地方公務員法第3条逐条解説|一般職と特別職の区分・国家公務員法第2条との比較


連載の位置づけ

本連載「創設 地方公務員倫理法」は、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「地公法」という。)の逐条解説を軸に、対応する国家公務員法(昭和22年法律第120号。以下「国公法」という。)の規定、さらに国家公務員倫理法(平成11年法律第129号。以下「倫理法」という。)および国家公務員倫理規程(平成12年政令第101号)の解説を加えながら、公務員制度の全体像を立体的に読み解くものである。現行法は令和8年(2026年)4月1日時点の条文に基づく。


第1部 地方公務員法第3条の解説

1 条文原文

地方公務員法第3条(一般職に属する地方公務員及び特別職に属する地方公務員)

第三条 地方公務員(地方公共団体及び特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年
法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の全ての
公務員をいう。以下同じ。)の職は、一般職と特別職とに分ける。

2 一般職は、特別職に属する職以外の一切の職とする。

3 特別職は、次に掲げる職とする。
 一 就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によることを必要と
   する職
 一の二 地方公営企業の管理者及び企業団の企業長の職
 二 法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程により設けら
   れた委員及び委員会(審議会その他これに準ずるものを含む。)の構成員の職で臨時又は非
   常勤のもの
 二の二 都道府県労働委員会の委員の職で常勤のもの
 三 臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職(専門的な
   知識経験又は識見を有する者が就く職であつて、当該知識経験又は識見に基づき、助言、調
   査、診断その他総務省令で定める事務を行うものに限る。)
 三の二 投票管理者、開票管理者、選挙長、選挙分会長、審査分会長、国民投票分会長、投票立
   会人、開票立会人、選挙立会人、審査分会立会人、国民投票分会立会人その他総務省令で定
   める者の職
 四 地方公共団体の長、議会の議長その他地方公共団体の機関の長の秘書の職で条例で指定する
   もの
 五 非常勤の消防団員及び水防団員の職
 六 特定地方独立行政法人の役員

(昭和27年法律第175号・昭和34年法律第199号・昭和38年法律第99号・昭和41年法律第120号・平成4年法律第23号・平成7年法律第54号・平成15年法律第119号・平成16年法律第140号・平成23年法律第35号・平成29年法律第29号一部改正)


2 趣旨・立法背景

(1) 二区分制度の採用

地公法が昭和25年(1950年)に制定された際、地方公務員の職はすべて一元的に管理されるわけではなく、その性質に応じて「一般職」と「特別職」に二分する制度が採用された。この考え方は、同年代に整備された国公法(昭和22年制定・昭和23年大改正)の設計思想を地方制度に移植したものである。

一般職には、成績主義(merit system)に基づく任用・昇進、政治的中立性の保持、身分保障(分限制度)といった人事行政の根本基準が一律に適用される。これに対し特別職は、民主的正統性の確保や職務の特殊性から、そのような根本基準をそのまま適用することが制度的に不可能または不適当とされる職を類型的に列挙したものである。

(2) 特別職の「限定列挙」方式

第3項各号は、特別職の範囲を網羅的・限定的に定めた列挙規定である。一般職は第2項で「特別職に属する職以外の一切の職」とされており、第3項に列挙されない職はすべて一般職として地公法の全面適用を受ける。この「限定列挙主義」は、実務上、任命権者が恣意的に職員を特別職として扱うことを防ぐ制度的歯止めとして機能する。

(3) 「地方公務員」の定義の拡張

第1項の括弧書きは、平成15年(2003年)の地方独立行政法人法制定に伴い、特定地方独立行政法人(地方独立行政法人のうち、その業務の停廃止が住民の生活に著しく影響し、国が一定の関与を行う必要があるもの。地方独立行政法人法第2条第2項)の公務員もあわせて「地方公務員」の定義に含める形で改正されたものである。

(4) 近年の改正の重要な方向性

平成29年(2017年)法律第29号による改正(令和2年4月1日施行)は、実務上きわめて重要な転換をもたらした。第3号の特別職について、従前は「臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職」と広く定められていたが、改正後は括弧書きにより「専門的な知識経験又は識見を有する者が就く職であって、当該知識経験又は識見に基づき、助言、調査、診断その他総務省令で定める事務を行うものに限る」との要件が付加された。

