1 条文原文

第26条の4(休業の種類)

職員の休業は、自己啓発等休業、配偶者同行休業、育児休業及び大学院修学休業とする。

2 育児休業及び大学院修学休業については、別に法律で定めるところによる。

第26条の5(自己啓発等休業)

任命権者は、職員(臨時的に任用される職員その他の法律により任期を定めて任用される職員及び非常勤職員を除く。以下この条及び次条(第八項及び第九項を除く。)において同じ。)が申請した場合において、公務の運営に支障がなく、かつ、当該職員の公務に関する能力の向上に資すると認めるときは、条例で定めるところにより、当該職員が、三年を超えない範囲内において条例で定める期間、大学等課程の履修(大学その他の条例で定める教育施設の課程の履修をいう。第五項において同じ。)又は国際貢献活動(国際協力の促進に資する外国における奉仕活動(当該奉仕活動を行うために必要な国内における訓練その他の準備行為を含む。)のうち職員として参加することが適当であると認められるものとして条例で定めるものに参加することをいう。第五項において同じ。)のための休業(以下この条において「自己啓発等休業」という。)をすることを承認することができる。

2 自己啓発等休業をしている職員は、自己啓発等休業を開始した時就いていた職又は自己啓発等休業の期間中に異動した職を保有するが、職務に従事しない。

3 自己啓発等休業をしている期間については、給与を支給しない。

4 自己啓発等休業の承認は、当該自己啓発等休業をしている職員が休職又は停職の処分を受けた場合には、その効力を失う。

5 任命権者は、自己啓発等休業をしている職員が当該自己啓発等休業の承認に係る大学等課程の履修又は国際貢献活動を取りやめたことその他条例で定める事由に該当すると認めるときは、当該自己啓発等休業の承認を取り消すものとする。

6 前各項に定めるもののほか、自己啓発等休業に関し必要な事項は、条例で定める。

第26条の6(配偶者同行休業)

任命権者は、職員が申請した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、条例で定めるところにより、当該申請をした職員の勤務成績その他の事情を考慮した上で、当該職員が、三年を超えない範囲内において条例で定める期間、配偶者同行休業(職員が、外国での勤務その他の条例で定める事由により外国に住所又は居所を定めて滞在するその配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。第五項及び第六項において同じ。)と、当該住所又は居所において生活を共にするための休業をいう。以下この条において同じ。)をすることを承認することができる。

2 配偶者同行休業をしている職員は、当該配偶者同行休業を開始した日から引き続き配偶者同行休業をしようとする期間が前項の条例で定める期間を超えない範囲内において、条例で定めるところにより、任命権者に対し、配偶者同行休業の期間の延長を申請することができる。

3 配偶者同行休業の期間の延長は、条例で定める特別の事情がある場合を除き、一回に限るものとする。

4 第一項の規定は、配偶者同行休業の期間の延長の承認について準用する。

5 配偶者同行休業の承認は、当該配偶者同行休業をしている職員が休職若しくは停職の処分を受けた場合又は当該配偶者同行休業に係る配偶者が死亡し、若しくは当該職員の配偶者でなくなつた場合には、その効力を失う。

6 任命権者は、配偶者同行休業をしている職員が当該配偶者同行休業に係る配偶者と生活を共にしなくなつたことその他条例で定める事由に該当すると認めるときは、当該配偶者同行休業の承認を取り消すものとする。

7 任命権者は、第一項又は第二項の規定による申請があつた場合において、当該申請に係る期間(以下この項及び次項において「申請期間」という。)について職員の配置換えその他の方法によつて当該申請をした職員の業務を処理することが困難であると認めるときは、条例で定めるところにより、当該業務を処理するため、次の各号に掲げる任用のいずれかを行うことができる。この場合において、第二号に掲げる任用は、申請期間について一年を超えて行うことができない。

一 申請期間を任用の期間(以下この条において「任期」という。)の限度として行う任期を定めた採用

二 申請期間を任期の限度として行う臨時的任用

8 任命権者は、条例で定めるところにより、前項の規定により任期を定めて採用された職員の任期が申請期間に満たない場合には、当該申請期間の範囲内において、その任期を更新することができる。

