ESG投資へのERM2017の適用方法(COSO 2018 document )内部統制・リスクマネジメント導入なら中川総合法務オフィスへ

1.ESG投資とは

(1)持続可能な社会と企業の成長

ESG投資は、投資対象の財務状況等に加えて、環境(environment)・社会(society)・企業統治((corporate)governance)に対する取り組みを考慮して行われる投資のことである。ESGの重視が経済を持続させ、長期的利益につながるという考えに基づき、企業の取り組みを判断材料に株式などに投資する。

環境では地球温暖化対策や生物多様性の保護活動、社会では人権への対応や地域貢献活動、企業統治では法令遵守、社外取締役の独立性、情報開示などを重視する。

これが、日本社会で市民権を得た理由は、我が国の世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年に、国際連合が2006年に定めた投資家にESG課題への観点を反映した投資行動を促す責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)に署名したことである。その後に、他の巨大投資団体である大手生命保険などが続いて署名し、2018年6月時点で、62の機関が署名している。

※日本の署名機関一覧:署名順(2018年6月22日現在)https://www.esg.quick.co.jp/blog/899参照

①アセットオーナー 16
キッコーマン企業年金、損害保険ジャパン日本興亜株式会社、太陽生命保険株式会社、セコム企業年金基金、東京海上日動火災保険株式会社、MS&AD HD株式会社、年金積立金管理運用独立行政法人、上智大学、第一生命保険株式会社、富国生命保険相互会社、企業年金連合会、大同生命保険株式会社、株式会社日本政策投資銀行、日本生命保険相互会社、労働金庫連合会、株式会社かんぽ生命保険

②インベストメントマネージャー 36

大和証券投資信託委託株式会社、三井住友信託銀行株式会社、三菱UFJ信託銀行株式会社、ニッセイアセットマネジメント株式会社、みずほ信託銀行株式会社、日興アセットマネジメント株式会社、株式会社りそな銀行、三井住友アセットマネジメント株式会社、野村アセットマネジメント株式会社、東京海上アセットマネジメント株式会社、損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント株式会社、T&Dアセットマネジメント株式会社、大和住銀投信投資顧問株式会社、アセットマネジメントOne株式会社、東京海上キャピタル株式会社、三菱商事・ユービーエス・リアルティ株式会社、朝日ライフアセットマネジメント株式会社、HCアセットマネジメント株式会社、J-STAR株式会社、MU投資顧問株式会社、みさき投資株式会社、ACA革新基金運用株式会社、富国生命投資顧問株式会社、明治安田生命アセットマネジメント株式会社、ポラリス・キャピタル・グループ株式会社、ニューホライズンキャピタル株式会社、インテグラル株式会社、アント・キャピタル・パートナーズ株式会社、DBJアセットマネジメント株式会社、三菱UFJ国際投信株式会社、ユニゾン・キャピタル株式会社、ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント株式会社、野村不動産投資顧問株式会社、スパークス・グループ株式会社、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ株式会社、ネクストシフト株式会社

③サービスプロパイダー 10
株式会社 インテグレックス、CSRデザイン環境投資顧問株式会社、株式会社QUICK、株式会社ニューラル、株式会社エッジ・インターナショナル、サステナ株式会社、日興リサーチセンター株式会社、株式会社イースクエア、ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパン株式会社、株式会社フィスコIR

(2)近時のGPIFの動きはESGをさらに加速

2019年から、グリーンボンド(グリーン債)などの債券にも本格的に投資を始める。まずは世界銀行グループが発行するグリーン債などを約5億ドル(約550億円)分購入する。

※グリーン債は、調達した資金の使い道を、風力や太陽光による発電など環境にやさしいプロジェクトにしぼった債券である。

GPIFは2017年から、運用する国内株式のうち一部をESG投資に振り向け、運用残高は2・7兆円にのぼる。日本サステナブル投資フォーラムによると、国内のESG投資残高は231兆円で、全体の投資に占める割合は欧州と比べてまだ低く、GPIFは今後さらにESGへの投資を加速するだろう。

 

2.ESGリスクとは何か

(1)COSOによるERMのESGリスクへの適用

1で述べたような国際的なESG投資の動きに日本企業がついていかないと世界的な投資資金は集まりにくくなっていくであろう。そこで、COSOが以下のようなERMをそのリスクに当てはめたモデルる図を発表したのである。

なお、図の1~20はERM2017の5つのカテゴリーの20原則に対応している。

※COSOサイトより引用

COSOの改訂版フレームワークを補完するために、COSOとWBCSDは独自に協力し、ESG関連リスクをERMプロセスに統合しようとする企業に向けた適用ガイダンスを策定した。…略

1. 実効性のあるリスクマネジメントのためのガバナンスを確立
ガバナンス、あるいは内部監視は、意思決定のあり方とそれらの決定の実行のあり方を確立する。ESG関連リスクへのERMの適用は、取締役会と
経営者のESG関連リスクについての認識の支援、リスクマネジメントに責任を有する人々の間での協力の文化の下支え、および ESG関連リスクに
対する組織的バイアスに対する挑戦を含む。

2. 事業のコンテクストと戦略の理解
全ての企業は、自然と社会に対して影響を与え、またそれらに依存している。従って、事業のコンテクストと戦略についてのしっかりとした理解は、全てのERM 活動と実効性のあるリスクマネジメントにとって頼みの綱となる。ESG関連リスクへのERMの適用は、価値創造プロセスを検証し、短期、中期、および長期におけるそれらの影響と依存について理解を得ることを含む。

3. ESG 関連リスクの特定
リスクと機会は、事業戦略、目標、コンテクスト、あるいはリスク選好の変化から生じ得る。ESG関連リスクへのERMの適用は、ESGの重
要性に関する評価、メガトレンドに関する分析、およびその他のアプローチの分析を含む。

4. ESG関連リスクの評価と優先順位付け
企業のリソースは限られており、企業全体にわたって特定されたリスクの全てを低減できるわけではない。このため、リスク評価によって優先順位付けを行うことが必要である。ESG 関連リスクへの ERMの適用は、経営者がリスクの優先順位付けに用いることができるようにリスクの重要性評価を行うことを含む。ESG 関連リスクの評価アプローチとしては、中でも予測やシナリオ分析が挙げられる。

5. ESG 関連リスクへの対応
棚卸された全てのリスクの中から、経営者は優先順位付けに基づいてリスクを選択し、適切なリスク対応を展開する。企業は様々な既存の ESG 関連リソース(例えば、業界のワーキンググループやESG関連プロトコル)を適用し、ESG関連リスクへのイノベーティブで実効性ある対応を策定できる。これらの対応は、新たな価値創造活動につながり得る事業ソリューションを生み出す可能性がある。

6. ESG 関連リスクのレビューと見直し
経営者は、事業のコンテクストと戦略に関する変化を捉えるために ESG のトレンドと指標をモニタリングし、リスク対応活動をモニタリングするための指標を設定する。

7. ESG 関連リスクの伝達と報告
ESG関連リスクへのERMの適用は、リスクオーナーと相談の上、パフォーマンスの評価と社内外への伝達を行うために最適な指標を特定することを含む。

邦訳は、https://www.protiviti.com/sites/default/files/japan/insights/pov-esg-erm.pdf 参照

(2)COSO、ERM2017はグローバルスタンダード

以上のようにERM2017を前提にそれをESGリスクに適用したものであるが、この他にCOSO事例が官民を問わず豊富に出てきており、2019年には医療機関への適用が出て、日本の大学病院や国立病院等はCOSOの標準的な内部統制フレームワークを今後ますます無視できないであろう。

 

 

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