この改正は、旧来の第3号特別職が実態として一般職の職員と同様の業務を担う非常勤職員を広く取り込む脱法的運用に使われてきた実態を踏まえ、特別職の要件を厳格化するとともに、会計年度任用職員制度(地公法第22条の2)を創設することで一般職の非常勤職員の任用・処遇の明確化を図ったものである。


3 用語解説

「一般職」(第2項)

特別職に属する職以外のすべての職。地公法の規定(任用・人事評価・給与・服務・分限・懲戒・退職管理等に関する根本基準)が全面的に適用される。令和5年度以降は会計年度任用職員制度の整備により、短時間・有期の職についても一般職として管理されることが原則となった。

「特別職」(第3項)

第3項各号に限定列挙された職。地公法第4条第2項は「この法律の規定は、法律に特別の定がある場合を除く外、特別職に属する地方公務員には適用しない」と定める。したがって服務の宣誓(第31条)、守秘義務(第34条)、政治的行為の制限(第36条)、争議行為の禁止(第37条)等は特別職には原則として適用されない。ただし個別の法令(地方自治法、公職選挙法等)により特別職に固有の義務が課されている場合はある。

「特定地方独立行政法人」(第1項括弧書き)

地方独立行政法人法第2条第2項に規定する法人で、地方公共団体が設立し、その職員が地方公務員の身分を保有するもの。病院、試験研究機関等が典型例。通常の地方独立行政法人の職員は地公法上の「職員」ではないが、特定地方独立行政法人の職員は一般職に属する地方公務員として地公法の適用を受ける。

「公選」「議会の選挙」「議決」「同意」(第3項第1号)

公選:住民による直接選挙(知事・市区町村長・議会議員等)。 議会の選挙:議会が投票により選出(議長・副議長等)。 議決:議会の議決による選任(副知事・副市区町村長等。地方自治法第162条)。 同意:議会の同意(人事委員会委員・監査委員等)。

「地方公営企業の管理者」「企業団の企業長」(第3項第1号の2)

地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第7条に基づき設置される、水道・交通・病院等の地方公営企業を管理する職。専門的・経営的な判断が求められることから特別職とされ、地公法ではなく地方公営企業法が適用される。

附属機関(第3項第2号関係)

地方自治法第138条の4第3項に基づき法律または条例により設けられた、執行機関の附属機関(審議会・審査会等)の構成員が典型例。法律・条例に設置根拠がなく、要綱等のみを根拠とする委員会の構成員は第2号特別職に該当しないことに注意が必要である。

「専門的な知識経験又は識見」(第3項第3号)

令和2年施行の改正で加わった要件。単なる事務の補助や一般的な非常勤業務ではなく、当該分野の高度な専門性を基礎とし、その専門性に基づく「助言、調査、診断」等の事務を遂行することが求められる。総務省令(地方公務員法第3条第3項第3号の「総務省令で定める事務」を定める省令)は「前三号に掲げる事務に付随する事務その他これらに類する事務」等を定めている。

医師・歯科医師・薬剤師・弁護士・弁理士・公認会計士・税理士等の資格に基づき専門的業務を行う場合が該当の典型例とされる。これに対し、補助的事務・定型業務・単純労務は第3号特別職から除外され、一般職(会計年度任用職員)として任用することが求められる。

「会計年度任用職員」(関連概念)

平成29年改正で創設(令和2年4月施行)された一般職の非常勤職員の類型(地公法第22条の2)。第3号特別職から排除された非常勤職員の多くはこの類型に移行した。フルタイムとパートタイムの2類型があり、それぞれ地公法に基づく任用・服務・給与等の規律が適用される。


4 各号の解説と実務上の留意点

第1号(公選・議会の選挙・議決・同意による職)

知事・市区町村長・都道府県議会議員・市区町村議会議員(公選)、副知事・副市区町村長(議決または同意、地方自治法第162条・第167条)、人事委員会委員・監査委員(同意)等が該当する。これらは民主的正統性を有するか、または政治的任命の性格を持つことから、成績主義に基づく採用・人事管理の対象とならない。

