1.平成28年度の国家公務員倫理法違反は5件7名
(1)国家公務員倫理法違反行為に対する任命権者による懲戒処分
5件(7名)あり、その内訳は、免職3名、停職2名、減給1名、 戒告1名であっ た。
(2)国家公務員倫理法とは
国家公務員には、国家公務員法による倫理の規律以外に、こんにちでは業者癒着の不祥事が連発したことから、国家公務員倫理法が定められて、特に利害関係者との接触を厳しく規制した同規程がある。
規程違反は、同審査会から公表されている。
2.国家公務員倫理法違反の事例を上記の入手した資料から分析
(1)(事案1)接待等を受けた国土交通省職員
利害関係者から飲食の供応接待を受けた国土交通省の地方支部職員1名について、免職の処分を行った(職員は収賄等の容疑で逮捕されている。)。なお、他の国家公務員法違反行為もあったことからこれらを併せて懲戒処分を行った。
(2)(事案2)接待等を受けた農林水産省職員
利害関係者から飲食等の供応接待を受けた農林水産省の地方支分部局の職員1名について、免職の処分を行った(職員は収賄等の容疑で逮捕されている。)。なお、他の国家公務員法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分を行った。
(3)(事案3)物品接待等のかなり悪質な財務省国税庁職員
利害関係者から物品の贈与を受け、飲食の供応接待を受け、また、利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて飲食の供応接待及び財産上の利益の供与を受けた国税庁の地方支分部局の職員1名、利害関係者以外の者から社会通念上相当と認められる程度を超えて飲食の供応接待を受けた国税庁の地方支分部局の職員1名合わせて2名について、停職3月の処分を行った。なお、うち1名については、他の国家公務員法違反行為もあったことから、これらを併せて懲戒処分を行った。
(4)(事案4)金銭を借りた国土交通省職員
利害関係者から金銭の貸付けを受けた国土交通省の地方支分部局の職員1名につい て、減給6月(棒給の月額の10分の1)の処分を行った。
(5)(事案5)物品も贈与も役務の提供も接待も極めて悪質な国土交通省職員
利害関係者から物品の贈与を受け、無償で役務の提供を受け、飲食の供応接待を受けた国土交通省の地方支分部局の職員1名について、戒告の処分を行った。
3.国家公務員倫理法違反の厳重注意は10件
なお、平成28年度中に、倫理法違反行為に対して、各府省等の內規による訓告、厳重注意等の措置が講じられた事案は、10件(27名)であった。
このような悲惨な状況であるので、国家公務員法そのものにも、服務に関する規定があり、それは職業倫理の具体化又は制度化といっていいのであるが、不十分であろうか。
4.地方公務員倫理法なぜ制定されないのか
国家公務員によるこのような反倫理的な事例が多数あるのに、地方公共団体では、地方公務員法違反さえも隠しているばかりか、倫理に関する規律をキチンとしていないところも多数ある。
国家公務員倫理法には、地方もこれに倣って定めてくださいと書いてあっても馬耳東風である。
このままでいいのか。
その影響は、官製談合事件の多発のみならず、下記の動画のように広範に及んでいる。
※別の年度のものは、研修では公表しているがこのサイトでも随時掲載する