地方自治法第六章第六節「会議」のうち、第115条から第117条までは会議の運営原則を定める。公開(第115条)、公聴会と参考人(第115条の2)、修正動議の発議要件(第115条の3)、表決の方法(第116条)、除斥(第117条)である。

この5か条は、本会議場で毎回のように作動している条文でありながら、意識されにくい。公開は当たり前のものとして運用され、過半数で決することは説明を要しないものと思われ、除斥は該当する議員が出たときにだけ思い出される。しかし、秘密会を開くことになったとき、可否が同数になったとき、議案と特別の関係を持つ議員がいることに審議の途中で気づいたとき、議会事務局は直ちに正確な手順を示さなければならない。条文を読み慣れておく値打ちがある。


1 条文原文

条文は令和8年9月3日施行の現行法による。

第115条(会議の公開・秘密会)

第百十五条 普通地方公共団体の議会の会議は、これを公開する。但し、議長又は議員三人以上の発議により、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。

② 前項但書の議長又は議員の発議は、討論を行わないでその可否を決しなければならない。

第115条の2(公聴会・参考人)

第百十五条の二 普通地方公共団体の議会は、会議において、予算その他重要な議案、請願等について公聴会を開き、真に利害関係を有する者又は学識経験を有する者等から意見を聴くことができる。

② 普通地方公共団体の議会は、会議において、当該普通地方公共団体の事務に関する調査又は審査のため必要があると認めるときは、参考人の出頭を求め、その意見を聴くことができる。

第115条の3(修正動議の発議要件)

第百十五条の三 普通地方公共団体の議会が議案に対する修正の動議を議題とするに当たつては、議員の定数の十二分の一以上の者の発議によらなければならない。

第116条(表決)

第百十六条 この法律に特別の定がある場合を除く外、普通地方公共団体の議会の議事は、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

② 前項の場合においては、議長は、議員として議決に加わる権利を有しない。

第117条(除斥)

第百十七条 普通地方公共団体の議会の議長及び議員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。但し、議会の同意があつたときは、会議に出席し、発言することができる。

これらの条文にも法令上の見出しは付されていない。


2 趣旨・立法背景

2-1 第115条:公開は住民が議会を監視する前提である

議会は住民の代表機関であり、住民に代わって団体意思を決定する。その過程が住民の目に触れなければ、代表は機能しない。誰がどの議案にどう賛成し、どのような理由を述べたかを住民が知ることができて初めて、次の選挙での選択が意味を持つ。第115条本文の公開原則は、間接民主制を住民の統制の下に置くための仕組みである。

国会については憲法第57条第1項が両議院の会議を公開とし、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは秘密会を開くことができると定める。地方議会の公開は憲法に直接の規定がなく、第115条という法律によって保障されている。保障の形式は異なるが、原則公開・例外秘密会という構造と、3分の2という加重要件は共通する。

秘密会の要件を加重したのは、公開が原則であることを手続の面から担保するためである。発議者を議長または議員3人以上に限ったうえ、議決には出席議員の3分の2以上を要求している。第2項が発議について討論を行わないと定めるのは、秘密にすべき事項の中身が公開の場で議論されてしまえば秘密会を開く意味が失われるからである。

2-2 第115条の2:本会議にも公聴会と参考人を開いた平成24年改正

公聴会と参考人の制度は、もともと委員会の権限として整備されてきた。公聴会は制定当初から常任委員会に認められ、昭和25年の改正で特別委員会にも広げられた。参考人制度は平成3年の改正で委員会に導入された。

本会議でこれらを行えるようになったのは平成24年の改正である。同改正は、委員会に置かれていた制度を本会議にも開き、第115条の2として新設した。委員会を設けない議会や、委員会付託を省略して本会議で審議する議案について、外部の意見を聴く道を開く趣旨である。現行の第109条第5項は、この第115条の2を委員会に準用するという構造をとっており、本会議の規定が原則で委員会がその準用先という、従来とは逆の条文配置になっている。

2-3 第115条の3:修正動議の発議要件と条番号の移動

議員が修正の動議を発議するには一定数の賛成を要するという仕組みは、昭和31年の改正で導入された。議員の議案提出権に議員定数の8分の1以上の賛成者を要するとした改正(第112条第2項)と同時に、修正の動議と懲罰の動議についても同様の要件が設けられたものである。

