なぜ地方公務員職員の再整備と「会計年度任用職員」名称創設が必要だったのか

1.地方公務員の臨時・非常勤職員(一般職・特別職・臨時的任用の3類型)再整備(会計年度任用職員の名称創設)する地方公務員法の重要な改正

※いつも言っていて、もううんざりであるが、「会計年度任用職員」なる言葉が、日本語として妥当とは思えない。一言でいうと、汎用性もないが何より日本語として「美しくない」。

「定期契約職員」でいいではないか。一般に学校を出て企業や役所に採用されるときは殆ど定年はあっても「無期契約職員」で入るのだから。今一度、猛省を促したい。

(1)地方公共団体における「3号職員」の乱用に歯止め

この改正は、非常に影響が大きいであろう。

中川総合法務オフィスの研修でも頻繁に聞かれている。

あまりに、その場しのぎの経費削減や期間的な都合などで非常勤の地方公務員の採用がバラバラすぎたのである。

早急に、職員の身分的な保障とともに服務に関する規制を強くする必要があろう。

公務員格差ももっとなだらかにして、役所における「働き方改革」を図っていく必要があろう。

(2)適正な職員採用へ

より詳しい論考はこのサイトの別稿参照

2.地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案(平成29年第193回国会で成立)

本法律案は、地方公共団体における行政需要の多様化等に対応し、公務の能率的かつ適正な運営を推進するため、地方公務員について、会計年度任用職員の任用等に関する規定を整備するとともに、特別職の任用及び臨時的任用の適正を確保しようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

(1)一般職の非常勤職員である会計年度任用職員

その採用の方法は、競争試験又は選考によるものとし、その任期は、その採用の日から同日の属する会計年度の末日までの期間の範囲内で任命権者が定めるものとすること等とする。

(2)特別職の地方公務員

臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職は、専門的な知識経験又は識見を有する者が就く職であって、当該知識経験又は識見に基づき、助言、調査、診断その他総務省令で定める事務を行うものに限ることとする。

(3)地方公務員の臨時的任用

緊急のとき、臨時の職に関するとき、又は採用候補者名簿がないときに行うことができることに加え、常時勤務を要する職に欠員を生じた場合に該当することを要件に追加し、その対象を限定することとする。

(4)期末手当の支給

地方公共団体は、これらの任用の適正化に併せ、会計年度任用職員に対し、期末手当の支給を可能とすることとする。

(5)施行日

この法律は、一部を除き、平成三十二年四月一日から施行する。

3.地方公務員法の改正条文

(地方公務員法の一部改正)

第一条 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二十二条」を「第二十二条の三」に改める。

第三条第一項中「すべて」を「全て」に改め、同条第三項第三号中「の職」の下に「(専門的な知識経験又は識見を有する者が就く職であつて、当該知識経験又は識見に基づき、助言、調査、診断その他総務省令で定める事務を行うものに限る。)」を加え、同号の次に次の一号を加える。
三の二 投票管理者、開票管理者、選挙長、選挙分会長、審査分会長、国民投票分会長、投票立会人、開票立会人、選挙立会人、審査分会立会人、国民投票分会立会人その他総務省令で定める者の職

第二十二条の見出し中「及び臨時的任用」を削り、同条第一項中「臨時的任用又は非常勤職員の任用の場合を除き、」を削り、「その職員」を「当該職員」に改め、「人事委員会等は」の下に「、人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定めるところにより」を加え、同条第二項から第七項までを削る。

