リスクマネジメント、コンプライアンスの言葉は法律にあるのか。

1.コンプライアンス及びリスクマネジメントシステム構築に関する取締役と法の根拠規定

(1)会社法の規定には、相当する言葉がある。

◆リスクマネジメントシステム構築についての取締役の責任規定は、そのリスクマネジメントの言葉が法律にあるわけではない。

コンプライアンスの言葉も同様である。

しかし、そのことを指し示す法の規定は存する。例えば、

(2)会社法

①会社法348条3項4号

(業務の執行)
第三百四十八条 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
3 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
一 支配人の選任及び解任
二 支店の設置、移転及び廃止
三 第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
五 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
4 大会社においては、取締役は、前項第四号に掲げる事項を決定しなければならない。

(2)会社法施行規則98条

第九十八条 法第三百四十八条第三項第四号に規定する法務省令で定める体制は、当該株式会社における次に掲げる体制とする。
一 当該株式会社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
二 当該株式会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
三 当該株式会社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
四 当該株式会社の使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
五 次に掲げる体制その他の当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
イ 当該株式会社の子会社の取締役、執行役、業務を執行する社員、法第五百九十八条第一項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者(ハ及びニにおいて「取締役等」という。)の職務の執行に係る事項の当該株式会社への報告に関する体制
ロ 当該株式会社の子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
ハ 当該株式会社の子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
ニ 当該株式会社の子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
2 取締役が二人以上ある株式会社である場合には、(以下略)

取締役会設置会社については、会社法362条4項6号、会社法施行規則100条に同様の規定があり、委員会設置会社には、会社法416条第1項1号ホ、会社法施行規則112条第2項にほぼ同様の規定がある。

「職務の執行が法令及び定款に適合」がコンプライアンスの言葉であり、

「損失の危険の管理」がリスクマネジメントの言葉に相当すると考えていいだろう。

2.地方公共団体のコンプライアンス及びリスクマネジメントに相当する言葉

(1)平成29年地方自治法改正で新設

第百五十条 都道府県知事及び第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市(以下この条において「指定都市」という。)の市長は、その担任する事務のうち次に掲げるものの管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを確保するための方針を定め、及びこれに基づき必要な体制を整備しなければならない。
一 財務に関する事務その他総務省令で定める事務
二 前号に掲げるもののほか、その管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを特に確保する必要がある事務として当該都道府県知事又は指定都市の市長が認めるもの
2 市町村長(指定都市の市長を除く。第二号及び第四項において同じ。)は、その担任する事務のうち次に掲げるものの管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを確保するための方針を定め、及びこれに基づき必要な体制を整備するよう努めなければならない。
一 前項第一号に掲げる事務
二 前号に掲げるもののほか、その管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを特に確保する必要がある事務として当該市町村長が認めるもの
3 都道府県知事又は市町村長は、第一項若しくは前項の方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 都道府県知事、指定都市の市長及び第二項の方針を定めた市町村長(以下この条において「都道府県知事等」という。)は、毎会計年度少なくとも一回以上、総務省令で定めるところにより、第一項又は第二項の方針及びこれに基づき整備した体制について評価した報告書を作成しなければならない。
5 都道府県知事等は、前項の報告書を監査委員の審査に付さなければならない。
6 都道府県知事等は、前項の規定により監査委員の審査に付した報告書を監査委員の意見を付けて議会に提出しなければならない。
7 前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。
8 都道府県知事等は、第六項の規定により議会に提出した報告書を公表しなければならない。
9 前各項に定めるもののほか、第一項又は第二項の方針及びこれに基づき整備する体制に関し必要な事項は、総務省令で定める。

(2)地方公共団体に内部統制導入

第1項の通り、都道府県と指定都市は義務的である。

「担任する事務のうち次に掲げるものの管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを確保」は内部統制態勢を求めるものであり、その目的はコンプライアンス、その構成要素はリスクマネジメントである。

よって、この法律の言葉は、コンプライアンスの言葉であり、リスクマネジメントの言葉であるといっていいだろう。

 

3.リスクマネジメントの「リスク」の言葉が法・規程等には多数ある

●法令の条文の中に「リスク」という語を含むものも保険、金融、財務に関して存する。これらは、食品安全委員会の設置により官公庁の組織・職名等の対応に関するものである。

◆法ではないが、JISQ2001 や経済産業省ガイドラインにもリスクマネジメントの言葉がある。

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