一 条文原文
消防法第8条の2の2(防火対象物の点検及び報告)
第八条の二の二 第八条第一項の防火対象物のうち火災の予防上必要があるものとして政令で定めるものの管理について権原を有する者は、総務省令で定めるところにより、定期に、防火対象物における火災の予防に関する専門的知識を有する者で総務省令で定める資格を有するもの(次項、次条第一項及び第三十六条第四項において「防火対象物点検資格者」という。)に、当該防火対象物における防火管理上必要な業務、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の設置及び維持その他火災の予防上必要な事項(次項、次条第一項及び第三十六条第四項において「点検対象事項」という。)がこの法律又はこの法律に基づく命令に規定する事項に関し総務省令で定める基準(次項、次条第一項及び第三十六条第四項において「点検基準」という。)に適合しているかどうかを点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。ただし、第十七条の三の三の規定による点検及び報告の対象となる事項については、この限りでない。
② 前項の規定による点検(その管理について権原が分かれている防火対象物にあつては、当該防火対象物全体(次条第一項の規定による認定を受けた部分を除く。)についての前項の規定による点検)の結果、防火対象物点検資格者により点検対象事項が点検基準に適合していると認められた防火対象物には、総務省令で定めるところにより、点検を行つた日その他総務省令で定める事項を記載した表示を付することができる。
③ 何人も、防火対象物に、前項に規定する場合を除くほか同項の表示を付してはならず、又は同項の表示と紛らわしい表示を付してはならない。
④ 消防長又は消防署長は、防火対象物で第二項の規定によらないで同項の表示が付されているもの又は同項の表示と紛らわしい表示が付されているものについて、当該防火対象物の関係者で権原を有する者に対し、当該表示を除去し、又はこれに消印を付するべきことを命ずることができる。
⑤ 第一項の規定は、次条第一項の認定を受けた防火対象物については、適用しない。
消防法第8条の2の3(点検報告の特例認定)
第八条の二の三 消防長又は消防署長は、前条第一項の防火対象物であつて次の要件を満たしているものを、当該防火対象物の管理について権原を有する者の申請により、同項の規定の適用につき特例を設けるべき防火対象物として認定することができる。
一 申請者が当該防火対象物の管理を開始した時から三年が経過していること。
二 当該防火対象物について、次のいずれにも該当しないこと。
イ 過去三年以内において第五条第一項、第五条の二第一項、第五条の三第一項、第八条第三項若しくは第四項、第八条の二の五第三項又は第十七条の四第一項若しくは第二項の規定による命令(当該防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又はその他の法令に違反している場合に限る。)がされたことがあり、又はされるべき事由が現にあること。
ロ 過去三年以内において第六項の規定による取消しを受けたことがあり、又は受けるべき事由が現にあること。
ハ 過去三年以内において前条第一項の規定にかかわらず同項の規定による点検若しくは報告がされなかつたことがあり、又は同項の報告について虚偽の報告がされたことがあること。
ニ 過去三年以内において前条第一項の規定による点検の結果、防火対象物点検資格者により点検対象事項が点検基準に適合していないと認められたことがあること。
三 前号に定めるもののほか、当該防火対象物について、この法律又はこの法律に基づく命令の遵守の状況が優良なものとして総務省令で定める基準に適合するものであると認められること。
② 申請者は、総務省令で定めるところにより、申請書に前項の規定による認定を受けようとする防火対象物の所在地その他総務省令で定める事項を記載した書類を添えて、消防長又は消防署長に申請し、検査を受けなければならない。
③ 消防長又は消防署長は、第一項の規定による認定をしたとき、又は認定をしないことを決定したときは、総務省令で定めるところにより、その旨を申請者に通知しなければならない。
④ 第一項の規定による認定を受けた防火対象物について、次のいずれかに該当することとなつたときは、当該認定は、その効力を失う。
一 当該認定を受けてから三年が経過したとき(当該認定を受けてから三年が経過する前に当該防火対象物について第二項の規定による申請がされている場合にあつては、前項の規定による通知があつたとき。)。
二 当該防火対象物の管理について権原を有する者に変更があつたとき。
⑤ 第一項の規定による認定を受けた防火対象物について、当該防火対象物の管理について権原を有する者に変更があつたときは、当該変更前の権原を有する者は、総務省令で定めるところにより、その旨を消防長又は消防署長に届け出なければならない。
⑥ 消防長又は消防署長は、第一項の規定による認定を受けた防火対象物について、次のいずれかに該当するときは、当該認定を取り消さなければならない。
一 偽りその他不正な手段により当該認定を受けたことが判明したとき。