平成11年の地方分権一括法により、議案提出の要件とあわせて12分の1以上に緩和された。その後、平成24年の改正で本会議の公聴会・参考人の規定が第115条の2として新設されたため、修正動議の規定は第115条の3に繰り下げられた。古い文献が「第115条の2」として修正動議を論じている場合があるのは、この経緯による。

2-4 第116条:多数決原理と議長の裁決権

合議制機関の意思決定は多数決による。第116条第1項は出席議員の過半数という一般原則を定め、「この法律に特別の定がある場合を除く外」として加重要件の例外を予定する。

可否同数のときに議長が決するという仕組みは、議事を停滞させないための技術的な解決である。議長は第2項により議員としての表決権を持たない。表決に加わらない代わりに、同数の場合に限って決定権を行使する。表決権を持たない者が最終的な決定権を握るという構成は一見奇妙だが、議長が特定の立場に立って表決に参加すれば議事整理の中立性が疑われるため、通常は中立を保ち、どうしても決まらないときだけ判断を示すという役割分担になっている。

議長の裁決権は、議長個人の裁量に委ねられる。可とするか否とするかに法律上の制約はない。もっとも、現状を変更しない方向、すなわち否決する方向で裁決するのが穏当とされる慣行が広く見られる。

2-5 第117条:利害関係者を審議から外す

自分や近親者の身上に関わる事件、自分や近親者の業務に直接の利害関係がある事件について、その議員が審議と表決に加われば、議会の判断の公正さが疑われる。第117条は、そうした議員をあらかじめ議事から排除することで、議決の公正と住民の信頼を確保する。

裁判官の除斥(民事訴訟法第23条)や、行政不服審査の審理員の除斥に通じる発想である。本人の良心に委ねるのではなく、類型的に該当すれば自動的に排除するという設計を採っている点に特徴がある。

ただし書で議会の同意があれば出席・発言できるとしたのは、当事者の言い分を聴く機会を確保するためである。弁明の機会が一切与えられないとすると、特に議員本人の身分や名誉に関わる事件では不当な結果になりうる。

2-6 令和7年・令和8年改正における扱い

令和8年法律第27号(令和8年9月3日施行)および令和8年法律第62号(令和8年7月17日施行)を含め、令和7年から令和8年にかけての改正で第115条から第117条までの条文は変更されていない。両時点の条文を照合しても、この範囲に差異はない。


3 文理解釈

3-1 「議会の会議」(第115条第1項)

公開の対象は「会議」である。地方自治法は、本会議を「会議」と呼び、委員会は第109条で別に規定している。第115条の公開原則が及ぶのは本会議であり、委員会には当然には及ばないと解されている。

委員会を公開するかどうかは、委員会条例と会議規則が定める事項となる。実務では委員会も傍聴を認める議会が多いが、それは法律上の義務ではなく各議会の判断による。

3-2 「これを公開する」(第115条第1項)

公開の内容は三つに分けて理解される。

第一に、傍聴の自由である。住民は議場の傍聴席で会議を傍聴できる。もっとも無制限ではなく、議長は傍聴規則を定め(第130条第3項)、秩序を乱す傍聴人を退場させることができる(同条第1項)。

第二に、報道の自由である。報道機関が会議の内容を取材し報道することが妨げられない。写真撮影や録音は議場の秩序に関わるため、傍聴規則で議長の許可にかからせるのが通例である。

第三に、会議録の公表である。第123条は議長が会議録を作成し、会議の次第と出席議員の氏名を記載または記録させることを定める。第123条第3項は電磁的記録により作成する場合の電子署名を総務省令に委ねており、地方自治法施行規則第12条の2の2がこれを受けて電子署名の方式を定める。

傍聴規則をめぐっては、障害を理由とする傍聴の制限が問題となってきた。総務省は令和5年9月の通知で、財産区や一部事務組合等の議会を含む一部の議会の傍聴規則等において「精神に異常があると認められる者」等の傍聴を認めない旨を規定している例があるとの指摘を踏まえ、障害者に対し正当な理由なく障害を理由として傍聴を禁止する旨を規定することは障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第7条第1項に違反すると考えられることから、規定の見直しを行うことが適当であるとした。古い傍聴規則をそのまま使い続けている議会は、点検が必要となる。

