1.地方自治法の関連規定
(1)第七四条 【条例の制定又は改廃の請求及びその処置】
① 普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(以下この編において「選挙権を有する者」という。)は、政令で定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる。
② 前項の請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。
③ 普通地方公共団体の長は、第一項の請求を受理した日から二十日以内に議会を招集し、意見を付けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者(以下この条において「代表者」という。)に通知するとともに、これを公表しなければならない‥‥
(2)第一五五条 【支庁・地方事務所・支所・出張所の設置】
① 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、条例で、必要な地に、都道府県にあつては支庁(道にあつては支庁出張所を含む。以下これに同じ。)及び地方事務所、市町村にあつては支所又は出張所を設けることができる。‥‥
2.支所等の設置は事務処理組織形成として本来は長の権限に属する
(1)条例による支所の設置を要求した理由
地方公共団体の組織全体に関し、 どこにいかなる支所を設置するかは住民の利害に大きく影響するため、規則ではなくて条例による設置を要求しているのであろう。
(2)直接請求の対象とならないと考える解釈も可能か
議会の議決の実質は補充行為としての同意にすぎないと解すれば、そう考える解釈も可能であるが、支所等の設置は、 公の施設の設置等と同じく、少子高齢化の中では特に住民福祉の向上の観点が重要であると考えて、住民意思の反映しやすい議会の審議を経るべきである事項として法が条例を要求しているのだと考えれば議決は単なる補充行為ではなく、長の専属的権限としての組織に関する事項でありながらも事柄の性質上、条例事項をしたと解すれば、住民の直接請求の対象としてもかまわないことになろうか。