二 第五条第一項、第五条の二第一項、第五条の三第一項、第八条第三項若しくは第四項、第八条の二の五第三項又は第十七条の四第一項若しくは第二項の規定による命令(当該防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又はその他の法令に違反している場合に限る。)がされたとき。
三 第一項第三号に該当しなくなつたとき。
⑦ 第一項の規定による認定を受けた防火対象物(当該防火対象物の管理について権原が分かれているものにあつては、当該防火対象物全体が同項の規定による認定を受けたものに限る。)には、総務省令で定めるところにより、同項の規定による認定を受けた日その他総務省令で定める事項を記載した表示を付することができる。
⑧ 前条第三項及び第四項の規定は、前項の表示について準用する。
消防法第8条の2の4(避難上必要な施設等の管理)
第八条の二の四 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければならない。
消防法第8条の2の5(自衛消防組織)
第八条の二の五 第八条第一項の防火対象物のうち多数の者が出入するものであり、かつ、大規模なものとして政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定めるところにより、当該防火対象物に自衛消防組織を置かなければならない。
② 前項の権原を有する者は、同項の規定により自衛消防組織を置いたときは、遅滞なく自衛消防組織の要員の現況その他総務省令で定める事項を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。当該事項を変更したときも、同様とする。
③ 消防長又は消防署長は、第一項の自衛消防組織が置かれていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、同項の規定により自衛消防組織を置くべきことを命ずることができる。
④ 第五条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による命令について準用する。
主要な下位法令
消防法施行令第4条の2の2(火災の予防上必要な事項等について点検を要する防火対象物)
第四条の二の二 法第八条の二の二第一項の政令で定める防火対象物は、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ及び(十六の二)項に掲げる防火対象物であつて、次に掲げるものとする。
一 収容人員が三百人以上のもの
二 前号に掲げるもののほか、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階以外の階(一階及び二階を除くものとし、総務省令で定める避難上有効な開口部を有しない壁で区画されている部分が存する場合にあつては、その区画された部分とする。)に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段が二(当該階段が屋外に設けられ、又は総務省令で定める避難上有効な構造を有する場合にあつては、一)以上設けられていないもの
消防法施行令第4条の2の3(避難上必要な施設等の管理を要する防火対象物)
第四条の二の三 法第八条の二の四の政令で定める防火対象物は、別表第一に掲げる防火対象物(同表(十八)項から(二十)項までに掲げるものを除く。)とする。
出典:e-Gov法令検索「消防法」(昭和23年法律第186号)https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000186
二 趣旨・立法背景
1 四か条の配置
第8条及び第8条の2が防火管理体制の構築を義務づけるのに対し、本稿で扱う四か条は、その体制が実際に機能しているかを検証し、あるいは体制では補えない部分を補強する規定群である。
第8条の2の2と第8条の2の3は、防火管理の履行状況を有資格者の点検と消防機関への報告によって可視化し、優良な対象物には点検義務の免除と表示を与える。第8条の2の4は、体制の有無にかかわらず避難経路と防火戸の物理的な確保を義務づける。第8条の2の5は、一定規模以上の対象物について、災害発生時に実動する組織の設置を求める。
2 平成14年改正による点検報告制度の創設
平成13年9月1日の新宿区歌舞伎町ビル火災を契機とする平成14年法律第30号(平成14年4月26日公布)により、第8条の2の2、第8条の2の3及び第8条の2の4が新設された。点検報告制度及び特例認定制度の施行日は平成15年10月1日である。
制度設計の背景には、それ以前の「適マーク」制度の限界がある。適マークは、昭和55年11月の川治プリンスホテル火災及び昭和57年2月のホテルニュージャパン火災を契機として昭和56年度から全国的に運用された表示・公表制度であり、消防機関が防火基準に適合する施設に有効期間1年のマークを交付するものであった。法律の根拠を持たず、消防機関の側が調査して交付するという構造のため、対象範囲の拡大と質の確保に限界があった。
点検報告制度の導入に伴い、適マークは平成15年9月30日をもって廃止され、経過措置として暫定適マーク制度が平成18年9月30日まで実施された。制度の重心は、消防機関が調査して評価を与える方式から、管理権原者が有資格者に点検させて報告する方式へ移った。
出典:総務省消防庁「防火対象物点検報告制度」(予防行政のあり方に関する検討会資料)https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento254_08_shiryo1-4-2.pdf