3-3 「議長又は議員三人以上の発議により、出席議員の三分の二以上の多数で議決したとき」(第115条第1項但書)

発議権者は議長または議員3人以上である。議員1人では発議できない。

議決要件は出席議員の3分の2以上である。この「出席議員」には、第116条第1項と同様、表決権を持たない議長は含まれないと解されている。

秘密会とする範囲は、議案ごと、議事ごとに定める。会期全体を秘密会とすることは公開原則に反し許されない。秘密会を開いた場合でも、会議録の作成義務はなくならない。秘密会の記録の取扱いは会議規則が定めるのが通例であり、議長が秘密性がなくなったと認めるまで公表しないという規定を置く例が多い。

3-4 「討論を行わないでその可否を決しなければならない」(第115条第2項)

秘密会とするかどうかの議決にあたり、討論の手続を省くという趣旨である。質疑や討論の中で秘密にすべき内容が公開の場に出てしまえば、秘密会の意味が失われる。

「可否を決する」のは発議された秘密会開催の可否であり、その議決には第1項但書の3分の2以上が必要となる。第2項は議決要件を定めたものではなく、議決に至る手続から討論を外すという規定である。

3-5 「予算その他重要な議案、請願等」「真に利害関係を有する者又は学識経験を有する者等」(第115条の2第1項)

公聴会の対象は、予算その他重要な議案と請願等である。何が重要かは議会の判断に委ねられる。

意見を聴く相手は、真に利害関係を有する者または学識経験を有する者等とされる。「真に」という限定は、単に関心を持つ者ではなく、議案の内容によって具体的な影響を受ける者を意味する。公述人の選定は議会が行い、公募による申出の中から選ぶのが通例である。

3-6 「参考人の出頭を求め、その意見を聴くことができる」(第115条の2第2項)

参考人は、事務に関する調査または審査のため必要があると認めるときに招致できる。公聴会が議案に対する意見聴取であるのに対し、参考人は調査・審査一般に用いられる点で対象が広い。

公述人も参考人も、出頭は任意である。第100条第1項の調査における証人が出頭・証言義務を負い、正当な理由なく拒めば罰則の対象となる(同条第3項)のとは根本的に異なる。参考人が出頭を断ったからといって、議会がこれを強制する手段はない。

総務省は令和4年のQ&Aで、第115条の2第2項(第109条第5項で準用する場合を含む)の参考人について、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法で意見聴取を行うことは差し支えないとの考え方を示している。議員の本会議への出席が現に議場にいることを要するとされているのと対照的に、参考人にはオンラインの余地が認められている。

3-7 「議案に対する修正の動議を議題とするに当たつては」(第115条の3)

要件が働くのは、修正動議を議題とする時点である。修正案の内容を審議に乗せる前に、議員定数の12分の1以上の発議があることを確認しなければならない。分母は在職議員数ではなく条例で定めた議員定数であり、端数は切り上げる。

修正の対象は「議案」である。長が提出した議案にも、議員や委員会が提出した議案にも修正動議を出せる。

修正の限界については条文に定めがない。原案の趣旨を変更し、別個の議案に等しい内容になる修正は、修正ではなく新たな議案の提出にあたると解されている。予算については第97条第2項が、議会は増額して議決することを妨げないとしつつ、長の予算の提出の権限を侵すことはできないと定めており、増額修正に実体的な限界が置かれている。

3-8 「この法律に特別の定がある場合を除く外」(第116条第1項)

