はじめに:契約書は、創造性を守る「羅針盤」である

私たちの周りには、音楽、イラスト、文章、写真、講演など、人々の心を豊かにする「著作物」が溢れています。これらを創造するクリエイター、そしてその価値を社会に広める事業者にとって、その権利と利用のルールを定める「著作権契約」は、単なる事務手続きではありません。それは、互いの信頼関係を築き、安心して創造の海へと漕ぎ出すための、いわば「羅針盤」とも言える重要なツールなのです。

しかし、口約束で済ませてしまったり、内容をよく理解しないまま契約書にサインしてしまったりすることで、後に「こんなはずではなかった」というトラブルに発展するケースは後を絶ちません。特に近年、働き方が多様化し、フリーランスとして活動するクリエイターが増える中で、その権利を守るための法的知識の重要性はますます高まっています。(2024年11月施行の「フリーランス保護新法」では、事業者側に契約内容の書面等での明示が義務付けられました。)

当オフィス代表は、法律や経営といった社会科学の枠に留まらず、哲学や歴史などの人文科学、さらには自然科学にも深い知見を持っています。その信条は、「契約とは、権利の綱引きではなく、当事者が共通の目標に向かうための対話の記録であるべき」というものです。この思想に基づき、本記事では単なる雛形の紹介に留まらず、それぞれの契約が持つ意味や、そこに潜む思想を読み解きながら、実務に役立つ解説を加えていきます。

この記事が、クリエイターの皆様、そして事業者の皆様にとって、より良い創造活動のための一助となれば幸いです。


1. 講演依頼契約書

講演会やセミナーは、知識や思想を伝える重要な機会です。その一回限りの講演が、後に二次利用(録音・録画、書籍化など)される可能性も考慮し、あらかじめ利用の範囲と対価を明確にしておくことが不可欠です。

【ポイント】

  • 利用許諾の範囲の明確化(第2条): 講演の録音・録画、写真撮影だけでなく、それをどのように利用するのか(例: リアルタイム配信、Webサイトへの掲載、DVD化など)を具体的に定めます。特に、講演資料の単独利用など、想定外の使われ方を防ぐための条項(第2条4項)は重要です。
  • 著作者人格権への配慮(第3条): 講演者の氏名をどう表示するか(氏名表示権)、内容を要約・改変する際に本人の確認を得るか(同一性保持権)は、著作者の名誉や思想を守る上で極めて重要です。この配慮が、講演者との良好な関係を築きます。
  • 対価の切り分け(第4条): 講演そのものの対価と、二次利用の対価を分けておくことで、将来的な利用の際にも公正な関係を保つことができます。

★「講演依頼契約書の例」

■契 約 書
B(以下「甲」という。)とA(以下「乙」という。)とは、「D」に関し、以下のとおり契約を締結する。
第1条 (参加依頼)
乙は、甲に対し、乙が主催する以下の「D」において講演することを依頼し、甲はこれを承諾した。
(1) 日時: 平成18年3月3日( 金 ) 10時00分~13時00分
(2) 場所:〔 C 〕
(3) 講演会等の名称:〔 D 〕
(4) テーマ:〔 E 〕
第2条 (利用の許諾)
甲は、乙又は乙が指定する者が次に掲げる方法で前条の講演(以下単に「講演」という。)を利用することを許諾する。
(1) 講演中の甲の写真撮影
(2) 講演の録音
(3) 講演の録画
2 甲は、乙又は乙が指定する者がリアルタイムで次に掲げる方法で講演を利用することを許諾する。
(1) 講演をE(F)で放送すること
3 甲は乙又は乙の指定した者が次に掲げる方法で講演を利用ことを許諾する。
(1) 講演を文章化すること
(2) 講演を文章化したもの及び甲が使用した資料、甲を撮影した写真をGに掲載し、複製、譲渡又は貸与すること
(3) 講演の要旨を作成すること
4 甲が「D」で使用した資料のみを利用する場合(文章化したもの、録音物又は録画物とあわせて利用しない場合)は、前項の規定にかかわらず、別途甲の許諾を得るものとする。
第3条 (著作者人格権)
前条の利用を行う場合には、乙又は乙が指定した者は、合理的と認められる方法により甲の氏名を表示しなければならない。
2 乙又は乙の指定した者が、講演の文章化、講演の要旨の作成等を行うときには、あらかじめ甲に対して内容確認の機会を与えなければならない。
第4条(対価)
乙は、甲に対し、「D」への参加及び第2条に掲げる著作物の利用等(次項各号に定める利用を除く。)の対価として、100,000円(消費税込)を、18年4月20日までに支払う。
2 乙又は乙が許諾した者が次の各号に掲げる利用を行う場合には、乙は、甲に対し、甲及び乙が別途協議して定める金額・支払い方法により、追加報酬を支払わなければならない。
(1) 第2条第3項第2号に定める利用
第5条 (保証)
甲は、講演の内容が第三者の著作権その他第三者の権利を侵害するものでないことを保証する。
2 甲が第三者が著作権等を有する著作物等を講演において使用しようとする場合は、事前に乙に対してその内容を明らかにして、その使用が第三者の著作権を侵害するものでないことについて乙の確認を得なければならない。
第6条 (その他)
本契約に定めのない利用態様については、甲乙別途協議の上、利用の可否、対価等につき決するものとする。
本契約締結の証として、本契約書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各自1通を保持する。
平成  年  月  日
甲 住所    氏名 印
乙 住所    氏名 印


