メール漏えいで、森雅子消費者相、公益通報ガイドライン見直しへ

1.森雅子消費者相、公益通報者保護法に関する国のガイドライン見直し

(1)森内閣府特命担当大臣記者会見(平成26年2月18日:衆議院内)

問 公益通報の関係なのですけれども、先日、厚労大臣がアルツハイマープロジェクトの関係で、職員がメールを漏洩したことに関して国家公務員法違反の可能性があるというふうなことを指摘されています。

それはそれで守秘義務違反だということだと思うのですけれども、内部通報の問題で、公益通報保護ではなくて国家公務員法違反ということだと、やはりちょっと法がちゃんと機能していないのではないかという気がするんですけれども、将来的な公益通報者保護法の体制や、また、そのガイドラインの見直しといったことについて大臣の見解をお伺いします。

答 法がきちんと機能しないという御質問でしたけど、何法が機能しないという意味ですか。

問 公益通報者保護法です。

答 公益通報者保護法ですね。

私は、この事案に関しては、その詳細をきちっと調査をしていただく必要があると思いますが、公益通報であれ相談であれ苦情であれ、行政機関におよそ国民から情報が寄せられた場合に、それが他人に流出してしまうということはあってはならないことです。

公益通報者保護法に関しては、それが一定程度の公益的な機能を持つ通報であるという、そういう趣旨のもとで保護されているものですけれども、それに当たるかどうかということはきちっと当てはめをするべきだと思いますが、そうではない通常の相談とか苦情とか、それとか公益通報に当たらない内部通報もあるわけですね、

そうしたものは広く今おっしゃった国家公務員法上の守秘義務ということで守られておりますし、もう一つは、行政機関の保有する個人情報保護法というのもございます。

行政機関の中に個人情報が入ってきたときには、それはきちんと保護するというふうになっていますので、これがきちっと機能することがまず一つは大事であって、これによって国民の皆様の行政機関に対する信頼が確保されると考えています。

そのうち私が所掌するのが、公益通報者保護法でございますので、今回の事件を契機にきちっとガイドラインを見直して徹底をしてまいりたいと思います。その上で不足の点があるかどうかということもあわせて検討していきたいと思います。(以上は消費者庁HPより引用)

(2)国家公務員法100条違反

◆守秘義務違反(国家公務員法100条)に厚生労働省の担当職員は該当

(秘密を守る義務)
第百条  職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。

(3)漏えい不祥事実は何か

①東大教授の告発

アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」のデータ改ざんを指摘する内部告発メールを、厚生労働省の担当者が無断で研究チーム責任者に転送した。

告発メールは昨年11月に、プロジェクトのデータ検証責任者である杉下守弘・元東大教授が厚労省の担当者に送った。しかし、担当者は「研究チーム内で対処すること」と判断し、代表研究者に転送した。

②大臣の見解

田村憲久厚労相は、国家公務員法の守秘義務に違反する…。

田村憲久厚労相は告発者に謝罪する一方、「公益通報」として保護する対象にはならないと表明した。

安倍内閣も「法で規定する『公益通報』に該当しない」「ガイドラインが適用される通報にも該当するものではなかった」とする答弁書を閣議決定した(朝日新聞2014年2月19日一部引用)。

2.公益通報者保護法の改正進まず

(1)現行法の問題点

・公益通報の処理を適正にしなかった場合に行政や違反企業等への罰則規定がない

・受理専門の第3者機関を行政機関でも設けるべきである。民間では専門会社を利用する会社がある。

・400本余りの法律に限定していては、告発対象が狭すぎる。

通報対象となる法律は、(平成30年4月1日現在) 465本 ある。

(2)ガイドラインは3本ある(民間業者・行政機関で内部と労働者)

例:国の行政機関の通報処理ガイドライン (外部の労働者からの通報) 平成 17 年7月 19 日

1.本ガイドラインの目的

本ガイドラインは、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)の施行に伴い、国の行政機関において、外部の労働者からの法に基づく公益通報を適切に処理するため、各行政機関が取り組むべき基本的事項を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、事業者の法令遵守(コンプライアンス)を推進することを目的とする。

2.通報処理の在り方

(1)通報処理の仕組みの整備
・ 各行政機関は、通報者の個人情報の保護に留意しつつ、迅速かつ適切に、通報を処理する仕組みを整備する。

・ 各行政機関は、通報処理の仕組みについて、内部規程を作成し公表する。

(2)通報受付窓口の設置
・ 各行政機関は、労働者からの通報を受け付ける窓口(以下「通報窓口」という。)及び通報に関連する相談に応じる窓口を通報者及び相談者に明確になるよう設置する。

