労働コンプライアンスの最新研修内容について(無視から尊重へ180度変遷)

1.労働法に関する使用者のコンプライアンス環境の整備責任

(1)個別労働関係における親会社のコンプライアンス責任

サービス残業やハラスメント発生の責任は、当の労働契約上の会社ばかりでなく親会社にも内部統制違反の責任、つまりコンプライアンス上の責任が発生するであろう。

例えば、法文上の根拠として、【会社法】では、

(取締役会の権限等)
第三六二条
① 取締役会は、すべての取締役で組織する。

② 取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定 二 取締役の職務の執行の監督 三 代表取締役の選定及び解職

③ 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。

④ 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け

二 多額の借財

三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任

四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止

五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項

六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

【会社法施行規則】 第一〇〇条
① 法第三百六十二条第四項第六号に規定する法務省令で定める体制は、当該株式会社における次に掲げる体制とする。
一 当該株式会社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制

二 当該株式会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制

三 当該株式会社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制

四 当該株式会社の使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

五 次に掲げる体制その他の当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
イ 当該株式会社の子会社の取締役、執行役、業務を執行する社員、法第五百九十八条第一項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者(ハ及びニにおいて「取締役等」という。)の職務の執行に係る事項の当該株式会社への報告に関する体制

ロ 当該株式会社の子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制

ハ 当該株式会社の子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制

ニ 当該株式会社の子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

(2)集団的労働関係のコンプライアンス

これに対して、労働組合法上では、あくまでも当該会社が、労働組合法上の労働者のコンプライアンス環境整備を負うのであり、上記とは異なろう。

 

2.労働法のコンプライアンス時代における格上げ

今日の労働法は、はたき方改革に見られるように、無視から尊重へと社会の目が変わったと言えるであろう。

会社は善的存在であり、その為に法を無視することは浄化されると考える面があろうか。会社があってこそ人々の生活つまり命はあり得るのであり、その為に足枷になる法の決まりは、最低限の決まりであって、個々人が自分で破る能力があれば構わないとされたのであろう。私も若い時に大阪で働いているときはそうであった。

しかし、ガイドライン等ソフトローも含めた規範遵守は、コンプライアンスの中核部分として、その会社のレピュテーションリスクに関わる重要なマネジメント問題になった。COSOレポートが出た1980年代末以降はそうである。

特に、労働現場状況が組織の内的な面から外的な面への広がりを見せ、労働者は立派なステークホルダーである。その信頼を得られない組織はコンプライアンス的にはもう駄目である。

3.労働法規範が判例法理から実定法による規制法理へ変遷

例えば、解雇の場においては、民法の権利濫用法理が妥当するとされ、これは抽象的な一般条項であり、末川博博士も言われたように、むやみやたらに持ち出すものではないのである。

ところが、労働契約法でも取り入れざるをえなくなったように、実務的に広く定着してしまった。

そこで、今後は、コンプライアンスは予防が命なのであるから、行為規範として解り易くするために労働施策総合推進法のように、優越的言動問題(パワハラ)の3要件も定めるようになっている。また、法律上の措置義務であることが明確にされ、労働法が大企業向きの規程が多いなかで、中小企業にもコンプライアンス経営をしてもらえるように施行時期をずらした(2022年4月1にに全面施行)。

まさに、労働法規範が判例法理から実定法による規制法理へ変遷したと言えるであろう。

4.コンプライアンス違反による民事上の賠償責任、刑事上の責任、行政法的サンクション等

このように、コンプライアンス違反は、今日では実定法による民法上の安全配慮義務違反で賠償責任、会社法上の取締役の第三者責任の根拠になる法令違反である。

また、コンプライアンス・リスク管理の観点は上記に述べたとおりである、

このように、今日では、労働コンプライアンスは、無視から尊重へ180度変遷したのであり、このような最新内容を含めた階層別の組織メンバー全員を対象にした研修やコンサルティングが不可欠になっている。

 

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