2. イラスト作成契約書

ポスター、Webサイト、書籍など、イラストは様々な媒体で利用されます。イラストレーターが安心して創作に打ち込めるよう、また依頼者が企画意図に沿った作品を得られるよう、双方の権利と義務を明確にします。

【ポイント】

  • 権利の帰属(第3条): 著作権は原則として制作者(イラストレーター)に帰属します。この点を明確にした上で、どのような範囲で「利用を許諾する(ライセンス)」のかを定めます。権利を完全に譲渡(売買)する契約とは根本的に思想が異なります。
  • 具体的な利用許諾(第4条): 「ホームページに掲載」「ポスターに1000部使用」など、利用する媒体、期間、範囲を具体的に特定します。これにより、許諾範囲外での無断利用を防ぎます。
  • 同一性保持権の尊重(第5条): イラストの色調変更やトリミング(切り抜き)は、制作者の意図を損なう可能性があります。軽微な変更であっても、事前に承諾を得るルールにしておくことが、作家性への敬意の表れです。

★「イラスト作成契約書の例」

■契 約 書 (イラストの作成(ポスター・パンフレットなどの作成)契約書) 収入印紙
C(以下「甲」という。)とD(以下「乙」という。)とは、イラスト作成業務の委託に関し、以下のとおり契約を締結する。
第1条 (委託)
乙は、甲に対し、以下のイラスト(以下「本著作物」という。)の作成を委託し、甲はこれを受託した。
(1) テーマ:桜
(2) サイズ:A4縦サイズ
第2条 (納入)
1  甲は乙に対し、本著作物を以下の形式により、平成18年4月10日までに、乙に対して納入する。
・CD-ROM
2  乙は、前項の納入を受けた後速やかに納入物を検査し、納入物に瑕疵がある場合や、乙の企画意図に合致しない場合は、その旨甲に通知し、当該通知を受けた甲は、速やかに乙の指示に従った対応をする。
3   乙は、納入物を、利用が終わり次第速やかに甲に返却する。
第3条 (権利の帰属)
本著作物の著作権は甲に帰属する。
第4条 (利用許諾)
甲は乙に対し、本著作物を下記形態で利用することを許諾する。
(1) ホームページにおける掲載
サイト名:A
掲載期間:平成18年9月28日まで
第5条 (著作者人格権)
1  乙が本著作物の内容・表現又はその題号に変更を加える場合(拡大、縮小、色調の変更等も含む。)には、あらかじめ甲の承諾を必要とする。
2  乙は、本著作物を利用するにあたって、以下のとおり著作者の表示をしなければならない。
第6条 (保証)
甲は、乙に対し、本著作物が第三者の著作権その他第三者の権利を侵害しないものであることを保証する。
第7条 (対価)
乙は、甲に対し、イラスト作成業務及び本著作物の利用許諾の対価、その他本契約に基づく一切の対価として、金200,000円(消費税込み)を、平成18年8月24日までに支払う。
第8条 (その他)
本契約に定めのない利用態様については、甲乙別途協議の上、利用の可否、対価等につき決するものとする。
本契約締結の証として、本契約書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各自1通を保持する。
平成  年  月  日
甲 住所    氏名 印
乙 住所    氏名 印