9 任命権者は、第七項の規定により任期を定めて採用された職員を、任期を定めて採用した趣旨に反しない場合に限り、その任期中、他の職に任用することができる。

10 第七項の規定に基づき臨時的任用を行う場合には、第二十二条の三第一項から第四項までの規定は、適用しない。

11 前条第二項、第三項及び第六項の規定は、配偶者同行休業について準用する。


2 趣旨・立法背景

第26条の4について

地方公務員法は職員の「勤務条件」を第3章に集約しているが、休業(身分を保有したまま職務を免除し給与を支給しない期間)については長らく体系的な規定を欠いていた。第26条の4は、平成19年(2007年)法律第46号による改正で新設され、職員が取得できる休業を自己啓発等休業・配偶者同行休業・育児休業・大学院修学休業の4種に整理・列挙した規定である。なお配偶者同行休業は同条の制定時には含まれておらず、平成25年(2013年)法律第79号により追加された。

育児休業と大学院修学休業については、それぞれ「地方公務員の育児休業等に関する法律」(平成3年法律第110号)および「地方公務員の大学院修学休業に関する法律」(平成13年法律第65号)という個別法に委任されており、第26条の4第2項はその旨を確認的に定める。

第26条の5について

自己啓発等休業は、平成19年(2007年)法律第46号によって地方公務員法に創設された制度である。同年に「国家公務員の自己啓発等休業に関する法律」(平成19年法律第45号)も制定されており、両者はほぼ並行して立法が進んだ。立法の動機は2点に集約される。第一に、行政の複雑化・高度化に対応するため、職員が在職中に大学院等で専門知識を補充する機会を正式に保障すること。第二に、青年海外協力隊等を通じた国際貢献活動に職員が参加できる環境を整え、グローバルな行政課題への対応力を高めることである。制度の核心は、職員が申請し任命権者が承認するという「申請+承認」構造であり、職員に休業を請求する権利は与えられていない。

第26条の6について

配偶者同行休業は、平成25年(2013年)法律第79号によって地方公務員法に追加され、同年に制定された「国家公務員の配偶者同行休業に関する法律」(平成25年法律第78号)と同時期に整備された。創設の背景には、外国に赴任・転勤する配偶者と帯同したいと希望する職員が退職せざるを得ない状況が続いていたことへの対応がある。有為な職員の離職を防ぎ、配偶者との家庭生活の両立を支援することで、公務の円滑な運営に資することが立法目的である。


3 用語解説

「休業」(第26条の4関係)

法律上の「休業」とは、職員としての身分(職)を保有したまま職務への従事を免除される期間をいう。休職・停職とは異なり、休業はあくまで職員本人の申請に基づく意思的な制度である。休業中の給与の有無は制度ごとに異なり、育児休業は別途手当の支給がある一方、自己啓発等休業と配偶者同行休業は無給とされる(地公法第26条の5第3項、同条第11項の準用)。

「臨時的に任用される職員」・「非常勤職員」(第26条の5第1項関係)

自己啓発等休業の適用対象から除かれる者である。地方公務員法上の「臨時的任用」は第22条の3に規定する制度で、緊急・臨時の職員需要に対応するための任用形態。「非常勤職員」は常時勤務を要しない職員全般を指す。これらの職員は職の継続性・安定性が低く、能力開発への投資効果が見込みにくいことが除外理由とされる。

「大学等課程の履修」(第26条の5第1項関係)

大学その他条例で定める教育施設の課程の履修をいう。各団体の条例で具体的な施設が列挙されており、例えば栃木県・茨城県等の条例では大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専門学校(専門課程)・高等学校(専攻科)等が規定されている。海外の大学も条例の規定次第で対象となり得る。

「国際貢献活動」(第26条の5第1項関係)

国際協力の促進に資する外国における奉仕活動のうち、職員として参加することが適当と認められるものとして条例で定めるものをいう。国家公務員については人事院の通達(平成19年職職257号)により、いわゆる「青年海外協力隊」「シニア海外ボランティア」「日系社会青年ボランティア」「日系社会シニア・ボランティア」および国連ボランティア計画に基づく活動がこれに当たるとされている。地方公務員についても各団体の条例でJICA派遣業務や姉妹都市等との国際交流奉仕活動が規定されるのが一般的である(栃木県条例第5条参照)。

