第1部 本稿の位置づけと対象

1.1 シリーズにおける位置

本プロジェクトでは、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。令和7年法律第62号による改正後のもの。以下「法」という。)の第1条から第24条まで、附則、別表、及び別表第八号の法律を定める政令について、条文ごとの解説を終えた。応用編は、そこで解いた規範を、組織が実際に使う内部文書と業務プロセスに翻訳する作業を扱っている。

対象は4類型である。企業のうち常時使用する労働者300人超の組織(第1回)、同300人以下の組織(第2回)、地方公共団体のうち職員300人超の団体(第3回)、そして本稿が扱う職員300人以下の団体である。

1.2 本稿が想定する団体

本稿の読者として想定しているのは、次の組織で総務課・企画課・行政係などの立場にある職員である。

第一に、町村。全国の町村の大半がこの規模に収まる。第二に、人口数万規模の市のうち職員数が300人に達しないもの。第三に、一部事務組合及び広域連合。消防組合、清掃組合、し尿処理組合、介護保険広域連合、後期高齢者医療広域連合などがこれに当たり、いずれも単独では職員数が少ない。第四に、地方独立行政法人及び公営企業のうち小規模なもの。

これらの団体には共通の事情がある。担当者が一人であること、その一人が他の複数の業務を兼務していること、予算措置が極めて限られること、そして職員同士が互いの顔と経歴を知っていることである。この4条件を無視した体制設計は、規程を作った瞬間に形骸化する。本稿は、この4条件を出発点に置く。

1.3 本稿が前提とする4つの規範

民間事業者を規律するのは法、指針、指針の解説の3つである。地方公共団体には、これに消費者庁の地方公共団体向けガイドラインが加わる。

第一に、法。国会が定めた法律であり、違反には民事上の効果、刑事罰、行政上の措置が結び付く。

第二に、指針。正式名称は「公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」(令和3年8月20日内閣府告示第118号。令和8年3月31日一部改正内閣府告示第15号。以下「指針」という。)である。法第11条第4項に基づく告示であり、指針に書かれた事項は法第11条第1項及び第2項の義務の内容そのものになる。指針違反は法違反であって、指針を守らないという選択肢は、義務を負う団体には存在しない。

第三に、指針の解説。「公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説」(令和3年10月13日消費者庁。令和8年3月31日最終改正、令和8年12月1日施行。以下「指針の解説」という。)は、告示ではなく消費者庁の行政解釈文書である。その記述は、指針本文、指針の趣旨、指針を遵守するための考え方や具体例、その他に推奨される考え方や具体例、という4つの項目に分けて示される。前3者は義務の内容に関わり、最後の項目は推奨にとどまる。この区別を意識せずに読むと、推奨事項を義務と誤解して身の丈に合わない体制を組むか、逆に義務を推奨と誤解して穴を残すかのいずれかになる。本稿では、条文ごとにこの区別を明示する。

第四に、地方公共団体向けガイドライン。「公益通報者保護法を踏まえた地方公共団体の通報対応に関するガイドライン(内部の職員等からの通報)」(平成29年7月31日制定、令和8年5月29日最終改正。以下「内部ガイドライン」という。)と、同(外部の労働者等からの通報)(同日最終改正。以下「外部ガイドライン」という。)の2本がある。いずれも地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的な助言として位置付けられる。法的拘束力はないが、これを外して事故を起こした団体が、議会、住民監査請求、報道、訴訟の各場面で説明責任を果たすのは難しい。実務上は遵守を前提に設計する。

内部ガイドラインは、小規模団体を明示的に想定した規定を持っている。この点で、民間向けの指針の解説より使い勝手がよい。後述するとおり、他の窓口の兼用と他団体との連携協力という2つの逃げ道が正面から認められている。


第2部 数字が示す小規模団体の現在地

2.1 消費者庁の施行状況調査

消費者庁「令和5年度 行政機関における公益通報者保護法の施行状況調査 結果概要」(令和6年4月。2023年12月1日時点)は、府省庁35機関、都道府県47機関、市区町村1,741機関を対象に実施され、全体で95パーセントの回答を得ている。

そこで示された数値は次のとおりである。

項目府省庁(外局除く24)都道府県(47)市区町村全体(1,741)市区町村のうち職員300人超
内部通報窓口の設置率100%100%70%(1,214)89%(869/975)
従事者の指定率100%96%(45)54%(945)73%(710/974)
内部規程の制定率100%98%(46)48%(838)68%(664/975)

2.2 職員300人以下の団体の実像

この調査は職員300人以下の市区町村を単独の集計単位としていない。しかし全体値と300人超の値が両方示されているため、差分から逆算できる。

窓口設置については、全体1,741団体のうち設置済みが1,214団体、うち300人超の975団体のうち869団体が設置済みであるから、300人以下の766団体のうち設置済みは345団体、率にして45.0パーセントとなる。

従事者の指定については、全体945団体のうち300人超で710団体であるから、300人以下の767団体では235団体、30.6パーセントである。

内部規程の制定については、全体838団体のうち300人超で664団体であるから、300人以下の766団体では174団体、22.7パーセントにとどまる。

つまり、この規模の市区町村では、窓口すら持たない団体が過半を占め、従事者を指定していない団体が約7割、内部規程を持たない団体が約8割に達する。第3回で扱った300人超の団体とは、出発点の水準がまるで違う。

2.3 窓口があっても知られていない

同調査は、職員300人超の行政機関に勤める公務員のうち、勤め先の内部通報窓口の存在を認知している者が44.6パーセント、設置されているか分からないと回答した者が44.4パーセントであったことを示している。窓口を知ったきっかけとして最多だったのは社内研修・説明会で42.7パーセントである。他方、職員等に研修を実施している行政機関は7.1パーセント、公益通報対応業務従事者に研修を実施している機関は1.7パーセント、周知・研修等を実施していない機関は21.6パーセントであった。

窓口設置率がほぼ100パーセントの層でさえ、職員の認知は半分に届かない。設置率45パーセントの層で、職員が窓口の存在を知っている確率がどれほどのものかは推して知るべきである。窓口は、設置しただけでは通報が来ない。来ない窓口は、通報が外部に向かうことを止められない。

2.4 2026年12月1日以降に何が起きるか

令和7年改正は、通報妨害の禁止(法第11条の2)、通報者探索の禁止(法第11条の3)、公益通報を理由とする解雇・懲戒に対する刑事罰(法第21条第1項)、公益通報の日から1年以内の解雇等の推定規定(法第3条第3項)を新設した。これらは、後述するとおり団体の規模を問わず適用される。

体制が未整備の団体では、通報が窓口を経由せず、上司や同僚への相談、あるいは議員や報道機関への持ち込みという形で表面化する。その過程で、誰が言ったのかを探す会話が庁内で自然発生する。この会話が法第11条の3に触れる。さらに、通報者と目された職員に対する人事上の措置が1年以内に行われれば、法第3条第3項の推定が働き、団体側が「公益通報を理由としていない」ことを立証する負担を負う。

体制整備が努力義務であることと、これらの禁止・罰則が適用されることとは、まったく別の話である。この点を取り違えている団体が多い。次に整理する。


第3部 職員300人以下の団体の法的地位

3.1 地方公共団体は「事業者」である

出発点を確認する。法第2条第1項は、事業者を「法人その他の団体及び事業を行う個人」と定義する。指針第2は、この「事業者」について「営利の有無を問わず、一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続的遂行を行う法人その他の団体及び事業を行う個人であり、法人格を有しない団体、国・地方公共団体などの公法人も含まれる。」と説明する。

指針の解説も、法第11条第1項及び第2項が「事業者(国の行政機関及び地方公共団体を含む。)に義務付け」ていると明記する。町村も、一部事務組合も、法の適用対象である事業者である。

同時に、地方公共団体は行政機関でもある。処分又は勧告等をする権限を有する行政機関として、外部の労働者等からの2号通報を受ける立場に立ち、法第13条第2項の体制整備義務と法第14条の教示義務を負う。本稿は内部の職員等からの通報を主題とするが、この2つの顔を切り分けて設計しないと、規程の中で通報者の範囲と手続が混線する。第5部の規程例では、内部通報を扱う規程と外部通報を扱う要綱を別立てにすることを前提としている。

3.2 「常時使用する労働者の数」をどう数えるか

法第11条第3項は「常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。」と定める。自団体がこの規定の適用を受けるかどうかは、数え方で決まる。

消費者庁の「内部公益通報対応体制の整備に関するQ&A」は、常時使用する労働者について、常態として使用する労働者を指すことから繁忙期のみ一時的に雇い入れるような場合は該当しないこと、「使用する」とは各事業者と指揮命令関係がある場合であること、「労働者」とは労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者に該当する者を指すことを示している。また、パート、アルバイト、契約社員、非正規社員及び出向者が含まれるかどうかは常態性と労基法第9条該当性で個別に判断されること、派遣先における派遣労働者は派遣先及び派遣元の双方で常時使用する労働者に含まれることを示している。

地方公共団体に当てはめると、判断の分岐は次のようになる。

区分算入の考え方
一般職の常勤職員労基法第9条の労働者に当たり、算入する
会計年度任用職員(フルタイム・パートタイム)常態として任用されている限り算入する。年度ごとの任用であることは、直ちに常態性を否定しない
臨時的任用職員常態性の有無で個別判断。欠員補充のため反復的に置かれている職は算入方向
地方公営企業の企業職員、単純労務職員同一の団体が使用する労働者として算入する
派遣労働者指揮命令を受ける派遣先として算入する
他団体からの出向者・派遣職員指揮命令関係がある受入側で算入する
特別職(首長、副首長、教育長、行政委員会の委員等)労基法第9条の労働者に当たらないため算入しない
議会の議員算入しない
非常勤消防団員常態として使用する労働者とは評価しにくく、算入しない方向。ただし団体の実情による
県費負担教職員給与負担及び任命権が都道府県にあることを踏まえ、都道府県側で算入する。市町村は服務監督権を有するにとどまる

境界例が多いため、実務としては次の手順を勧める。人事担当課で、毎年4月1日時点の職員数を、上記区分ごとに一覧化する。合計が280人を超える団体は、300人超と同じ設計を前提とする。数の増減で義務と努力義務が行き来する設計は、運用が破綻する。一部事務組合を構成する団体は、組合の職員数と構成団体の職員数を混同しない。両者は別個の事業者である。

3.3 300人以下で変わるもの、変わらないもの

ここが本稿の中心である。誤解が最も多い箇所でもある。

条文内容職員300人以下の団体への適用
法第11条第1項従事者を定める義務努力義務に読み替え(法第11条第3項)
法第11条第2項体制整備、周知その他必要な措置の義務努力義務に読み替え(同項)
法第11条の2通報妨害の禁止、違反する法律行為の無効そのまま適用。読替えなし
法第11条の3通報者探索の禁止そのまま適用。読替えなし
法第12条従事者の守秘義務従事者を定めた場合、そのまま適用
法第3条第1項不利益取扱いの禁止そのまま適用
法第3条第2項・第3項解雇等特定不利益取扱いの無効、1年以内の推定一般職の地方公務員には適用されない(法第9条)
法第7条損害賠償請求の制限そのまま適用
法第13条第2項行政機関としての2号通報対応体制の整備そのまま適用。300人以下による軽減はない
法第14条権限を有しない行政機関の教示義務そのまま適用
法第15条・第15条の2・第16条助言・指導、勧告・命令、報告徴収・立入検査国及び地方公共団体には適用しない(法第20条)
法第21条第1項公益通報を理由とする解雇等への刑事罰行為者に適用。法第9条の読替えにより、分限免職又は懲戒処分が対象
法第21条第2項・第24条命令違反、報告懈怠等の罰則・過料前提となる法第15条の2・第16条が適用されないため、事実上発動しない
法第22条従事者の守秘義務違反に対する罰金そのまま適用
法第23条第1項第1号法人に対する3,000万円以下の罰金国及び地方公共団体には適用しない(同条第2項)

この表から読み取るべき点は3つある。

第一に、努力義務化されるのは法第11条第1項及び第2項だけである。禁止規定と罰則規定は、規模による軽減を一切受けない。窓口を作る義務が軽くなることと、通報者を探してよいこととは、まったく無関係である。

第二に、消費者庁の行政措置は、そもそも国及び地方公共団体には及ばない。法第20条が第15条から第16条までの適用を除外しているからである。第3回で扱った300人超の団体も同じであり、この点は規模による違いではない。参議院内閣委員会の附帯決議第五項は、この適用除外について検討を求めている。行政的な強制力がないことは、地方公共団体が自ら律しなければならないという意味であって、やらなくてよいという意味ではない。

第三に、法人としての団体に3,000万円の罰金が科されることはないが、行為者個人に対する法第21条第1項の刑事罰は生きている。法第9条の読替えにより、一般職の地方公務員については「解雇」が「懲戒免職、分限免職」に、「解雇等特定不利益取扱い」が「分限免職又は懲戒処分」に読み替えられる。懲戒処分には戒告も含まれる。公益通報をした職員に戒告を科した者が、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象になり得るということである。

内部ガイドラインは、この点について「令和7年6月の法改正により、公益通報を理由として分限免職又は懲戒処分が行われた場合、任命権者であるか否かを問わず、実質的な意思決定をした者やそれに関与した者が罰則の対象になり得る(ただし、形式的に分限免職又は懲戒処分の意思表示をした者が直ちに罰則の対象となるわけではない)ことにも特に留意されたい。」と注意を促している。処分案を起案した人事担当者、決裁に加わった課長、方針を指示した副首長のいずれもが射程に入り得る。小規模団体では、この全員が同じ部屋にいる。