3. 演奏会契約書

音楽は、その一回性の実演にこそ価値があります。しかし、その実演が録音・録画されれば、半永久的な価値を持つ著作隣接権(実演家の権利)が発生します。出演者と主催者の間で、その記録の取り扱いを定めておくことが重要です。

【ポイント】

  • 実演の利用は原則「記録」に限定(第2条): 演奏会の記録としての録音・録画は許諾しつつも、それを販売したり配信したりする場合は、別途許諾が必要である旨を明確にします。これは実演家の権利を守るための重要な防波堤です。
  • 著作権処理の責任の所在(第4条): 演奏される楽曲の著作権(JASRACなどへの申請・使用料支払い)は、主催者側が責任を持って処理することを明記します。これにより、実演家は演奏に集中できます。
  • 氏名表示権(第6条): プログラムや告知物で、実演家の氏名をどのように表示するかは、その名誉に関わる重要な事項です。公正な慣行に従うことを定めます。

★「演奏会契約書の例」

■契 約 書 (演奏会、上演会などにおける実演に関する契 約 書)
B(以下「甲」といいます。)とA(以下「乙」といいます。)とは、Cへの甲の出演とその実演の利用に関し、以下のとおり契約を締結します。
第1条 (出演の依頼)
乙は、甲に対し、乙が主催する以下のイベントに出演することを依頼し、甲はこれを承諾しました。
(1)日時:平成18年3月10日 12時00分
(2)場所:D
(3)イベントの名称:C
(4)出演の内容:ピアノの演奏
第2条 (実演の利用許諾)
甲は、乙が甲の実演をイベントの記録として保存するために録音・録画等収録することを許諾します。ただし、乙はその録音録画物を、複製を伴わずに乙の内部において鑑賞する場合を除き、甲の許諾を得ずに利用することはできません。
2 甲は、乙が、甲の実演の様子を写真に撮影することを許諾します。
第3条(報酬の支払い)
乙は、甲に対し、第1条に定める出演の報酬及び第2条に定める実演の利用許諾の対価として金50,000円(消費税込み)を平成18年4月10日までに支払います。
第4条(実演する作品の著作権処理)
甲の実演において第三者が著作権を有する著作物等を利用する場合は、乙が乙の責任でその利用許諾を得て使用料を支払う等の必要な権利処理を行います。そのために、甲は、実演するすべての作品について正確な作品名、作家等著作権者の名称、その他必要な情報を事前に乙に提供しなければなりません。
第5条
乙は、イベントで実演する甲を撮影した写真を、次のように利用するか、または第三者に利用させることを許諾します。
(1)印刷物への掲載(報酬は第3条の報酬に含みます。)
第6条 (氏名表示)
乙は、甲の実演の利用に際し、公正な慣行に従って甲の氏名を表示しなければなりません。
第7条 (協議事項)
本契約に定めのない事態が生じた場合は、甲と乙とで誠意をもって協議の上、解決にあたります。
この契約を締結した証として契約書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、それぞれ1通を保持します。
平成  年  月  日
甲 住所            氏名 印
乙 住所            氏名 印


4. 写真などの利用許諾契約書

既に存在する写真やイラスト、文章などを利用する場合の契約です。「作成」を依頼するのではなく、既存の作品の「利用」の許可を得る(ライセンスを受ける)ための契約となります。

【ポイント】

  • 利用する著作物と利用方法の特定(第1条): どの作品を、どのウェブサイトに、いつまで掲載するのか、といった利用の範囲を限定的に明記することが最も重要です。包括的な許諾は後のトラブルの原因になります。
  • 著作者人格権の尊重(第2条): 特に写真の場合、トリミングや色調の変更が作品の印象を大きく変えてしまいます。変更を加える場合は必ず著作者の承諾を得ることを定めます。
  • 保証条項(第3条): 利用を許諾する側(甲)が、その著作物の正当な権利者であり、第三者の権利を侵害していないことを保証する条項です。これにより、利用する側(乙)は安心してその著作物を利用できます。

