1.行政不服審査法 平成26年全面改正法(平成28年4月1日施行)による研修方法

(1)「行政不服審査法」全部改正法施行

平成26年6月13日、行政不服審査法全部改正法が公布され、平成28年4月に施行された。併せて行政手続法も一部改正され、その1年前に施行されている。

マイナンバー法と違って、いずれも、自治体のほとんどすべての部署に影響が甚大である。

地方公共団体職員は、実務に多大な影響を及ぼす改正行政不服審査法や改正行政手続法を十分に理解するとともに、「審理員」「審査会」新規設置が法的に義務付けられており、関連条例と規則や要綱も含めて施行後に対応する必要があろう。

(2)講師の自前テキストで研修することが不可欠

講師が自前のテキストで法改正を旧法も十分に踏まえながら、具体的対応を中心に実施し、自治体職員が住民の権利利益の手続き保障を確保し地域社会から信頼される行政組織であることを目的とする研修内容でやる。

2.行政不服審査法の改正法で特に研修で取得すべき内容

(1)旧法での法と実務概略

・処分についての審査請求

・処分についての異議申立て

・不作為についての不服申立て

・再審査請求

・重要判例・実務

(2)行政不服審査法改正法のポイントと重要変更点

・審査請求一本主義へ

・審査請求
①審査庁及び審理関係人

②審査請求の手続

③審理手続

④行政不服審査会等への諮問

⑤裁決
・再調査の請求と再審査請求

・行政不服審査会・教示制度等

(3)改正法と地方自治法等の関係法と自治体実務への影響

・地方自治法などへの影響(整備法関係)

・自治体実務の影響

・不服申し立ての原則と例外類型の区別

・審理員制度 ①除斥事由 ②名簿 ③適用除外の条例

・標準処理期間の新設

・行政不服審査会の設置義務と実際の運用の仕方

・条例・規則等の整備

第三者機関の設置、審理員の名簿整備等、情報公開条例・個人情報保護条例の整備

(4)行政手続法改正

・行政指導の中止等の求め

・ 処分等の求め

・行政指導に当たっての法的根拠明示義務

・行政手続条例の改正等による対応

3.改正法の見直し(令和4年1月総務省検討会が公表)

※行政不服審査法の改善に向けた検討会最終報告より引用

 平成26年に改正された行政不服審査法について、処分に関与しない審理員による審理手続・第三者機関への諮問手続の導入、不服申立ての手続を審査請求に一元化、審査請求期間の延長等といった制度については、法改正のねらいや目標が一定程度達成されたものと評価できる。

一方、運用面においては、法改正のねらいや目標、制度趣旨に沿った運用が徹底できていない、あるいは、運用が表面的なものとなっているということが課題として見られた。

それらの運用や対応の問題の多くの背景には、共通的な要因があることから、当該要因に重点的に対処しなければならない。

また、それらの運用や対応の問題が特に典型的に見られる局面に集中的に対処し、関係主体の意識改革を促進し、全体的な改善につなげていくことが重要である。

そのような観点から、今後、積極的な改善を図るべき以下の五つの事項を整理した。

①審理手続の担い手の確保・育成

②不服申立てに関わる各主体の体制の整備

③運用マニュアルに沿った手続の徹底

④国民に対する情報提供及び審査庁・処分庁間の連携の推進

⑤行政不服審査会等の答申における付言の活用

なお、審査庁によっては、行政不服審査法の趣旨にのっとり、着実に経験を積み重ね、適切な運用が行われている事例も見受けられ、そのような先進的な府省等や地方公共団体の経験や、地方公共団体の枠を超えた積極的な取組については、総務省が横展開を行うべきである。

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