第1号の2(地方公営企業の管理者・企業団の企業長)

昭和41年(1966年)改正で追加。地方公営企業は独立採算的な経営が求められ、管理者は業務全般の執行権限を有する独任制の執行機関として機能する。地方公営企業法が適用され、その任用・服務等は同法による。

第2号(臨時・非常勤の委員等)

法令または条例・規則・規程に設置根拠を持つ附属機関の構成員で臨時または非常勤のもの。「臨時又は非常勤」の要件に注意。常勤の委員は原則として一般職となる。なお都道府県労働委員会の委員については第2号の2に別途規定があり、常勤のものも特別職として扱われる。

実務上のよくある誤りとして、「要綱のみ」を根拠に設置された委員会の構成員を第2号特別職に該当させようとするケースがある。第2号の「法令又は条例…の規程により設けられた委員及び委員会」は法律上の設置根拠を要求しており、要綱設置機関には適用できない。

第2号の2(都道府県労働委員会の常勤委員)

平成23年(2011年)改正で追加。労働委員会の委員は地方自治法上の行政委員会を構成し、その職務の中立性・独立性が特に要請される。常勤の労働委員会委員を特別職とすることで、給与・任用等を一般の職員と異なる形で規律できる。

第3号(専門的な非常勤の顧問・嘱託等)

平成29年改正による要件厳格化後は、単に「顧問」「嘱託」という肩書きがあるだけでは足りない。①専門的な知識経験または識見を有する者が就く職であること、②当該知識経験または識見に基づき助言・調査・診断等を行うことという2要件を満たさない場合、第3号特別職には該当せず、会計年度任用職員として任用しなければならない。

第3号の2(選挙関係の職)

投票管理者・開票管理者・選挙立会人等。公職選挙法(昭和25年法律第100号)・国民投票法(平成19年法律第98号)等に基づき設置される職で、特定の選挙・投票において臨時的に就く。政党から中立的な立場で職務を遂行する必要から特別職とされる。

第4号(条例で指定する秘書)

地方公共団体の長・議会の議長等の機関の長の秘書で、条例により指定されたもの。個人補佐的な職の性質から、一般の人事管理ルールになじまない場合がある。条例による指定がない場合は一般職となる。

第5号(非常勤の消防団員・水防団員)

消防組織法(昭和22年法律第226号)・水防法(昭和24年法律第193号)に基づき活動する地域の自主防災組織の中核。報酬・公務災害補償については各条例および消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律(昭和31年法律第107号)による。

第6号(特定地方独立行政法人の役員)

特定地方独立行政法人の理事長・理事・監事等の役員。職員(一般職)とは区別され、地方独立行政法人法により規律される。


5 判例・裁判例・行政解釈

(1) 最高裁判決(特別職の限定列挙性)

特別職の限定列挙性については、最高裁の判例上も「地方公務員の職は一般職と特別職とに区分され、法定の特別職以外はすべて一般職に帰属する」との理解が前提とされてきた。任命権者が任意に職員を特別職に位置付けることはできず、その適否は各号要件の充足の有無による。

(2) 総務省通知による解釈指針

平成29年改正に際して総務省は「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に関する通知」(平成29年8月23日付総行公第85号等)を発出し、第3号特別職の任用要件について詳細な解釈を示した。同通知は、講演会の講師として招聘した場合や、単に意見・情報を提供するだけの場合は第3号特別職に該当しないと明示している。

(3) 住民訴訟(第3号特別職の不適正任用)

複数の自治体において、要件を満たさない職員を第3号特別職に位置付け、会計年度任用職員としての給与規制(期末手当等の支給制限)を回避したとして、住民訴訟が提起されてきた経緯がある。裁判所は当該任用が実質的に一般職としての勤務実態を持つ場合に、不適正任用と判断し差額相当額の返還を命じた事例がある(たとえば鳥取地裁平成20年6月26日判決、松山地裁等)。任命権者は職務実態を精査したうえで適切な職種区分を行う必要がある。