★「写真などの利用許諾契約書の例」

■契 約 書 (既存の原稿(エッセイ、詩、小説など)やイラスト、写真などの利用許諾契約書) 収入印紙
C(以下「甲」という。)とD(以下「乙」という。)とは、著作物の利用に関し、以下のとおり契約を締結する。
第1条 (利用許諾)
甲は、乙に対し、以下のイラスト(以下「本著作物」という。)につき、以下の利用を許諾する。
1  利用作品名:A
2  利用方法
(1) ホームページにおける掲載
サイト名:B
掲載期間:平成18年12月31日まで
3  乙は、当該利用にあたっては、事前にその具体的な利用態様を甲に示し、甲の承諾を得るものとする。
第2条 (著作者人格権)
1  乙が本著作物の内容・表現又はその題号に変更を加える場合(拡大・縮小、色調修正等を施すことも含む。)には、あらかじめ甲の承諾を必要とする。
2  乙は、本著作物を利用するにあたって、以下のとおり著作者の表示をしなければならない。
・ D
第3条 (保証)
甲は、乙に対し、本著作物が第三者の著作権その他第三者の権利を侵害しないものであることを保証する。
第4条 (対価)
乙は、甲に対し、本著作物の利用許諾の対価、その他本契約に基づく一切の対価として、金20,000円(消費税込み)を、平成18年3月1日までに支払う。
第5条 (その他)
本契約に定めのない利用態様については、甲乙別途協議の上、利用の可否、対価等につき決するものとする。
本契約締結の証として、本契約書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各自1通を保持する。
平成  年  月  日
甲 住所    氏名 印
乙 住所    氏名 印


5. 原稿作成依頼契約書

書籍、雑誌、Webメディアなどの記事執筆を依頼する場合の契約です。文章という著作物の性質上、権利関係を特に明確にしておく必要があります。

【ポイント】

  • 権利の帰属の原則(第3条): イラストと同様、報酬を支払ったからといって著作権が自動的に依頼者に移るわけではありません。原則として著作者(執筆者)に帰属することを明記します。
  • 翻訳等の二次利用は別途許諾(第4条): 執筆された原稿を外国語に翻訳したり、要約して別の媒体で利用したりする場合は、新たな利用行為にあたります。これらは別途許諾が必要であることを定めておきます。
  • 内容の変更には承諾を(第5条): 編集の過程で文章の表現や構成を変更する場合は、執筆者の意図(同一性)を損なわないよう、事前に承諾を得るプロセスを設けることが、執筆者との信頼関係の基礎となります。

★「原稿作成依頼契約書の例」

■契 約 書 (原稿作成依頼契約書)                収入印紙
B(以下「甲」という。)とC(以下「乙」という。)とは、原稿執筆業務の委託に関し、以下のとおり契約を締結する。

第1条 (委託)
乙は、甲に対し、以下の原稿(以下「本著作物」という。)の執筆を委託し、甲はこれを受託した。
(1) 原稿テーマ:○○先生の業績と人柄
(2) 原稿分量:1万字~1万2000字
第2条 (納入)
1  甲は乙に対し、本著作物を以下の形式により、平成18年6月1日までに、乙に対して納入する。
・CD-ROM
2  乙は、前項の納入を受けた後速やかに納入物を検査し、納入物に瑕疵がある場合や、乙の企画意図に合致しない場合は、その旨甲に通知し、当該通知を受けた甲は、速やかに乙の指示に従った対応をする。
3  乙は、納入物を、利用が終わり次第速やかに甲に返却する。
第3条 (権利の帰属)
本著作物の著作権は甲に帰属する。
第4条 (利用許諾)
甲は乙に対し、本著作物を下記形態で利用することを許諾する。
(1) 印刷物への利用
名称:A、部数:100000部
(2) 利用にあたっての翻訳は改めて許諾なく出来ない。
第5条 (著作者人格権)
1  乙が本著作物の内容・表現又はその題号に変更を加える場合には、あらかじめ甲の承諾を必要とする。前条において翻訳を可とした場合も同様とする。
2  乙は、本著作物を利用するにあたって、以下のとおり著作者の表示をしなければならない。
第6条 (保証)
甲は、乙に対し、本著作物が第三者の著作権その他第三者の権利を侵害しないものであることを保証する。
第7条 (対価)
乙は、甲に対し、原稿執筆業務及び本著作物の利用許諾の対価、その他本契約に基づく一切の対価として、金300,000円(消費税込み)を、平成18年8月1日までに支払う。
第8条 (その他)
本契約に定めのない利用態様については、甲乙別途協議の上、利用の可否、対価等につき決するものとする。
本契約締結の証として、本契約書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各自1通を保持する。
平成  年  月  日
甲 住所   氏名 印
乙 住所   氏名 印


