企業を取り巻く環境が複雑化し、SNSなどによる情報伝達が瞬時に行われる現代において、企業コンプライアンスはもはや単なる法令遵守を超え、企業の存続と成長を左右する経営の最重要課題となっています。2024年にはコンプライアンス違反による倒産が2年連続で過去最多を更新し、社会からの厳しい目が一層向けられています。中川総合法務オフィスでは、長年の実績と豊富な経験に基づき、貴社独自の組織風土に合わせた実効性の高いコンプライアンス研修を提供し、不祥事を未然に防ぎ、企業の信頼と価値向上を強力に支援します。
講義部分:コンプライアンス態勢構築の二本柱(企業倫理とリスク管理)
企業コンプライアンスの根幹をなすのは、揺るぎない企業倫理の確立と、これに基づくリスク管理体制の構築です。この二本柱が強固であるほど、企業は予測不能な危機にも柔軟に対応し、持続的な成長を実現できます。
1.コンプライアンス態勢の基本と最新潮流
企業コンプライアンスは、ステークホルダー理論に基づき、株主、従業員、顧客、取引先、地域社会といった多様な関係者からの信頼を得ることで、初めてその真価を発揮します。
(1) 職業倫理とソフトロー規程の重要性 倫理・道徳の基本的な考え方を深く理解し、日本取引所の各種プリンシプルに代表される企業憲章などのソフトロー規程を組織に浸透させることで、従業員一人ひとりの職業倫理を高め、自律的な行動を促します。これは、組織全体の倫理的基盤を築く上で不可欠です。
(2) 企業の内部統制の在り方:COSO・コーポレート・ガバナンス・ESG等の視点 COSOフレームワーク、コーポレート・ガバナンス・コード、そして近年特に重視されるESG(環境・社会・ガバナンス)の視点を取り入れ、企業の内部統制の在り方を包括的に再構築します。これにより、経営の透明性を高め、意思決定の健全性を確保します。
(3) 管理職のリーダーシップとコーチング コンプライアンス態勢構築において、管理職の役割は極めて重要です。心理的安全性と相談型リーダーシップを浸透させることで、部下が安心して意見を表明できる風通しの良い組織を醸成します。管理職には、コンプライアンス意識を醸成し、行動変容を促すためのリーダーシップやコーチングの手法を習得していただきます。
(4) コンプライアンス違反防止の新しい潮流:現代心理学・AI活用・内部通報認証制度 現代心理学の知見を活用した不正防止策や、AI技術を用いたリスク検知、さらに内部通報制度の認証制度の活用など、最新の技術と制度を取り入れ、より実効性の高いコンプライアンス違反防止体制を構築します。特に、内部通報制度は、2022年6月の公益通報者保護法改正により、従業員301人以上の企業で体制整備が義務化されており、不正の早期発見システムとしてその重要性が一層高まっています。
(5) 内部統制に関する「日本システム技術事件」の賠償責任基準の実務定着 過去の判例、特に「日本システム技術事件」における賠償責任基準を深く掘り下げ、その実務への定着を図ることで、具体的な法的リスクへの理解を深め、適切な対応策を講じるための指針とします。
(6) 中小企業の内部統制義務を宣言した判決 中小企業においても、内部統制の重要性は高まっており、これに関する判決は、規模にかかわらず全ての企業にとって他人事ではありません。具体的な判決事例を基に、中小企業が取るべき内部統制の具体策を提示します。
2.コンプライアンスと公益通報者保護法等を踏まえたリスク管理の方法
効果的なリスク管理は、企業のレピュテーションを守り、事業継続性を確保するために不可欠です。
(1) コンプライアンス・リスクの重要性増大 情報が瞬時に拡散する現代社会において、コンプライアンス違反は企業のイメージダウンや信用失墜に直結し、事業継続そのものを脅かしかねません。ハラスメント、個人情報漏洩、品質不正など、そのリスクは多岐にわたり、重要性が増大しています。
(2) 今日的な企業リスクへの対応:リスクを知る・避ける・被害を最小化する 今日的な企業リスクを体系的に理解し、「リスクを知る(特定・評価)」「リスクを避ける(予防)」「被害を最小化する(発生時対応)」という3つのステップで管理する手法を習得します。リスクアセスメントを通じて優先順位をつけ、効果的な対策を講じます。
(3) 公益通報者保護法と内部通報(ヘルプライン)の設置方法 公益通報者保護法は、内部通報者を保護し、組織内の不正の自浄作用を促すための重要な法律です。2025年通常国会でのさらなる改正も視野に入れ、内部通報制度の適切な設計・運用方法、外部窓口の設置の重要性などについて、具体的なガイドラインを提供します。これにより、従業員が安心して通報できる環境を整備し、早期に問題を発見・解決へと導きます。
3.「コンプライアンス」はなぜ重要か:株主や取引先等ステークホルダー信頼得る
コンプライアンスは、単なるルール遵守ではなく、企業が社会から信頼を得て持続的に発展するための基盤です。
(1) 当事者意識の醸成の方法 従業員一人ひとりが「自分事」としてコンプライアンスを捉え、日々の業務の中で実践できるような当事者意識を醸成する具体的な方法を学びます。
(2) 風通しの良い組織を作るコツ(風通しを悪くする管理職の具体例等) 心理的安全性が高く、誰もが自由に意見を交わせる「風通しの良い組織」の実現は、コンプライアンスを機能させる上で不可欠です。組織の風通しを悪くする具体的な管理職の行動パターンを提示し、その改善策を講義します。
(3) 不祥事を防止する理論:不正のトライアングル・フレーミング・ソーシャルボンド理論等最新動向 不正行為が発生するメカニズムを解明する「不正のトライアングル」、人間の心理的傾向を分析する「フレーミング」、そして組織への帰属意識と規範遵守の関係を示す「ソーシャルボンド理論」など、最新の理論を基に不祥事を未然に防止するための深い洞察を提供します。