3.4 「努力義務」の意味を過小評価しない

努力義務は、何もしないことを許容する規定ではない。指針の解説の脚注は、常時使用する労働者数が300人以下の事業者について「事業者の規模や業種・業態等の実情に応じて可能な限り本解説に記載の事項に従った公益通報対応体制を整備・運用するよう努める必要がある。」と述べる。基準は「実情に応じて可能な限り」であって、「できる範囲で適当に」ではない。

独立性の確保については、指針の解説がさらに踏み込んでいる。脚注16は「法第11条第2項について努力義務を負うにとどまる中小事業者においても、組織の長その他幹部からの影響力が不当に行使されることを防ぐためには、独立性を確保する仕組みを設ける必要性が高いことに留意する必要がある。」とする。小規模だから首長からの独立性を諦めてよい、という読み方は成り立たない。むしろ小規模団体こそ首長の影響力が組織の隅々まで届くため、必要性は高いと読むのが素直である。

加えて、内部ガイドラインは規模による適用除外を設けていない。「各地方公共団体は、法、指針及び本ガイドラインにおいて求められる事項について、内部規程(条例を含む。)を作成し、また、当該規程の定めに従って運用する。」という定めは、職員数にかかわらず全団体に向けられている。同ガイドラインは技術的助言であって義務ではないが、地方自治法第245条の4第1項に基づく国の助言に反した運用は、住民監査請求や住民訴訟、あるいは議会での質疑において、団体側が積極的に理由を説明しなければならない位置に置かれる。

最後に、努力義務違反が国家賠償法上の違法を直ちに構成するわけではない。しかし、体制が全く整備されていない中で通報者が特定され不利益を受けた事案では、組織としての予見可能性と結果回避可能性の評価において、体制不整備の事実が団体に不利に働く。後述する裁判例は、この方向の判断を積み重ねている。


第4部 小規模団体に固有の6つの設計課題

4.1 課題1 匿名性が構造的に成立しない

職員80人の町で、水道課の職員が水道課の不正を通報すれば、通報者の候補は数人に絞られる。氏名を伏せても、通報内容そのものが通報者を特定する。これは運用の巧拙ではなく、組織の規模から生じる構造上の制約である。

対処は3方向ある。

第一に、受付段階で通報者を特定させる事項を庁内に持ち込まない仕組みを作る。外部窓口を経由させ、外部窓口から団体に伝える情報の粒度を、通報者の意向に応じて段階的に設定する。内部ガイドラインは「当該地方公共団体内部の内部公益通報受付窓口に加えて、外部に弁護士等を配置した内部公益通報受付窓口を設けるよう努める。」と定めており、この努力義務は規模を問わない。

第二に、調査の入口を「通報があったから調べる」ではなく「定期監査の一環として調べる」形に変換する。監査委員による監査、内部統制評価、業務点検といった既存の枠組みに調査を接続すれば、調査の存在自体が通報の存在を示唆しなくなる。調査対象を通報事項に限定せず、周辺の複数項目を同時に点検することも有効である。

第三に、通報者探索の禁止を、組織の側から先手を打って明示する。指針の解説は、通報者探索について「原則、許容されるものではなく、「正当な理由」は限定的な場合に留まるべきである。」とする。通報があった旨を庁内に知らせる必要が生じた場合には、同じ文書の中で、誰が通報したかを推測したり尋ねたりする行為が禁止され懲戒処分の対象となる旨を併記する。

4.2 課題2 首長・副首長・教育長が被通報者となる場合

小規模団体で最も深刻な事案類型がこれである。指針第4の1(2)は「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に係る公益通報対応業務に関して、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとる。」と定め、内部ガイドラインも同旨を置く。

職員300人の団体であれば、監査委員事務局や内部統制部門に一定の距離を確保できる。職員80人の町では、総務課長も、会計管理者も、教育委員会事務局長も、首長の人事権の下にある。庁内に独立性を作る余地は乏しい。

現実的な解は、独立性を庁外に求めることである。次の4つを組み合わせる。

第一に、外部窓口を設置し、幹部関係事案については外部窓口が直接に調査を行うか、外部の第三者に調査を委嘱する経路を規程に明記する。

第二に、監査委員への報告経路を規程に置く。監査委員は執行機関から独立した機関であり、識見監査委員は外部から選任される。幹部関係事案について、窓口責任者が監査委員に対して通報の受理と対応方針を報告する義務を定めることで、首長が握りつぶす経路を塞げる。

第三に、都道府県への相談経路を確保する。内部ガイドラインは、都道府県の役割として、区域内の市区町村における内部公益通報対応体制の適切な整備及び運用並びに個別の通報事案に対する適切な対応を確保するため、市区町村相互間の連絡調整と市区町村に対する必要な助言、協力、情報の提供その他の援助を行うよう努めることを定めている。県の担当課に相談すること自体が体制の一部である旨を、規程に書いておく。

第四に、消費者庁の公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口)の存在を、職員に周知しておく。庁内が機能しないときに、職員が孤立しないための最後の経路である。

4.3 課題3 専任職員がおらず、兼務が利益相反を生む

総務課の職員1名が窓口を担当し、その職員が人事、給与、服務、法規、選挙、情報公開を兼ねている、というのが小規模団体の標準的な姿である。

このとき問題になるのが、指針第4の1(4)の「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関し行われる公益通報対応業務について、事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない措置をとる。」という要請である。消費者庁のQ&Aは、事案に関係する者について、法令違反行為の発覚や調査の結果により実質的に不利益を受ける者、公益通報者や被通報者と一定の親族関係がある者等を典型例として挙げる。

人事担当者が窓口を兼ねる構造には、2つの別個の問題がある。1つは、通報者が人事評価への影響を恐れて通報を控えることである。指針の解説は「人事部門に内部公益通報受付窓口を設置することが妨げられるものではないが、人事部門に内部公益通報をすることを躊躇(ちゅうちょ)する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることにも留意する。」と述べる。もう1つは、被通報者に対する懲戒処分の起案を同じ担当者が行うことにより、調査の中立性が疑われることである。

対処としては、窓口の受付機能と調査機能と処分起案機能を人的に分離する。受付は外部窓口又は総務課、調査は事案ごとに指名する調査担当者、処分起案は人事担当課、という三分割が最小構成である。人数が足りない場合は、事案ごとに他部局の課長級から調査担当者を指名する仕組みを規程に置き、名簿をあらかじめ整備しておく。

さらに、利益相反の確認を手続として組み込む。内部ガイドラインは「各地方公共団体は、通報対応の各段階において、公益通報対応業務に関与する者が通報事案に利益相反関係を有していないかどうかを確認する。」と定めており、確認を書面で残すのが望ましい。第6部に確認書の様式を掲げる。

4.4 課題4 顧問弁護士を外部窓口にする場合の限界

町村では、法律相談を委嘱している弁護士がそのまま外部窓口を務める例が多い。費用面では合理的だが、注意点がある。

指針の解説は、いわゆる顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とすることについて、顧問弁護士に内部公益通報をすることを躊躇する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることに留意すべきこと、顧問弁護士を窓口とする場合にはその旨を明示する等により、窓口の利用者が通報先を選択するに当たっての判断に資する情報を提供することが望ましいことを述べる。

さらに、幹部関係事案では、その弁護士が首長側の代理人となる可能性がある。同一の弁護士が通報受付と首長の代理を兼ねる構図は、外形的な公正らしさを損なう。

実務的な解は次のとおりである。顧問弁護士を窓口とする場合には、顧問関係にあることを職員向けの周知文書に明記する。そのうえで、幹部関係事案については別の弁護士又は外部専門機関が受け付ける第2経路を用意する。第2経路の費用は、後述する共同設置・共同委託の方式で分担すれば、単独負担より大幅に下がる。

指針の解説は、外部委託先の起用について「事案の内容を踏まえて、中立性・公正性に疑義が生じるおそれ又は利益相反が生じるおそれがある法律事務所や民間の専門機関等の起用は避けることが適当である。」とも述べている。契約書に、利益相反が判明した場合の辞任と代替受任者の指定に関する条項を置いておく。

4.5 課題5 出先機関・公営企業・一部事務組合の取りこぼし

内部ガイドラインは「支庁、地方事務所、支所、出張所等(以下「出先機関等」という。)を置いている地方公共団体にあっては、当該地方公共団体が定める内部公益通報対応体制の下で、各出先機関等においても適切に通報対応を行うための周知、体制整備その他必要な措置をとる。」と定める。

小規模団体でも、保育所、学校給食センター、診療所、老人ホーム、清掃センター、上下水道施設、道の駅などの現場を抱える。これらの現場は本庁から物理的に離れており、法令違反が発生しやすく、かつ通報が届きにくい。食品衛生法違反、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反、労働安全に関わる事象は、いずれも別表に掲げる法律又は政令で定める法律に関わり得る。

見落としやすいのが、一部事務組合と広域連合である。これらは構成団体とは別個の法人格を有する事業者であり、それ自体が法第11条の名宛人となる。組合の職員が組合の不正を通報する場合、構成団体の窓口は組合にとっての内部公益通報受付窓口ではない。組合自身の規程が要る。逆に言えば、組合の規約で構成団体の窓口を組合の窓口として利用する旨を定めることは可能であり、これが小規模組合の現実的な解になる。

指定管理者、業務委託先、補助金交付先も視野に入れる。内部ガイドラインは、契約の相手方又は補助金等の交付先について、法令遵守及び不正防止を図るために必要と認められる場合には、法、指針及び指針の解説に基づく取組の実施を求めることなどに努める旨を定めている。指定管理者の従業員は、団体との関係では法第2条第1項第3号又は第4号の特定受託業務従事者、あるいは同項第2号の派遣労働者に当たり得るほか、そもそも指定管理者自身の労働者として当該指定管理者への通報が内部公益通報となる。仕様書と協定書に、公益通報対応体制の整備と、団体の窓口への通報を理由とする不利益取扱いの禁止を書き込む。

4.6 課題6 予算がない

これが最大の壁である。外部窓口を単独で委託すれば、年額数十万円から百万円台の費用が生じる。町村の総務課の予算では通らないことがある。

内部ガイドラインは、この問題に2つの出口を用意している。

1つ目は、既存窓口の兼用である。「人員、予算等の制約により専用の内部公益通報受付窓口又は相談窓口を設置することが困難な地方公共団体にあっては、通報に関する秘密保持及び個人情報の保護に留意した上で、他の類似した目的のために当該地方公共団体に設置された窓口(例えば、職員の職務に係る倫理の保持、適切な労務環境の確保を目的とするもの等)を内部公益通報受付窓口又は相談窓口として活用することができる。」

職員倫理相談窓口、ハラスメント相談窓口、公平委員会の苦情相談などが候補となる。ただし兼用には条件が付く。消費者庁のQ&Aは、ある窓口が内部公益通報受付窓口に当たるかはその名称ではなく部門横断的に内部公益通報を受け付けるという実質の有無により判断されること、通報者が通報先の窓口が内部公益通報受付窓口であるかどうかを明確に認識・理解できることが必要であることを示している。ハラスメント相談窓口を兼ねる場合には、ハラスメント関連のみを対象としているものと誤解されないよう周知に留意することも求められる。窓口の名称を「職員相談・内部公益通報窓口」のように併記し、受付要領に公益通報として扱う場合の手続を明記する。

2つ目は、他団体との連携である。「人員、予算等の制約により単独で内部公益通報受付窓口又は相談窓口を設置することが困難な地方公共団体にあっては、通報に関する秘密保持及び個人情報の保護に留意した上で、他の地方公共団体と連携及び協力して事務を行う仕組み(例えば、協議会の設置、機関等の共同設置、事務の委託又は代替執行等)を活用して内部公益通報受付窓口又は相談窓口を設置することができる。」

この一文は、小規模団体にとって決定的な意味を持つ。地方自治法上の共同処理方式を、公益通報の窓口に使ってよいと国が明言しているからである。

方式根拠公益通報窓口への適用イメージ
連携協約地方自治法第252条の2圏域の市町村が、通報対応の基本方針と役割分担を協約で定める
協議会同法第252条の2の2複数町村が管理執行協議会を設け、共同で外部窓口を運営する
機関等の共同設置同法第252条の7複数団体が共同で通報対応の内部組織又は職員を置く
事務の委託同法第252条の14通報の受付事務を、中心市又は都道府県に委託する。処理権限は受託側に移る
事務の代替執行同法第252条の16の2通報の受付・調査事務を他団体が当該団体の名において執行する。権限は移らない

費用面では、複数町村が共同で1つの法律事務所又は専門機関に外部窓口を委託する方式が最も導入しやすい。指針の解説も、民間の文脈ではあるが「中小企業の場合には、何社かが共同して事業者の外部(例えば、法律事務所や民間の専門機関等)に内部公益通報受付窓口を委託すること」を挙げている。1団体あたりの負担は、単独委託の数分の1に下がる。

権限移転を伴わない簡便な方法として、私法上の共同委託がある。各団体がそれぞれ同一の受託者と契約し、受付は共通の電話番号・メールアドレスで行い、受託者が通報の宛先団体を仕分けして各団体の責任者に取り次ぐ。規約の議決も総務大臣への届出も要らないため、次年度予算に間に合わせやすい。ただし、この方式では通報者を特定させる事項が複数団体の間で共有されないよう、受託者側の情報分離を契約で担保する必要がある。

都道府県による支援も選択肢である。前述の内部ガイドラインの規定に基づき、都道府県が区域内市町村向けの共通外部窓口を設ける、あるいは市町村職員向けの研修を都道府県が実施するといった取組が考えられる。単独の町村が県に働きかけるより、町村会を通じて県に要望する方が実現しやすい。