6. 公募一点採用のための募集要項

コンペ形式でロゴマークやキャラクターデザインなどを募集する場合の要項です。これは「契約書」そのものではありませんが、応募者はこの要項に同意して作品を応募するため、契約に準ずる法的な効力を持ちます。

【ポイント】

  • 採用作品の権利移転(第11条): この形式の最大の特徴は、採用作品の著作権が主催者に「移転(譲渡)」される点です。特に、著作者が本来持つ改変の権利(翻案権等、著作権法第27条)や二次的著作物の利用に関する権利(第28条)を含めて譲渡されることを明記しないと、後にキャラクターのポーズを変えたり、グッズ展開したりする際に支障が出る可能性があります。
  • 応募作品の利用範囲(第13条): 採用されなかった作品の著作権は応募者に残りますが、公募企画の紹介や記録のために、主催者が応募作品を利用できる旨を定めておくのが一般的です。
  • 著作者人格権の不行使条項: 採用作品を様々に利用する上で、著作者人格権(特に同一性保持権)の行使について、当選者との間で「一部修正・翻案を認める」といった合意をしておくことが実務上非常に重要です。

★「公募一点(主催者が利用するイラストなどの公募)採用のための募集要項」

■募集要項 (公募一点(主催者が利用するイラストなどの公募)採用のための募集要項)
1 主催者
〇市役所
2 作品のテーマ
〇市の名産である「たけのこ」をモチーフにした親しみやすい市のシンボルマークデザインを公募します
3 作品の種類
シンボルマークデザイン
4 作品の規格
A4版白色用紙 縦横15cmの枠内 4色以内 グラデーションは不可
5 応募方法
郵送
6 応募先
〇市役所
7 募集期間
平成18年2月28日から平成 年3月28日まで(消印有効)
8 選考方法
デザイナー〇氏、〇大学教授〇氏、〇市長による選考委員会により、採用作品1点を選考する。
9 表彰・賞金
採用作品1点賞金100万円
10 採用作品の発表
平成〇年〇月〇日までに、当選者のみに通知します。
11 採用作品の取扱い
・ 当選者は採用作品の著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む)を主催者に移転します。
12 採用されなかった作品の取扱い
・ 採用されなかった作品は返却しません。
13 注意事項
・ 募集する作品は、応募者が創作した未公表の作品とします。
・ 作品の中に第三者が著作権等の権利を有している著作物等を利用していないものとします。
・ 採用されなかった作品の著作権は主催者に移転しません。
・ 応募者は、応募事業の紹介や記録のために主催者が応募作品を利用することを認めることとします。
・ 当選者は、採用作品の一部修正・翻案を主催者に認めることとします。
・ 当選者は、主催者が採用作品の商標・意匠の出願登録をすることを認めることとします。
・ 当選者は、賞金等に係る税金について最寄りの税務署に相談してください。


7. 写真の撮影契約書

特定のテーマで写真の撮影そのものを依頼する契約です。商品写真、ポートレート、風景写真など、幅広い場面で活用できます。

【ポイント】

  • 「作成」と「利用許諾」の分離: この契約は、写真という著作物を「作成する業務委託(第1条)」と、完成した写真を「利用することを許諾するライセンス(第4条)」の2つの側面を併せ持っています。この構造を理解することが重要です。
  • 権利の帰属と利用範囲(第3条、第4条): 著作権は撮影者に帰属することを明確にし、依頼者は許諾された範囲(例: Webサイトに一定期間掲載)でのみ利用できることを定めます。
  • 納入物の検査(第2条): 撮影された写真が依頼者の意図に合致しているかを確認する検査期間を設けることで、クオリティに関するトラブルを防ぎます。

