【官製談合で沼津市役所捜索及び職員逮捕】2019年10月
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律=官製談合防止法
官製談合を防ぐ方法を、2019年10月の静岡県沼津市役所の事例をもとに、COSO図解から3つのポイントを解説した。国や地方公共団体職員等はこの動画イントロを参考にして不正防止を真剣に考えてほしい。
なお、「官製談合防止法違反等不正事件に関する報告書」が当役所から公表された。https://www.city.numazu.shizuoka.jp/shisei/office/fushoujiboushi/20200624.htm24.htm
2つの官製談合事件で、それぞれ価格を業者に漏らした職員は懲戒免職になった。
★「官製談合防止法違反等不正事件に関する報告書」よりポイント解説
はじめに・事件の概要
令和元年10月及び12月に、沼津市が発注した公共工事に関連して、市職員2人が官製談合防止法違反及び公契約関係競売入札妨害の罪で逮捕・起訴されるという重大な不祥事が発生した 。
- 1件目:「平成30年度原駅自転車等駐車場改良工事」の入札において、工事検査課の主任が直接工事費等の情報を元市職員に漏洩した 。
- 2件目:「平成30年度市道0204号線道路改良工事」の入札において、工事検査課の課長補佐が設計額情報を入札参加業者に教示し、不正を働いた 。
事態を重く見た同市は、原因究明や再発防止策の策定を目的として「沼津市不祥事再発防止対策本部会議」を設置した 。
事件発生の背景と課題
逮捕された両職員とも勤務態度は良好であったが、人事・組織体制や情報管理、職員の倫理意識に重大な問題があった 。
- 1件目の事件では、対象職員が再任用職員となり定年退職前と比較して倫理意識が低下していたことや、OB職員(元上司)に対する恩義から要求を断り切れなかったという、長年の組織風土に関する課題が浮き彫りになった 。
- 2件目の事件では、他係の職員が作成した設計図書を盗み見るなど書類管理に重大な不備があった 。また、当該職員は民間経験者採用でありコンプライアンス研修の受講機会が少なかったこと、業者と個人の携帯電話で連絡を取り馴れ合いが生じていたことなどが指摘された 。
職員実態調査(アンケート)の結果
令和2年2月から3月にかけて、全職員を対象とした実態調査が実施された 。
- 不当な要求行為を受けたことがあると回答した職員は73人おり、要求の相手は「市民」「市議会議員」「業者及び業界団体」が多かった 。
- 職場のコンプライアンスについて、約74%の職員が「法令等の確認・理解不足」や「個人情報の取扱い」などに何らかの問題があると感じていた 。
- 一方で、公益通報制度については53.17%の職員が「知らない」と回答し、特に若年層での認知度不足が課題として挙げられた 。
契約制度の検証と再発防止策
契約制度検証部会において、制度、情報、職員、組織の視点から入札・契約方法の検証が行われた 。これを踏まえ、以下の再発防止策を講じることとした。
- 入札情報の管理: 最低制限価格の算出において、これまでの積算方法にランダム係数を乗じる方式を採用し、価格の秘匿性を高める 。
- 入札契約業務フローの見直し: 設計価格5,000万円以上の財政課合議において設計書を不添付とし、設計書情報を把握できる職員の数を削減する 。
- 入札契約事務の強化: 総務課を分割し、総務課契約係と工事検査課を統合して入札・契約事務を強化する 。また、定期的な制度研修を実施する 。
- 業者の不正行為防止: 不正行為を行った業者に対する指名停止期間の基準を引き上げるほか、入札監視委員会における検証対象に落札額が最低制限価格に近接した工事を追加する 。
職員倫理の向上と行動計画の策定
個人の資質や組織風土に起因する不祥事を根絶するため、制度の運用徹底と意識改革を目的とした新たな規程や計画が策定された 。
- 沼津市職員倫理規程の策定: 職員が遵守すべき事項を具体的に定め、利害関係者からの贈与等、市民の疑惑や不信を招く行為を禁止・制限する 。
- 沼津市職員不祥事防止対策行動計画の策定: コンプライアンス遵守のための実践行動をまとめた計画であり、「研修の充実・強化」「職場内コミュニケーションの推進」「コンプライアンス推進体制の充実」などを掲げている 。
市民の信頼回復に向けて
今回の事件は、個人の資質に加え、組織の監視機能の欠如や組織風土にも大きな問題があった 。職員一人ひとりがこの事態を「自分のこと」として受け止め、高い公務員倫理を持ち続ける必要がある 。策定された倫理規程と行動計画に基づき、全庁を挙げて不正を起こさない・起こさせない職場環境の整備に取り組み、市民からの信頼回復に全力で努めることとする 。