(4) 会計年度任用職員への切り替えに関する各地の対応

令和2年度の会計年度任用職員制度施行以降、多くの自治体が第3号特別職の実態調査を実施し、要件を満たさない嘱託員等を会計年度任用職員に切り替えた。総務省の調査(令和4年地方公務員給与等実態調査)では、会計年度任用職員数が施行前の非常勤職員数と比較して大幅に増加していることが確認されており、制度移行の実態を裏付けるものとなっている。


第2部 国家公務員法第2条との比較解説

1 国家公務員法第2条の条文

国家公務員法第2条(職員の職の一般職と特別職への分類)は以下のとおりである。

第二条
 国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ。
2 一般職は、特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含する。
3 特別職は、左の各号に掲げる職を包含する。
 一 内閣総理大臣その他の国務大臣の職
 二 内閣官房副長官の職
 二の二 内閣危機管理監の職
 三 内閣法制局長官の職
 四 内閣府副大臣、内閣府大臣政務官及び内閣府大臣補佐官の職
 五 各省副大臣、各省大臣政務官及び各省大臣補佐官の職
 六 宮内庁長官の職その他法律又は人事院規則で指定する宮内庁の職
 七 特命全権大使その他の政令で指定する在外公館の長の職
 七の二 デジタル庁長官の職
 八 内閣総理大臣秘書官及び国務大臣秘書官並びに特別職たる機関の長の秘書官のうち
   人事院規則で指定するもの
 九 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院又は一院の議決又は
   同意によることを必要とする職員
 十 (宮内庁関係省略)
 十一 特命全権大使、特命全権公使、特派大使等の外務公務員
 十一の二 日本ユネスコ国内委員会の委員
 十二 人事官及び人事院事務総長の職
 十三 検査官及び会計検査院事務総長の職
 十四 内閣法制次長及び内閣法制局参事官の職
 十五 国会職員法により国会に置かれる職員の職
 十六 防衛省の職員(一部除く)の職
 十七 行政執行法人の役員の職
4 (一般職への適用等)
5 (特別職への不適用)
6・7 (政府は一般職・特別職以外の勤務者に俸給を支払ってはならない等)

(令和3年法律第36号・令和3年法律第61号等一部改正)

2 地公法第3条との対比

地公法第3条と国公法第2条は、いずれも「一般職は特別職以外の一切の職」とする消去法的定義(第2項)と、特別職の限定列挙(第3項)という共通の構造を持つ。

主な相違点は以下のとおりである。

第一に、特別職の列挙内容が大きく異なる。国公法の特別職は内閣総理大臣・国務大臣・大使・国会議員・自衛官(防衛省職員)等、主として政治的任命職・機密的要職・実力組織を包含する。地公法の特別職にはこれに相当する政務系の職は含まれず、むしろ地域に根ざした非常勤委員・消防団員・選挙関係職員等が特徴的に列挙されている。

第二に、「人事院」による区分決定権限(国公法第2条第4項後段)が国家公務員制度の特徴であり、地方公務員にはこれに対応する機関が存在しない(人事委員会は設置されるが、職の区分の決定権限は法令解釈に基づく任命権者の判断に委ねられる)。

第三に、国公法の特別職には防衛省職員(自衛官等、約27万人)が含まれることから、特別職の規模・性格が地公法と著しく異なる。国家公務員の特別職は特別職の国家公務員全体の中で自衛官が多数を占め、地公法の特別職とは実態が大きく異なる。

第四に、地公法の「一般職」は教育職・警察職・消防職・一般行政職・技術職・会計年度任用職員等多様な職種を包含する広範なカテゴリーであるのに対し、国公法の「一般職」は各省庁の官職に就く国家公務員(約28万人)が中心であり、労働法令の適用除外等において相違がある。

3 国公法上の重要な付随規定

国公法第2条第4項は「人事院は、ある職が、国家公務員の職に属するかどうか及び本条に規定する一般職に属するか特別職に属するかを決定する権限を有する」と定め、人事院が職の区分を確定的に判断する権限を持つことを明示している。これは地方公務員制度との大きな相違点であり、国家公務員制度の中央集権的な人事管理の特徴を示す。

国公法第2条第6項は「政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給与を支払つてはならない」と定める。これは、国家公務員としての任用を経ずに給与を支払う形での非正規雇用を禁止するものであり、公務員制度の枠組み外で実質的な公務従事者を使役することを制度的に排除している。