★「写真の撮影契約書」

写真撮影契約書

C(以下「甲」という。)とD(以下「乙」という。)とは、写真撮影業務の委託に関し、以下のとおり契約を締結する。
第1条 (委託)
乙は、甲に対し、以下の写真(以下「本著作物」という。)の撮影を委託し、甲はこれを受託した。
(1) テーマ:バラ
(2) 形 式:カラー
(3) 枚 数:30
第2条 (納入)
1  甲は乙に対し、本著作物を以下の形式により、平成18年3月16日までに、乙に対して納入する。
・CD-ROM
2  乙は、前項の納入を受けた後速やかに納入物を検査し、納入物に瑕疵がある場合や、乙の企画意図に合致しない場合は、その旨甲に通知し、当該通知を受けた甲は、速やかに乙の指示に従った対応をする。
3  乙は、納入物を、利用が終わり次第速やかに甲に返却する。
第3条 (権利の帰属)
本著作物の著作権は甲に帰属する。
第4条 (利用許諾)
甲は乙に対し、本著作物を下記形態で利用することを許諾する。
(1) ホームページにおける掲載
サイト名:A
掲載期間:平成18年6月26日まで
第5条 (著作者人格権)
1  乙が本著作物の内容・表現又はその題号に変更を加える場合(拡大、縮小、色調の変更等も含む。)には、あらかじめ甲の承諾を必要とする。
2  乙は、本著作物を利用するにあたって、以下のとおり著作者の表示をしなければならない。
第6条 (保証)
甲は、乙に対し、本著作物が第三者の著作権その他第三者の権利を侵害しないものであることを保証する。
第7条 (対価)
乙は、甲に対し、写真撮影業務及び本著作物の利用許諾の対価、その他本契約に基づく一切の対価として、金80,000円(消費税込み)を、平成18年5月28日までに支払う。
第8条 (その他)
本契約に定めのない利用態様については、甲乙別途協議の上、利用の可否、対価等につき決するものとする。
本契約締結の証として、本契約書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各自1通を保持する。
平成  年  月  日
甲 住所    氏名 印
乙 住所    氏名 印


8. ゲーム音楽の商品化契約書

ゲーム内で使用されている音楽を、サウンドトラックCDとして商品化するなど、二次利用する際の契約です。ゲーム会社(原盤権者)とレコード会社の間で結ばれることが多く、専門的な内容を含みます。

【ポイント】

  • 権利の保証(第2条): ゲーム会社(甲)が、音楽に関する全ての権利を保有しており、レコード会社(乙)がCDを販売する上で第三者から権利侵害を主張されることがないように保証する、極めて重要な条項です。
  • ブランドイメージの維持(第4条): ゲームが持つ世界観や品位を損なうような商品化や宣伝活動を行わないよう、レコード会社側に遵守事項を課します。これは原作へのリスペクトを示すものです。
  • ロイヤリティ(対価)(第6条、別紙): 対価の支払い方法として、売上に応じて一定の割合(ロイヤリティ)を支払う形式が一般的です。算出方法(税抜価格の何%か、など)や支払いサイトを明確に定めます。
  • 契約期間と地域(第8条、第9条): ライセンス契約では、いつまで、どの国で有効な契約なのかを定めることが必須です。自動更新条項の有無も確認が必要です。