過半数という一般原則の例外が、地方自治法の各所に散在する。主なものを整理する。

事項要件条文
事務所の位置を定め又は変更する条例の制定改廃出席議員の3分の2以上の同意第4条第3項
秘密会を開く議決出席議員の3分の2以上の多数第115条第1項但書
議員の資格決定出席議員の3分の2以上の多数第127条第1項
議員の除名議員の3分の2以上が出席し、その4分の3以上の者の同意第135条第3項
条例・予算に関する再議の議決出席議員の3分の2以上の同意第176条第3項
長の不信任議決議員数の3分の2以上が出席し、その4分の3以上の者の同意第178条第3項
解散後初めて招集された議会での再度の不信任議決議員数の3分の2以上が出席し、その過半数の者の同意第178条第3項
重要な公の施設の長期かつ独占的な利用出席議員の3分の2以上の同意第244条の2第2項

出席要件と同意要件が別々に定められているもの(除名、長の不信任)と、同意要件だけが定められているものがある点に注意したい。除名と不信任は定足数が加重されており、第113条本文の半数以上では足りない。

3-9 「出席議員の過半数」(第116条第1項)

分母は出席議員である。定足数の分母が議員定数であるのと異なる。

出席議員の意味について、第116条第1項の過半数の算定では、表決権を持たない議長は含まれないと解されている。議長を除いた出席議員が20人で、可10・否10であれば可否同数となり、議長が決する。

表決に加わらない議員、すなわち棄権した議員や白票を投じた議員は、出席議員に含まれると解されている。したがって棄権は、結果として否決の方向に働く。本会議で起立採決を行う場合、起立しない議員は賛成しなかった者として扱われるため、同じ結果になる。

「出席」とは現に議場にいることをいう。総務省は令和2年4月30日付けの通知で、第113条および第116条第1項における本会議への出席は現に議場にいることと解されている旨を明記しており、本会議のオンライン出席は現行法の解釈では認められていない。

3-10 「可否同数のときは、議長の決するところによる」(第116条第1項)

議長の裁決権である。可否同数という事態が生じたときに限って発生し、議長が可と裁決すれば可決、否と裁決すれば否決となる。

ここで前提になるのは、採決が行われ、しかも賛否が同数になるという状況である。議会における選挙(第118条)で得票が同数になった場合は、議長が決するのではなく、同条第1項が準用する公職選挙法第95条第2項により、くじで当選人を定める。議長選挙で39票対39票となった議会がくじで決着したのは、この帰結である。表決と選挙で結論の出し方が異なる点は、取り違えやすい。

3-11 「議長は、議員として議決に加わる権利を有しない」(第116条第2項)

議長が表決に参加できないという規定である。議長の職務を副議長が行っている場合(第106条第1項)、副議長は議長の職務として議事を整理するから、同様に表決に加われず、可否同数のときは裁決権を行使する。その間、副議長はもともと持っていた議員としての表決権を行使できない。

議長の除斥により副議長が議長席に着いているときは、議長は除斥されて議場にいないから、そもそも表決に加わらない。

3-12 「自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹」(第117条)

親族の範囲は限定列挙である。曾祖父母、曾孫、おじ・おば、おい・めい、いとこ、兄弟姉妹の配偶者、配偶者の父母は含まれない。民法上の親族の範囲(第725条)より狭い。

列挙に含まれない親族が当事者となる議案について、議員が自ら審議を避けたいと考えることはありうるが、それは第117条の除斥ではなく、本人の判断による退席にとどまる。退席しても出席議員から外れるわけではない点は、除斥との違いとして押さえておきたい。

3-13 「一身上に関する事件」(第117条)

その者の身分、地位、名誉、権利義務に直接関わる事件をいう。具体例としては、正副議長の辞職(第108条)、議員の辞職(第126条)、議会選出の監査委員の同意(第196条第1項)、議長・議員本人や親族が経営する法人との契約議案(第96条第1項第5号)、訴えの提起に関する議案(第96条第1項第12号)が挙げられる。

法令に根拠を持つ事件に限られない。行政実例は、議長不信任決議や議員辞職勧告決議のように法令に基づかない事実上の事件も除斥の対象となるとする(昭和25年3月22日自連行発第31号)。

3-14 「従事する業務に直接の利害関係のある事件」(第117条)

「直接の」という限定が効く。議案の結果が本人や近親者の業務に具体的・個別的な影響を及ぼす場合に限られ、住民一般と同じ程度の一般的・抽象的な影響では足りない。

行政実例は、議員や親族が関係する法人について、その法人において常時支配力を有する地位にあるときに除斥に該当するとする(昭和25年10月3日自行発第240号)。役員名簿に名前があるだけでは足りず、法人の重要な意思決定に参与する地位にあることを要する。