第5部 内部公益通報対応規程(例)──職員300人以下の団体版

5.1 規程の形式をどうするか

内部ガイドラインは「内部規程(条例を含む。)を作成し」と定めており、形式を条例に限定していない。300人以下の団体では、次の理由から訓令又は規則を勧める。

条例にすると、改正のたびに議会の議決が必要になる。窓口の委託先や連絡先の変更、様式の追加といった軽微な改正が機動的にできない。また、通報対応の細目を条例に書き込むと、被通報者側から手続違背を主張される余地が広がる。

他方、首長部局の訓令だけでは、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会、公営企業といった他の執行機関の職員に及ばない。そこで、首長部局の訓令を本体とし、各執行機関がこれを準用する旨の訓令又は規程を別途定める方式を採る。以下の第26条がその接続条項である。

5.2 規程本文と条ごとの注記

以下は職員300人以下の団体を想定した内部公益通報対応規程の例である。〔 〕内は各団体の実情に応じて置き換える。各条の後に、根拠と設計意図を注記する。


○○町内部公益通報対応規程

(趣旨) 第1条 この規程は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)第11条第1項及び第2項(同条第3項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定並びに公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年内閣府告示第118号。以下「指針」という。)及び公益通報者保護法を踏まえた地方公共団体の通報対応に関するガイドライン(内部の職員等からの通報)の趣旨を踏まえ、本町の職員等からの通報に関し必要な事項を定めるものとする。

注記 法第11条第3項による読替えを受ける団体であっても、規程の根拠として法第11条第1項及び第2項を掲げる。努力義務であることは、規程を持たない理由にならない。読替えを受ける旨を括弧書で示すことで、条文の対応関係が明確になる。

(定義) 第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 職員等 法第2条第1項各号に掲げる者であって、本町への通報が内部公益通報となり得るものをいう。一般職の職員、会計年度任用職員、臨時的任用職員、特別職の職員、本町に派遣され又は本町の指揮命令の下に労働する者、本町を退職した日から1年以内の者、本町と業務委託契約を締結している特定受託業務従事者及び特定受託業務従事者であった者を含む。 (2) 内部公益通報 法第3条第1項第1号及び第6条第1項第1号に定める公益通報をいう。 (3) 通報 内部公益通報のほか、本町の事務又は事業に係る法令違反行為(そのおそれがある場合を含む。)その他適正な業務の推進のために町長が別に定める事実に関する情報の提供をいう。 (4) 従事者 法第11条第1項に規定する公益通報対応業務従事者をいう。 (5) 範囲外共有 公益通報者を特定させる事項を必要最小限の範囲を超えて共有する行為をいう。 (6) 通報妨害 法第11条の2第1項に定める行為によって公益通報を妨げることをいう。 (7) 通報者探索 法第11条の3に定める、公益通報者である旨を明らかにすることを要求することその他の公益通報者を特定することを目的とする行為をいう。

注記 退職者を「退職した日から1年以内の者」としているのは、法第2条第1項第1号が「当該通報の日前一年以内に自ら使用していた事業者」を役務提供先とすることに対応する。指針の解説は、推奨事項として通報の日から1年より前に退職した者も対象に含めることを挙げており、団体の判断で期間の限定を外してもよい。特別職を職員等に含めているのは、労基法上の労働者に当たらなくても、通報を受け付ける対象として排除する理由がないためである。

(適用範囲) 第3条 この規程は、本町の全ての事務及び事業並びに本町が設置する全ての機関、施設及び出先機関について適用する。 2 本町が指定管理者に管理を行わせる公の施設及び本町が業務を委託する事務に関しては、当該指定管理者又は受託者の従業者からの通報についても、この規程の定めるところに準じて対応する。

注記 第4部で述べた出先機関の取りこぼしを防ぐ条項である。第2項は、指定管理者の従業者が本町に対して通報してきた場合の受け皿を明示する。あわせて、指定管理協定及び業務委託契約の仕様書に、受託者自身の通報対応体制の整備を求める条項を置く。

(内部公益通報受付窓口) 第4条 内部公益通報を部署間横断的に受け付ける窓口(以下「窓口」という。)を、次のとおり置く。 (1) 庁内窓口 総務課 (2) 外部窓口 町長が委嘱する弁護士その他の外部の専門家又は町長が委託する外部機関 2 外部窓口は、〔○○圏域町村公益通報窓口共同設置協議会〕の定めるところにより、他の地方公共団体と共同して設置することができる。 3 職員等は、庁内窓口及び外部窓口のいずれにも通報することができる。 4 職員等は、その上司その他の職員に対しても通報することができる。この場合において、通報を受けた職員は、第20条の定めるところにより対応する。

注記 指針第4の1(1)は「内部公益通報受付窓口を設置し、当該窓口に寄せられる内部公益通報を受け、調査をし、是正に必要な措置をとる部署及び責任者を明確に定める。」と定める。内部ガイドラインは、窓口を全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置し、これに加えて外部に弁護士等を配置した窓口を設けるよう努めるものとしている。第2項は共同設置の根拠を規程上に明示するものであり、協議会規約や委託契約の締結後に加える。第4項は、上司への報告も内部公益通報になり得ることを踏まえた規定である(指針第2の「内部公益通報」の定義参照)。

(責任者) 第5条 窓口に寄せられる通報を受け、調査をし、是正に必要な措置をとる責任者(以下「責任者」という。)は、副町長とする。 2 前項の規定にかかわらず、通報に係る事案が町長、副町長、教育長その他の幹部職員に関係するものであるときは、責任者は、第7条に定める者とする。

注記 内部ガイドラインは、責任者を幹部とすることを求める。町村では副町長を充てるのが自然である。第2項は、後述する独立性確保の入口となる。

(幹部関係事案の特則) 第6条 前条第2項に規定する事案(以下「幹部関係事案」という。)については、外部窓口が通報を受け付け、調査を行うものとする。 2 庁内窓口が幹部関係事案に係る通報を受け付けたときは、当該通報に係る記録の一切を、遅滞なく外部窓口に引き継ぎ、庁内には保有しない。 3 幹部関係事案に係る通報を受け付けたときは、外部窓口は、その旨及び対応方針を監査委員に報告する。 4 幹部関係事案に係る調査を行う場合において、外部窓口が中立性又は公正性を確保することが困難であると認めるときは、外部窓口は、他の弁護士その他の外部の専門家に調査を委嘱することができる。

第7条 幹部関係事案の責任者は、外部窓口とする。ただし、是正に必要な措置の実施に関しては、当該事案に関係しない部局の長のうちから外部窓口が指名する者が、外部窓口と協議のうえこれを行う。

注記 指針第4の1(2)が求める独立性確保の中核である。指針の解説の脚注16が、努力義務にとどまる小規模事業者においても独立性確保の必要性が高いとしていることを踏まえ、庁内に記録を残さない設計としている。第3項の監査委員への報告は、地方自治法上独立の執行機関である監査委員を、握りつぶしに対する牽制として使うものである。監査委員に守秘義務が及ぶこと(地方自治法第198条の3第2項)も踏まえた設計である。

(従事者の指定) 第8条 町長は、窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者を、従事者として定める。 2 従事者の指定は、書面により行う。当該書面には、従事者の地位に就くこと、法第12条に定める守秘義務が課されること及び法第22条に定める罰則の適用対象となり得ることを記載する。 3 町長は、公益通報対応業務に必要な適性及び能力を有する者を従事者として定める。 4 町長は、事案ごとに、当該事案の公益通報対応業務に従事する者を追加して従事者として定めることができる。 5 従事者の指定を解除するときは、書面により行う。 6 総務課長は、従事者名簿を作成し、これを適切に管理する。

注記 指針第3の1及び2に対応する。書面指定は指針が明示的に求める方式であり、努力義務団体であっても省略すべきではない。指定の有無が、後日、法第22条の罰則の適用範囲を画するからである。第4項の事案ごとの追加指定は、少人数の団体で調査担当者を都度指名する運用に対応する。指名した時点で書面指定を行わなければ、その者は従事者でなく、法第12条の守秘義務も及ばない。

(利益相反の排除) 第9条 事案に関係する者は、当該事案の公益通報対応業務に関与してはならない。 2 公益通報対応業務に関与する者は、通報対応の各段階において、当該事案に利益相反関係を有していないかどうかを確認し、その結果を記録する。 3 前項の確認の結果、利益相反関係を有することが判明したときは、責任者は、直ちに当該者を公益通報対応業務から除外し、代わる者を指名する。

注記 指針第4の1(4)及び内部ガイドラインに対応する。第2項の記録化は、後日の説明責任のために置く。第6部に確認書の様式を示す。

(範囲外共有等の禁止) 第10条 職員等は、範囲外共有をしてはならない。 2 職員等は、法第11条の2第1項に規定する正当な理由がある場合を除き、通報妨害をしてはならない。 3 職員等は、法第11条の3に規定する正当な理由がある場合を除き、通報者探索をしてはならない。 4 通報又は相談への対応に関与した者は、通報又は相談に関する秘密を漏らしてはならず、知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。 5 範囲外共有、通報妨害又は通報者探索が行われたときは、町長は、当該行為を行った職員等に対し、行為態様、被害の程度その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとる。 6 範囲外共有が行われたときは、町長は、適切な救済及び回復の措置をとる。

注記 指針第4の2(2)に対応する。第2項及び第3項の禁止は、法第11条の2及び第11条の3として法律上直接に定められており、団体の規模を問わない。規程に書くのは、職員に周知し、懲戒処分の根拠を明示するためである。「正当な理由」については、指針の解説が、通報妨害についても通報者探索についても限定的な場合に留まるべきである旨を述べていることを、研修で必ず伝える。

(不利益な取扱いの禁止) 第11条 職員等は、通報者又は相談者(以下「通報者等」という。)に対し、通報又は相談をしたことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。 2 前項の不利益な取扱いには、分限免職、懲戒処分、不利益な配置換え、昇任又は昇格の人事評価における不利益な評価、勤勉手当の減額、事実上の嫌がらせその他一切の不利益をいう。 3 町長は、通報対応の終了後、通報者に対し、不利益な取扱いが行われていないかを適宜確認するなど、通報者保護に係る十分なフォローアップを行う。その結果、不利益な取扱いが認められる場合には、適切な救済及び回復の措置をとる。 4 通報者等に対し不利益な取扱いを行った者に対しては、前条第5項の例による。

注記 第2項に昇任・昇格の評価を明示しているのは、後述する高松高等裁判所平成28年7月21日判決が、昇任の適否の判断過程で通報の事実を不利益に考慮したことを違法としているためである。小規模団体では、明示的な処分より人事評価による静かな報復のほうが起きやすい。

(救済制度の周知) 第12条 町長は、職員に対し、不利益な取扱いの内容等に応じて、公平委員会に対する不利益処分についての審査請求(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第49条の2)、勤務条件に関する措置の要求(同法第46条)、苦情相談制度等を利用することができる旨を周知する。

注記 内部ガイドラインの定めに対応する。人事委員会を置かない町村では公平委員会となる。共同設置又は事務委託により県の人事委員会等に事務を委託している場合は、その旨を記載する。

(通報の受付) 第13条 窓口は、通報があったときは、誠実かつ公正に対応しなければならず、通報の受付を拒んではならない。 2 窓口は、通報を受け付けたときは、通報に関する秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、通報者の氏名及び連絡先並びに通報の内容となる事実等を把握するとともに、通報者に対して不利益な取扱いは行われないこと、通報に関する秘密は保持されること、個人情報は保護されること、通報受付後の手続の流れ等を説明する。 3 書面、電子メール等、通報者が通報の到着を確認できない方法によって通報がなされた場合には、窓口は、速やかに通報者に対して通報を受け付けた旨を通知するよう努める。 4 窓口は、通報を受け付けた後、当該通報に対応する必要性について十分に検討し、これを受理したときは受理した旨を、受理しないときは受理しない旨及びその理由を、通報者に対し、遅滞なく通知する。 5 前3項の規定は、通報者が説明又は通知を望まない場合、匿名による通報であるため通報者への説明又は通知が困難である場合その他やむを得ない理由がある場合には、適用しない。

注記 内部ガイドラインの通報の受付に関する規定をほぼそのまま条文化したものである。「通報の受付を拒んではならない」という一文は、小規模団体で最も破られやすい規律である。所管外である、証拠がない、既に解決済みである、といった判断は受付の段階で行うものではなく、受理・不受理の判断として第4項の手続に乗せる。

(匿名通報の取扱い) 第14条 窓口は、匿名による通報についても、実名による通報と同様の取扱いを行う。 2 窓口は、匿名による通報について、通報者との間で適切に情報の伝達を行い得る仕組みを整備する。

注記 内部ガイドラインに対応する。指針の解説は、匿名の通報であっても要件を満たせば内部公益通報に含まれることを注記している。第2項の仕組みとしては、外部窓口が通報者の氏名等を町に伝えないまま連絡を仲介する方式、個人を特定できないメールアドレスの利用、匿名連絡が可能な専用システムの導入などが考えられる。小規模団体では、外部窓口の弁護士が仲介する方式が最も安価で確実である。

(調査) 第15条 責任者は、通報を受理した後、調査の必要性を十分に検討し、正当な理由がある場合を除いて、必要な調査を実施する。 2 責任者は、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がある場合を除き、調査を行う場合はその旨及び着手の時期を、調査を行わない場合はその旨及び理由を、通報者に対し、遅滞なく通知する。 3 調査は、通報に関する秘密を保持し、個人情報を保護するため、通報者が特定されないよう十分に留意しつつ、遅滞なく、必要かつ相当と認められる方法で行う。 4 責任者は、調査の方法、内容等の適正性を確保するとともに、調査の適切な進捗を図るため、調査について適宜確認を行う等の方法により、通報事案を適切に管理する。 5 責任者は、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がある場合を除き、調査中は、調査の進捗状況について、通報者に対し、適宜通知するとともに、調査結果は可及的速やかに取りまとめ、その結果を、遅滞なく通知する。 6 職員は、正当な理由がある場合を除き、通報に関する調査に誠実に協力しなければならない。

