の職制上の段階に属する官職に任命することをいう。
四 転任 職員をその職員が現に任命されている官職以外の官職に任命することであつて前二号に定めるものに該当しないものをいう。
五 標準職務遂行能力 職制上の段階の標準的な官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力として内閣総理大臣が定めるものをいう。
六 幹部職員 内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第五十条 若しくは国家行政組織法第六条 に規定する長官、同法第十八条第一項 に規定する事務次官若しくは同法第二十一条第一項 に規定する局長若しくは部長の官職又はこれらの官職に準ずる官職であつて政令で定めるもの(以下「幹部職」という。)を占める職員をいう。
七 管理職員 国家行政組織法第二十一条第一項 に規定する課長若しくは室長の官職又はこれらの官職に準ずる官職であつて政令で定めるもの(以下「管理職」という。)を占める職員をいう。
○2 前項第五号の標準的な官職は、係員、係長、課長補佐、課長その他の官職とし、職制上の段階及び職務の種類に応じ、政令で定める。