「公務の運営に支障がなく」(第26条の5第1項関係)

承認の積極要件の一つ。大阪市の要綱では、「業務内容及び業務量、業務分担の変更等当該申請をした職員の業務を処理するための措置の可否等を総合的に勘案」して判断することとされている。単に人員が不足するという理由だけでは支障があるとは言えず、業務処理の代替可能性を検討したうえで判断すべき性質の要件と解される。

「公務に関する能力の向上に資する」(第26条の5第1項関係)

承認の積極要件の二つ目で、自己啓発等休業に固有の要件である。履修する課程や参加する活動が、当該職員の担う公務と関連性を有していることが求められる。配偶者同行休業にはこの要件が課されていない点で、両制度の目的の差異が現れている。

「勤務成績その他の事情を考慮」(第26条の6第1項関係)

配偶者同行休業の承認要件として規定されている文言で、自己啓発等休業にはない。任命権者が職員の過去の勤務実績・職場への貢献度等を承認判断の考慮要素とすることができることを明示したものである。人事院の通達(平成26年職職41号)も、「公務への貢献が期待される職員」からの請求はできる限り承認するよう求めており、職員に承認を義務付けてはいないが、正当な理由なく拒否することも想定されていない。

「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」(第26条の6第1項関係)

届出による法律婚の配偶者に加え、いわゆる事実婚の相手方も「配偶者」に含めることを明示した文言である。同様の規定は国家公務員の配偶者同行休業に関する法律第2条第3項にも置かれており、法律婚中心主義を修正し実態に即した保護を図る趣旨である。同性パートナーがこの「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に含まれるかどうかは、本条の解釈問題として各団体が運用上の対応を取りつつある状況にある。

「職を保有するが、職務に従事しない」(第26条の5第2項・第26条の6第11項準用関係)

休業中の法的地位を端的に示す文言である。職員としての身分は維持されるため、退職・解雇とはならない。一方、職務への従事は免除されるため、当然に給与の支給は停止される(第26条の5第3項)。退職手当の算定においては、自己啓発等休業期間は原則として全期間算入されるが、休業内容が公務の能率的な運営に特に資するものと認められる場合は2分の1算入に圧縮される(各団体の条例による取扱いに差がある)。

「臨時的任用」・「任期を定めた採用」(第26条の6第7項関係)

配偶者同行休業の「代替任用」として認められる2類型である。前者は第22条の3に規定する臨時的任用で、1年を超えることができず(同条第2項)、第26条の6第7項第2号も申請期間について1年を超える臨時的任用を禁じている。後者は申請期間を任期の限度とした採用(いわゆる任期付採用)で、期間の上限は申請期間そのものとなる。第10項により、代替任用として臨時的任用を行う場合には、第22条の3第1項から第4項までの適用(緊急・臨時の必要性要件等)が排除されるため、配偶者同行休業に係る業務処理のために機動的に臨時的任用を行うことができる。


4 条文の構造と解説

4.1 第26条の4――休業の4類型

第26条の4は確認的・整理的な規定である。地方公務員法の中に「休業」という概念を明示し、現行法上職員が取得できる休業を列挙することで、これ以外の休業類型が地方公務員法上存在しないことを間接的に示している。

育児休業・大学院修学休業については、それぞれ特別法(地方公務員の育児休業等に関する法律・地方公務員の大学院修学休業に関する法律)に詳細を委ねており、第26条の4第2項はその委任の根拠条文という性質を持つ。

4.2 第26条の5――自己啓発等休業の承認構造

承認の要件と裁量

第1項が定める承認要件は次の2つである。

第一、公務の運営に支障がないこと。 第二、当該職員の公務に関する能力の向上に資すること。

両要件のいずれかを欠く場合、任命権者は承認を拒否できる。逆に言えば、両要件を充たす場合でも「承認することができる」という任意規定であり、承認は羈束行為ではなく裁量行為と解される。条文上「承認することができる」と規定されており、承認を義務付けてはいない。ただし、大阪市の要綱が「できる限り承認するよう努めるものとする」と定めているように、実務上は積極的承認が期待されている。