注記 指針第4の1(3)及び内部ガイドラインに対応する。第1項の「正当な理由」について、消費者庁のQ&Aは、解決済みの案件に関する情報が寄せられた場合や、公益通報者と連絡が取れず事実確認が困難である場合を例示し、匿名であることのみをもって調査を実施しない正当な理由には該当しないとしている。この一文は規程に注記として残しておくとよい。第6項は内部ガイドラインの協力義務の規定に対応する。

(是正措置等) 第16条 町長は、調査の結果、法令違反等の事実が明らかになったときは、速やかに是正措置、再発防止策等(以下「是正措置等」という。)をとるとともに、必要があるときは、関係者の処分を行う。 2 町長は、是正措置等をとったときはその内容を、内部公益通報に係る通報対象事実がないときはその旨を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、通報者に対し、速やかに通知する。 3 町長は、通報の受理から通報対応の終了までに要する標準的な期間を〔90日〕とし、これを超えることが見込まれるときは、必要と見込まれる期間を通報者に対し遅滞なく通知するよう努める。 4 町長は、通報対応終了後、是正措置等が十分に機能していることを適切な時期に確認し、必要があると認めるときは、新たな是正措置その他の改善を行う。

注記 指針第4の1(3)後段及び第4の3(1)、内部ガイドラインの是正措置等の実効性評価の規定に対応する。第3項の標準的な期間は各団体が定める。内部ガイドラインは標準的な期間を定めるか又は必要と見込まれる期間を通知するよう努めるものとしており、90日は民間実務でも一般的な水準である。第4項の事後確認は、指針が明示的に求める措置であり、忘れられやすい。

(記録の作成及び管理) 第17条 窓口及び責任者は、各通報事案への対応に係る記録及び関係資料を作成する。 2 前項の記録及び関係資料の保存期間は〔10年〕とする。 3 第1項の記録及び関係資料は、施錠可能な場所に保管し、又は電磁的に管理する場合はアクセス権限を従事者に限定し、操作及び閲覧の履歴を記録する。 4 第1項の記録及び関係資料は、〔本町文書管理規程〕にかかわらず、この規程の定めるところにより管理する。

注記 指針第4の3(2)イ及び内部ガイドラインに対応する。第4項が要る理由は、通常の文書管理規程に従うと、供覧、決裁、保存の各過程で範囲外共有が起きるからである。通報関係文書を通常の文書管理系統から外し、専用の管理簿で扱う。小規模団体では、電子決裁システムの閲覧権限設定を確認しておく。

(意見又は苦情への対応) 第18条 町長は、通報対応に関して通報者等から意見又は苦情の申出を受けたときは、迅速かつ適切に対応するよう努める。

(質問及び相談への対応) 第19条 窓口は、職員等から寄せられる、内部公益通報対応体制の仕組みや不利益な取扱い、その他通報に関連する質問及び相談に応じ、これに対応する。

注記 指針第4の3(4)に対応する。相談窓口を別に設ける余力がない団体では、窓口が相談も受ける旨を明記して足りる。内部ガイドラインは相談窓口の設置を求めるが、既存窓口の活用を認めている。

(上司が通報を受けた場合の措置) 第20条 通報者の上司である職員が通報を受けたときは、当該職員は、自ら行える範囲で必要に応じ調査を行うとともに、当該職員の上司への報告、窓口への通報その他適切な措置を遅滞なくとらなければならない。 2 前項の上司は、必ずしも職制上直接に指揮監督を行う地位にある者であることを要しない。 3 第1項の場合において、当該職員は、通報者の同意を得ることなく、通報者を特定させる事項を第1項の措置に必要な範囲を超えて共有してはならない。

注記 内部ガイドラインの職員等への周知に関する規定に対応する。小規模団体で最も多い通報経路は窓口ではなく上司である。上司が握りつぶすか、逆に軽い気持ちで庁内に話すかのいずれかで事故が起きる。第3項は、そこを塞ぐための規定である。

(周知及び研修) 第21条 町長は、幹部職員等のリーダーシップの下、職員等に対する定期的な研修の実施、説明会の開催その他適切な方法により、法、指針、内部ガイドラインの内容及び本町における窓口、内部公益通報対応体制等について、全ての職員等に対し、十分に周知及び啓発する。 2 前項の周知及び啓発は、少なくとも次に掲げる事項を含むものとする。  一 窓口の設置に関する事項並びに連絡先及び連絡方法  二 組織の長その他幹部からの独立性の確保に関する措置の内容  三 公益通報対応業務の実施に関する措置の内容  四 公益通報対応業務における利益相反の排除に関する措置の内容  五 不利益な取扱いの防止に関する措置の内容  六 範囲外共有、通報妨害及び通報者探索の防止に関する措置の内容  七 是正措置等の通知に関する措置の内容  八 記録の保管、見直し・改善及び運用実績の開示に関する措置の内容  九 公益通報に係る通報対象事実についての調査への協力に関する事項 3 町長は、従事者に対し、所要の知識及び技能の向上を図るための教育及び研修を十分に行い、公益通報対応業務の内容及び公益通報者を特定させる事項の取扱いについては特に十分に教育を行う。 4 町長は、退職者及び特定受託業務従事者であった者に対しては、前項第八号を除く事項について、在職中又は契約期間中の周知その他の適切な方法により周知する。

注記 第2項各号は指針第4の3(3)のイからリまでをそのまま条文化したものである。研修計画の設計は第8部で扱う。第4項は、退職者と元フリーランスに対する周知について、指針がチ(記録の保管等に関する措置の内容)を除外していることに対応する。

(運用実績の開示) 第22条 町長は、通報に関する秘密保持及び個人情報の保護並びに適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障が生じない範囲において、内部公益通報対応体制の運用実績の概要を職員等に周知する。 2 町長は、前項の運用状況に関する情報を、定期的に公表する。

注記 指針第4の3(2)ハは職員等への開示を求め、内部ガイドラインは定期的な公表を求める。公表内容としては、通報受付件数、通報事案の概要、調査結果の概要、調査の結果とった措置、対応状況の概要、通報対応に要した期間等が例示されている。件数が年に0件から数件という団体では、公表が通報者の特定につながる危険がある。この場合は、複数年をまとめた集計値の公表や、件数のみの公表にとどめる判断が必要になる。

(評価及び改善) 第23条 町長は、内部公益通報対応体制の運用状況について、職員等及び中立的な第三者の意見等を踏まえて定期的に評価及び点検を行うとともに、指針の解説や行政機関及び事業者による先進的な取組事例等も参考にした上で、必要に応じて、内部公益通報対応体制を継続的に改善する。 2 前項の評価及び点検は、毎年度1回以上行う。

注記 指針第4の3(2)ロ及び内部ガイドラインに対応する。評価指標は第9部で示す。

(他の行政機関等との協力) 第24条 本町及びその職員は、通報について、他の行政機関その他公の機関から調査等の協力を求められたときは、正当な理由がある場合を除き、必要な協力を行う。 2 町長は、内部公益通報対応体制の整備及び運用並びに個別の通報事案への対応に関し、必要に応じ、〔○○県〕及び消費者庁に対して助言、協力その他の援助を求めるものとする。

注記 第2項は、内部ガイドラインが定める都道府県の役割及び消費者庁の役割を、町の側から使うための規定である。県に相談する行為が規程上の正規の手続として位置付けられていれば、担当者が独断で抱え込む事態を避けられる。

(受託者等における体制の整備) 第25条 町長は、本町の契約の相手方又は補助金等の交付先における法令遵守及び不正防止を図るために必要と認められる場合には、当該相手方に対して、法、指針及び指針の解説に基づく取組の実施を求めることなどに努める。

(他の執行機関への準用) 第26条 この規程は、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会及び公営企業の管理者の権限に属する事務に従事する職員等について準用する。この場合において、「町長」とあるのは、各執行機関の長と読み替えるものとする。ただし、第4条から第7条までの規定の適用については、なお町長の下に置かれた窓口及び責任者によるものとする。

注記 執行機関多元主義の下で、窓口だけは一元化するための条項である。各執行機関が個別に準用規程を定める場合は、その規程の中に同旨を置く。窓口を分散させると、部署間横断性という指針の要求を満たさなくなる。

(委任) 第27条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は、町長が別に定める。

附 則 この規程は、令和8年12月1日から施行する。


5.3 条例で定める場合の追加論点

住民からの通報も一体で扱いたい、あるいは体制の安定性を議会の議決で担保したいという判断から、条例形式を選ぶ団体もある。その場合は、次の点を追加で検討する。

内部ガイドラインは、窓口が受け付ける通報者の範囲について、職員等のほか、法令遵守を確保する上で必要と認められるその他の者からの通報を受け付けるものとし、さらに住民等からの通報も受け付けることができるとしたうえで、この場合の通報対応の手続については、法、指針及び本ガイドラインの趣旨を踏まえ、当該地方公共団体が別に定めるものとしている。住民通報を条例で受け止める設計は可能だが、職員等からの内部公益通報と手続を混ぜないこと、住民通報については法の保護が及ばない旨を明示することの2点を落とすと、かえって通報者の期待を裏切る。

また、条例の場合は改正の機動性が落ちるため、窓口の連絡先、様式、標準処理期間といった可変要素は、条例本体ではなく規則又は要綱に落とす。


第6部 書式集

規程だけでは運用できない。実際に必要になるのは紙である。以下の8点をそろえれば、通報を受けてから是正まで一通り回る。〔 〕は置き換え箇所である。

書式1 公益通報対応業務従事者指定書

指針第3の2は、従事者を定める際には、書面により指定をするなど、従事者の地位に就くこと、それに伴い法第12条に定める守秘義務が課されること及び法第22条に定める罰則の適用対象となり得ることが、従事者となる者自身に明らかとなる方法により定めなければならないとする。次の3点を必ず書面上に明示する。

                                        〔○総第  号〕
                                        令和 年 月 日

〔氏名〕 殿

                                        ○○町長 〔氏名〕 印

          公益通報対応業務従事者指定書

 公益通報者保護法(平成16年法律第122号)第11条第1項及び○○町内部
公益通報対応規程第8条の規定により、あなたを下記のとおり公益通報対応
業務従事者に指定します。

                     記

1 指定の範囲
  □ 包括指定(本町の内部公益通報受付窓口に寄せられる内部公益通報
    に係る公益通報対応業務の全般)
  □ 個別指定(次の事案に係る公益通報対応業務に限る。)
    事案番号 第  号

2 指定の期間
  令和 年 月 日から〔当該職を離れる日/当該事案の対応終了の日〕まで

3 従事する業務の内容
  内部公益通報の受付、通報対象事実の調査及び是正に必要な措置をとる
  業務のうち、次に掲げるもの
  (                             )

4 あなたに課される義務及び罰則
 (1) 公益通報者保護法第12条により、正当な理由がなく、公益通報対応
   業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏
   らしてはならない義務を負います。
 (2) この義務は、従事者でなくなった後も、また、退職した後も、期間の
   制限なく継続します。
 (3) この義務に違反した場合、公益通報者保護法第22条により、30万円
   以下の罰金に処せられることがあります。
 (4) 上記のほか、地方公務員法第34条第1項の守秘義務及び本町職員服務
   規程の適用を受けます。

5 留意事項
  公益通報者を特定させる事項の共有は、公益通報対応業務の遂行に必要
  最小限の範囲に限られます。これを超える共有(範囲外共有)は、本町
  内部公益通報対応規程第10条により禁止され、懲戒処分その他の措置の
  対象となります。

注記 指定の範囲を包括と個別に分けているのは、小規模団体では常設の従事者が1名から2名にとどまり、事案ごとに調査担当者を追加するためである。個別指定であっても、法第12条の守秘義務と法第22条の罰則は同じように及ぶ。なお、外部窓口を受託する弁護士等も、公益通報対応業務を行い公益通報者を特定させる事項を伝達される場合には従事者として定める。指針の解説は、外部委託先も従事者として定められる場合があり得ることを注記している。

書式2 確認書兼誓約書

          公益通報対応業務従事者 確認書兼誓約書

○○町長 殿
                                        令和 年 月 日
                                        所属        
                                        職・氏名       印

 私は、○○町公益通報対応業務従事者に指定されるに当たり、次の事項を
確認し、これを遵守することを誓約します。

1 私は、公益通報者保護法第12条に定める守秘義務を負うこと、及び違反
  した場合に同法第22条により30万円以下の罰金に処せられることがある
  ことを理解しました。
2 私は、この守秘義務が、従事者の指定を解除された後、及び本町を退職
  した後も継続することを理解しました。
3 私は、公益通報者を特定させる事項を、公益通報対応業務の遂行に必要
  最小限の範囲を超えて共有しません。
4 私は、担当する事案について、自己が事案に関係する者に該当し、又は
  利益相反関係を有することが判明したときは、直ちに責任者に申し出て、
  当該事案の公益通報対応業務から離れます。
5 私は、通報者を特定することを目的とする行為を行わず、他の職員が
  これを行おうとするときは、これを制止し、責任者に報告します。
6 私は、通報に係る資料を、指定された保管場所以外に持ち出さず、私用
  の記録媒体、通信手段又はクラウドサービスに保存しません。

書式3 従事者名簿

番号指定年月日所属・職氏名指定の別対象事案解除年月日研修受講日
1令和8.12.1総務課長包括
2令和8.12.1総務課行政係長包括
3令和8.12.1〔外部窓口弁護士〕包括
4個別第 号

注記 名簿そのものが、通報の存否を推知させる情報になり得る。個別指定の欄に事案番号を記載する場合、名簿は従事者以外が閲覧できない場所に保管する。監査や検査で名簿の提示を求められたときは、個別指定欄を除いた抄本で対応する。