逆に、除斥の問題を生じないとされる類型もある。予算案の審議については、予算が団体の活動全般を対象とする包括的な議案であることから、除斥の問題は生じないとする行政実例がある(昭和31年9月28日自丁行発第82号、昭和39年1月7日自治行第2号)。一般的・普遍的な性格を有する条例案についても同様とされる(昭和53年7月26日自治行第49号)。議員報酬条例のように全議員が利害を持つ議案で全員が除斥されるとすれば、議会が機能しなくなるからである。

3-15 「その議事に参与することができない」(第117条本文)

参与できないのは議事全体である。質疑、討論、表決のいずれにも加われない。実務では議長が除斥の対象となる議員に退場を求め、当該事件の議事が終わるまで議場外で待つ。

除斥された議員は出席議員から外れるため、表決の分母が小さくなる。除斥によって出席議員が議員定数の半数を割った場合でも、第113条ただし書の第一の例外により会議を開くことができる。

除斥すべき議員が参加して行われた議決の効力について、正面から判断した最高裁判所の判例は見当たらない。手続の瑕疵として違法となることは否定しがたいが、直ちに議決が無効となるかどうかは、瑕疵の程度と結果への影響によって判断されることになる。この点を断定的に説明できる状態にはない。

3-16 「但し、議会の同意があつたときは、会議に出席し、発言することができる」(第117条但書)

議会の同意により認められるのは出席と発言だけである。表決に加わることはできない。条文が「会議に出席し、発言することができる」と列挙しているにとどまり、表決を挙げていないからである。

同意の議決は、除斥の対象となる事件の審議に入る前に行う。同意を求める動議は議員が提出するほか、本人が一身上の弁明を求める形で議長が諮る運用もある。


4 用語解説

会議公開の原則とは、議会の本会議を住民に公開することをいう。傍聴の自由、報道の自由、会議録の公表を内容とする。

秘密会とは、傍聴を認めず、会議の内容を公表しない会議をいう。議長または議員3人以上の発議により、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときに開くことができる。

公聴会とは、予算その他重要な議案や請願等について、真に利害関係を有する者や学識経験を有する者等から意見を聴く手続をいう。意見を述べる者を公述人という。

参考人とは、事務に関する調査または審査のため、議会が出頭を求めて意見を聴く者をいう。出頭は任意であり、第100条の証人とは異なる。

修正の動議とは、議案の内容を変更することを求める動議をいう。議題とするには議員定数の12分の1以上の発議を要する。

裁決権とは、可否同数のときに議長が議事の結論を決める権限をいう。議長が表決権を持たないことの反面として与えられている。

特別多数議決とは、出席議員の過半数という一般原則を超える同意を要する議決をいう。3分の2以上、4分の3以上などがある。

除斥とは、議長・議員が自己や一定の近親者の一身上に関する事件、またはこれらの者が従事する業務に直接の利害関係のある事件について、議事に参与できないことをいう。

一身上の弁明とは、除斥や懲罰の対象となる議員が、自己の立場について議会で説明することをいう。会議規則が手続を定める。


5 判例・裁判例・行政実例

5-1 最高裁判例の状況

第115条から第117条までについて、条文の解釈を正面から示した最高裁判所の判例は見当たらない。

参考になるのは、国会の議事手続に関する最高裁大法廷判決昭和37年3月7日(警察法改正無効事件)である。同判決は、法律が両院において議決を経たものとされ適法な手続によって公布されている以上、裁判所は両院の自主性を尊重すべきであり、その議事手続に関する事実を審理してその有効無効を判断すべきでないとした。議事手続の瑕疵は議院の自律に委ねるという立場である。

地方議会について同じ発想が妥当するかは別論である。最高裁大法廷判決令和2年11月25日(岩沼市議会議員出席停止事件)は、議員に対する出席停止の懲罰の適否が常に司法審査の対象となるとして、いわゆる部分社会の法理を地方議会の懲罰について後退させた。もっとも同判決は懲罰という議員の権利行使を妨げる処分を対象としたものであり、表決手続や除斥の瑕疵が直ちに訴訟の対象となることまで示したわけではない。