3 平成19年改正による自衛消防組織の創設
第8条の2の5は、消防法の一部を改正する法律(平成19年法律第93号)により、第8条の2の4の次に追加された。施行日は平成21年6月1日である。
改正の背景は、東海地震、東南海・南海地震及び首都直下地震の切迫と、テロ等の脅威への対応である。従前の制度では、管理権原者に防火管理者の選任と消防計画の作成が義務づけられていたが、大規模地震等の発生時の避難誘導や応急対策の計画、災害時の初動対応を担う組織については規定がなく、各事業所の自主的な取組みに委ねられていた。同改正は、防火管理義務の対象のうち一定の大規模・高層建築物の管理権原者に、自衛消防組織の設置と防災管理者の選任及び防災管理に係る消防計画の作成を義務づけた。第36条による防災管理制度の創設と一体の改正である。
同改正は、第5条の2第1項各号の先行命令及び第8条の2の3第1項第2号イ・第6項第2号の認定要件に、それぞれ第8条の2の5第3項の命令を加えている。新設された義務を既存の担保手段の体系に組み込む作業が、同時に行われたことが条文の改め文から読み取れる。
出典:衆議院 制定法律「法律第九十三号(平一九・六・二二)」https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/16620070622093.htm
4 平成26年からの表示制度
平成24年5月に広島県福山市で発生したホテル火災(死者7名、負傷者3名)を受け、消防法令のほか建築構造等の防火基準に適合している建物の情報を利用者に提供する表示制度が設けられ、平成26年8月1日から表示マークの掲出が開始された。根拠は平成25年10月31日付け消防予第418号及び第419号等の通知であり、法律に基づく表示ではない。名称としては適マークが用いられているが、平成15年に廃止された旧適マークとも、第8条の2の2第2項及び第8条の2の3第7項の法定の表示とも別個の制度である。
三 文理解釈
1 第8条の2の2第1項
対象の二段階構造
条文は「第八条第一項の防火対象物のうち」と限定したうえで、政令に委任する。したがって対象は、施行令第1条の2第3項により防火管理者の選任義務が生じている防火対象物であることを前提に、施行令第4条の2の2の要件を満たすものに限られる。
施行令第4条の2の2は二つの類型を掲げる。第1号は収容人員300人以上の特定用途系防火対象物である。第2号は、特定用途部分が避難階以外の階(一階及び二階を除く)に存し、当該階から避難階又は地上に直通する階段が二以上設けられていないもの、すなわち特定一階段等防火対象物である。
第2号には収容人員の要件が書かれていない。しかし法第8条の2の2第1項が防火管理義務対象に限定しているため、特定用途で収容人員30人未満の対象物は、階段が一系統であっても点検義務を負わない。実務解説が「収容人員30人以上」と記述するのは、この二段構えを一つにまとめた表現である。条文だけを読むと収容人員要件が見落とされ、政令だけを読むと限定が見落とされる構造になっている。
点検の主体と頻度
管理権原者が防火対象物点検資格者に点検させる。規則第4条の2の4第1項により点検は一年に一回である。同項ただし書は、新型インフルエンザ等その他消防庁長官が定める事由により期間ごとの点検が困難であるときは、消防庁長官が当該事由を勘案して定める期間ごとに行うものとする。
防火対象物点検資格者は、規則第4条の2の4第4項が掲げる十五の類型のいずれかに該当する者で、総務大臣の登録を受けた法人が行う講習の課程を修了し、免状の交付を受けた者である。消防設備士(工事・整備・点検の実務経験3年以上)、消防設備点検資格者(点検の実務経験3年以上)、防火管理者(実務経験3年以上)、甲種又は乙種防火管理講習修了者(防火管理上必要な業務の実務経験5年以上)、一級建築基準適合判定資格者検定合格者(建築主事又は確認検査員として2年以上)、特定建築物調査員・建築設備検査員・防火設備検査員(それぞれ5年以上)、一級又は二級建築士(5年以上)、建築設備士(5年以上)、市町村の消防職員(火災予防業務1年以上又は消防職員5年以上)、消防団員(8年以上)、特定行政庁の職員(防火に関する建築行政業務5年以上)などが含まれる。
点検対象事項
防火管理上必要な業務、消防用設備等・消防用水・消火活動上必要な施設の設置及び維持、その他火災の予防上必要な事項である。ただし書により、第17条の3の3の消防用設備等点検報告の対象となる事項は除かれる。二つの点検報告制度の重複を避ける調整規定である。
2 第8条の2の2第2項
点検基準に適合していると認められた場合に表示を付することができる。権利であり義務ではない。規則第4条の2の7第2項は別表第一の様式により防火対象物の見やすい箇所に付するものとし、同条第3項は記載事項として、点検を行った日から起算して一年後の年月日、管理権原者の氏名、点検を行った防火対象物点検資格者の氏名その他消防庁長官が定める事項を挙げる。この表示が防火基準点検済証である。
管理権原が分かれている防火対象物では、防火対象物全体についての点検の結果によって判断される。一部のテナントのみが適合していても表示を付すことはできない。
3 第8条の2の2第3項・第4項