書式4 従事者指定解除通知書

     公益通報対応業務従事者指定解除通知書

 令和 年 月 日付け〔○総第 号〕により指定した公益通報対応業務
従事者の指定を、令和 年 月 日をもって解除します。

 なお、公益通報者保護法第12条に定める守秘義務は、指定の解除後も
引き続き課されます。同法第22条の罰則の適用対象となり得ることも
変わりません。

注記 解除通知に守秘義務の存続を明記するのは、指定が終わったから話してよいという誤解を防ぐためである。人事異動の内示から発令までの間に、引継ぎと称して後任に通報事案の詳細を伝える運用が生じやすい。引継ぎは、後任を従事者として指定した後に行う。

書式5 通報受付票

事案番号 第  号   受付年月日 令和 年 月 日  時 分
受付方法 □面談 □電話 □電子メール □郵送 □外部窓口経由
受付者           (従事者番号  )

1 通報者
 □実名(氏名         所属         )
 □匿名(連絡方法                  )
 □退職者 □会計年度任用職員 □派遣・受入職員
 □特定受託業務従事者 □その他(         )

2 通報の対象となる事実
 いつ          どこで          
 誰が          何を           
 どのように       現在も継続しているか □継続中 □終了

3 通報対象事実該当性の一次判断
 □別表各号の法律又は政令で定める法律に該当する可能性あり
  (該当法律名                   )
 □該当性不明(法令調査を要する)
 □通報対象事実には当たらないが、本町規程上の通報に当たる

4 幹部関係事案の該当性
 □該当(第6条の手続へ。以後、庁内に記録を残さない) □非該当

5 通報者への説明の実施
 □不利益取扱いを受けないこと □秘密が保持されること
 □個人情報が保護されること  □受付後の手続の流れ
 □通報者が説明を望まないため未実施

6 通報者の意向
 調査の実施 □希望する □希望しない □一任
 氏名の開示 □調査上必要な範囲で可 □不可 □事前に相談を要する
 結果の通知 □希望する □希望しない
 連絡方法                     

7 証拠資料の有無 □あり(  点。受領方法     ) □なし

8 利益相反の確認 受付者は事案に関係する者に該当しない □確認済

注記 6の「氏名の開示」に関する意向確認は、小規模団体で最も慎重を要する。氏名を出さずに調査すると調査が進まず、出すと通報者が特定される、という板挟みが常に生じる。意向を書面で確認したうえで、開示範囲を限定する具体策(対象を広げた一斉点検、書類調査先行、聴取順序の工夫)を通報者に説明して合意を得る。合意の過程も記録に残す。

書式6 通報者への通知書(共通様式)

         通 知 書
                                        令和 年 月 日
                 ○○町内部公益通報受付窓口

 令和 年 月 日に受け付けました通報について、下記のとおり通知
します。

□受理    本件を受理しました。
□不受理   本件を受理しません。理由(           )
□調査開始  令和 年 月 日に調査に着手します。
□調査不実施 調査を行いません。理由(            )
□進捗報告  現在、        の段階です。
□調査結果  □通報対象事実が認められました □認められませんでした
□是正措置  次の措置をとりました。(             )
□対応終了  本件の対応を終了しました。

 通報されたことを理由として不利益な取扱いを受けた、又は受けるおそ
れがあると感じられた場合は、直ちに当窓口へご連絡ください。

注記 指針第4の3(1)は、書面により内部公益通報を受けた場合の是正措置等の通知を求めており、内部ガイドラインはさらに受理・不受理、調査の実施・不実施、進捗、結果の各段階での通知を求めている。1枚の様式にチェック欄でまとめると、通知漏れが減る。末尾の不利益取扱いに関する一文は、指針第4の2(1)イの「公益通報者が不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置」の一環である。

書式7 利益相反確認書

事案番号 第  号    確認年月日 令和 年 月 日
確認対象者 所属       職・氏名        

次のいずれかに該当しますか。
1 本件の法令違反行為の発覚又は調査結果により、自己が実質的に不利益
  を受ける立場にありますか。        □はい □いいえ
2 通報者又は被通報者と、三親等内の親族関係にありますか。
                      □はい □いいえ
3 被通報者の直近の人事評価者又は被評価者ですか。□はい □いいえ
4 本件に係る事務の決裁又は起案に関与しましたか。□はい □いいえ
5 その他、公正な公益通報対応業務の実施を妨げるおそれのある事情が
  ありますか。               □はい □いいえ

 1から5までのいずれかに「はい」がある場合、責任者は当該者を公益
通報対応業務から除外し、代わる者を指名する。ただし、公正さが確保
できる部署のモニタリングを受けながら対応する等、実質的に公正な公益
通報対応業務の実施を阻害しない措置をとる場合は、この限りでない。

注記 ただし書は、指針の解説が、事案に関係する者であっても、例えば公正さが確保できる部署のモニタリングを受けながら対応をする等、実質的に公正な公益通報対応業務の実施を阻害しない措置がとられている場合には、その関与を妨げるものではないとしていることに対応する。人員が限られる団体では、除外すると誰も残らない事態が生じ得るため、この例外の使い方を規程と様式の両方に書いておく。

書式8 外部窓口委託契約の特記条項

第○条(従事者の指定)
 乙は、本件業務に従事する者のうち、公益通報者を特定させる事項を
伝達される者について、甲が公益通報者保護法第11条第1項に基づき従事者
として指定することに同意し、当該指定に必要な情報を甲に提供する。

第○条(守秘義務)
 乙及び乙の従業者は、本件業務に関して知り得た事項であって公益通報者
を特定させるものを、正当な理由なく漏らしてはならない。この義務は、
本契約終了後も存続する。

第○条(範囲外共有等の禁止)
 乙は、公益通報者を特定させる事項を、本件業務の遂行に必要最小限の
範囲を超えて共有してはならず、通報者を特定することを目的とする行為
を行ってはならない。

第○条(甲への報告の範囲)
 乙は、通報者の意向を確認し、甲に対して通報者を特定させる事項を
伝達するか否か及びその範囲を、通報者の意向に従って決定する。

第○条(幹部関係事案)
 甲の長、副長、教育長その他の幹部に関係する事案については、乙は、
甲の内部の職員に通報の事実を伝達することなく調査を行い、その結果を
甲の監査委員及び規程第7条ただし書に定める者に報告する。

第○条(利益相反)
 乙は、本件業務の遂行に当たり、中立性又は公正性に疑義が生じるおそれ
がある場合には、直ちに甲に通知し、甲と協議のうえ、代替の受任者を
指定する。乙が甲の顧問弁護士である場合において、幹部関係事案が生じた
ときは、乙は当該事案を受任せず、甲があらかじめ指定した他の弁護士に
引き継ぐ。

第○条(共同利用)
 本件業務は、甲及び〔○○町、△△村〕が共同して乙に委託するもので
あるが、乙は、各団体に係る通報の情報を相互に分離して管理し、他の
団体に対して開示してはならない。

第○条(記録の返還等)
 本契約が終了したときは、乙は、甲の指示に従い、本件業務に係る記録
を返還し、又は復元不可能な方法で廃棄し、その旨を書面で報告する。

第○条(損害賠償及び再発防止)
 乙又は乙の従業者が前各条に違反したときは、乙は、甲に生じた損害を
賠償するとともに、再発防止策を書面により甲に提出する。

注記 消費者庁のQ&Aは、外部委託先において範囲外共有が行われた場合の措置として、損害賠償請求や外部委託先による再発防止策の提出、委託先の変更などを挙げる。共同委託を行う場合の情報分離条項は、複数団体で1つの窓口を使う小規模団体にとって欠かせない。


第7部 受付から是正までの標準手順

7.1 少人数運用を前提とした時間軸

以下は、常設の従事者が2名、外部窓口が1名という最小構成を前提とした標準手順である。日数はD+0を受付日とする暦日で示す。実際の日数は事案の性質により変動するが、各段階で「いつまでに何をするか」を決めておかないと、担当者の他業務に押されて事案が止まる。小規模団体で最も多い失敗は、悪意のある握りつぶしではなく、単純な放置である。

段階目安実施事項実施者記録
受付D+0通報の受付、受付票の作成、幹部関係事案該当性の判定窓口書式5
受付通知D+3到達を確認できない方法による通報について受付の通知窓口書式6
意向確認D+3氏名の取扱い、調査の希望、結果通知の希望の確認窓口書式5の6
従事者指定D+5事案担当の従事者を個別指定町長書式1・2
利益相反確認D+5関与予定者全員について確認責任者書式7
受理判断D+7受理・不受理の決定と通報者への通知責任者書式6
調査方針D+10調査計画の策定、通報者特定を避ける調査手法の設計責任者調査計画書
調査着手通知D+10調査を行う旨及び着手時期の通知窓口書式6
書類調査D+10〜D+30文書、帳票、システムログ、契約書類の確認従事者調査記録
関係者聴取D+30〜D+50周辺者から順に聴取。被通報者は原則として最後従事者聴取記録
中間報告D+45通報者への進捗通知窓口書式6
被通報者聴取D+50弁明の機会の付与従事者聴取記録
事実認定D+60認定した事実と評価の整理責任者調査報告書
結果通知D+65通報者への調査結果の通知窓口書式6
是正措置決定D+70是正措置及び再発防止策の決定町長決裁文書
是正措置通知D+75通報者への是正措置の内容の通知窓口書式6
処分手続D+75〜D+120必要に応じ懲戒処分の手続。分限・懲戒は別手続人事担当処分関係文書
不利益取扱いの確認1回目D+90通報者に不利益取扱いの有無を確認窓口確認記録
対応終了D+90事案の終結、記録の確定と保管責任者事案記録一式
是正措置の機能確認D+180是正措置が機能しているかの確認、必要なら追加措置責任者確認記録
不利益取扱いの確認2回目D+180人事異動期を挟んだ確認窓口確認記録
不利益取扱いの確認3回目D+365法第3条第3項の推定期間を意識した最終確認窓口確認記録
年次評価への反映年度末運用実績の集計、体制の評価・点検責任者評価記録

7.2 各段階での小規模団体固有の注意点

受付段階で最初に判定するのは、幹部関係事案かどうかである。この判定を誤ると、その後の全工程が汚染される。判定に迷う場合は幹部関係事案として扱う。庁内に記録を残さないという処理は取り返しがつくが、残してしまった記録は取り返せない。

意向確認では、氏名を明かさずに調査を進めた場合に何が起きるかを、正確に説明する。調査の範囲が広がり時間がかかること、認定できる事実が限られる可能性があること、それでも不利益取扱いのリスクは下がることを伝える。通報者に選ばせるのであって、窓口が代わりに決めるのではない。

調査方針の策定では、通報者を特定させない工夫を具体的に書き込む。例えば、対象期間を通報された期間より前後に広げる、対象部署を通報された部署以外にも広げる、聴取ではなく書面照会を先行させる、定期監査や内部統制評価の一環として実施する、といった手法である。この工夫の記録が、後日、通報者探索がなかったことの証明にもなる。

関係者聴取では、聴取の冒頭で、聴取の目的を具体的に述べないこと、誰が何を言ったかを詮索してはならないこと、聴取内容を他言しないことを伝える。聴取対象者に対しても、通報者探索が禁止行為である旨を明示する。

被通報者への対応では、弁明の機会を確保しつつ、公益通報者等の存在を知り得る場合には、公益通報者等に対して不利益な取扱いを行うことがないよう注意喚起をする。消費者庁のQ&Aは、これを不利益取扱いを防ぐ措置の例として挙げている。小規模団体では、被通報者が通報者の直属の上司であることが多く、この注意喚起は形式ではなく実質的な意味を持つ。

不利益取扱いの確認を3回行うのは、法第3条第3項が公益通報の日から1年以内の解雇等特定不利益取扱いを推定の対象としていることに対応する。一般職の地方公務員には法第9条により同項が適用されないが、分限免職又は懲戒処分を行った者に対する法第21条第1項の刑事罰は適用される。1年間は、人事上の措置について慎重な検討と記録が要る期間だと考えるべきである。人事異動、昇任、勤勉手当の成績率、研修派遣の選定といった決定について、通報の事実と無関係であることを説明できる材料を残しておく。

対応終了後の是正措置の機能確認は、指針第4の1(3)が明示的に求める措置である。是正措置をとった後、当該措置が適切に機能しているかを確認し、適切に機能していない場合には、改めて是正に必要な措置をとる。半年後の再点検を標準工程に組み込む。


第8部 教育研修の設計

8.1 研修が体制の生死を分ける理由

第2部で見たとおり、公務員が勤め先の内部通報窓口を知ったきっかけとして最多だったのは社内研修・説明会で42.7パーセントであり、他方で職員等に研修を実施している行政機関は7.1パーセントにとどまる。窓口の存在を職員に届ける手段として、研修は他の手段より効果が大きく、かつ実施されていない。ここに空白がある。

指針第4の3(3)は、職員等に対する周知・啓発を義務の内容として定め、同(5)は「従事者に対しては、公益通報対応業務の内容及び公益通報者を特定させる事項の取扱いについて、特に十分に教育を行う。」と定める。内部ガイドラインも、幹部職員等のリーダーシップの下で定期的な研修を実施し、全ての職員等に十分に周知・啓発することを求める。

8.2 4階層の年間計画

職員300人以下の団体で現実に回る計画は、次の規模である。合計で年間9コマ程度、外部講師を頼むのは年2回にとどめる。

対象時期時間方法到達目標
全職員(新任含む)5月60分集合又は動画配信窓口の連絡先を言える。通報して不利益を受けないことを知る
新規採用職員4月30分新任研修に組込み窓口の存在と使い方を知る
会計年度任用職員4月・10月20分任用時説明に組込み自分も通報者として保護されることを知る
管理職(課長・係長)7月90分集合・演習付き部下から相談を受けた際の初動ができる。通報者探索をしない・させない
従事者12月・6月各120分少人数・演習中心受付から是正までの実務ができる。守秘義務の限界を判断できる
町長・副町長・教育長・部局長12月60分個別又は幹部会議法第21条第1項の刑事罰の射程を理解する
議会(希望に応じ)適宜45分議員研修議員に持ち込まれた相談の扱いを知る
指定管理者・主要委託先年1回45分説明会又は文書送付自組織の体制整備の必要を知る