5-2 予算案と除斥に関する裁判例

さいたま地方裁判所平成21年9月30日判決は、予算の一部について利害関係を有する議員であっても、予算全体の審議においては除斥されないとした。予算が団体の活動全般にわたる包括的な議案であることを踏まえ、「直接の利害関係」を個別の歳出項目単位ではなく議案単位で捉える判断である。行政実例が予算案について除斥の問題を生じないとしてきた取扱いを、裁判所が追認した形になる。

5-3 除斥に関する行政実例

行政実例内容
昭和25年3月22日自連行発第31号議長不信任決議、議員辞職勧告決議など法令に基づかない事件も除斥の対象となる
昭和25年10月3日自行発第240号議員や親族が関係する法人において常時支配力を有する地位にあるときは除斥に該当する
昭和31年9月28日自丁行発第82号予算案の審議では除斥の問題を生じない
昭和39年1月7日自治行第2号同上
昭和53年7月26日自治行第49号一般的・普遍的な性格を有する条例案の審議では除斥の問題を生じない

除斥の対象となる具体的な事件としては、正副議長の辞職(第108条)、議員の辞職(第126条)、議会選出の監査委員の同意(第196条第1項)、議長・議員本人や親族が経営する法人との契約議案(第96条第1項第5号)、訴えの提起に関する議案(第96条第1項第12号)が挙げられている。

5-4 オンライン化に関する総務省の見解

本会議の「出席」は現に議場にいることと解されるという解釈(令和2年4月30日付け通知)は、第113条の定足数と第116条第1項の表決の双方に及ぶ。他方、第115条の2第2項の参考人については、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による意見聴取が認められている(令和4年のQ&A)。議員と参考人で扱いが分かれる点を整理しておきたい。


6 実務データで見る第115条・第115条の2・第115条の3

全国市議会議長会「市議会の活動に関する実態調査結果(令和7年中)」(815市)から、本稿の条文に対応する数値を紹介する。

6-1 本会議における公聴会・参考人・秘密会

事例(令和7年1月1日〜12月31日・815市)市数件数
本会議における公聴会の開催00
本会議における参考人の招致1010
本会議を秘密会とした事例56
流会22
第113条の規定による出席催告36

本会議の公聴会は一件も開かれていない。常任委員会でも令和7年中の公聴会の開催事例は0市0件であり、本会議・委員会を通じて公聴会という制度が使われていない状態にある。他方、参考人は本会議で10市10件、常任委員会では147市427件が招致されている。外部の意見を聴く必要があるときは参考人で足りるという実務の判断が、数字に表れている。

平成24年改正で本会議に公聴会を開く道を設けたこと自体は、委員会を置かない議会への配慮として意味があった。ただし、現実の利用がないという事実は、制度の設計と運用の距離を示している。

本会議を秘密会とした事例は5市6件である。公開原則の例外は、年間を通じて全国で数件という水準で運用されている。

6-2 修正動議の実績

令和7年中の市長提出議案は全市で96,096件であり、そのうち原案可決が95,317件、修正可決が29件、否決が74件であった。修正可決は全体の0.03パーセントにとどまる。

修正案の提出件数は、委員会で119件、本会議で173件である。提出された修正案の多くは否決されている計算になる。議員提出議案に対する修正案は委員会7件・本会議6件、委員会提出議案に対する修正案は本会議1件であった。

第115条の3が修正動議に12分の1以上の発議を求めていることが、この少なさの原因であるとは言い切れない。長が提出する議案の多くが定型的な処理であること、修正の必要があれば提出前の調整で解消されることなど、複数の要因が考えられる。もっとも、修正という手段が実際にはほとんど成功していないという事実は、議会の議決機能を論じるうえで押さえておく値打ちがある。