第3項は「何人も」を名宛人とする。消防法において義務者を限定しない規定は少なく、表示の信頼性を保護する趣旨がこの形をとらせている。禁止されるのは、要件を満たさないのに表示を付すること、及び紛らわしい表示を付することの二つである。
第4項の除去命令及び消印命令の名宛人は「当該防火対象物の関係者で権原を有する者」であり、表示を付した者とは限らない。第三者が無断で表示を付した場合でも、除去の権原を有する関係者に命令が向けられる。
4 第8条の2の2第5項
特例認定を受けた防火対象物には第1項が適用されない。点検義務そのものが免除される。
5 第8条の2の3
認定の要件
第1項第1号は申請者が管理を開始した時から3年の経過を求める。第2号は過去3年以内の命令歴、認定取消歴、点検・報告の懈怠又は虚偽報告、点検基準不適合の判定がないことを求める。第3号は規則第4条の2の8第1項が定める基準への適合である。同項は、規則第4条の2の6の基準への適合、消防用設備等又は特殊消防用設備等が設備等技術基準又は設備等設置維持計画に従って設置・維持されていること、第17条の3の3の遵守、市町村長が定める基準への適合の四つを掲げる。
第2号イが掲げる命令には、第8条の2の5第3項の自衛消防組織設置命令が含まれる。命令それ自体に罰則がなくとも、認定の障害事由となる点で不利益が生じる。
手続
第2項により申請と検査を経る。第3項は認定又は不認定の決定を申請者に通知すべきものとする。申請に対する処分であるから、行政手続法の申請に対する処分の規定が適用され、審査基準の設定・公表(同法第5条)と、拒否処分の理由の提示(同法第8条)が求められる。
失効と取消し
第4項は、認定から3年の経過と管理権原者の変更を失効事由とする。第1号括弧書により、3年が経過する前に更新の申請がされている場合は、認定又は不認定の通知があった時まで効力が続く。
第6項は取消事由を三つ掲げ、「取り消さなければならない」と規定する。羈束処分であり、消防長又は消防署長に裁量の余地はない。
届出
第5項は、管理権原者に変更があったときの届出義務を、変更前の権原を有する者に課す。既に権原を失った者に義務を負わせる構造である。
表示
第7項の表示が防火優良認定証である。管理権原が分かれている防火対象物では、全体が認定を受けている場合に限り付することができる。第8項により、第8条の2の2第3項及び第4項が準用される。
6 第8条の2の4
対象
施行令第4条の2の3により、令別表第一に掲げる防火対象物のうち(十八)項から(二十)項まで(アーケード、山林、舟車)を除くすべてである。規模要件も収容人員要件もない。第8条第1項の防火管理義務のように政令で範囲を絞る構造をとらず、ほぼ全面的に義務を課している点が、この条の特徴である。
二つの管理義務
第一は、廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について、避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理することである。第二は、防火戸について、その閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理することである。
条文は防火戸を限定していないから、建築基準法令に基づく設置義務のない防火戸も管理の対象となる。任意に設けた防火戸であっても、その前に物件を置いて閉鎖を妨げれば義務違反となる。
「放置」は意図せず置かれた状態、「みだりに存置」は意図的に置かれた状態を指す。いずれも継続的な状態を要し、一時的な搬入搬出は含まれないと解される。
7 第8条の2の5第1項
対象
施行令第4条の2の4が定める。令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項から(十二)項まで、(十三)項イ、(十五)項及び(十七)項に掲げる防火対象物(自衛消防組織設置防火対象物)のうち、地階を除く階数11以上で延べ面積1万平方メートル以上、地階を除く階数5以上10以下で延べ面積2万平方メートル以上、地階を除く階数4以下で延べ面積5万平方メートル以上のいずれかに該当するものである。(十六)項の複合用途防火対象物については自衛消防組織設置防火対象物の用途部分の床面積で同様の基準が適用され、(十六の二)項の地下街は延べ面積1千平方メートル以上である。
共同住宅((五)項ロ)、格納庫等((十三)項ロ)、倉庫((十四)項)が対象から外れている。同じ規模でも、不特定多数が出入りしない用途は除外されている。
設置義務者
施行令第4条の2の5第1項により、対象となる防火対象物の管理権原者が置く。複合用途防火対象物については、自衛消防組織設置防火対象物の用途部分の管理権原者に限られる。同条第2項は、権原を有する者が複数あるときは共同して置くものとする。
組織の構成
施行令第4条の2の8は、統括管理者及び総務省令で定める業務ごとに総務省令で定める員数以上の自衛消防要員を置くべきものとする。規則第4条の2の11は、初期消火、通報連絡、避難誘導、応急救護の各業務についておおむね2人以上の要員を求める。
統括管理者は、自衛消防組織の業務に関する講習(自衛消防業務講習)の課程を修了した者、又はこれに準ずる者で統括管理者として必要な学識経験を有すると認められるものでなければならない。
業務と消防計画
