身分に関する地方公務員制度、地方公務員法の解釈及び法改正の動向の3拍子揃ったレクチャー

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(1)身分に関する地方公務員制度

 地方公共団体の組織に関する法が地方自治法であり、地方公共団体の身分に関する法が地方公務員法である。地方公務員法は、地方自治法より遅れて制定され、新憲法の地方自治を担う重要な、サスティナブル社会における人的資本の育成にかかわる最重要な法の一つである。
 しかも、やや当職の個人的見解で言うと、この法律は至る所に、敗戦後の再出発息吹と地方自治を応援する条文が散りばめられていると感じるのである。つまり、好きである。どこがそのように当職を感じさせるかは、研修時にお話ししているので、ここでは語らないが、中川家も第2次世界大戦で、大事な掛けがえのない「人的資本」を多数失った。悔しい。人こそ宝である。日本はそのような国であった。人の命は地球より重いの覚悟で戦後スタートしたその心が私はこの法律に感じる、だから主観的に大層好きなのだ。
 国を支え、地方を支える公務員の人的資本は貴重な存在である。地方公務員法はその視点を解釈で忘れてはいけないし、これからの地方公務員法の改正や制度の形成でも忘れてはいけないであろう。より良き国もより良き地方も官僚制度がしっかりとすることが不可欠である。
 地方公務員法も法改正が続いているが、特に大きなものに、人事評価、会計年度任用職員制度、定年制改正等がある。後述のようにこれらも研修できちんと受講してもらっている。その時に、忘れてはならないのは、公務員倫理に関する多数の規定の存在であり、法改正もその基礎があって初めて成り立つのだ。
 つまり、公務員倫理とも密接不可分な地方公共団体コンプライアンス中核の地方公務員法研修なのだ。私は、いつもこの研修を担当するときに日本の将来を託する方々を鼓舞し全力で国つくり、地方つくりに邁進してほしい気持ちが燃える。 

(2)地方公務員法の解釈

 地方公務員法は、地方自治法と違って、条文数は多くないが、労働関係は基本的に労働基準法が適用され、労働安全衛生法も然りである。また、諸手当は、いまだに地方自治法に残っているのである。そこで、法解釈は文理解釈に加えて、論理解釈が非常に重要になってくるのだ。

 しかも、法解釈は時代の寵児である。時の社会通念で変わるのである。憲法を頂点とした法体系の中で、関連法も変らないものと変わったものがあり、それらを踏まえて正確に法を理解する必要があろう。生きた法を把握することがここでも求められているのである。

少なくとも下記の重要項目は、すべての自治体職員がその概要を知る必要があろう。

1) 地方公務員制度の法体系の概要
・地方公務員法及び任期付職員採用法等複数の特別法の概要

・地方公務員勤務関係の「身分」等3分野を具体的に解説

2)地方公務員法制定の理念と他の法律にはない様々な原理原則と分析概念
・成績主義、情勢適応等

3)地方公務員の範囲と種類
・ある具体的な職にある者が地方公務員かどうかの判断基準等

4)任命権者
・主な任命権者

5)任用の根本基準
・任用とは何かをまず把握し、成績主義の原則と不可分一体性を指摘

6)給与、勤務時間その他の勤務条件
・地方公務員の勤務条件の一般性と特異性

7)分限及び懲戒
・法にない「離職」概念の有用性(一定の事由で法令の規定の当然失職、分限免職、懲戒免職その他)

・分限処分と懲戒処分についての判例・実務

8)職員の義務
・公務員倫理に関する地方公務員法の義務と法の禁止及び制限事項(法31条~)

・多数の判例と具体的事例のご紹介

9)研修及び勤務成績の評定
・研修義務の確認など

10)福祉及び利益の保護
・地方公務員災害補償法等

・不服申し立て方法

11)職員団体その他の諸事項・諸規定
・団結権や労働関係の特別法

12)罰則
・罪刑法定主義

(3)地方公務員法の改正

1) 人事評価制度
 能力と実績で評価されることが明記された。

2) 会計年度任用職員制度

①一般職の非常勤職員である会計年度任用職員について、その採用の方法は、競争試験又は選考によるものとし、その任期は、その採用の日から同日の属する会計年度の末日までの期間の範囲内で任命権者が定める。この職員には、期末手当の支給を可能とする。勤勉手当も令和6年度から支給される。

②特別職の地方公務員について、臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職は、専門的な知識経験又は識見を有する者が就く職であって、当該知識経験又は識見に基づき、助言、調査、診断その他総務省令で定める事務を行うものに限る。

③地方公務員の臨時的任用について、緊急のとき、臨時の職に関するとき、又は採用候補者名簿がないときに行うことができることに加え、常時勤務を要する職に欠員を生じた場合に該当することを要件に追加し、その対象を限定する。

3)定年制度の改正
 国家公務員法等改正法により、国家公務員の定年が段階的に引き上げられ、 65 歳とされることを踏まえ、地方公務員の定年についても、国家公務員と同様に段階的に引き上げ、 65 歳になる。その他役職定年制など。

演習問題と事例・判例を豊富に取り入れた考える参加型研修

 講義と演習をうまくミックスして、受講生のレベルに応じた問題を選択していく。判例も重要なものは時間を割いてその演習をする。

 下記は、拙著である『公務員の教科書「道徳編」』(ぎょうせい)は出版戦略から名前はシリーズものになっているが、地方公共団体のコンプライアンス・リスクマネジメントの基本的著書である。実際に大きな不祥事が発生した団体等でコンプライアンス委員会の指定図書や推薦図書になっているので参照されたい。


地方公務員の働き方改革とDX人材の育成方法

 この2つは、人的資本にとって、今日非常に大事なものになっており、研修中に時間を取って話す。

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