7 施行令・施行規則の関連規定

7-1 第115条から第117条までに直接の委任規定はない

地方自治法施行令(令和8年7月17日施行現在)と地方自治法施行規則(令和8年5月21日施行現在)を全文検索したところ、「公聴会」「秘密会」「公開」「可否同数」の語はいずれも一度も現れない。「参考人」は施行令に一度だけ現れるが、これは審査請求の審理手続に関する行政不服審査法の規定の読替えであり、第115条の2とは無関係である。「除斥」も施行令に一度現れるが、後述のとおり選挙管理委員会に関する規定である。

本節の条文を受けて手続や様式を定めた政令・省令の規定は存在しない。公開と秘密会の具体的な手続、公聴会の公述人の公募と選定、参考人の招致手続、修正動議の様式、表決の方法、除斥の対象者の退場と復席の手順は、すべて各議会の会議規則が定めている。標準市議会会議規則・標準町村議会会議規則がこの部分を担っている。

7-2 会議録と施行規則第12条の2の2

公開原則の一環である会議録については、第123条が規定し、同条第3項の電磁的記録による作成に用いる措置を総務省令に委ねている。これを受けた施行規則第12条の2の2は、当該措置を、総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則第2条第2項第1号イに規定する電子署名とする。

会議録を紙ではなく電磁的記録で作成する場合、この電子署名の要件を満たす必要がある。会議録の電子化を検討する議会事務局が最初に確認すべき条文である。

7-3 除斥による会議不成立への対処:施行令第137条との対比

施行令で「除斥」の語が現れるのは第137条である。同条は、選挙管理委員会が成立しないとき、委員会を招集する暇がないと認めるとき、または法第189条第2項の規定による除斥のため同条第3項の規定により臨時に補充員を委員に充ててもなお会議を開くことができないときは、委員長が委員会の議決すべき事件を処分することができると定める。第2項は、その処分について委員長が次の会議で委員会に報告し承認を求めなければならないとする。

選挙管理委員会は委員4人(法第181条第2項)という小規模な合議体であるため、除斥によって会議が開けなくなる事態が現実に起こる。そこで補充員を充てる仕組み(法第189条第3項)を用意し、それでも足りないときは委員長の専決処分で処理する道を開いている。

議会にはこれに相当する仕組みがない。除斥によって定足数を割った場合は、第113条ただし書により会議を開くことで対処する。議決すべき事件を議長が専決処分するという制度は存在しない。長の専決処分(第179条)は執行機関の側の制度であり、議会の内部で用いることはできない。除斥が多数の議員に及ぶ議案では、残った議員だけで議決することになるという帰結を、あらかじめ理解しておく必要がある。

7-4 オンライン化と施行規則第12条の2の3以下

第138条の2のオンライン化の対象は、この章の規定において文書等により行うことが規定されている通知である。第115条から第117条までには、文書による通知を求める規定がない。したがって施行規則第12条の2の3から第12条の2の9までの規定が、これらの条文の運用に直接作用する場面はない。

公聴会の公述人の公募と申出、参考人への招致の通知は、法律ではなく会議規則が定める手続であるから、電子的に行うかどうかは各議会が会議規則とその運用で決めることになる。


8 実務上の処理手順

8-1 秘密会を開くとき

発議者が議長または議員3人以上であることを確認する。議長は発議を議題とし、討論を行わずに直ちに採決する(第115条第2項)。出席議員の3分の2以上の賛成があれば秘密会とする旨を宣告し、傍聴人に退場を求め、報道関係者にも退室を求める。

秘密会とする範囲を議事ごとに明確にし、当該事件の審議が終われば秘密会を解いて公開に戻す。秘密会の記録の取扱いは会議規則の定めによる。秘密性がなくなったと議長が認めるまで公表しないという規定を置いている議会では、その判断時期を記録に残しておく。

8-2 公聴会を開くとき、参考人を招致するとき

公聴会は、開催することを議会が議決し、公述人を公募して選定する。会議規則が公募の方法、申出書の記載事項、公述人の決定手続を定めている。意見を聴いたうえで、公述人に対する質疑の可否も会議規則による。

参考人は、招致することを議決し、本人の承諾を得たうえで出頭を求める。出頭は任意であるから、承諾が得られなければ招致できない。オンラインで意見を聴く場合は、映像と音声の双方向性を確保し、必要に応じて会議規則に根拠規定を置く。