★「ゲーム音楽の商品化契約書」

商品化権契約書       収入印紙
ゲーム会社 (以下、甲といいます)と レコード会社 (以下、乙といいます)は、乙が発売するゲームソフト『 ゲームタイトル 』(以下、本件ゲームソフトといいます)のオリジナル・サウンドトラック・レコード(以下、本件レコードといいます)に関し、次の通り契約を締結します。
第1条(目的)
甲は乙に対し、甲が権利を有する本件ゲームソフトの使用に関し、本契約の定めに従い、本件ゲームソフトで使用されている名称、ロゴマーク、パッケージイラスト、キャラクターイラスト、イメージイラスト、ディスプレイ表示画面(以下、これらを総称して本件使用物といいます)を乙が利用して、本件レコードを製造、販売、頒布することを許諾します。
第2条(保証)
甲は乙に対し、次の各項に定める事項を保証します。
① 本件使用物に係る権利は甲が保有しており、乙が本件使用物を本件レコードに使用するに際し、第三者より異議申し立て等のないこと。
② 本契約の有効期間中、乙以外の第三者に対し、本件レコードと同一または類似したレコードの製造、販売、頒布のために本件使用物の使用を許諾しないこと。
第3条(クレジットの表示)
乙は、本件レコードに甲の指定するクレジットを表示するものとします。
第4条(遵守事項)
乙は、次の各項に定める事項を遵守します。
① 本件レコードの製造、販売、頒布に際し、本件ゲームソフトの有する品位、品質、イメージを損なうような行為または改変等を行なわないこと。
② 本件レコードの製造および宣伝広告については、事前に甲と協議し、甲から承認を得て行なうこと。
第5条(宣伝使用)
1. 甲は乙に対し、本件レコードの販売促進を目的として行なう宣伝、広告等に、本件使用物および本件レコードの制作途上の素材を利用してポスター、チラシ、その他の宣伝材料を作成し、使用することを無償にて承諾します。但し、使用に際して、乙は前条の規定に基づいて行ないます。
2. 乙は、本件レコードの販売促進のために、当該レコードの見本品を複製し、配布することができます。
第6条(対価)
乙は甲に対し、本件使用物の使用の対価として、別紙に定める使用料(消費税別)を支払うものとします。
第7条(帳簿閲覧)
甲は、乙の営業時間中、随時、本契約書に基づく乙の商品化事業に関する帳簿を閲覧することができるものとします。
第8条(契約期間)
本契約の有効期間は、本契約締結日より効力を有し、本件レコードの発売日から2年間とします。なお、本契約の期間満了の3ヶ月前までに、甲または乙のいずれかが相手方に対して文書により本契約の消滅・変更等の意思表示をしない限り、本契約は同一条件にて1年間自動的に更新し、その後も同様とします。
第9条(地域)
本契約の適用地域は、日本国内とします。
第10条(契約終了後の措置)
1. 本契約の終了により、乙は本契約により取得した一切の権利を失います。
2. 乙が契約終了時に保有する在庫レコードについては、第6条に基づく印税支払いを条件として、6ヵ 月間に限り販売することができるものとします。
3. 乙は、前項の在庫販売期間の終了後に残存するレコードを直ちに廃棄するものとします。
第11条(見本品の提供)
乙は甲に対し、本件レコードの完成見本品20枚を無償で提供するものとします。
第12条(権利譲渡)
甲乙は本契約に基づいて取得した権利あるいは契約上の地位の全部または一部を相手方の書面による承諾なしに第三者に譲渡または質入することができないものとします。
第13条(契約違反)
甲乙のいずれかが本契約に違反した場合、他方当事者は相当の期間を定めて催告のうえ、それでもなお当該違反が是正されない場合には、本契約を解除することができます。また違反者は、他方当事者に対しその損害の一切を賠償する義務を負うものとします。
第14条(裁判管轄)
本契約に関する一切の訴訟については、東京地方裁判所を第一審の専属管轄裁判所とすることに合意します。
第15条(信義則)
甲乙は、本契約に定められた各条項を、信義をもって誠実に履行し、本契約に定めなき事項および本契約の各条項の解釈に疑義が生じたときは、法令の定めによるほか、誠意をもって協議し、その解決にあたるものとします。
以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各1通を保有します。
年 月 日


別 紙
1.本件レコードの定義
商品名:「×××××オリジナル・サウンドトラック」
形態:コンパクトディスク(12cm)
税抜価格: 円
発売日: 年 月 日
発売元:
2.使用料
本件レコード1枚につき、税抜価格×5%
3.計算対象数量
印税の計算基準は、本件レコードの営業所出庫数量の100%とします。
4.見本品等
販売促進のために頒布される見本盤、試聴盤、その他乙が収入を得ないものは、使用料の支払対象にはならないものとします。
5.支払方法
乙は、四半期毎(3月、6月、9月、12月各末日締切)に印税の発生額を計算し、各締切後、翌々月末日に印税計算書を甲の指定する住所に送付の上、甲の指定する下記の銀行口座へ支払うものとします。なお、乙は各四半期における支払印税額が金1,000円未満の場合、翌期に繰り越して支払うことができるものとします。
(銀行 支店 預金 口座名義 口座番号)


おわりに:ご相談ください

著作権に関する契約は、一つとして同じものはありません。それぞれの創作活動の実態に合わせて、当事者双方が納得できる形でオーダーメイドしていく必要があります。

中川総合法務オフィスは、著作物の譲渡契約に関する「ひこにゃん事件」で読売テレビに著作権専門家として出演するなど、豊富な実務経験と実績を有しております。

「この契約内容で大丈夫だろうか」「自分の権利がきちんと守られているか不安だ」など、著作権に関するお悩みやご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。単に法律を当てはめるだけでなく、皆様の創造的な活動がより豊かになるよう、哲学や経営の視点も踏まえ、親身にサポートいたします。

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