・ 通報を受け付ける部局と通報に基づく調査や法令に基づく措置をとる部局等が異なるときは、通報者との連絡が円滑に行われるような措置をとる。

(3)秘密保持の徹底、利益相反関係の排除
通報処理に従事する者は、通報に関する秘密を漏らしてはならない。また、自らが関係する通報事案の処理に関与してはならない。

ガイドライン改正は本サイトの別稿参照

◆公益通報者保護法(平成十六年六月十八日法律第百二十二号)
(目的)
第一条  この法律は、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「公益通報」とは、労働者(労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第九条 に規定する労働者をいう。以下同じ。)が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、その労務提供先(次のいずれかに掲げる事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)又は当該労務提供先の事業に従事する場合におけるその役員、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該労務提供先若しくは当該労務提供先があらかじめ定めた者(以下「労務提供先等」という。)、当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、当該労務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。次条第三号において同じ。)に通報することをいう。
一  当該労働者を自ら使用する事業者(次号に掲げる事業者を除く。)
二  当該労働者が派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 (昭和六十年法律第八十八号。第四条において「労働者派遣法」という。)第二条第二号 に規定する派遣労働者をいう。以下同じ。)である場合において、当該派遣労働者に係る労働者派遣(同条第一号 に規定する労働者派遣をいう。第五条第二項において同じ。)の役務の提供を受ける事業者
三  前二号に掲げる事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行う場合において、当該労働者が当該事業に従事するときにおける当該他の事業者
2  この法律において「公益通報者」とは、公益通報をした労働者をいう。
3  この法律において「通報対象事実」とは、次のいずれかの事実をいう。
一  個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表に掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。次号において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実
二  別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)
4  この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
一  内閣府、宮内庁、内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項 若しくは第二項 に規定する機関、国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項 に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員
二  地方公共団体の機関(議会を除く。)
(解雇の無効)
第三条  公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として前条第一項第一号に掲げる事業者が行った解雇は、無効とする。
一  通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合 当該労務提供先等に対する公益通報
二  通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合 当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関に対する公益通報
三  通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、次のいずれかに該当する場合 その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報
イ 前二号に定める公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合
ロ 第一号に定める公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合
ハ 労務提供先から前二号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合
ニ 書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。第九条において同じ。)により第一号に定める公益通報をした日から二十日を経過しても、当該通報対象事実について、当該労務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該労務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わない場合
ホ 個人の生命又は身体に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合
(労働者派遣契約の解除の無効)
第四条  第二条第一項第二号に掲げる事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者である公益通報者が前条各号に定める公益通報をしたことを理由として同項第二号に掲げる事業者が行った労働者派遣契約(労働者派遣法第二十六条第一項 に規定する労働者派遣契約をいう。)の解除は、無効とする。
(不利益取扱いの禁止)
第五条  第三条に規定するもののほか、第二条第一項第一号に掲げる事業者は、その使用し、又は使用していた公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給その他不利益な取扱いをしてはならない。
2  前条に規定するもののほか、第二条第一項第二号に掲げる事業者は、その指揮命令の下に労働する派遣労働者である公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、当該公益通報者に係る労働者派遣をする事業者に派遣労働者の交代を求めることその他不利益な取扱いをしてはならない。
(解釈規定)
第六条  前三条の規定は、通報対象事実に係る通報をしたことを理由として労働者又は派遣労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることを禁止する他の法令(法律及び法律に基づく命令をいう。第十条第一項において同じ。)の規定の適用を妨げるものではない。
2  第三条の規定は、労働契約法 (平成十九年法律第百二十八号)第十六条 の規定の適用を妨げるものではない。
3  前条第一項の規定は、労働契約法第十四条 及び第十五条 の規定の適用を妨げるものではない。
(一般職の国家公務員等に対する取扱い)
第七条  第三条各号に定める公益通報をしたことを理由とする一般職の国家公務員、裁判所職員臨時措置法 (昭和二十六年法律第二百九十九号)の適用を受ける裁判所職員、国会職員法 (昭和二十二年法律第八十五号)の適用を受ける国会職員、自衛隊法 (昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第五項 に規定する隊員及び一般職の地方公務員(以下この条において「一般職の国家公務員等」という。)に対する免職その他不利益な取扱いの禁止については、第三条から第五条までの規定にかかわらず、国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号。裁判所職員臨時措置法 において準用する場合を含む。)、国会職員法 、自衛隊法 及び地方公務員法 (昭和二十五年法律第二百六十一号)の定めるところによる。この場合において、一般職の国家公務員等の任命権者その他の第二条第一項第一号に掲げる事業者は、第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として一般職の国家公務員等に対して免職その他不利益な取扱いがされることのないよう、これらの法律の規定を適用しなければならない。
(他人の正当な利益等の尊重)
第八条  第三条各号に定める公益通報をする労働者は、他人の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。
(是正措置等の通知)
第九条  書面により公益通報者から第三条第一号に定める公益通報をされた事業者は、当該公益通報に係る通報対象事実の中止その他是正のために必要と認める措置をとったときはその旨を、当該公益通報に係る通報対象事実がないときはその旨を、当該公益通報者に対し、遅滞なく、通知するよう努めなければならない。
(行政機関がとるべき措置)
第十条  公益通報者から第三条第二号に定める公益通報をされた行政機関は、必要な調査を行い、当該公益通報に係る通報対象事実があると認めるときは、法令に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。
2  前項の公益通報が第二条第三項第一号に掲げる犯罪行為の事実を内容とする場合における当該犯罪の捜査及び公訴については、前項の規定にかかわらず、刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)の定めるところによる。
(教示)
第十一条  前条第一項の公益通報が誤って当該公益通報に係る通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有しない行政機関に対してされたときは、当該行政機関は、当該公益通報者に対し、当該公益通報に係る通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関を教示しなければならない。

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