1.地方公務員法研修の効果的な実施方法
(1)地方公務員法の位置づけ
地方公務員法は、公務員倫理とも密接不可分であって、地方自治体コンプライアンスの中核法である。
国家公務員法に続いて、地方公務員法も平成28年4月実施の新しい人事評価制度の導入等の重要な法改正が進んでおり、さらに今後ともに改正の可能性が高い法律である。
(2)地方公務員法の正確な理解
地方公務員法を自治体職員が正確に理解するためには、過去の法改正案の内容にも触れながら、法全体を理解し、任期付法等の関連特別法令も理解する必要があろう。
また、自治体職員が自分自身の公務員の身分的基礎が分り、コンプライアンスで求められる法令順守の中核部分も理解可能となろう。
(3)会計年度任用職員改正法に理解
(詳しくはこのサイトの別稿参照)
「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案」(平成29年第193回国会で成立、施行は平成32年度)
①一般職の非常勤職員である会計年度任用職員について、その採用の方法は、競争試験又は選考によるものとし、その任期は、その採用の日から同日の属する会計年度の末日までの期間の範囲内で任命権者が定める。
この職員には、期末手当の支給を可能とする
②特別職の地方公務員について、臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職は、専門的な知識経験又は識見を有する者が就く職であって、当該知識経験又は識見に基づき、助言、調査、診断その他総務省令で定める事務を行うものに限る。
③地方公務員の臨時的任用について、緊急のとき、臨時の職に関するとき、又は採用候補者名簿がないときに行うことができることに加え、常時勤務を要する職に欠員を生じた場合に該当することを要件に追加し、その対象を限定する。
2.具体的な地方公務員法で重要な項目(ポイント)
(1)地方公務員制度の法体系の概要
・地方公務員法及び任期付職員採用法等複数の特別法の概要
・地方公務員勤務関係の「身分」等3分野を具体的に解説
(2)地方公務員法制定の理念と他の法律にはない様々な原理原則と分析概念
・成績主義、情勢適応等
(3)地方公務員の範囲と種類
・ある具体的な職にある者が地方公務員かどうかの判断基準等
(4)任命権者
・主な任命権者
(5)任用の根本基準
・任用とは何かをまず把握し、成績主義の原則と不可分一体性を指摘
(6)給与、勤務時間その他の勤務条件
・地方公務員の勤務条件の一般性と特異性
(7)分限及び懲戒
・法にない「離職」概念の有用性(一定の事由で法令の規定の当然失職、分限免職、懲戒免職その他)
・分限処分と懲戒処分についての判例・実務
(8)職員の義務
・公務員倫理に関する地方公務員法の義務と法の禁止及び制限事項(法31条~)
・多数の判例と具体的事例のご紹介
(9)研修及び勤務成績の評定
・研修義務の確認など
(10)福祉及び利益の保護
・地方公務員災害補償法等
・不服申し立て方法
(11)職員団体その他の諸事項・諸規定
・団結権や労働関係の特別法
(12)罰則
・罪刑法定主義
3.スマッシュエクササイズ付
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