施行令第4条の2の6は、管理権原者がその定めた防火管理者に、防火管理に係る消防計画において自衛消防組織の業務に関する事項を定めさせるべきものとする。同令第4条の2の7は、その定めに従い、火災の初期の段階における消火活動、消防機関への通報、在館者が避難する際の誘導その他の火災の被害の軽減のために必要な業務を行うものとする。
8 第8条の2の5第2項から第4項まで
第2項は設置及び変更の届出義務である。届出事項は自衛消防組織の要員の現況その他規則第4条の2の15が定める事項である。第3項は設置命令、第4項は公示に関する準用である。
四 用語解説
防火対象物点検資格者:規則第4条の2の4第4項の類型に該当し、登録講習機関の講習課程を修了して免状の交付を受けた者。令和6年3月31日現在、全国に3万6,316人。
点検対象事項:防火管理上必要な業務、消防用設備等・消防用水・消火活動上必要な施設の設置及び維持その他火災の予防上必要な事項。
点検基準:点検対象事項が法令に規定する事項に関し適合しているかどうかの判断基準。規則第4条の2の6が定める。
防火基準点検済証:第8条の2の2第2項の表示。点検基準に適合していると認められた場合に付することができる。
防火優良認定証:第8条の2の3第7項の表示。特例認定を受けた場合に付することができる。防火対象物点検と防災管理点検の双方で特例認定を受けている場合の表示は防火・防災優良認定証である。
特定一階段等防火対象物:特定用途部分が避難階以外の階(一階及び二階を除く)に存し、当該階から避難階又は地上に直通する階段が二以上設けられていない防火対象物。施行令第4条の2の2第2号ほか複数の規定で共通の基準として用いられる。
避難階:建築基準法施行令第13条第1号に規定する階。直接地上へ通ずる出入口のある階をいう。
自衛消防組織設置防火対象物:施行令第4条の2の4第1号に掲げる用途の防火対象物。同号の定義が同条第2号及び第3号で引用される。
統括管理者:自衛消防組織を統括する者。施行令第4条の2の8第2項・第3項。
自衛消防業務講習:施行令第4条の2の8第3項第1号の講習。都道府県知事、消防長又は総務大臣の登録を受けた法人が行う。
五 改正の経緯と内容
| 改正法 | 主な内容 |
|---|---|
| 平成14年法律第30号 | 第8条の2の2(防火対象物点検報告制度)、第8条の2の3(特例認定制度)、第8条の2の4(避難上必要な施設等の管理義務)を新設。点検報告制度及び特例認定制度は平成15年10月1日施行。これに伴い旧適マーク制度を平成15年9月30日で廃止(暫定適マーク制度を平成18年9月30日まで実施) |
| 平成15年法律第84号 | 特殊消防用設備等の導入に伴う引用整理 |
| 平成19年法律第93号 | 第8条の2の4の次に第8条の2の5(自衛消防組織)を新設。第5条の2第1項各号及び第8条の2の3第1項第2号イ・第6項第2号に第8条の2の5第3項の命令を追加。第8条の2の2第1項の引用を第36条第3項に係るものに改める。防災管理制度の創設と一体の改正。平成21年6月1日施行 |
| 平成24年法律第38号 | 統括防火管理者制度の導入に伴う引用整理 |
| 令和4年法律第68号 | 刑法等の一部改正に伴い、関係罰則の懲役を拘禁刑に改める。令和7年6月1日施行 |
点検報告制度の運用面では、平成19年4月1日から、防火管理者に選任されていなくても防火管理講習の課程を修了し実務経験が5年以上あれば防火対象物点検資格者講習を受講できることとされ、資格者の裾野が広げられている。
六 法的性格と解釈上の論点
1 三種類の表示の区別
現在、防火対象物に付される防火関係の表示には少なくとも三種類がある。
第一は第8条の2の2第2項の防火基準点検済証である。点検結果が点検基準に適合していることを示すもので、有効期間は点検を行った日から一年である。第二は第8条の2の3第7項の防火優良認定証である。特例認定を受けたことを示し、認定の有効期間は3年である。第三は平成26年8月1日から運用されている表示マーク(適マーク)であり、ホテル・旅館等を対象に、消防法令のほか建築基準法令に定める建築構造等の基準への適合を消防機関が審査して交付する。
第三のものは通知に基づく制度であって法定の表示ではない。第8条の2の2第3項の「紛らわしい表示」の禁止が及ぶのは第一及び第二の表示についてであり、第三の表示マークの不正使用は同項の適用対象ではない。三者を同一の制度系列として説明する解説が見受けられるが、根拠法令、対象、審査主体、効果のいずれも異なる。
2 罰則の分布
この四か条に係る罰則は、次のとおり分布している。
第8条の2の2第1項の報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、第44条第11号により30万円以下の罰金又は拘留に処せられる。第8条の2の2第3項に違反した者(第8条の2の3第8項において準用する場合を含む)は、第44条第3号により同じ法定刑に処せられる。第8条の2の2第4項の命令に違反した者(同様に準用を含む)は、第44条第17号により同じ法定刑に処せられる。
第45条第3号の両罰規定が引用するのは第44条第1号、第3号、第11号、第12号及び第22号である。したがって、報告義務違反と表示違反は法人にも罰金刑が科されるが、除去・消印命令違反は両罰の対象から外れている。命令違反の方が両罰から外れるという配置は、報告と表示が制度の信頼性の根幹に関わるという評価を反映したものと解されるが、条文の構造からしか読み取れない。
