ブラック企業(sweatshop)に対するコンプライアンス徹底の指導

1.ブラック企業の定義

(1)ブラック企業の特徴

厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していないが、

一般的な特徴として、

① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、

② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、

③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、

などと言われている。

このような企業に就職してしまった場合の対応としては、第一義的には会社に対して問題点の改善を求めていくことが考えられるが、

新入社員が単独で会社に問題点の改善を求めて交渉等をするのは現実的には非常に難しい。

したがって、問題点に応じて、外部の関係機関や労働組合に相談することも有効な手段と考えられる。

(2)社会問題化している企業事例多数(平成29年電通事件等)

例えば、労働者の生命身体の安全体制構築義務違反とした「大衆割烹店大庄株式会社事件」がある。

判決の中で、会社が36協定においては1か月100時間の時間外労働を許容するなど,生命,健康を損なうことがないよう配慮すべき義務を怠った。

労働者の生命・健康を損なうことがないような体制の構築と長時間労働の是正方策の実行に関して任務懈怠があり,会社法429条1項に基づき損害賠償責任を負うとしている(大阪高裁 平23.5.25判決)

この事案は、大衆割烹店を全国展開する大庄(株)に入社したばかりの新入社員であるKが,大衆割烹店で調理関係の業務に従事していたところ,急性左心機能不全により死亡した。

第1審は一部認容した(平22.5.25)が、その控訴審判決はコンプライアンス態勢やリスク管理体制の構築義務が経営者にあることを肯定している。

※このサイトのコンプライアンスの事例参照

 

2.ブラック企業に対するコンプライアンス徹底の指導

(1)厚生労働省の調査 厚生労働省 平成25年9月

①若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況

過重労働重点監督の結果  重点監督の実施事業場:5,111事業場

違反状況:4,189事業場(全体の82.0%)に何らかの労働基準関係法令違反

・違法な時間外労働があったもの:2,241事業場(43.8%)

・賃金不払残業があったもの:1,221事業場(23.9%)

・過重労働による健康障害防止措置が実施されていなかったもの:71事業場(1.4%)

・過重労働による健康障害防止措置が不十分なもの:1,120事業場(21.9%)

・労働時間の把握方法が不適正なもの:1,208事業場(23.6%)

・重点監督時に把握した、1か月の時間外・休日労働時間が最長の者の実績
80時間超:1,230事業場(24.1%)  うち100時間超:730事業場(14.3%)

②〔違反・問題等の主な事例〕

・長時間労働等により精神障害を発症したとする労災請求があった事業場で、その後も、月80時間を超える時間外労働が認められた事例

・社員の7割に及ぶ係長職以上の者を管理監督者として取り扱い、割増賃金を支払っていなかった事例

・営業成績等により、基本給を減額していた事例

・月100時間を超える時間外労働が行われていたにもかかわらず、健康確保措置が講じられていなかった事例

・無料電話相談を契機とする監督指導時に、36協定で定めた上限時間を超え、月100時間を超える時間外労働が行われていた事例

・労働時間が適正に把握できておらず、また、算入すべき手当を算入せずに割増賃金の単価を低く設定していた事例

・賃金が、約1年にわたる長期間支払われていなかったことについて指導したが、是正されない事例
法違反を是正しない事業場については、送検も視野に入れて対応します。(送検した場合には、企業名等を公表します。)

3.厚生労働省の対策

◆ブラック企業対策で特別チーム=過重労働防止へ―厚労省 2015年 4月1日

厚生労働省は平成27年4月1日、過重労働や賃金不払いなど労働環境が劣悪な「ブラック企業」への対策を強化するため、東京、大阪の労働局内に、専門に取り締まる特別チーム「過重労働撲滅特別対策班」を設置した。

4.ブラック企業の公表

http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf

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