自己啓発等休業の対象となる活動の上限期間は「三年を超えない範囲内において条例で定める期間」であり、国の自己啓発等休業法(平成19年法律第45号)第3条第1項が同じく3年を上限とするのと一致する。各団体の条例では大学等課程の履修については2年(特に必要な場合は3年)、国際貢献活動については3年とする例が多い(東広島市条例第3条参照)。

無給・職保有の法的構造

第2項・第3項が休業中の法的地位を規定する。職を保有するが職務に従事せず(第2項)、その期間中は給与を支給しない(第3項)。「職を保有する」の実質的意味は、休業終了後に職場復帰する権利が法的に保障されるという点にある。

承認の失効と取消

第4項は、休職・停職の処分を受けた場合に承認が当然に「効力を失う」と定める。この「効力を失う」は、任命権者の意思表示を要せず法律上当然に失効するという意味であり、行政処分としての「取消」とは異なる。

第5項は、承認の「取消」を義務的に定める。職員が大学等課程の履修または国際貢献活動を取りやめた場合など条例所定の事由に該当するときは、任命権者は承認を取り消さなければならない(「取り消すものとする」)。この取消は、承認当初に存在しなかった事由の発生によるものであり、遡及効は生じないのが原則である(行政法一般原則)。

4.3 第26条の6――配偶者同行休業の特徴

自己啓発等休業との承認要件の差異

配偶者同行休業(第26条の6第1項)の承認要件は「公務の運営に支障がないこと」のみであり、自己啓発等休業のような「能力向上要件」は課されていない。その代わり、「当該申請をした職員の勤務成績その他の事情を考慮」することが承認判断の枠組みに明示されている。この考慮要素は、制度の目的が職員の人材確保(有為な人材の離職防止)にあることを反映している。

期間延長制度の設計

第2項・第3項は配偶者同行休業に固有の期間延長制度を規定する。休業期間は当初の承認時に確定されるが、上限(条例で定める期間)の範囲内であれば延長申請ができる。延長は原則として1回に限られるが、条例で定める特別の事情がある場合はこの限りでない(第3項但書に相当する構造)。

栃木県など複数の自治体の条例では「特別の事情」として、延長後の期間が満了する日における配偶者の外国滞在事由が消滅せず継続することが見込まれる場合等を規定している。

承認の失効事由の特殊性

第5項が定める失効事由には、自己啓発等休業(第26条の5第4項)の「休職・停職」に加え、「配偶者の死亡または配偶者でなくなった場合」が追加されている。婚姻関係(法律婚・事実婚を含む)の解消や死別によって制度の前提条件が失われるため、当然に承認が失効する仕組みである。

代替任用の仕組み(第7項~第10項)

配偶者同行休業は業務の空白を生じさせるため、第7項は代替人材を確保するための任用規定を置く。自己啓発等休業にはこれに対応する規定がなく、この点も両制度の差異として重要である。

代替任用として認められるのは次の2類型である。

第一類型は「申請期間を任期の限度とする任期を定めた採用」であり、申請期間の全期間にわたって同一人を確保することができる。

第二類型は「申請期間を任期の限度とする臨時的任用」で、ただし1年を超えることができない(第7項第2号)。

第10項により、第2類型の臨時的任用には第22条の3第1項から第4項までの適用が排除されるため、通常の臨時的任用では必要とされる「緊急の場合又は臨時の職に関する場合」という実体要件が不要となる。これにより、配偶者同行休業という予定された業務空白に対応した計画的な臨時的任用が可能となっている。

準用条項(第11項)

第11項は、第26条の5第2項(職保有・職務不従事)・第3項(無給)・第6項(条例委任)を準用する。配偶者同行休業についても、自己啓発等休業と同様に無給・職保有の構造が採られることを明示した規定である。


5 国家公務員法との比較

地方公務員法における自己啓発等休業(第26条の5)と配偶者同行休業(第26条の6)は、国家公務員側の「国家公務員の自己啓発等休業に関する法律」(平成19年法律第45号)および「国家公務員の配偶者同行休業に関する法律」(平成25年法律第78号)に対応する。

両者の主要な相違点は次のとおりである。

国家公務員の自己啓発等休業法(第3条第1項)は、「職員としての在職期間が二年以上である職員」を適用対象の追加要件としているが、地方公務員法第26条の5にはこの在職期間要件がない。各団体の条例では「休業からの復帰後の勤務期間が5年に満たない場合は承認しない」とする運用基準を設ける例もある(大阪市消防局の要綱参照)が、これは法定要件ではなく条例・要綱による裁量基準である。