8.3 階層ごとの内容設計

全職員向けの60分では、法の全体像を網羅しようとしないことである。伝えるべきは4点に絞る。第一に、通報先が3つあり(本町、権限を有する行政機関、報道機関等)、それぞれ保護の要件が違うこと。第二に、本町の窓口の連絡先と、庁内窓口と外部窓口の両方があること。第三に、通報したことを理由とする分限免職、懲戒処分、不利益な配置換え、人事評価上の不利益な取扱いが禁止され、行った者に刑事罰があること。第四に、誰が通報したかを詮索する行為が禁止され、懲戒処分の対象になること。

第一点を落とすと、職員が外部通報の要件を知らないまま報道機関に持ち込み、保護要件を満たさずに自らを危険にさらす。法第3条第1項第2号は、行政機関等への通報について、真実相当性があるか、又は思料し、かつ氏名、住所、通報対象事実の内容、思料する理由、措置がとられるべきと思料する理由を記載した書面を提出する場合に保護されるとしている。この書面提出ルートは令和7年改正で整理された部分であり、職員が知っておく実益が大きい。

管理職向けの90分では、初動の型を身体に入れてもらう。部下から「ちょっと相談が」と切り出されたときに、その場で内容を深追いしない、他の職員のいる場所で話を続けない、聞いた内容を上司に相談する前に窓口へ取り次ぐ、誰から聞いたかを他に言わない、という4つの動作である。あわせて、規程第20条が定める上司の措置義務を説明する。

従事者向けの120分は演習中心にする。座学は30分にとどめ、残りを事例演習に充てる。

町長・副町長・教育長向けの60分は、率直に罰則の話をする。内部ガイドラインが明記するとおり、公益通報を理由として分限免職又は懲戒処分が行われた場合、任命権者であるか否かを問わず、実質的な意思決定をした者やそれに関与した者が罰則の対象になり得る。ここで併せて伝えるべきは、幹部が窓口の独立性を尊重することが、幹部自身を守る、という点である。幹部が調査に介入した記録が残れば、後日の説明が極めて困難になる。

議会向けの研修は、実施している団体が少ないが効果が大きい。小規模団体では、職員が議員に相談を持ち込む経路が実在する。議員に対して、相談を受けた際に職員の氏名を執行部に伝えることの危険、一般質問で取り上げる際に通報者が特定されるリスク、窓口への取次ぎという選択肢を説明しておく。

8.4 従事者向け演習3題

演習1 匿名通報の受付  匿名の電子メールで、「建設課のA係長が、特定業者に予定価格を漏らしている。証拠になる書類は保管庫の中にある」との通報があった。差出人はフリーメールで、氏名の記載はない。  問1 この通報は内部公益通報に当たり得るか。当たり得る場合、通報対象事実として想定される法律は何か。  問2 連絡先が不明であることは、調査を実施しない正当な理由になるか。  問3 建設課で保管庫の書類を確認すれば、通報者が建設課の職員であることが庁内に知れ渡る。どう調査するか。  問4 差出人のメールアドレスから通報者を特定しようとする行為は、どの条文に触れるか。

演習2 幹部関係事案  総務課の窓口に、「副町長が、自身の親族が経営する事業者に随意契約で業務を発注させている」との通報が、実名で寄せられた。通報者は総務課の職員である。  問1 この事案は規程第5条第2項の幹部関係事案に当たるか。  問2 受付票と通報者からの提出資料を、庁内のどこに保管するか。  問3 副町長から「最近何か通報があったか」と尋ねられた。どう答えるか。  問4 調査の結果、随意契約の要件を満たしていなかったことが判明した。是正措置は誰が決定するか。

演習3 通報者の特定と不利益取扱い  保育所の職員から、所長による児童への不適切な対応について通報があった。調査の過程で、所長が「誰が言ったのか見当がついている」と発言していることが分かった。3か月後の人事異動で、通報者と目される職員が僻地の施設に配置換えとなる案が人事担当課から示された。  問1 所長の発言は、どの条文に触れる可能性があるか。  問2 窓口としてとるべき措置は何か。  問3 配置換えを実施した場合、誰にどのような法的責任が生じ得るか。  問4 配置換えに業務上の必要性がある場合、どのような記録を残しておくべきか。

演習の解答例は研修資料として別に用意する。演習3の問3については、法第9条の読替えにより「解雇」が「懲戒免職、分限免職」に読み替えられるため、配置換えそのものは法第21条第1項の対象ではないが、法第3条第1項の不利益取扱いの禁止に反し、国家賠償法第1条第1項に基づく損害賠償の対象となり得る点を押さえる。後述する高松高等裁判所判決及び東京高等裁判所判決がこの類型である。

8.5 周知の手段を研修に限らない

研修は年に1回か2回である。日常的な接触面を別に作る。

窓口の連絡先を記載したカードを職員証ケースに入る大きさで作成し、全職員に配布する。庁内イントラネットのトップページに常設のリンクを置く。給与明細の配布時に年1回チラシを同封する。トイレの個室の内側にポスターを貼る。この最後の手段は、誰にも見られずに情報を得られる場所として、実務上の効果が高い。

退職予定者に対しては、退職前の説明の際に、退職後1年以内は通報者として保護されることを伝える。指針の解説は、退職者に対する教育・周知の方法として、在職中に退職後も公益通報ができることを教育・周知することやウェブサイトに記載することを挙げている。


第9部 実効性評価の方法

9.1 評価の位置付け

指針第4の3(2)ロは「内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検を実施し、必要に応じて内部公益通報対応体制の改善を行う。」と定め、内部ガイドラインは、職員等及び中立的な第三者の意見等を踏まえて定期的に評価及び点検を行うことを求める。

小規模団体では、通報件数が年に0件から数件である。件数を評価指標にすると、0件の年は「良好」と評価され、体制が機能していない事実が見えなくなる。件数は指標ではなく、他の指標と組み合わせて解釈する材料と位置付ける。

9.2 年1回の評価指標12項目

分類指標測定方法目安
整備内部規程の有無と最新改正日文書確認制定済み・法令改正から6か月以内に改正
整備従事者の書面指定の実施率名簿と指定書の突合100%
整備外部窓口の設置契約書確認設置済み
整備幹部関係事案の独立経路の実在規程と契約の確認規程に明記かつ契約に反映
周知職員の窓口認知率匿名アンケート80%以上
周知全職員研修の受講率受講記録90%以上
周知従事者研修の実施回数実施記録年2回以上
運用通報の受付から受理判断までの平均日数事案記録7日以内
運用受付から対応終了までの平均日数事案記録90日以内
運用通報者への通知の実施率事案記録と通知書の突合100%
信頼「通報しても不利益を受けないと思う」と回答した職員の割合匿名アンケート70%以上
信頼「不正を見聞きしたら窓口に通報する」と回答した職員の割合匿名アンケート60%以上

9.3 匿名アンケートの設計

アンケートは、体制評価の中心に据える。件数が少ない団体で唯一、体制の実効性を測れる手段だからである。年1回、全職員を対象に、無記名で実施する。所属を書かせると回答者が特定されるため、所属欄は設けないか、本庁・出先の2区分にとどめる。

設問は10問程度とし、次の内容を含める。窓口の存在を知っているか。窓口の連絡先を調べる方法を知っているか。過去1年間に、通報すべきかどうか迷った事象があったか。あった場合、通報したか。しなかった場合、その理由は何か(不利益を受けると思った、誰が言ったか分かってしまうと思った、対応されないと思った、窓口を知らなかった、通報すべきか判断できなかった、から選択)。通報者が不利益を受けないと思うか。窓口が公正に対応すると思うか。庁内で「誰が通報したのか」という会話を聞いたことがあるか。

最後の設問は、通報者探索の実態を測る指標として有用である。「聞いたことがある」の回答が一定割合を超える団体では、研修の内容を見直す。

9.4 中立的な第三者の関与

内部ガイドラインは中立的な第三者の意見等を踏まえた評価を求めるが、小規模団体で第三者委員会を常設するのは現実的でない。次の順で軽い方法から検討する。

第一に、外部窓口を受託している弁護士に、年1回、運用状況について所見を書面で提出させる。委託契約に業務として盛り込んでおけば、追加費用は生じないか、生じても小さい。第二に、監査委員の定期監査又は行政監査の項目に、内部公益通報対応体制の運用状況を加える。識見監査委員が外部から選任されている場合、これが最も安価な第三者評価となる。第三に、共同で外部窓口を設置している団体同士で、相互に体制を点検する。第四に、都道府県に助言を求める。

9.5 評価結果の扱い

評価結果は、庁議又は幹部会議に報告し、改善事項を翌年度の計画に落とす。あわせて、内部ガイドラインが求める運用状況の定期的な公表に接続する。公表に当たっては、件数が少ないことによる通報者特定のリスクを検討し、必要なら複数年度の合算値とする。

議会に対しては、決算審査や行政報告の機会に、体制の整備状況と評価結果を報告する。予算要求の根拠にもなる。外部窓口の委託料や研修費用は、この報告を積み重ねることで通りやすくなる。


第10部 裁判例に学ぶ

消費者庁は、公益通報者保護法に関する裁判例の収集・分析事業を実施し、令和4年度調査として裁判例一覧及び論点整理表を公表している。以下では、そこに収録された地方公共団体関係の裁判例を中心に、小規模団体の実務に直結する7件を取り上げる。事案の当事者名は当該一覧において匿名化されているため、本稿もこれに従う。

10.1 昇任判断における通報の考慮を違法とした事例

高松高等裁判所平成28年7月21日判決(平成27年(行コ)第3号。第一審 徳島地方裁判所平成27年2月16日判決・平成24年(行ウ)第8号、平成24年(ワ)第276号。最高裁判所第二小法廷平成29年2月10日決定により確定)

都道府県の職員が、監察局へ公益通報をしたこと等を理由に転任処分を受けたと主張し、処分の取消しと国家賠償を求めた事案である。控訴審は、転任処分自体は任命権者に裁量が委ねられており適法としつつ、任命権者が当該職員の係長への昇任の適否の判断過程で刑事告発等の事実を不利益に考慮したことは、公益通報者保護法の趣旨に基づき適用すべき地方公務員法第15条及び第17条に違反したもので違法があるとして、慰謝料10万円の限度で請求を認容した。

この判決が示す規範は明快である。明示的な不利益処分でなくとも、昇任の適否という日常的な人事判断の過程で通報の事実を不利益に考慮すれば、それだけで違法となる。地方公務員法第15条は職員の任用が受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づいて行われるべきことを定め、同法第17条は任命の方法を定める。公益通報者保護法の趣旨がこれらの解釈に流れ込む、という構成である。

小規模団体では、昇任の候補者が数人しかいない。「あの職員は組織に波風を立てた」という評価が人事の場で口にされることは、決して珍しくない。この発言が記録に残らなくても、昇任判断の合理性を後から説明できなければ、団体は敗訴のリスクを負う。人事評価の記録を、通報の有無と無関係に説明できる形で残すことが、団体自身の防御になる。

10.2 内部告発の事実を処分量定上有利に評価した事例

大阪地方裁判所平成24年8月29日判決(平成23年(行ウ)第17号)

市町村長から懲戒免職処分を受けた職員が、処分の取消しを求めた事案である。裁判所は、職員に領得行為、上司らに対する暴言、勤務先での器物損壊などの粗暴行為が認められ、各事実はいずれも悪質であるとしつつ、懲戒処分歴がないこと、団体側にも当該事実を招いたことにつき応分の帰責事由が認められること、内部告発をしたなど処分量定上有利な事情があることを評価し、更生の機会を与えずに懲戒免職とした処分は重きに失し、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱、濫用した違法なものとして、処分を取り消した。

内部告発をした職員に非違行為があった場合、その非違行為を理由とする処分は当然に許されるが、量定の判断において告発の事実が有利な事情として考慮される。逆に言えば、通報者に対する処分は、通常より一段軽い量定でなければ維持されない可能性がある。処分案を起案する際には、この点を明示的に検討し、検討の過程を記録に残す。

10.3 通報のための資料持ち出しが保護されなかった事例

佐賀地方裁判所平成21年10月30日判決(平成20年(行ウ)第3号)

市町村長から停職2か月の懲戒処分を受けた職員が、処分の取消しと国家賠償を求めた事案である。裁判所は、職員が組合理事や市議らに組合職員らの給与所得情報や組合の預金残高証明書の写しを漏えいさせた行為について、地方公務員法第34条第1項及び個人情報保護条例に違反し、これにより公務の運営に重大な支障を生じさせたものであること、仮に公益通報が目的であったとしても、必要やむを得ない漏えい行為であったとは認め難いことなどから、停職2か月の処分が重きに失するとは認められないとして、請求を棄却した。

通報の目的が正当であっても、手段が正当性を欠けば保護されない。とりわけ個人情報を含む文書の持ち出しは、必要最小限を超えた瞬間に別個の非違行為となる。研修では、この点を職員に伝えておく必要がある。証拠がなければ通報できないと考えて大量の資料を持ち出す職員は少なくない。通報の際に必要な証拠の範囲、証拠がなくても通報を受け付ける旨、窓口が調査権限を持つ旨を周知しておけば、この種の事故を減らせる。

10.4 公益通報に関連する懲戒処分を取り消した事例

大阪高等裁判所令和2年6月19日判決(令和元年(行コ)第133号。第一審 京都地方裁判所令和元年8月8日判決・平成28年(行ウ)第20号)