第8条の2の3第5項の届出を怠った者は、第46条の5により5万円以下の過料に処せられる。消防法における数少ない秩序罰であり、刑罰ではない。既に権原を失った者に課される義務であることと、過料という制裁の選択は整合している。
第8条の2の4には罰則がない。第8条の2の5第1項、第2項及び第3項にも罰則がない。
3 罰則を欠く義務の担保構造
第8条の2の4の管理義務に違反する状態があるとき、直接の制裁は存在しない。第5条の3第1項の物件除去命令、第5条第1項の措置命令、第8条第4項の業務適正執行命令によって是正が求められ、これらの命令に違反した場合に初めて罰則が働く。後述する東京高裁判決は、第8条の2の4違反そのものに罰則がないことを考慮すると、同条違反に当たる行為があれば直ちに第5条の3第1項の命令の発令要件を満たすとはいえないと判示している。義務と命令要件が段差をもって配置されている。
第8条の2の5についても同様の構造がある。設置命令に従わない場合、第5条の2第1項第1号により防火対象物の使用の禁止、停止又は制限の命令へ移行しうる。また第8条の2の3第1項第2号イ及び第6項第2号により、特例認定の障害事由及び取消事由となる。刑罰ではなく、より重い行政処分と授益的処分の剥奪によって担保する設計である。
統括防火管理者に関する第8条の2第5項・第6項の命令に罰則がないことと併せると、平成14年以降に新設された防火管理関連の義務は、刑罰による担保を避け、使用禁止命令と認定制度に接続する方式が選好されていることが読み取れる。
4 特例認定の法的性質
第8条の2の3第1項の認定は、申請に基づく授益的行政処分である。効果は点検報告義務の免除(第8条の2の2第5項)と表示の許容(第8条の2の3第7項)である。
第6項の取消しは羈束処分であり、取消事由に該当すれば取り消さなければならない。取消しは授益的処分の撤回にあたるところ、法律が明文で要件と効果を定めているため、撤回の一般法理による利益衡量の余地は乏しい。もっとも、取消しは不利益処分であるから、行政手続法第13条の意見陳述手続と第14条の理由の提示を要する。
第4項第2号により管理権原者の変更が失効事由とされている点は、認定が対象物の状態に着目した処分であると同時に、申請者の遵守実績に着目した処分でもあることを示している。建物の物理的状態が変わらなくても、所有者や賃借人が代われば認定は失効する。この帰結は、建物の売買や事業承継の局面で見落とされやすい。
5 点検義務者と点検実施者の分離
点検義務を負うのは管理権原者であり、点検を実施するのは防火対象物点検資格者である。報告義務も管理権原者にある。点検資格者が誤った点検を行い、その結果に基づいて報告がされた場合、第44条第11号の虚偽報告に問われるのは報告をした管理権原者である。点検資格者の責任は、規則第4条の2の4第5項の資格喪失事由と、登録講習機関を通じた資格管理の枠組みによって処理される。
管理権原者が点検資格者に業務を委託しても義務は移転しない。この構造は、防火管理者の外部委託において管理権原者の責任が残ることと同じである。
6 第8条の2の5と統括防火管理者制度の関係
管理権原が分かれる大規模建築物では、統括防火管理者(第8条の2)と自衛消防組織(第8条の2の5)の双方が義務づけられうる。統括防火管理者は管理権原者が協議して定め、自衛消防組織は管理権原者が共同して置く。いずれも複数の管理権原者の合意を前提とする点で共通するが、前者は特定の自然人を選任する制度、後者は組織を設置する制度である。
統括管理者と統括防火管理者は別個の地位であり、資格要件も異なる。統括管理者は自衛消防業務講習の修了者等であるのに対し、統括防火管理者は施行令第4条が定める防火管理者の資格を基礎とする。両者を同一人が兼ねることは妨げられないが、条文上は別の制度である。
7 第8条の2の4の適用範囲の広さ
施行令第4条の2の3は、アーケード、山林、舟車を除くすべての防火対象物を対象とする。共同住宅、事務所、倉庫を含み、規模も問わない。防火管理義務や点検報告義務のような絞り込みがない。
それだけに、この義務がどこまで具体的な行為義務として機能するかは解釈に委ねられる。廊下に置かれた傘立てや、階段の踊り場に一時的に置かれた荷物が、直ちに「避難の支障になる物件」の「放置」又は「みだりに存置」に当たるかは、物件の性状、設置場所、避難動線との位置関係、当該防火対象物の構造・用途から判断される。後述する東京高裁判決は、第5条の3の命令要件について具体的危険の存在を要求する一方、第8条の2の4の違反状態については火災予防上の危険性や避難支障の可能性が一般的・抽象的に認められれば足りるとしており、両者の判断枠組みを明確に区別している。
七 裁判例
1 東京高判平成27年6月10日(最決平成28年9月1日上告不受理により確定)
第5条の3第1項に基づく物件除去命令の適法性が争われた事案であるが、第8条の2の4の解釈について判示している点で、本稿の対象条文に直結する。
東京消防庁管内の6階建て防火対象物(耐火構造、屋内階段1系統、複合用途)において、5階屋内階段部分に木製本棚等、塔屋階部分にスチール製ロッカー等が存置されていたため、消防署長が命令を発した。判決は5階部分の命令を適法とし、塔屋階の命令を違法として取り消した。
