1.集団での意思決定がコンプライアンス違反になるとき
企業や役所に不祥事を扱っていると、不祥事組織に行ったとき、かなりの集団で不祥事を分かっていてやっていることがある。
3人寄れば文殊の知恵というが、複数人でかえって、反倫理的な行動に走ってしまうことがある。
誰にも良心はなかったのか。不思議な気持ちになる。
しかし、これは次に述べるように人文科学的には理論として実証されているのだ。
2.groupthink(グループシンク)Janis, Irving USA
グループシンクとは、集団浅慮又は集団思考ともいわれ、1972年に社会心理学者のアーヴィング・ジャニス(Janis, Irving)が提唱した理論である。
それは、集団で決めた事柄が大きな過ちにつながるという現象が帰納的に理論化したものである。
一人で考えれば当然気づいたにもかかわらず、集団で考えたためにかえって気づかずに見落としてしまうことかあり、
その結果、集団で物事を決定する場合においては、極端な方向に振れやすくなり、
ひとりで決定するよりも、大きな過ちを犯す危険性が高まる事がある。wikipedia参照
3.集団での意思決定でコンプライアンス違反が起こり易い3つの要素
(1)強力なリーダーが間違った意見でリードしてしまう
組織は、私のような経験のあるものは実務感覚(皮膚感覚)で解るだが、肩書や役職に関係なく、強力なリーダーに事実上率いられているときは、その者の意見がコンプライアンス違反であっても、集団の意見になる。
(2)豊富な情報やデータを自分の都合良いように解釈する(「確証データの誤謬」 クリステンセン教授)
多数の者がいれば多数の意見も出るし、多数の情報も入ってくるし、討論のうえで決めれば、全員がリスクマネジメントのミス判断や職業倫理に反する判断はしないと思うのは残念ながら真実ではない。
(3)集団の意思決定を上司がチェックしたり、コンプライアンス違反についてのリサーチできる部署や担当がいない
集団意思決定を上司等がチェックできるように、「議事録」作成と提出を義務づけるなどの会議体を管理するルールを作って、意思決定プロセスが分かるようにする。
集団での少数意見でも、集団決定がコンプライアンス違反と考えられれば、コンプライアンスチェックできる仕組み(内部通報システム)を作る。
4.コンプライアンス違反が起こりやす集団の特徴
コンプライアンス違反は、同質性があまりに強いと起こりやすい。多角的視点がなくなるからである。カリスマがいる場合も要注意。指示命令型リーダーシップ(PM理論)を良しとする組織もそうであろう。
また、主要取引先銀行、元請取引先や株主等からの強いプレッシャーがある場合もそうである。
以上、結論的には、コンプライアンス違反防止の態勢には、個人を対象としたものだけではなく、集団を対象としたものも考慮する必要がある。