8-3 修正動議が出たとき

発議者の数が議員定数の12分の1以上に達しているかを確認する。文書によることを会議規則が求めている場合は、書面と連署を確認する。

内容面では、原案の同一性を失わせる修正になっていないかを点検する。予算の増額修正であれば、第97条第2項により長の予算提出権を侵していないかを確認し、必要に応じて執行機関の意見を聴く。

修正案を先に採決し、修正案が可決されれば修正部分を除く原案について採決するのが通例である。採決の順序は会議規則が定める。

8-4 除斥に該当する議員がいるとき

議事日程を組む段階で、各議案について除斥に該当する議員がいないかを点検する。正副議長の辞職、議員の辞職、議会選出の監査委員の同意、議員や親族が経営する法人との契約議案、訴えの提起に関する議案は、定型的に点検すべき対象である。

該当する議員がいれば、議長が当該事件の審議に入る前に除斥を宣告し、退場を求める。議長自身が除斥される場合は副議長が議長席に着く。

本人が弁明を求める場合は、議会の同意を諮る。同意が得られれば出席と発言を認めるが、表決には加えない。

当該事件の議事が終わったら、除斥された議員の復席を認める。退場と復席の時刻は会議録に記録する。


9 昇任試験で問われる論点

会議公開の原則では、公開の対象が本会議であること、委員会の公開は条例・会議規則の問題であること、秘密会の発議権者と議決要件、発議について討論を行わないことを正確に書けるようにしておきたい。憲法第57条第1項との対比も書き添えると厚みが出る。

表決では、出席議員の過半数という原則、議長が表決権を持たず可否同数のときに裁決権を行使すること、特別多数議決の例を複数挙げられることが求められる。除名(議員の3分の2以上の出席、その4分の3以上の同意)と長の不信任(議員数の3分の2以上の出席、その4分の3以上の同意)は、出席要件と同意要件を混同しやすいので正確に覚える。議会における選挙で得票同数のときはくじによること(第118条第1項が準用する公職選挙法第95条第2項)との違いも問われやすい。

除斥では、親族の範囲が限定列挙であること、一身上に関する事件と業務上の直接の利害関係という二つの類型、ただし書で認められるのが出席と発言だけで表決は含まれないこと、予算案や一般的・普遍的な条例案では除斥の問題を生じないことを押さえる。さいたま地判平成21年9月30日まで挙げられれば差がつく。

論文では、公開原則と秘密会の緊張関係を素材にする出題が考えられる。本会議を秘密会とした事例が令和7年中に全国で5市6件にとどまるという数字、公聴会が本会議・委員会を通じて一件も開かれていないという数字を引けば、制度の存在と運用の距離を論じる材料になる。


10 国の制度との簡単な対比

国会の会議公開は憲法第57条第1項が定め、両議院の会議は公開とし、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは秘密会を開くことができるとする。地方自治法第115条と要件は一致するが、根拠が憲法か法律かという違いがある。

表決については、憲法第56条第2項が両議院の議事は出席議員の過半数で決し、可否同数のときは議長の決するところによると定める。地方自治法第116条第1項と同じ構造である。議長が表決に加わらない点も共通する。

国会法は、議員が修正の動議を発議する場合について、議案の発議と同様の賛成者数を要する旨を定める。人数を絶対数で定める方式であり、定数に対する比率で定める地方自治法第115条の3とは方式が異なる。

除斥については、国会法に地方自治法第117条に相当する一般的な規定がない。議員本人や近親者の利害に関わる議案であっても、議員は表決に加わることができる。地方議会に除斥制度が置かれているのは、議員数が少なく、個別の議員と議案の利害関係が密接になりやすいという地方の実情を踏まえたものと理解できる。

地方公務員法との関係では、同法第30条以下の服務規定が職員を対象とするのに対し、議員は地方公務員法上の職員ではなく、その行為規範は地方自治法と各議会の政治倫理条例が担っている。除斥は、議員に対する利害関係からの遮断を法律が直接定めた数少ない仕組みである。


11 参考資料


◆自治体研修850回超の行政書士が、係長・課長昇任試験の論文を1本から添削します。 https://compliance21.com/promotion-examination-lg/

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