第8条の2の4との関係について、判決は、同条違反そのものに罰則がないことを考慮すると、同条違反に当たる行為があれば直ちに第5条の3第1項の措置命令の発令要件を満たすとはいえないとした。そのうえで、塔屋階の物件は第5条の3に該当しないとしても、火災予防上の危険性や避難支障の可能性が一般的・抽象的に認められないとまではいえないから、第8条の2の4の違反状態にはあると判示した。
罰則を欠く管理義務と、罰則に接続する命令要件との間に判断の段差があることを、正面から示した判決である。避難施設に物件が存置されている状態が第8条の2の4違反に当たるとしても、それが直ちに除去命令の根拠となるわけではない。
出典:総務省消防庁「消防法第5条の3命令取消等請求訴訟等に係る行政対応に関する記録」https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/items/yobou_jirei_h30_12.pdf
2 裁判例が乏しいことの意味
第8条の2の2から第8条の2の5までについて、条文の解釈を正面から扱った公刊裁判例は乏しい。理由は制度の構造にある。
点検報告義務の違反は第44条第11号の罰金又は拘留にとどまり、簡易な手続で処理されるため判例集に載りにくい。特例認定の不認定又は取消しは行政処分であるから取消訴訟の対象となるが、認定が授益的処分であり、不認定によって既存の義務が復活するにとどまるため、訴訟に至る誘因が小さい。第8条の2の4及び第8条の2の5には罰則がなく、義務違反が独立の争点になる場面が生じにくい。
他方で、火災が発生して死傷者が生じた場合には、避難施設の管理や自衛消防組織の実動が業務上過失致死傷罪の過失認定において問題となる。千日デパートビル火災事件(最判平成2年11月29日)、川治プリンスホテル火災事件(最判平成2年11月16日)、ホテルニュージャパン火災事件(最判平成5年11月25日)、長崎屋尼崎店火災事件(神戸地判平成5年9月13日)は、いずれも避難誘導体制や防火戸の維持管理の懈怠を過失の内容として認定している。これらの規定は、行政法上の義務違反としてよりも、刑事責任の判断資料として機能する局面が多い。
出典:日本消防設備安全センター「違反データベース・判例事例索引」https://www.fesc.or.jp/ihanzesei/owner/pdf/hanrei120726.pdf
八 実務上の留意点
1 点検義務の有無の判定
まず施行令第1条の2第3項により防火管理者の選任義務があるかを確認し、そのうえで施行令第4条の2の2の要件を判定する。収容人員300人以上の場合は用途のみで判断できるが、特定一階段等防火対象物に該当するかどうかは、特定用途部分が存する階、避難階の特定、直通階段の系統数、屋外階段か屋内階段か、規則が定める避難上有効な構造に該当するかを個別に確認する必要がある。
避難上有効な開口部を有しない壁で区画されている部分が存する場合は、その区画された部分を単位として判断する。図面上の階数だけでは判定できない。
2 点検と報告の時期管理
点検は一年に一回である。報告の時期は規則第4条の2の4が定めるところによる。特定一階段等防火対象物は消防用設備等点検報告(第17条の3の3)も一年に一回であり、両者の時期を揃えて管理すると実務が簡素になる。第8条の2の2第1項ただし書により点検対象事項が重複しないため、同一の業者に両方を委託する場合でも報告書は別個に作成される。
3 特例認定の申請と維持
申請には管理を開始した時から3年の経過が必要である。建物を取得した直後や、テナントとして入居した直後には申請できない。申請時には、防火管理者の選任及び消防計画作成の届出、消火訓練及び避難訓練の年2回以上の実施と事前の通報、消防用設備等点検報告の実施といった要件が満たされている必要がある。
認定は3年で失効するため、3年が経過する前に更新の申請を行う。第4項第1号括弧書により、期間経過前に申請していれば通知があるまで効力が続く。建物の売買や賃貸借の当事者交代がある場合は、第4項第2号により認定が失効する。取引の実務では、認定の失効と再申請までの期間、点検報告義務が復活することを前提に日程を組む。
第5項の届出義務は変更前の権原を有する者に課されている。売主や旧賃借人が届出を失念すると過料の対象となるため、契約書に届出の実施を定めておく運用が有効である。
4 表示の管理
防火基準点検済証には点検を行った日から起算して一年後の年月日が記載される。期限を過ぎた表示を掲出し続けることは、第8条の2の2第3項の「同項に規定する場合を除くほか同項の表示を付」する行為に当たりうる。点検の更新と表示の差替えを一体の作業として管理する。
管理権原が分かれる建物では、全体の点検結果が適合でなければ表示を付せない。テナントの一部が不適合の場合、他のテナントが自らの区画に表示を掲出することはできない。
5 避難施設と防火戸の日常管理
第8条の2の4の対象は事実上すべての防火対象物であり、共同住宅や事務所ビルも含まれる。廊下・階段・避難口への物件の存置と、防火戸前の物件の存置は、いずれも日常の巡回で確認すべき事項である。建築基準法令に基づく設置義務のない防火戸も対象であることに留意する。
消防機関の立入検査でこの種の指摘を受けた場合、罰則がないことを理由に軽視すると、第5条の3第1項の命令、さらには第5条の2第1項の使用禁止命令へ進む経路がある。指摘の段階で是正することが合理的である。