市区町村の児童相談所に勤務する職員が、担当外の児童の個人情報を勤務時間中に繰り返し閲覧したこと、データを複写し1枚を自宅へ持ち出し廃棄したこと、職場の新年会及び組合交渉の場においてその内容を含む発言をしたことを理由に、停職3日の懲戒処分を受けた事案である。当該職員は、被措置児童虐待の不祥事について児童相談所が適切な対応をとっていなかったとの認識から、公益通報処理窓口に二度にわたり通報していた。

控訴審は、閲覧行為について、自己の担当業務の遂行を直接の目的としているとはいえないがこれと関連する目的によるものであり、業務遂行以外の目的による閲覧とはいえないとして懲戒事由該当性を否定した第一審の判断を維持した。持ち出し・廃棄行為については懲戒事由に該当するとしつつ、原因や動機において強く非難すべきものとはいえず、証拠隠滅を図るなどの不当な動機や目的があったとは考え難く、廃棄の態様も自宅のシュレッダーで裁断するなど情報が漏えいしないように配慮したものであって悪質性が高いとはいえないこと、反省の態度を示していること、懲戒処分歴がなく人事評価も良好で勤務態度も熱心と評価されており、閲覧や持ち出し等の行為及び公益通報を行ったのも職務熱心のあまりのことと評価することが可能であることなどから、停職3日は重いという結論を維持した。

10.3の佐賀地裁判決と対照して読むと、境界が見えてくる。持ち出した情報の性質、外部流出の有無、動機、処分歴、日常の勤務態度が量定を左右する。通報者に対する懲戒処分は、これらの要素を一つずつ検討し、その検討過程を記録に残さなければ維持されない。

10.5 通報者探索の違法を認めた事例

福岡地方裁判所令和3年10月22日判決(令和元年(ワ)第3572号)

郵便局長らが、他の局長の子である局長のコンプライアンス違反等を内容とする内部通報を行ったところ、被告らが内部通報に関与したか否かの回答を強要したこと等が不法行為に当たるとして、損害賠償を請求した事案である。裁判所は、通報者を特定するために呼出し等を行い調査を行った行為は、通報者を特定しようとする行為であって違法性を有すると判断し、また、地区会の除名処分は原告らを排除する目的で行われたものであって違法性を有するとして、被告らに損害賠償を命じた。

この判決は令和7年改正前のものであるが、通報者探索が民事上の不法行為を構成し得ることを正面から認めた点で意義がある。改正法は、法第11条の3として通報者探索の禁止を明文化した。今後は、明文の禁止規定違反という評価が加わる。

小規模団体で最も起こりやすいのが、この類型である。「誰が言ったのか」を確かめる行為は、悪意なく、むしろ「事実確認のため」という善意の外形をまとって行われる。呼び出して尋ねる、回覧で心当たりの申出を求める、勤務記録から通報時刻に在庁していた者を絞り込む、といった行為はいずれも探索に当たり得る。研修で具体例を示して禁止することが要る。

10.6 通報の調査を他機関に委ねた事案

東京地方裁判所令和3年10月1日判決(令和2年(ワ)第28155号)

都道府県教育委員会の公益通報窓口に通報した者が、都道府県が市区町村教育委員会に調査を委ね、その報告をそのまま採用するなど本来すべき調査をしなかったにもかかわらず、通報に対する回答について説明を求めた自身を拒否し続けたとして、国家賠償を求めた事案である。裁判所は、当該通報制度が法令遵守の推進という公益を図ることを目的とするもので、通報者の権利や利益の保護又は損害の回復を目的とするものではないから、通報を契機として是正措置等が実施されることによって受ける利益は反射的な事実上の利益にすぎず法律上保護された利益ではないとして、請求を棄却した。

結論としては団体側が勝訴しているが、実務上の教訓は別のところにある。都道府県に通報が持ち込まれ、都道府県が市区町村に調査を委ね、市区町村の報告をそのまま採用する、という構図が現に生じているという事実である。共同処理方式や都道府県の支援を活用する場合、受託側が調査を丸ごと元の団体に投げ返す運用になれば、独立性を確保するために外部化した意味が失われる。委託契約や規約において、受託側が自ら行う業務の範囲を具体的に定めておく必要がある。

10.7 退職者の取扱いに関する事案

東京地方裁判所平成29年10月31日判決(平成28年(ワ)第33860号)

都道府県を発注者とする水道管工事の施工下請会社に勤務していた者が、工事の不正を都道府県に通報したのに公益通報者として扱われなかったとして、国家賠償を求めた事案である。裁判所は、通報当時、当該者は勤務していた会社を退職しており、当該事業に従事する労働者であるとはいえず、都道府県の部局が定めた公益通報処理要綱所定の公益通報の主体ではなかったとして、請求を棄却した。

この判断は当時の法制を前提とする。現行法は、法第2条第1項第1号において「労働者又は労働者であった者」を通報主体とし、「当該通報の日前一年以内に自ら使用していた事業者」を役務提供先とする。退職から1年以内であれば、退職者も公益通報の主体となる。さらに令和7年改正により、特定受託業務従事者及び特定受託業務従事者であった者が通報主体に加わった。

外部通報の受付要綱を古いまま運用している団体は少なくない。通報者の範囲を定めた条項が現行法に対応しているかを、2026年12月1日までに点検する。


第11部 小規模団体で実際に起きる通報の類型

11.1 通報される事象の傾向

小規模団体で窓口に持ち込まれる、あるいは持ち込まれるべき事象には偏りがある。設計の際は、この偏りを前提に窓口の受付範囲と調査体制を組む。

公金に関わる事象が最も多い。現金取扱いの多い窓口業務での着服、旅費や時間外勤務手当の不正請求、補助金の目的外使用、随意契約の要件を欠く発注、予定価格の漏えいがこれに当たる。刑法の横領、背任、公契約関係競売等妨害が別表第一号の刑法に該当し得る。

施設運営に関わる事象が次に多い。保育所、学校給食センター、給食調理場での食品衛生法違反、清掃センターやし尿処理施設での廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反、公営住宅や公共施設の管理における安全上の問題。別表第二号及び第六号に該当し得る領域である。

個人情報に関わる事象も増えている。住民基本台帳や税情報、生活保護、児童福祉に関する情報の目的外閲覧や外部提供は、個人情報の保護に関する法律(別表第七号)に関わる。10.4の事案が示すとおり、通報者自身が個人情報の取扱いを問われる構図も生じる。

対人的な事象では、暴行、脅迫、強制わいせつに該当し得るハラスメントが、刑法違反として通報対象事実となる。ハラスメント相談窓口を内部公益通報受付窓口と兼ねる団体では、この重なりを職員に説明しておく。

委託先・指定管理者に関わる事象は、団体の目が届きにくい。指定管理者の従業員による利用料金の着服、委託事業者による人員配置基準の不遵守、補助金交付先である社会福祉法人での不正といった事案は、団体の窓口に持ち込まれて初めて発覚することが多い。

11.2 窓口が機能しなかった場合に何が起きるか

第3回で扱った都道府県の事案が示したのは、通報への対応を誤ったときの帰結の大きさである。通報者の特定、通報内容の真偽を確認する前の処分、第三者による検証の遅れという3つが重なると、事案そのものより対応の失敗のほうが大きな問題になる。

小規模団体では、規模が小さいゆえに、事態の進行が速い。庁内で噂が広がるのに数日もかからず、議会での質問、地元紙の報道、住民監査請求へと展開する。首長選挙が近ければ、政治問題化する。この過程で、通報者は職場に居場所を失う。

この帰結を避けるための最小限の備えが、通報を受け付ける場所が庁外にあること、幹部が関与できない経路が規程に書いてあること、そして誰が通報したかを詮索しないという規律が全職員に共有されていることの3点である。予算がなくても、この3点は作れる。

11.3 通報を「使える」情報にする

体制整備を、リスク管理としてではなく、行政運営の質を上げる仕組みとして位置付ける視点も要る。内部ガイドラインは、地方公共団体が職員等からの通報に対応する仕組みを整備し適切に運用することについて、内部監査機能の強化及び組織の自浄作用の向上に寄与するなど法令遵守の確保につながるものであり、また、通報を積極的に活用したリスク管理等を通じて適切に行政事務を遂行していくことは、地方自治に対する住民の信頼の確保並びに地域住民の生活の安定及び社会経済の健全な発展にも資するものである、と述べている。

小規模団体では、事務が属人化しやすく、担当者以外に業務の中身が見えない。通報は、この見えない領域に光を当てる数少ない手段である。年間0件が続く団体は、不正がないのではなく、見えていないだけである可能性を疑ったほうがよい。


第12部 2026年12月1日までの導入スケジュール

改正法の施行日は2026年12月1日である。本稿執筆時点(2026年8月)から逆算すると、残された期間は約3か月半である。予算措置を伴わない範囲で施行日に間に合わせ、予算を要する部分は翌年度当初予算で手当てする、という二段構えが現実的である。

時期作業担当予算措置
8月第4週職員数の確定。300人以下であることの確認と記録人事担当不要
8月第4週既存の要綱・要領・訓令の棚卸し。窓口の有無、通報者の範囲、退職者・フリーランスの扱いを点検総務課不要
9月第1週幹部への説明。法第21条第1項の射程と体制整備の必要を共有し、方針決定を得る総務課不要
9月第2週近隣町村・町村会・都道府県への打診。共同での外部窓口設置の可能性を探る総務課不要
9月第3週規程案の作成。第5部の例を自団体の組織名称に置き換える総務課不要
9月第4週各執行機関との協議。準用規程の要否を確認総務課不要
10月第1週外部窓口の候補選定。単独委託又は共同委託の見積取得総務課12月補正又は翌年度
10月第2週書式一式の整備。第6部の8点を自団体様式に落とす総務課不要
10月第3週従事者候補の選定。適性及び能力を有する者の見極め町長・総務課不要
10月第4週規程の決裁・公布。訓令として告示総務課不要
11月第1週指定管理協定・業務委託仕様書の改定方針の決定各所管課不要
11月第2週全職員向け周知文書の配布。カード・ポスターの作成総務課印刷費のみ
11月第3週管理職研修の実施総務課不要(内部講師)
11月第4週従事者の書面指定。確認書兼誓約書の徴取。名簿の整備町長・総務課不要
12月1日規程の施行。窓口の運用開始全庁
12月第2週全職員研修の実施総務課不要
12月第2週従事者研修の実施総務課外部講師料
翌年1月外部窓口の契約手続(補正予算成立後)総務課委託料
翌年3月第1回匿名アンケートの実施。ベースラインの取得総務課不要
翌年4月新年度の研修計画の策定。当初予算での外部窓口委託料の確保総務課委託料・研修費

外部窓口の設置が施行日に間に合わない場合でも、規程の制定、従事者の書面指定、周知、通報者探索の禁止の徹底は、予算措置なしに実行できる。この4点だけは施行日までに終える。外部窓口は、暫定的に近隣団体の弁護士に個別委嘱する、あるいは町村会の顧問弁護士に協力を求めるといった方法で、費用を抑えた形から始められる。

なお、公益通報者保護法別表第八号の法律を定める政令の施行日は、法本体の施行日より10日遅い2026年12月11日である。通報対象事実に該当する法律の一覧を職員向け資料に掲載する場合、この日付のずれを注記しておく。


第13部 施行前チェックリスト

分類番号確認事項該当条項
前提1常時使用する労働者の数を区分ごとに算定し、記録したか法11条3項
前提2一部事務組合・広域連合について、組合自身の体制の要否を検討したか法2条1項
前提3公営企業・地方独立行政法人の職員の取扱いを整理したか法2条1項
規程4内部公益通報対応規程を制定したか指針4-3(6)
規程5規程が全ての執行機関に及ぶ構造になっているか内部GL2(1)
規程6出先機関・施設が適用範囲に含まれているか内部GL2(1)③
規程7通報者の範囲に退職者(1年以内)を含めたか法2条1項1号
規程8通報者の範囲に特定受託業務従事者を含めたか法2条1項3号・4号
規程9通報者の範囲に派遣労働者・受入職員を含めたか法2条1項2号
窓口10部署間横断的に受け付ける窓口を設置したか指針4-1(1)
窓口11外部窓口を設置したか、又は設置に向けた計画があるか内部GL2(2)①
窓口12既存窓口を兼用する場合、公益通報窓口である旨を明示したか内部GL2(2)④
窓口13受付、調査、是正の各部署と責任者を明確に定めたか指針4-1(1)
窓口14責任者を幹部としたか内部GL2(1)①
独立性15幹部関係事案の独立経路を規程に明記したか指針4-1(2)
独立性16幹部関係事案の記録を庁内に残さない運用を定めたか指針4-1(2)
独立性17監査委員への報告経路を設けたか指針4-1(2)
独立性18顧問弁護士を窓口とする場合、その旨を職員に明示したか指針の解説
従事者19従事者を書面により指定したか指針3-2
従事者20指定書に守秘義務と罰則(法22条)を記載したか指針3-2
従事者21従事者名簿を作成し、適切に管理しているか内部GL2(3)
従事者22事案ごとの追加指定の手続を定めたか法11条1項
従事者23外部窓口の受託者を従事者として指定したか指針の解説
利益相反24事案に関係する者を関与させない措置を定めたか指針4-1(4)
利益相反25各段階での利益相反確認を手続化したか内部GL2(5)②
秘密保持26範囲外共有の防止措置を定めたか指針4-2(2)イ
秘密保持27通報妨害の禁止を規程に明記したか法11条の2
秘密保持28通報者探索の禁止を規程に明記したか法11条の3
秘密保持29違反者への懲戒処分その他の措置を定めたか指針4-2(2)ニ
秘密保持30通報関係文書を通常の文書管理系統から分離したか指針4-3(2)イ
秘密保持31電子データのアクセス権限と履歴記録を設定したか指針の解説
通報者保護32不利益取扱いの禁止と範囲を規程に明記したか指針4-2(1)イ
通報者保護33不利益取扱いの有無を把握する措置を定めたか指針4-2(1)イ
通報者保護34公平委員会への審査請求等の救済制度を周知したか内部GL4(3)
手続35通報の受付を拒まない旨を規程に明記したか内部GL3(1)①
手続36匿名通報を実名同様に扱う旨を定めたか内部GL2(8)
手続37匿名通報者との連絡手段を確保したか内部GL2(8)
手続38受理・不受理、調査の実施・不実施の通知を手続化したか内部GL3(1)④
手続39是正措置等の通知を手続化したか指針4-3(1)
手続40標準的な処理期間を定めたか内部GL3(4)②
手続41是正措置の機能確認を工程に組み込んだか指針4-1(3)
周知42全職員に窓口の連絡先を周知したか指針4-3(3)
周知43指針第4の3(3)イからリまでの9項目を周知内容に含めたか指針4-3(3)
周知44会計年度任用職員・派遣労働者にも周知したか指針4-3(3)
周知45退職予定者に退職後1年以内の保護を伝えたか指針の解説
周知46上司が通報を受けた場合の措置を周知したか内部GL5(2)②
研修47全職員研修の年間計画を策定したか内部GL5(2)①
研修48従事者への特別の教育を実施したか指針4-3(5)
研修49幹部に法21条1項の射程を説明したか内部GL1(1)
評価50定期的な評価・点検の方法と時期を定めたか指針4-3(2)ロ
評価51中立的な第三者の関与の方法を決めたか内部GL5(4)②
評価52運用実績の職員への開示と対外公表の方法を定めたか指針4-3(2)ハ
外部関係53指定管理協定・委託契約に体制整備条項を入れたか内部GL5(3)②
外部関係54外部通報(2号通報)の受付要綱を現行法に適合させたか法13条2項
外部関係55権限を有しない場合の教示の手順を定めたか法14条

