1.地方公務員の不祥事防止のためのコンプライアンス・公務員倫理の確立

地方公務員による横領や飲酒運転等不祥事を防止するためには、公務員倫理の確立する方向での地方自治体の運営が求められている。

そのための、自治体のコンプライアンス研修、公務員倫理研修について熱心にやっている自治体とそうでない自治体がある。

企業でも同じことであるが。コンプライアンス研修や企業倫理研修をほとんどやっていないところも多い。

地方公務員の不祥事とコンプライアンスについては、公務員倫理の確立方法と地方自治体の運営が個々に問題になっており、余りにも自治体間の格差が激しく、地方自治法や地方公務員法の実効性が保たれていない地方公共団体が多いのが実情である。

◆コンプライアンス研修等のあとで、自治体の担当者とゆっくりと話す機会がしばしばありますが、いずれも議会の突き上げが激しいことが話題になることがある。

議会から、不祥事があると再発防止策について「それは去年も聞いたぞ」とか罵声が出ることもあるようだ。

2.公務員倫理の確立と構築のための重要項目

・自治体コンプライアンスの内容としての公務員倫理の徹底浸透

・地方公務員法の3つの義務と2つの禁止及び制限(法31条~)の根拠規定確認

・公務員倫理逸脱によるコンプライアンス違反

…内部通報体制と倫理条例・規程等制定

・全国自治体の動向

どのような不祥事が今発生しているのか?

・豊富なケースを取り上げたマニュアルの作成

・不祥事の事例と発生時の対応

…第三者委員会設置案等の動きとマスコミ対応と記者会見の仕方

◆なお、記者会見については、マスコミのステークホルダーとしてのコンプライアンス重要性がさらに上がっているので、極めて関心が高いテーマであろう。

3.地方公務員の不祥事を防ぐために今すぐすべき3つの事

「地方公務員の不祥事を防ぐ方法とコンプライアンス」として、今すぐに実行すべき公務員不祥事を防ぐ3つの方法についてお伝えしたい。
いずれも、現在の地方公共団体で、場合によっては、中央官庁などで問題になっているホットな問題である。

(1)職員に対する不当な口利き行為には毅然とした態度で拒否する

1)公職にある者からの公益を目的としない不正な口利きや暴力行為、威圧的な言動等による職員への不当な要求がよく見受けられる。

・何の用事もないのに、うろうろしている方は役所にいないだろうか。

不正な口利きなどは、職員の業務遂行に支障をきたすほか、職員の不正行為を誘発するケースが散見される。

このような、変な誘惑に乗っては絶対にいけない。

2)具体的防止策…記録と公開

地方公共団体の行政の透明化の推進と公正な職務の執行を確保するため、

各担当課に寄せられる要望や働きかけを記録し、情報公開の対象とするといいであろう。

住民への公開を前提として要望等が行われることになれば、不当な要求や圧力に対する抑止力になるからである。

3)不当要求対応マニュアル

その際に職員に対し、暴力や脅し等により不当な要求を行う不当要求については、職員の公務上の安全を確保するため、不当要求への対応マニュアルを作成しよう。

(2)人事配置上の考慮による不正防止

職員の人事異動にあわせ、可能な範囲で従来の事務職員、技術職員の配置場所に固執することなく柔軟な職員配置を行おう。

定期的に人事交流を行い、長期滞留者が生ぜず、また組織の活性化を図る事にもなる。

つい先日も、ある市役所の人事担当者との打合せで10年も職場が変わっていないのに、移動に躊躇している話が出ていた。

地方議会で10年以上の長期滞留者は、キチンと説明をすることになっているとのことであったが、優先順位の高いリスクマネジメントであろう。

殊に権限の行使や金銭を取扱う部署に同じ職員が長くとどまることは、業者との癒着、金銭の横領などの不祥事を生み出す可能性が増すリスク・危険が非常に高くなる。

(3)幹部職員の管理監督責任

管理監督者については、部下に対する指揮監督の職責を負う者として、部下の不祥事が発生したならば、当然に法的責任・監督責任を問われる事は分かっているだろうか。

不祥事は、個人レベルの問題ではなくなっていて、その役所全体のステークホルダーである住民等への信頼の問題である。

自分が役所中にいるのではなく、あなたの中に役所がある。

上に立つ自覚をもっと持って欲しい。

また、自己の管理下にある職員の不正等を発見したにもかかわらず、不作為により報告義務を怠った場合等も同様の行為の無価値性を持つので、コンプライアンス違反の度合いは高い。

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