大規模倉庫における防火設備の閉鎖障害については、コンベヤ等の固定された物品の設置によって閉鎖できない事例が調査で確認されている。固定設備が原因の場合は、日常の整理整頓では解消できず、設備配置そのものの見直しを要する。
6 自衛消防組織の設置と届出
設置義務の判定は延べ面積と階数の組合せによる。複合用途防火対象物では、自衛消防組織設置防火対象物の用途に供される部分の床面積の合計で判断するため、共同住宅や駐車場部分を含めた延べ面積で判定すると誤る。
管理権原者が複数ある場合は共同して設置する。届出はすべての管理権原者に義務があるが、対象物全体で一の自衛消防組織を設置することから、連名又は代表者による届出も可能とする運用が行われている。要員の現況に変更があったときも届出を要するため、人事異動に伴う更新を忘れないようにする。
統括管理者の資格取得には自衛消防業務講習の修了が必要である。講習の実施回数と定員には限りがあるため、後任者の確保を計画的に行う。
7 防火管理・防災管理との一体運用
自衛消防組織の業務に関する事項は、防火管理に係る消防計画に定める(施行令第4条の2の6)。防災管理対象物では、施行令第49条の読替えにより、火災に対応する事項を防火管理に係る消防計画に、火災以外の災害に対応する事項を防災管理に係る消防計画に定める。二つの計画にまたがるため、記載の重複と欠落が生じやすい。作成時に対照表を用意して確認する。
8 統計から見た制度の定着度
令和6年3月31日現在、防火対象物点検資格者は全国に3万6,316人である。同日現在の防火管理者選任義務対象は107万3,739件、統括防火管理者選任義務対象は9万1,099件であり、点検報告義務の対象はこれらより限定されている。
制度の対象が絞り込まれていることは、逆に言えば、対象となった建物は火災時の人命危険が高いと法令が判断したものであることを意味する。収容人員300人以上、あるいは階段が一系統しかない特定用途の建物である。点検報告を形式的な年中行事として処理せず、点検結果の指摘事項を消防計画の見直しに反映させる運用が求められる。
出典:総務省消防庁「令和6年版 消防白書」第1章第1節「3.防火管理制度」https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r6/chapter1/section1/para2/68008.html
参考文献・資料
- e-Gov法令検索「消防法」(昭和23年法律第186号)https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000186
- 衆議院 制定法律「法律第三十号(平一四・四・二六)」https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/15420020426030.htm
- 衆議院 制定法律「法律第九十三号(平一九・六・二二)」https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/16620070622093.htm
- 衆議院 制定法律「法律第三十八号(平成二四・六・二七)」https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/18020120627038.htm
- 総務省消防庁「防火対象物点検報告制度」(予防行政のあり方に関する検討会資料)https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento254_08_shiryo1-4-2.pdf
- 総務省消防庁「予防行政の沿革」https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento255_06_sankou1_2.pdf
- 総務省消防庁「令和6年版 消防白書」第1章第1節「3.防火管理制度」https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r6/chapter1/section1/para2/68008.html
- 総務省消防庁「消防法第5条の3命令取消等請求訴訟等に係る行政対応に関する記録」https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/items/yobou_jirei_h30_12.pdf
- 総務省消防庁・国土交通省「大規模倉庫に対する実態調査の結果」https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento219_32_sankou3-8.pdf
- 日本消防設備安全センター「防火対象物定期点検報告(消防法第8条の2の2)」https://www.fesc.or.jp/08/index2.html
- 日本消防設備安全センター「大規模地震等に対応した自衛消防力の確保」https://www.fesc.or.jp/ihanzesei/owner/index08.html
- 日本消防設備安全センター「違反データベース・判例事例索引」https://www.fesc.or.jp/ihanzesei/owner/pdf/hanrei120726.pdf
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