総務省「私人委託制度から 可能な限り早期に指定納付受託者制度に移行を」自治体にスマホ決済等可能へ

1.私人委託制度

地方自治法施行令には、この私人委託制度の明文規定がある。

(歳入の徴収又は収納の委託)
第百五十八条
 次に掲げる普通地方公共団体の歳入については、その収入の確保及び住民の便益の増進に寄与すると認められる場合に限り、私人にその徴収又は収納の事務を委託することができる。
一 使用料
二 手数料
三 賃貸料
四 物品売払代金
五 寄附金
六 貸付金の元利償還金
七 第一号及び第二号に掲げる歳入に係る延滞金並びに第三号から前号までに掲げる歳入に係る遅延損害金
2 前項の規定により歳入の徴収又は収納の事務を私人に委託したときは、普通地方公共団体の長は、その旨を告示し、かつ、当該歳入の納入義務者の見やすい方法により公表しなければならない。
3 第一項の規定により歳入の徴収又は収納の事務の委託を受けた者は、普通地方公共団体の規則の定めるところにより、その徴収し、又は収納した歳入を、その内容を示す計算書(当該計算書に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を含む。)を添えて、会計管理者又は指定金融機関、指定代理金融機関、収納代理金融機関若しくは収納事務取扱金融機関に払い込まなければならない。
4 第一項の規定により歳入の徴収又は収納の事務を私人に委託した場合において、必要があると認めるときは、会計管理者は、当該委託に係る歳入の徴収又は収納の事務について検査することができる。

第百五十八条の二 次に掲げる普通地方公共団体の歳入(第三号、第六号及び第七号に掲げる歳入にあつては、当該普通地方公共団体の規則で定めるものに限る。以下この条において「地方税等」という。)については、前条第一項に規定する場合に限り、その収納の事務を適切かつ確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有する者として当該普通地方公共団体の規則で定める基準を満たしている者にその収納の事務を委託することができる。
一 地方税(当該地方税に係る地方税法第一条第一項第十四号に規定する督促手数料、延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金及び滞納処分費を含む。)
二 分担金
三 負担金
四 不動産売払代金
五 過料
六 損害賠償金(第八号に掲げる遅延損害金を除く。)
七 不当利得による返還金
八 第二号、第三号及び第五号に掲げる歳入に係る延滞金並びに第三号、第四号及び前二号に掲げる歳入に係る遅延損害金
2 前項の規定により地方税等の収納の事務の委託を受けた者(次項及び第四項において「受託者」という。)は、納税通知書、納入通知書その他の地方税等の納入に関する書類(当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。)に基づかなければ、地方税等の収納をすることができない。
3 会計管理者は、受託者について、定期及び臨時に地方税等の収納の事務の状況を検査しなければならない。
4 会計管理者は、前項の検査をしたときは、その結果に基づき、受託者に対して必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
5 監査委員は、第三項の検査について、会計管理者に対し報告を求めることができる。
6 前条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により地方税等の収納の事務を同項に規定する者に委託した場合について準用する。

この様な明文上の根拠があるが、本来は地方公共団体の徴収事務又は収納事務は地方公共団体自体が行うことが原則であっって、その例外規定である。したがって、地方公共団体の収納の方法に準じなければならず、現金による収納を原則としている (令和3年4月1日総務省自治行政局長通知)」。スマホ決済は出来ない。また、私人委託制度は、納付を受けた時点において自治体に納付があったものとされ、実際に自治体に納付されるまでの間の事故等に係るリスクがあろう。

2.指定納付受託者制度(地方自治法231の2の2の追加2022年~)

指定納付受託者に対する納付の委託
第二三一条の二の二 
普通地方公共団体の歳入(第二百三十五条の四第三項に規定する歳入歳出外現金を含む。以下「歳入等」という。)を納付しようとする者は、次の各号のいずれかに該当するときは、指定納付受託者(次条第一項に規定する指定納付受託者をいう。第二号において同じ。)に納付を委託することができる。
一 歳入等の納付の通知に係る書面で総務省令で定めるものに基づき納付しようとするとき。
二 電子情報処理組織を使用して行う指定納付受託者に対する通知で総務省令で定めるものに基づき納付しようとするとき。

指定納付受託者
第二三一条の二の三 
① 歳入等の納付に関する事務(以下「納付事務」という。)を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者のうち普通地方公共団体の長が総務省令で定めるところにより指定するもの(以下「指定納付受託者」という。)は、総務省令で定めるところにより、歳入等を納付しようとする者の委託を受けて、納付事務を行うことができる。② 普通地方公共団体の長は、前項の規定による指定をしたときは、指定納付受託者の名称、住所又は事務所の所在地その他総務省令で定める事項を告示しなければならない。
③ 指定納付受託者は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、総務省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を普通地方公共団体の長に届け出なければならない。
④ 普通地方公共団体の長は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を告示しなければならない。

指定納付受託者の納付
第二三一条の二の五 
① 指定納付受託者は、第二百三十一条の二の二の規定により歳入等を納付しようとする者の委託を受けたときは、普通地方公共団体が指定する日までに当該委託を受けた歳入等を納付しなければならない。

■この法改正で導入された制度においては、取扱いが可能な歳入に制限はなく、 クレジットカード、電子マネー、スマートフォンアプリ等を利用した決済により決済事業者が納付者からの委託を受け、 地方公共団体へ納付を行うことができるほか、コンビニエンスストア等での納付も可能である。 また、決済事業者が提供するポイントを使った支払いも可能である。
総務省自治行政局も 可能な限り早期に上記の1から2指定納付受託者制度に移行を求めている。

3.愛媛県砥部町の公表例(同自治体サイト参照)

3.地方自治法の研修

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