(4) 職業倫理向上プログラム(カント・アリストテレス・ジョン ロールズ等) カントの義務論、アリストテレスの徳倫理、ジョン・ロールズの公正の理論など、古今東西の哲学的な知見を交えながら、多角的に職業倫理の向上プログラムを実践します。これにより、従業員の倫理観を深め、より高い次元での行動を促します。
4.最近の企業等不祥事の実例(特に令和時代以降の事例)
過去の不祥事から学ぶことは、未来のコンプライアンス対策を強化する上で不可欠です。特に2020年以降の令和時代の事例から、現代の企業が直面するリスクと課題を具体的に示します。
(1) 最近の不祥事の実例分類と類型化 不正経理、品質管理・データ改ざん、個人情報漏えい、ハラスメントなどの類型化された不祥事事例を詳細に分析します。
- 不正経理・品質管理・データ改ざん・個人情報漏えい・ハラスメント等の類型化
- 個人情報漏洩8つのパターンの最新動向: 管理ミス、マイナンバー関連、個人カード情報の不正利用、SNSからの漏洩など、個人情報漏洩の多様なパターンとそれぞれの対策について、最新の事例を踏まえ解説します。
- 最近の企業不祥事で特に注意すべきもの:判例や実例参考に
- 不正経理(不正経費・不正売上): 東芝事件など、大規模な不正経理の実態と、その防止策について深く掘り下げます。
- 品質管理違反: 神戸製鋼事件、大和ハウス工業事件、スズキ事件など、企業の信頼を大きく損ねた品質不正事例から、品質管理体制のあり方を再考します。
- ハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ・モラハラ): 海遊館事件や宝塚歌劇団の事例など、近年社会問題となっている様々なハラスメントの具体例とその防止策、適切な対応について詳述します。アンガーマネジメントの導入は、ハラスメントやクレーム対応における感情のコントロールに非常に有効です。
- インサイダー取引事件: NHK事件など、インサイダー取引の事例を通じて、情報管理の徹底と公正な市場形成の重要性を強調します。
- 個人情報のSNSからの漏えい: ローソン事件、リクナビ事件など、SNSを介した個人情報漏洩の新たなリスクとその対策について、具体的な事例を基に解説します。
- 独占禁止法・下請法違反(下請けいじめ): 楽天事件など、優越的地位の濫用による下請けいじめの事例を挙げ、公正な取引慣行の確立の重要性を説きます。
- 景品表示法違反: ジャパネットたかた事件など、不適切な表示による消費者への誤解を招く事例を分析し、景品表示法の遵守の重要性を強調します。
- その他注目事例: ビッグモーターの保険金不正請求問題、ジャニーズ事務所の性加害問題、小林製薬の紅麹関連製品による健康被害、トヨタをはじめとする自動車業界の認証試験不正など、令和時代に発生した特に影響の大きかった不祥事から、企業が学ぶべき教訓を導き出します。
5.不祥事発生時の対応
万が一不祥事が発生した場合、その後の対応が企業の命運を分けます。
(1) 最も重要なもの:integrity(誠実性・高貴性・廉潔性等) 不祥事発生時に最も求められるのは、経営陣のintegrity(誠実性、高潔さ、廉潔性)です。真摯な姿勢で問題に向き合い、隠蔽や責任転嫁をせず、事実を迅速かつ正確に開示することが、信頼回復の第一歩となります。
(2) マスコミの取材と記者会見の仕方(ポジションペーパー作成方法等) 不祥事発生時には、マスコミ対応が極めて重要です。記者会見の準備、ポジションペーパーの作成方法、メディアとの適切なコミュニケーションの取り方など、実践的な対応ノウハウを伝授します。
(3) リスク対応:危機管理(不祥事発生)の事例よい例悪い例(実際の事例紹介) 実際の不祥事事例を「良い対応例」と「悪い対応例」に分け、その違いを明確にすることで、危機発生時に取るべき最適な行動を具体的に示します。
(4) 第三者委員会の設置と役割 客観的かつ公正な事実究明のために、第三者委員会の設置は有効な手段です。顧問弁護士を入れず、独立性を保った第三者委員会の役割と、その効果的な運用方法について解説します。
演習部分:企業コンプライアンスの演習
講義で得た知識を実務で生かすため、30問以上の職業倫理やリスク管理に関連した問題を演習形式で取り組みます。研修全体のメリハリと受講者の積極的な参加を促すため、講義中に適宜演習を織り交ぜ、実践的なコンプライアンス的思考方法が自然と身につくように工夫します。
中川総合法務オフィスが選ばれる理由:
中川総合法務オフィス代表の中川恒信は、組織風土の改善に心理的安全性と相談型リーダーシップを浸透させ、ハラスメントやクレーム対応におけるアンガーマネジメント導入を推進してきました。これまでに850回を超えるコンプライアンス等の研修を担当し、数々の不祥事組織のコンプライアンス態勢再構築にも携わってまいりました。現在も内部通報の外部窓口を担当しており、その実務経験は比類なきものです。マスコミからも不祥事企業の再発防止意見をしばしば求められるなど、その知見と実績は高く評価されています。
中川恒信によるコンプライアンス研修やコンサルティングは、貴社の組織を根本から強くし、不祥事に強い企業へと変革させます。唯一無二の教養と経験に裏打ちされた、他には真似できないオリジナルのコンプライアンス支援を、ぜひご体験ください。
貴社の組織の持続的成長と信頼性向上に貢献するため、中川恒信が全力を尽くします。 費用は1回30万円から承っております。
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