第14部 Q&A

Q1 職員が250人の町だが、そもそも窓口を作らなくても罰則はないと聞いた。作る必要はあるか。

法第11条第1項及び第2項は努力義務に読み替えられ、法第20条により消費者庁の助言・指導・勧告・命令・報告徴収・立入検査はいずれも及ばない。行政的な強制はない。ただし、通報妨害の禁止、通報者探索の禁止、不利益取扱いの禁止、これらに関わる刑事罰と民事責任は、規模を問わず適用される。窓口がない団体では、通報が上司や庁外に向かい、探索と不利益取扱いのリスクが上がる。窓口を作らない選択は、罰則を回避する選択ではなく、罰則の適用場面に近づく選択である。

Q2 従事者を指定しないでおけば、法第22条の罰金の対象者もいなくなるのではないか。

従事者を指定しなければ法第12条の守秘義務は生じず、法第22条の適用もない。しかし、地方公務員法第34条第1項の守秘義務は当然に及び、同法第60条第2号により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が定められている。罰則を避けるために指定しないという発想は、より重い罰則の適用を招くだけで、意味がない。加えて、従事者を指定していないこと自体が、法第11条第1項の努力義務を尽くしていない事実として評価される。

Q3 総務課長1人しか担当できない。従事者は1人でよいか。

1人でも指定は成立する。ただし、その1人が事案に関係する者に当たる場合、対応できる者がいなくなる。最低でも、庁内2名と外部窓口1名の3名体制を目指す。庁内2名は、異なる部局から選ぶ。総務課長と総務課係長という組合せは、休暇や異動で同時に欠ける可能性があり、また上下関係があるため、独立した判断が働きにくい。

Q4 外部窓口の費用が捻出できない。何から始めるべきか。

近隣団体との共同委託を最初に検討する。内部ガイドラインは、協議会の設置、機関等の共同設置、事務の委託又は代替執行等の活用を明示的に認めている。地方自治法上の手続を経ない私法上の共同委託でも足りる。次に、町村会や都道府県への働きかけを検討する。それも難しい場合は、庁内窓口のみで開始し、幹部関係事案についてのみ、あらかじめ指定した弁護士に個別に受任を依頼する体制を規程に定める。この形なら、事案が発生したときだけ費用が生じる。

Q5 ハラスメント相談窓口を公益通報窓口として使ってよいか。

内部ガイドラインは、人員、予算等の制約により専用窓口の設置が困難な団体について、他の類似した目的のために設置された窓口の活用を認めている。ただし、消費者庁のQ&Aが示すとおり、通報者が通報先の窓口が内部公益通報受付窓口であるかを明確に認識・理解できることが必要であり、ハラスメント関連のみを対象としているとの誤解を招かない周知が求められる。窓口の名称に公益通報を併記し、受付要領に公益通報として扱う場合の手続を明記する。

Q6 匿名の通報が来た。連絡先が分からないので調査しなくてよいか。

消費者庁のQ&Aは、公益通報者と連絡が取れず事実確認が困難である場合を調査を実施しない正当な理由の例としつつ、事実確認が困難である実態が必要であり、匿名であることのみをもって調査を実施しない正当な理由には該当しないとしている。通報内容から調査が可能であれば、調査する。

Q7 通報者が「調査してほしくない」と言っている。調査しなくてよいか。

消費者庁のQ&Aは、公益通報者の意向に反して調査を行うことも可能であるとしつつ、調査の前後において公益通報者とコミュニケーションを十分にとるよう努め、プライバシー等の公益通報者の利益が害されないよう配慮することが必要であるとしている。通報された事実が住民の生命・身体・財産に関わる場合、調査しないという判断は取れない。通報者に対して、調査の必要性と、通報者が特定されないための工夫を説明し、理解を求める。

Q8 通報内容が本町の所管外だった。どうするか。

内部の職員等からの通報として受け付けたものが、本町の事務ではなく他の行政機関の所管に属する場合は、通報者の同意を得たうえで、権限を有する行政機関を教示する。外部の労働者等からの通報として受け付けたものについては、法第14条が、権限を有しない行政機関に対して誤って通報がされたときは、権限を有する行政機関を教示しなければならないと定めている。消費者庁が公益通報の通報先・相談先を検索できる仕組みを公開しており、これを窓口担当者のブックマークに入れておく。

Q9 町長から「最近通報はあったか」と聞かれた。答えてよいか。

事案が幹部関係事案でない場合、責任者である副町長を通じた報告経路の中で、必要な範囲の情報を伝えることは範囲外共有に当たらない。ただし、通報者を特定させる事項は、公益通報対応業務の遂行に必要最小限を超えて伝えてはならない。幹部関係事案の場合は、通報の存否自体を答えない。この対応が可能になるよう、幹部関係事案については窓口が答えられない旨を、あらかじめ規程と幹部研修で共有しておく。担当者個人に判断を負わせない設計が要る。

Q10 議員から「役場の職員から相談を受けた」と言われた。どう対応するか。

議員に相談した行為が、本町に対する内部公益通報になるとは限らない。しかし、その情報が執行部に伝わった以上、通報対象事実の疑いとして調査する必要が生じ得る。同時に、相談した職員が誰であるかを議員に尋ねる行為は、通報者探索に当たり得る。氏名を尋ねず、事実の内容のみを確認する。議員側から氏名が示された場合も、その情報を必要最小限の範囲を超えて共有しない。

Q11 通報者が特定されてしまった。何をすべきか。

範囲外共有が行われた場合、指針は適切な救済・回復の措置をとることを求める。消費者庁のQ&Aは、情報の回収や損害賠償などを挙げつつ、実効的な救済・回復の措置を講ずることが困難な場合も想定されることから、範囲外共有を防ぐ措置の徹底が求められるとしている。実務としては、直ちに拡散の範囲を把握し、知り得た者に対して他言禁止と通報者探索禁止を書面で通知し、通報者本人に状況を説明し、不利益取扱いの有無を継続的に確認する。あわせて、範囲外共有を行った者に対する懲戒処分その他の措置を検討する。

Q12 被通報者が副町長だった場合、調査結果を誰が決裁するのか。

規程第7条ただし書の設計では、是正に必要な措置は、当該事案に関係しない部局の長のうちから外部窓口が指名する者が、外部窓口と協議のうえ行う。ただし、懲戒処分の権限は任命権者にあり、副町長に対する処分は町長の権限に属する。この場合、外部窓口が調査報告書を町長に提出し、町長が処分を判断する。町長自身が被通報者である場合は、地方自治法上、町長を懲戒処分する仕組みが存在しないため、調査結果を監査委員及び議会に報告し、住民監査請求や百条調査といった別の枠組みに接続することになる。この限界を、あらかじめ規程の注記として整理しておく。

Q13 一部事務組合の職員が組合の不正を通報したい。構成団体の窓口を使えるか。

組合は構成団体とは別個の法人格を有する事業者であり、構成団体の窓口は当然には組合の内部公益通報受付窓口にならない。組合の規約又は規程において、構成団体の窓口を組合の窓口として利用する旨を定めれば、利用できる。あわせて、組合における公益通報対応業務の責任者を組合自身において明確に定める必要がある。消費者庁のQ&Aは、企業グループ共通窓口について同旨の整理を示している。

Q14 通報が年に1件もない。体制が機能していないということか。

件数だけでは判断できない。第9部で示した匿名アンケートを実施し、職員の窓口認知率、通報しなかった事象の有無とその理由を測る。「通報すべきか迷った事象があったが通報しなかった」と回答した職員が一定数いるのに件数が0であれば、体制は機能していない。認知率が高く、迷った事象自体が少ないのであれば、0件は妥当な結果である可能性がある。

Q15 規程を作ったが、施行後に改正が必要になった場合はどうするか。

訓令形式であれば、首長の決裁で改正できる。指針や内部ガイドラインの改正、法令改正、運用上の不具合の発見を契機に、年1回の評価・点検に合わせて改正の要否を検討する。改正履歴を規程の末尾に残しておくと、後任者が経緯を追える。

Q16 外部通報(2号通報)への対応体制も整備しなければならないか。

必要である。法第13条第2項は、通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関に対し、外部の労働者等からの通報に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとることを義務付けている。この義務には、法第11条第3項のような300人以下による読替えがない。町村であっても、食品衛生法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、建築基準法など、権限を有する法律が存在する。外部ガイドラインを踏まえた受付要綱を、内部の通報とは別に整備する。


第15部 参考資料

法令・告示

  • 公益通報者保護法(平成16年法律第122号。令和7年法律第62号による改正後のもの。令和8年12月1日施行)
  • 公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号。令和7年6月11日公布)
  • 公益通報者保護法別表第八号の法律を定める政令(令和8年12月11日施行分)
  • 公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年8月20日内閣府告示第118号。令和8年3月31日一部改正内閣府告示第15号)
  • 地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項、第252条の2、第252条の2の2、第252条の7、第252条の14、第252条の16の2
  • 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第15条、第17条、第28条、第29条、第34条、第46条、第49条の2、第60条

消費者庁資料

  • 公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説(令和3年10月13日。令和8年3月31日最終改正、令和8年12月1日施行)
  • 公益通報者保護法を踏まえた地方公共団体の通報対応に関するガイドライン(内部の職員等からの通報)(平成29年7月31日制定、令和8年5月29日最終改正)
  • 公益通報者保護法を踏まえた地方公共団体の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)(同日最終改正)
  • 公益通報ハンドブック(改正法準拠版。令和8年6月30日)
  • 公益通報者保護制度Q&A(令和8年5月29日時点)
  • 内部公益通報対応体制の整備に関するQ&A(消費者庁ウェブサイト)
  • 令和5年度 行政機関における公益通報者保護法の施行状況調査 結果概要(令和6年4月26日修正)
  • 令和4年度 公益通報等に関する裁判例の収集・分析業務 裁判例一覧表・論点整理表(令和5年6月30日公表)
  • 公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口) 電話03-3507-9262(平日9時30分から12時30分まで、13時30分から17時30分まで)

裁判例

  • 高松高判平成28年7月21日(平成27年(行コ)第3号。第一審 徳島地判平成27年2月16日。最二小決平成29年2月10日により確定)
  • 大阪地判平成24年8月29日(平成23年(行ウ)第17号)
  • 佐賀地判平成21年10月30日(平成20年(行ウ)第3号)
  • 大阪高判令和2年6月19日(令和元年(行コ)第133号。第一審 京都地判令和元年8月8日)
  • 福岡地判令和3年10月22日(令和元年(ワ)第3572号)
  • 東京地判令和3年10月1日(令和2年(ワ)第28155号)
  • 東京地判平成29年10月31日(平成28年(ワ)第33860号)

本シリーズの関連記事

  • 公益通報者保護法逐条解説(第1条から第24条、附則、別表、別表第八号の法律を定める政令)
  • 応用編第1回 内部公益通報対応体制の設計と運用──企業編・常時使用する労働者300人超
  • 応用編第2回 同──企業編・常時使用する労働者300人以下
  • 応用編第3回 同──地方公共団体編・職員300人超
  • 応用編第4回 本稿

本稿は、職員300人以下の地方公共団体が、限られた人員と予算の中で、2026年12月1日の改正法施行に間に合わせるための実務資料として作成した。規程例、書式、標準手順、研修計画、評価指標は、いずれもそのまま自団体の様式に置き換えて使えるよう構成している。共同設置や共同委託については、近隣団体との協議に本稿を持ち込んでもらって差し支えない。

次回以降は、本シリーズの内容を動画解説として再構成するほか、個別の研修依頼に対応するテキスト、スライド、確認問題及び事例問題を順次整備する。

◆通報窓口を受任中。希望組織はまず問い合わせを。https://compliance21.com/contact/

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