北陸のある都市監査からの依頼で、「定期監査等に織り込む自治体内部統制・リスク管理」の講演講師を監査委員などを対象に令和3年秋、令和4年秋と続けて務めた。
下記のその一資料である。参考にされたい。
1.内部統制時代の「監査委員」定期監査等の連携図
(総務省HPより一部引用)
2.都道府県・指定都市、人口25万人以上の中核市等、一般市町村等規模に応じた地方公共団体の監査のあり方
監査委員は人口25万人を境に地方自治法等は4人と2人を最低限としているが、2人での監査では地方自治法150条の内部統制時代のリスクマネジメントに応じた監査は困難であろう。監査専門委員を採用することも人材と費用の面共に困難であろう。
地方自治法施行令 第百四十条の二 地方自治法第百九十五条第二項に規定する政令で定める市は、人口二十五万以上の市とする。
第一九五条 【監査委員の設置及び定数】
2項 監査委員の定数は、都道府県及び政令で定める市にあつては四人とし、その他の市及び町村にあつては二人とする。ただし、条例でその定数を増加することができる。
改正地方自治法による下記の点は先の内部統制導入でも海外の例も紹介されて盛んに議論された。つまり、
(機関等の共同設置)
第二五二条の七
① 普通地方公共団体は、協議により規約を定め、共同して、第百三十八条第一項若しくは第二項に規定する事務局若しくはその内部組織(次項及び第二百五十二条の十三において「議会事務局」という。)、第百三十八条の四第一項に規定する委員会若しくは委員、同条第三項に規定する附属機関、第百五十六条第一項に規定する行政機関、第百五十八条第一項に規定する内部組織、委員会若しくは委員の事務局若しくはその内部組織(次項及び第二百五十二条の十三において「委員会事務局」という。)、普通地方公共団体の議会、長、委員会若しくは委員の事務を補助する職員、第百七十四条第一項に規定する専門委員又は第二百条の二第一項に規定する監査専門委員を置くことができる。ただし、政令で定める委員会については、この限りでない。(以下略)
監査委員、監査委員事務局、監査委員補助職員、監査専門委員などの共同設置である。
例えば、岡山県において、「備前市瀬戸内市監査委員事務局」の例も出てきた。下記サイト参照
https://www.city.bizen.okayama.jp/soshiki/64/11117.html
3.監査基準(案)は監査におけるリスクアプローチを求めている。
端的に言うと、1992年のCOSOレポートからの内部統制とリスクマネジメントの理解が前提になっているのでその知識は不可欠である。
そのうえで、これも一言でいえば、ローテーション監査、1の連携なしの従来型監査から、リスクアプローチに基づく、監査リスクを踏まえた内部統制型監査に移行すべきであろう。
そこでは、「正確性」の観点、「合規性」の観点の中心は内部統制に移り、定期監査等では「経済性」の観点、「効率性」の観点、そして「有効性」の観点に比重を移すことになろう。
しかし、一部識者が言うようにがらりと変わるというより、監査が一層洗練されることになることが求められている、
なぜなら、監査の本質は変わらないからである。
私が言いたいのは、地方公共団体のガバナンスの要である監査に、上記の観点を加えて、さらに内部統制・リスクマネジメントを考慮すべきとするのが現代日本の地方公共団体への要請であろう。
しかし研修会場で、監査事務局の地方公共団体職員ではなくて、代表監査委員の権限などを知らない新人監査委員がいたのには驚いた。頼まれてやり始めたのか。行政法の素養がなくて本当にできるのであろうか。内部統制の実質的な価値の理解はどうなのか? 任命権者の見識も問われる。