第3部 国家公務員倫理法・同規程との関係

1 倫理法の適用範囲(一般職限定)

国家公務員倫理法第2条は、同法の対象を「一般職に属する職員」に限定している。すなわち国公法第2条の特別職は、原則として倫理法の適用を受けない。これは、特別職が民主的任命・選出に基づく政治家的地位であったり、あるいは非常勤・臨時的な職であったりすることから、一般職と同様の倫理規制をかけることが制度上困難であることによる。

地方公務員については、国家公務員倫理法に対応する独立した「地方公務員倫理法」は現時点では制定されていない。地方公務員の倫理は、地公法の服務規定(第30条~第38条の2)および各地方公共団体が条例・規則等に基づき独自に定める倫理規程によって規律される。これが本連載「創設 地方公務員倫理法」の問題意識の出発点であり、一般職の地方公務員に国家公務員倫理法に相当する規律を適用する意義を逐条的に検討していくことが本連載の目的である。

2 一般職の範囲画定の実務的重要性

地公法第3条は単なる職の分類規定ではなく、その実務上の意義は服務規律・倫理規制が「誰に」適用されるかを確定する点にある。一般職に属するか特別職に属するかの区分が正確に行われていない場合、以下の問題が生じうる。

まず、本来一般職として服務義務を負うべき職員が特別職に誤って分類されると、守秘義務・政治的行為の制限・争議行為の禁止等の服務義務が適用されず、行政の適正・公正な運営が損なわれるおそれがある。

次に、特別職に分類された職員には倫理規程(各自治体が定める倫理条例・倫理規程)が原則として適用されないことから、利害関係者との接触規制・贈収賄防止規制のカバレッジに空白が生じうる。

さらに、第3号特別職の不適正任用は、会計年度任用職員に本来認められるべき期末手当等の支給を回避する財政的インセンティブとして機能してきた側面があり、令和2年改正後も完全に解消されたとはいいがたい。コンプライアンス担当者としては、自治体内の特別職の任用実態を定期的に点検し、要件充足状況を確認する体制整備が求められる。

3 国家公務員倫理規程の概要

国家公務員倫理規程(平成12年政令第101号)は、一般職の国家公務員の倫理行動規準を定めた政令である。職員は「利害関係者」(許認可・補助金・契約等で省庁と一定の関係を有する民間事業者等)から食事・贈物の提供を受けることが禁止されるほか、利害関係者との間での各種の禁止行為が定められている。倫理規程の適用対象は一般職の国家公務員に限られ、特別職は対象外である。

地方公務員の倫理規程については次条以降の解説において詳述する。


まとめ

地公法第3条が定める一般職・特別職の区分は、地方公務員制度の根幹をなす分類規定である。一般職には地公法の人事行政の根本基準が全面適用され、特別職は限定列挙された職に限られる。平成29年改正による第3号特別職の要件厳格化は、非常勤職員の任用適正化という実務上の大きな転換点をもたらした。

国公法第2条は地公法第3条と同様の構造を持つが、特別職の具体的内容・規模・人事院による区分決定権限等に相違がある。国家公務員倫理法は一般職の国家公務員のみを対象とし、地方公務員については現在のところ対応する統一的な立法は存在しない。各自治体は条例・倫理規程による自律的な整備を求められている。

次回(第4条)では、地公法の適用を受ける職員の範囲と特別職への原則不適用について解説する。


参照条文・参考資料

法令(一次資料)

  • 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条、第4条:e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000261
  • 国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条:e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120
  • 地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律(平成29年法律第29号)
  • 地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第2項
  • 国家公務員倫理法(平成11年法律第129号)第2条
  • 国家公務員倫理規程(平成12年政令第101号)

行政解釈・通知(一次資料)

  • 総務省「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に関する通知」(平成29年8月23日付総行公第85号)
  • 総務省「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル」(平成29年)
  • 内閣人事局「国家公務員制度」https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/jinji_gaiyou.html

執筆:中川総合法務オフィス(行政書士・コンプライアンスコンサルタント) サイト:https://compliance21.com お問い合わせ:075-955-0307

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