また、国家公務員の場合は「人事院規則」で詳細を定めるのに対し、地方公務員の場合は「条例」で定める構造となっている。地方自治の本旨(日本国憲法第92条)に基づき、各団体が条例により地域の実情に応じた制度設計を行う余地が確保されている。

配偶者同行休業については、国家公務員法(平成25年法律第78号第1条)が「有為な国家公務員の継続的な勤務を促進し、もって公務の円滑な運営に資することを目的とする」と明示しているのに対し、地方公務員法第26条の6には目的規定がなく、制度趣旨は条文の構造と立法過程から読み取ることになる。


6 補論――行政法上の論点

承認行為の法的性質

自己啓発等休業の「承認」(第26条の5第1項)および配偶者同行休業の「承認」(第26条の6第1項)は、任命権者が職員の申請に対して行う行政内部行為である。これらが「行政処分」(行政事件訴訟法第3条第2項にいう「処分」)に当たるかどうかは、実務上問題となり得る。

職員の法律上の地位に直接影響を与える(職務免除・給与停止という効果を生じさせる)点では行政処分性を肯定する余地があるが、公務員の任用・服務に関する行為は内部的な人事行為として争訟の対象となりにくいとする見解も根強い。承認拒否処分については、職員が抗告訴訟(義務付け訴訟)を提起できるかという問題がある。判例・裁判例は現時点で蓄積が少ない分野であり、今後の展開が注目される。

承認取消の遡及効

第26条の5第5項が定める承認取消は、事後的な事由(目的活動の取りやめ等)を原因とする取消であるから、行政法の一般理論では「撤回」(将来効のみを生じる)に分類される。取消の遡及効が生じないため、既に休業した期間については原則として身分上の効果(職保有・給与不支給)が維持される。

裁量統制と平等原則

承認が裁量行為である以上、恣意的な拒否は裁量権の逸脱・濫用として違法となり得る(行政事件訴訟法第30条)。特に、同一または類似の申請に対して一方を承認し他方を拒否する場合には、平等原則(憲法第14条・地公法第13条)違反の問題が生じる。各団体が承認基準を要綱等で透明化することが、裁量の適正行使という観点から求められる。


7 実務上の留意点

申請手続きの期限について、金沢市の規則では「配偶者同行休業を始めようとする日の一月前まで」に承認申請書を提出することとされている(金沢市規則第3条第1項)。各団体の条例・規則で期限が定められているため、職員は自己の所属する団体の規定を事前に確認する必要がある。

退職手当への影響として、自己啓発等休業期間は原則として退職手当の算定基礎期間に全額算入されるが、当該休業の内容が公務の能率的な運営に特に資するものと認められない限り全算入となり(栃木県・千葉県条例参照)、特に資すると認められる場合は2分の1算入となる扱いを採る団体が多い。これは、無給という一定の不利益を被った職員を手厚く扱う観点と、公務貢献度に応じた算定合理性のバランスをとった仕組みである。

配偶者同行休業中の社会保険については、地方公務員共済組合の給付(短期給付・長期給付)に関して各共済組合の規定が適用されるため、休業前に共済組合に確認することが不可欠である。


8 関連条文・参考資料

関連条文として、地方公務員法第22条の3(臨時的任用)・第26条の4(休業の種類)・第26条の5・第26条の6(本条)が相互に関連する。また、「地方公務員の育児休業等に関する法律」(平成3年法律第110号)・「地方公務員の大学院修学休業に関する法律」(平成13年法律第65号)は第26条の4第2項が委任する特別法であり、あわせて参照されたい。

参考資料として、国の制度については人事院のウェブサイト(www.jinji.go.jp)に「自己啓発等休業」「配偶者同行休業」のページがあり、各種通達・人事院規則が公開されている。各地方公共団体の条例・規則については、総務省の「e-Reiki(各地方公共団体例規集)」を通じて参照することができる。立法経緯については、衆議院の法律データベース(www.shugiin.go.jp)で「地方公務員法の一部を改正する法律(平成19年法律第46号)」および「平成25年法律第79号」の法律原文を確認できる。

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