第三章第二節中第二十二条の次に次の二条を加える。
会計年度任用職員の採用の方法等
第二十二条の二 次に掲げる職員(以下この条において「会計年度任用職員」という。)の採用は、第十七条の二第一項及び第二項の規定にかかわらず、競争試験又は選考によるものとする。
一 一会計年度を超えない範囲内で置かれる非常勤の職(第二十八条の五第一項に規定する短時間勤務の職を除く。)(次号において「会計年度任用の職」という。)を占める職員であつて、その一週間当たりの通常の勤務時間が常時勤務を要する職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間に比し短い時間であるもの
二 会計年度任用の職を占める職員であつて、その一週間当たりの通常の勤務時間が常時勤務を要する職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間と同一の時間であるもの
2 会計年度任用職員の任期は、その採用の日から同日の属する会計年度の末日までの期間の範囲内で任命権者が定める。
3 任命権者は、前二項の規定により会計年度任用職員を採用する場合には、当該会計年度任用職員にその任期を明示しなければならない。
4 任命権者は、会計年度任用職員の任期が第二項に規定する期間に満たない場合には、当該会計年度任用職員の勤務実績を考慮した上で、当該期間の範囲内において、その任期を更新することができる。
5 第三項の規定は、前項の規定により任期を更新する場合について準用する。
6 任命権者は、会計年度任用職員の採用又は任期の更新に当たつては、職務の遂行に必要かつ十分な任期を定めるものとし、必要以上に短い任期を定めることにより、採用又は任期の更新を反復して行うことのないよう配慮しなければならない。
7 会計年度任用職員に対する前条の規定の適用については、同条中「六月」とあるのは、「一月」とする。

臨時的任用
第二十二条の三 人事委員会を置く地方公共団体においては、任命権者は、人事委員会規則で定めるところにより、常時勤務を要する職に欠員を生じた場合において、緊急のとき、臨時の職に関するとき、又は採用候補者名簿(第二十一条の四第四項において読み替えて準用する第二十一条第一項に規定する昇任候補者名簿を含む。)がないときは、人事委員会の承認を得て、六月を超えない期間で臨時的任用を行うことができる。この場合において、任命権者は、人事委員会の承認を得て、当該臨時的任用を六月を超えない期間で更新することができるが、再度更新することはできない。
2 前項の場合において、人事委員会は、臨時的に任用される者の資格要件を定めることができる。
3 人事委員会は、前二項の規定に違反する臨時的任用を取り消すことができる。
4 人事委員会を置かない地方公共団体においては、任命権者は、地方公共団体の規則で定めるところにより、常時勤務を要する職に欠員を生じた場合において、緊急のとき、又は臨時の職に関するときは、六月を超えない期間で臨時的任用を行うことができる。この場合において、任命権者は、当該臨時的任用を六月を超えない期間で更新することができるが、再度更新することはできない。
5 臨時的任用は、正式任用に際して、いかなる優先権をも与えるものではない。
6 前各項に定めるもののほか、臨時的に任用された職員に対しては、この法律を適用する。
第二十五条第三項第五号中「においては」を「には」に改め、同項第六号中「非常勤職員」を「非常勤」に改める。
第二十六条の六第八項中「にあつては」を「には」に改め、同条第十項中「第二十二条第二項から第五項まで」を「第二十二条の三第一項から第四項まで」に改める。
第二十八条の四第五項中「第二十二条第一項」を「第二十二条」に改める。
第二十八条の五第一項中「第三項及び次条第二項において」を「以下」に改め、同条第二項中「の任期」を削り、「第四項」を「第五項」に改める。
第二十八条の六第一項中「及び同条第五項」を削り、同条第三項中「の任期」を削り、「第四項」を「第五項」に改める。
第三十八条第一項に次のただし書を加える。
ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。
第三十八条の二第一項中「第二十八条の五第一項に規定する」を削り、「にあつては」を「には」に改める。
第五十八条の二第一項中「第二十八条の五第一項に規定する」を削り、「占める職員」の下に「及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員」を加える。
附則第二十一項を削る。

(地方自治法の一部改正)
第二条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
第二百三条の二第一項中「委員会」の下に「の非常勤」を加え、「その他の委員」を削り、「短時間勤務職員」の下に「及び地方公務員法第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員」を加え、同条第二項及び第三項中「職員」を「者」に改め、同条第四項中「及び費用弁償」を「、費用弁償及び期末手当」に改め、同条第三項の次に次の一項を加える。
普通地方公共団体は、条例で、第一項の者のうち地方公務員法第二十二条の二第一項第一号に掲げる職員に対し、期末手当を支給することができる。
第二百四条第一項中「短時間勤務職員」の下に「及び地方公務員法第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員」を加え、同条第二項中「の職員」を「の者」に改める。
第二百四条の二及び第二百五条中「職員」を「者」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成三十二年四月一日から施行する

◆より詳しい論考はこのサイトの別稿参照

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