条文原文

第一条の三 地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする。

② 普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする。

③ 特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合及び財産区とする。

趣旨・立法背景

本条は、日本における地方公共団体の種類を体系的に分類し、その範囲を明確にするための基本規定である。地方公共団体を「普通地方公共団体」と「特別地方公共団体」の2つに大別している。

普通地方公共団体は、国全域を包括する汎用的な行政組織であり、都道府県と市町村による二層制を形成する。すべての国民がいずれかの普通地方公共団体に所属する形をとる。

一方、特別地方公共団体は、特定の目的や歴史的な沿革に基づいて設置される特殊な団体である。本条3項により、特別区、地方公共団体の組合、財産区の3種に限定されている。

令和7年・8年(2026年)の改正法下においても、この根本的な組織枠組みは維持されている。近年の法改正では、人口減少や広域的な行政課題に対応するため、特別地方公共団体の一種である地方公共団体の組合(一部事務組合や広域連合)を活用した自治体間の連携体制の強化が進められている。地方公務員法が適用される職員の範囲を理解する上でも、勤務先がどの区分に属するかを把握する行為は基礎となる。

用語解説

普通地方公共団体

全域的・一般的な行政事務を処理する団体を指す。包括的な権限を持ち、住民の意思に基づいて運営される。

特別地方公共団体

普遍的ではない特定の目的のために、法律によって設置が認められた団体を指す。本条に掲げられた3種類のみが存在する。

都道府県

普通地方公共団体のうち、市町村を包括する広域的な地方公共団体である。広域にわたる事務や、市町村に関する連絡調整を担う。

市町村

普通地方公共団体のうち、住民に最も身近な基礎的な地方公共団体である。市、町、村の3種類があり、法律上の権限は原則として共通している。

特別区

東京都の区部(23区)にのみ存在する特別地方公共団体である。一般の市に準ずる事務を処理するが、消防や上下水道など一部の広域的事務は東京都が一体的に処理する構造を持つ。

地方公共団体の組合

複数の地方公共団体が、特定の事務を共同で効率的に処理するために設立する法人である。ごみ処理や消防の共同化を目的とする「一部事務組合」や、広域的な計画策定等を行う「広域連合」などがある。

財産区

市町村の合併等の歴史等から、旧市町村の区域内に残された財産(山林や温泉源など)の管理・処分を目的として設置される独立した区域団体である。

判例・裁判例

特別区の法的性格に関する最高裁判所大法廷判決(昭和38年3月27日)

東京都の区の長を公選制から任命制へと変更した法改正の是非が争われた都区制度違憲訴訟である。憲法第92条が定める「地方公共団体」とは、憲法上、普通地方公共団体(都道府県・市町村)を指すものと判断された。当時の特別区は憲法上の地方公共団体には当たらないため、その首長の選任方法を含めた組織や権限のあり方は、国会が法律(地方自治法)によって決定できるという見解が示された。この判決後、数次の法改正を経て、現在の特別区は特別地方公共団体でありながらも、特別区の長は住民による直接選挙で選ばれる形へと変更され、より市に近い性質を持つよう制度改革が行われてきた。

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